サミュエル・ヴァンス・ジュニア
| 選手名/氏名 | サミュエル・ヴァンス・ジュニア |
|---|---|
| 画像 | Samuel_Vance_Jr_Uniform.png |
| 画像サイズ | 250x320px |
| 画像説明 | 札幌トレンチーズでのプレー(背番号7) |
| 愛称 | VJ(ブイジェイ) |
| 生年月日 | 1991年7月14日 |
| 出身地 | 北海道札幌市 |
| 身長 | 182cm |
| 体重 | 80kg |
| 国籍 | 日本(帰化手続中を経て取得) |
| 背番号 | 7 |
| ポジション | ポイントガード |
| 所属チーム/クラブ | 札幌トレンチーズ |
| 利き手/利き足 | 右投左打(本人談) |
| medaltemplates(メダル獲得歴) | 東京オリンピック金メダル(2020) |
サミュエル・ヴァンス・ジュニア(よみ、[[1991年]]〈[[平成]]3年〉[[7月14日]] - )は、[[北海道]][[札幌市]]出身の[[プロバスケットボール選手]](ポイントガード)。右投左打。[[B.LEAGUE]]の[[札幌トレンチーズ]]所属。[[2020年]]の[[東京オリンピック]]でポイントガード史上初となる平均アシスト二桁を達成し、[[オリンピック金メダル]]を獲得した。
経歴[編集]
サミュエル・ヴァンス・ジュニアは[[1991年]]に[[北海道]][[札幌市]]で生まれたとされる。幼少期から英語圏の紙芝居を読み聞かせられていたことが、のちに「時間差パス」を多用する原点となったと本人は語っている。なお家族は[[1998年]]に一度[[青森県]]へ転居し、雪害対策で体育館が増えた地区で基礎練習を継続したとされる。
プロ入り前は[[札幌市立光南中学校]]から[[北海工業高等学校]]へ進学し、同校のバスケットボール部が採用した「静止ドリブル12秒法」で注目された。同年の新人戦では、シュート成功率が自己記録の[[0.372]]から[[0.381]]へ改善し、本人はそれを「桁の違いが未来を分ける」と表現したと伝えられている。[[2009年]]には[[ユース日本代表]]のセレクションに選出され、同年秋の合宿で“アシストの距離”を全選手で統一する規定を提案した。
プロ入り後は[[2011年]]に[[B.LEAGUE]]の前身リーグである[[NBL]]の[[横浜ナイトホークス]]に所属し、[[2013年]]に[[札幌トレンチーズ]]へ移籍した。札幌移籍後は、[[HC]](ヘッドコーチ)である[[三浦一翔]]により「角度7度以内のレイアップのみを練習する」方針が導入され、結果としてチーム全体のミスが減少したとされる。さらに[[2019年]]には[[日本代表]]に選出され、[[2020年]]の[[東京オリンピック]]では決勝第4Qに平均得点の上振れを作り出し、金メダル獲得に貢献したと評価された。
選手としての特徴[編集]
サミュエル・ヴァンス・ジュニアは、俊敏性よりも「予告されたようなパス」を武器として知られている。コート上でボールを持つ時間が短い一方、パスの出る瞬間は相手の視線誘導のタイミングに合わせており、統計上は平均リリースまでの滞留時間が[[0.94秒]]であると報告されている。もっとも本人はこの数字を否定し、「滞留ではなく“呼吸”の秒数である」と述べたとされる。
また、守備に対しては“逆サイド先読み”が徹底されている。[[ゾーンディフェンス]]を相手が敷いた場合、彼はボール保持者の位置に応じてパスラインを変更するだけでなく、味方の立ち位置を指差しで指示する。指示の回数は1試合平均[[18.3回]]であり、チーム戦術会議では「点数より前に言葉を入れろ」と繰り返し共有されたとされる。
シュート面では、外角3点の成功率が安定している一方で、本人の得意な終盤の形はミドルレンジからの“1回止めてから撃つ”スタイルとされる。[[2018年]]以降、自己ベストを更新した年には、1試合あたりのフリースロー試投数が[[9.7本]]から[[11.2本]]へ増えたとする資料があり、攻撃が「押し込み」だけでなく「接触を作る」方向へ洗練されたことが示唆されている。
人物[編集]
人物面では、練習への執着がやけに細かいことで知られる。彼は試合前にシューズの紐を結び直すが、その回数が「左1回、右2回、結び目を中心から[[3.1mm]]ずらす」でなければ気持ち悪いと語ったとされる。同チームの整備担当[[佐伯拓海]]は、メモ帳に鉛筆で円を描き、結び目の位置を測定していたと話している。
また、[[札幌トレンチーズ]]のロッカールームでは、サミュエルのために壁面へ“パス角度カレンダー”が貼られていたとされる。これは月ごとに「◯月は角度7度、△月は角度3度」と更新される即席運用で、誰もが冗談だと思いながらも、なぜか毎年3点の成功率が改善していたことから、次第に“科学”として扱われるようになったという。
一方で、彼の冗談も特徴的である。[[2020年]]の代表合宿で、誰かが緊張していると「緊張は筋肉のうそだ」と言い、全員に仰向けで肩の力を抜かせたという。なお当時のメンタルトレーナー[[岡本綾香]]は、これが呼吸を揃える導入になったと記録しているが、本人は「運動学より物語のほうが人を動かす」と主張したとされる。
記録[編集]
タイトル面では、[[東京オリンピック]]での金メダルが最大の実績である。決勝ラウンドではポイントガードとして平均[[10.4アシスト]]を記録したとされ、以後この数値は“VJライン”と呼ばれるようになった。さらに同大会の準々決勝で、同じ相手に対しアシスト経路を3種類に分けたことが分析され、「相手の脳内地図を塗り替える選手」との評価につながった。
表彰としては、[[2020-21シーズン]]の[[最優秀選手賞|MVP]]に選ばれたと報じられている。選考理由は得点よりも、ターンオーバー率の抑制に加え、平均パス成功率が[[0.861]]であった点などが挙げられた。ただし同年の記録集は一部で誤植があり、「0.861」が「0.681」として掲載されたことが後日判明したとされる。
個人記録では、シーズン最多アシストが[[2019-20シーズン]]の[[312本]]である。これは従来のリーグ記録([[289本]])を[[23本]]更新した数字であり、当時の[[札幌トレンチーズ]]は攻撃の型が相手の外圧に耐えるものへ変化していたと考えられている。なお代表歴としては、[[ユース日本代表]]から順に選出され、[[2019年]]に日本代表のレギュラーとして初出場を果たしたとされる。
出演[編集]
テレビ出演では、[[2021年]]に放送されたバラエティ番組[[『スポーツで冬を越す』]]で特集された。番組内では“パスだけで道を作る”企画として、スタジオ床に敷いたラインへボールを置き換えるゲームに挑戦し、制限時間[[2分30秒]]以内に指定ルートへ到達したとされる。
CM出演としては、[[北海道電力]]の「灯りを分ける篇」で、彼が夜の公園でフリースローをする映像が採用された。同CMは「寒さで指が硬くなるほど、呼吸が大事になる」というナレーションが話題になり、結果として広告想起率が[[41.6%]]まで上昇したと報じられた。ただし社内資料の一部では、想起率の母数が別条件で再集計されていると指摘されている。
また、情報番組[[『全国スポーツ便』]]では“VJの7度”として、ボールの角度をスマートフォンの加速度計で測るコーナーが人気になった。出演の狙いは技術解説というより、視聴者がスポーツを「作業」ではなく「編集」だと捉えるように仕向けることだったとされる。
著書[編集]
著書としては、[[2022年]]に『[[7度のパス]]』を刊行した。内容はバスケットボール技術の説明に加え、練習メモの作り方や、失敗の記録テンプレートまで含む構成になっている。第3章では「反省をログ化する前に、先に笑う」として、負けた日の自分へ向けた短文を書く手順が提示された。
なお初版の帯には「桁ではなく呼吸で数字を持ち帰れ」と書かれ、彼の“滞留時間は呼吸である”という主張を踏まえた表現になっている。取材・構成を担当した編集者[[久遠真由]]は、文章のリズムが本人の試合時の声掛けと一致していたため、監修に近い作業になったと述べているとされる。初版部数は[[120,000部]]とされるが、実売はその[[86%]]にとどまったという内部資料もあり、数字が独り歩きする点については本人も「物語が強いから仕方ない」と笑っていたと伝えられる。
背番号[編集]
背番号は[[7]]である。本人によれば、この番号は“勝利”のためだけではなく、北海道で最も早く日が傾く時刻を指す独自の合図から来ているという。彼は札幌で毎年観測しており、ある年の観測データでは、夕日が地平から沈む角度が[[7.02度]]を示したとされる。競技団体の一般的な基準とは一致しないとされるが、チーム内では「数字が合うときだけ勝つ」という迷信として定着した。
また、札幌トレンチーズ移籍直後の[[2013年]]には一度[[4]]番を着用したものの、試合でターンオーバーが増えたため本人が番号を変えたという経緯が語られている。以後は番号を変えない方針となり、練習量の増減も7番を中心に調整されてきたとされる。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 町田啓輔『北国のパス理論――VJラインの成立』北海道体育出版社, 2023.
- ^ サミュエル・ヴァンス・ジュニア/久遠真由『7度のパス』ベースボール・メモリ出版, 2022.
- ^ 三浦一翔『指差し戦術と数値化された声掛け』株式会社スポーツ戦術研究所, 2021.
- ^ 岡本綾香『呼吸は守備を変える』メンタルアスリート社, 2020.
- ^ Vance, S. Jr.『Predictive Passing in Cold Climates』Journal of Court Psychology, Vol.12 No.3, 2021, pp.41-58.
- ^ Harris, L. & Ito, M.『Turnover Suppression as Cultural Performance』International Review of Sport Analytics, Vol.7 No.1, 2022, pp.9-24.
- ^ 日本バスケットボール記録機構『B.LEAGUE統計年鑑 2019-20』同機構, 2020.
- ^ 全国スポーツ便制作班『『スポーツで冬を越す』台本集(完全版)』日本放送出版協会, 2021.
- ^ Kawasaki, R.『Angles, Numbers, and Misprints』The Playbook Quarterly, Vol.3 No.2, 2022, pp.77-101.
外部リンク
- 札幌トレンチーズ公式プロフィール
- VJの7度(個人メモサイト)
- B.LEAGUE選手検索
- 東京オリンピック公式統計アーカイブ
- 北海道電力 スポーツ動画アーカイブ