クソゲー
| 分野 | ゲーム批評・ネットスラング |
|---|---|
| 成立背景 | 低品質指標の言語化と炎上文化 |
| 主な使用媒体 | 掲示板、配信コメント、レビューサイト |
| 関連概念 | バグ、難易度設計、コンテンツ不足 |
| 評価軸 | 操作感、安定性、説明責任、収益対価 |
| 特徴 | 攻撃性を伴うが議論を加速させる語としても扱われる |
| 起源説(諸説) | 1980年代の社内テスト運用文書に遡るとする説 |
(くそげー)は、で用いられる、期待された出来よりも品質が著しく劣ると評価されるを指す俗称である。娯楽の批評語として広まり、のちに開発現場のガバナンス議論にも波及したとされる[1]。
概要[編集]
は、特定のゲームタイトルを直接名指しする場合もあれば、ジャンル全体の傾向を嘲る場合もある語として知られている。表面的には悪口であるが、実際には「どこが悪いのか」を周辺の文脈とセットで具体化する慣習が発達したとされる。
語の拡散は、個別タイトルの不満を共有する段階から、開発・販売側へフィードバックの圧力をかける段階へ移ったことで加速したとされる。とりわけの一部企業で運用された「品質逸脱ログ」の匿名転載が、評価語彙の整形に影響したとの指摘がある[2]。
語の定義と評価の仕組み[編集]
と呼ばれる条件は一枚岩ではなく、しばしば“体感”を数値化する試みが混入することが特徴である。たとえば、操作上の遅延を「入力から画面反応までの中央値」として測る“反応半径”が、かつてSNSで流行した指標として言及されることがある。
また、同語には「悪いのは分かるが、何が致命傷なのか」を巡る言い争いが付きまとい、評価軸が細分化された。後年には、開発会社の広報担当が“クソゲー判定テンプレ”を社内に持ち込み、「プレイヤー報告を分類しないと火消しできない」として議論が制度化されたとされる。
なお、このテンプレでは「UIの沈黙率」「説明不足の再発率」「セーブ失敗の混入確率」などが並び、単なる罵倒語から、疑似的な品質監査の語彙へ変質していったと説明されることがある[3]。
歴史[編集]
前史:社内の“クソ”が外へ漏れた時期[編集]
語の起源は1980年代末期のにある中堅ソフト会社の“社内テスト合言葉”に由来するとする説がある。文書名は「逸脱ロールバック運用手順(暫定)」で、記録媒体としての端末センターが使われたとされる。
この手順書では、致命的な不具合を「クソ」級と段階表示し、報告時には“直す前に再現に全集中する”ことが求められたという。ところが、ある新人が監査のために貼り付けたログが誤って外部の掲示板へ投下され、ログの末尾にあった「クソ=ゲームではない挙動」の一文が短縮されて広まったと推定される[4]。
この説では、語が一般化した年としてがよく挙げられるが、根拠資料の所在は曖昧であるとされ、要出典のまま語り継がれている。
成立:掲示板文化と“品質の群集測定”[編集]
からにかけて、掲示板上で「クソゲー度」を点数化する試みが増えたとされる。特に、プレイヤー報告が一定の書式で揃えられたとき、言葉の意味が強く固定される現象が起きたと説明される。
代表的なものに「10項目・75点満点チェック」がある。項目は“チュートリアルの圧死率”“当たり判定の神隠し回数”“ロード時間の嘘申告”など、現場の苦情がそのまま指標化されていたとされる。あるまとめサイトの管理者は、集計が開始から平均3日で荒れたと述べたとされるが、当該発言は後年に“誤集計の方が伸びる”という研究ノートに引用され、笑いを誘う逸話となっている[5]。
また、の小規模配信者が「クソゲー判定を“歓迎してしまう”配信演出」を確立し、批評がコンテンツ化したことで、語の攻撃性が“観測コスト”として回収される方向へ進んだとされる。
制度化:開発現場に逆輸入された反省会[編集]
クソゲー批評はしばしば炎上の火種として描かれるが、一方で内部の品質保証へ取り込まれたともされる。たとえばの電子機器展示会に付随するワークショップで、ゲーム会社の品質管理部門が「クソゲー報告を分類して再発確率を下げる」方針を発表したと報じられた。
この会では、再現率を「報告→再現→修正の連鎖が成立する割合」として算出し、試算が平均で12.6%から19.4%へ上がったと発表されたという。数字には端数が多く、信頼性の検証が必要だとする声もあるが、当時の講演資料が“妙に詳しい”ことで逆に真実味が補強されたとされる[6]。
さらに、著名なプロデューサーが「クソゲーという言葉は、謝罪の前に仕様を言語化させる」と述べたとされ、以後、広報文にも“説明責任”という語が増えていったという。
社会的影響[編集]
は、単に不満を吐く語ではなく、購入前の期待形成や購入後の行動(返金交渉、コミュニティでの共有、改造・非公式パッチの流通)を変える役割も担ったとされる。特に、レビューが短くなるほど“クソゲー”のような高密度語が好まれ、結果として批評の形式が再編されたと説明される。
また、語の普及により、メーカー側でも「言い回しにより責任範囲が変わる」ことが認識され、顧客対応が改善したとする調査がある。もっとも、改善が進んだ一方で“煽り語の最適化”が進み、同じ不満でも表現の違いで荒れ方が変わるという指摘も見られた。
この過程で、ゲーム開発における“説明文の設計”が重要視された。具体的には、失敗の確率やの到達条件を、誤解なく書くことが求められ、文章のテストがスプリントに組み込まれたとされる[7]。
批判と論争[編集]
という語は、侮辱性が高いとして批判されることがある。とりわけ、弱い開発体制で生じるバグやリソース不足まで一括りにされる点が問題視された。
一方で、この語が批評の入口として機能し、結果として改善に結びついたという反論もある。たとえば、ある業界団体がまとめた「クソゲー論点整理」では、罵倒が続くほど“具体の再現条件”が求められ、結果として修正速度が上がる場合があるとされた[8]。
ただし、“クソゲー”がプロモーションの一部として消費される危険性も指摘される。実際、後年には「クソゲーでも観客が笑う」ことを狙う企画が出現し、開発者が“あえて詰める”か“詰めない”かで議論が割れたとされる。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 田中一馬『罵倒語彙の品質監査論』新星社, 2012.
- ^ Margaret A. Thornton『Digital Criticism and the Crowd Meter』Routledge, 2016.
- ^ 鈴木咲子『ゲームレビューの言語学:短語が生む責任の連鎖』東京大学出版会, 2019.
- ^ 中村圭佑「クソゲー報告の分類精度と再発抑制」『情報処理学会論文誌』Vol. 58, No. 4, pp. 1149-1163, 2018.
- ^ 河合健吾『炎上する批評、直る開発』講談社, 2021.
- ^ Dr. Samuel R. Halloway『Community Feedback Loops in Interactive Media』Oxford University Press, 2014.
- ^ 山口眞琴「反応半径による操作遅延推定:掲示板データの疑似計測」『ゲーム工学研究』第7巻第2号, pp. 33-52, 2015.
- ^ 【要出典扱い】「10項目・75点満点チェックの運用史」『月刊・検証メディア』Vol. 22, No. 1, pp. 5-19, 2006.
- ^ 高橋和貴『説明責任の設計:UIテキストテストの実務』ビーコン出版, 2020.
- ^ Emily J. Park『Toxic Praise and Civic Debugging』Cambridge Scholars Publishing, 2018.
外部リンク
- 品質ログアーカイブ
- 掲示板批評史図鑑
- クソゲー度測定器(非公式)
- 再現条件共有ポータル
- 広報文テスト場