サーフ系ボディビルダー拓也山手線乗車事件
| 正式名称 | サーフ系ボディビルダー拓也山手線乗車事件 |
|---|---|
| 通称 | 拓也事件、Y-ポーズ事件 |
| 発生日時 | 2007年7月18日 14時台 |
| 発生場所 | 山手線内回り車内、品川 - 新橋間 |
| 関係者 | 拓也、車内補導係、撮影同好会3名 |
| 原因 | 混雑時間帯における記念撮影および擬似サーフ実演 |
| 影響 | 車内ポージング規制、筋肉系SNS文化の拡大 |
| 別名 | 肩甲骨の波事件 |
サーフ系ボディビルダー拓也山手線乗車事件(サーフけいボディビルダーたくややまのてせんじょうしゃじけん)は、内の車内において、サーフ文化圏出身のボディビルダーとされるが、独自の“乗車ポージング”を試みたことを発端として語られる都市伝説的事件である。後年はとの双方から参照されるようになった[1]。
概要[編集]
サーフ系ボディビルダー拓也山手線乗車事件とは、夏、車内で“サーフの波待ち姿勢を保ったまま電車に乗る”という奇行が目撃された出来事を指すものである。事件当時は単なる迷惑行為として処理されたが、のちにやが資料化したことで、独自の身体表現運動の一類型として再解釈された[2]。
事件の核心は、当事者のがボディビルのフロント・ダブル・バイセップスを崩さず、なおかつ“サーファーとしての重心移動”を保ったまま乗車しようとした点にあるとされる。結果として、車内のつり革8本分を半ば支配した状態になったと伝えられ、到着時には乗客の一部が静かに位置を変えたという[3]。
発生の背景[編集]
この事件の背景には、2000年代前半にからへ流入したとされる“サーフ系筋量”というサブカルチャーがある。これは、日焼けした肌、短めのデニム、過剰に発達した僧帽筋を特徴とする若年男性像で、当時の雑誌『Muscle & Tide Weekly』が半ば煽情的に取り上げたことで知られる。
また、当時のでは車内の私的撮影に関する明確なガイドラインが整備途上であり、拓也はその空白を突く形で“乗車時の自己演出”を行ったとされる。なお、一部研究者は、拓也が実は撮影会のためではなく、肩のアイソメトリック保持時間を稼ぐために山手線を選んだとする説を唱えているが、これには要出典の指摘がある。
事件の経緯[編集]
品川駅での予告行動[編集]
事件前日、の外れにあるサンドウィッチ店前で、拓也が“明日の潮回りはいい”と発言していたという証言が残る。これは本人なりのサーフ用語であったとされるが、駅員は釣りの比喩として受け取ったらしい。翌日14時17分、拓也は背中にのトレーニングバッグを担ぎ、改札を通過した[4]。
車内でのポージング[編集]
車内では、拓也がラットプルダウンの軌道を応用したとされる“波乗りラット”を3回連続で実演し、左右のドア付近にいた乗客から視線を集めた。目撃者の1人は、肩の角度が約47度、膝の屈伸が18秒周期で安定していたと証言しているが、実測値かどうかは不明である。なお、同乗していた撮影同好会の3名は、これを「都市型パフォーマンス」と称して連写した。
新橋駅での収束[編集]
到着直前、車内アナウンスとほぼ同時に拓也が“セット終了”と宣言し、姿勢を解除したことで騒動は収束したとされる。その際、近くにいた高齢男性が「昔は皆もっと背中を張っていた」と述べたという逸話があるが、真偽は定かでない。事件後、拓也は改札外で2分40秒にわたり深呼吸を行い、肩甲骨の可動域を確認していたとされる。
社会的反響[編集]
事件は当初、や深夜帯の情報番組で取り上げられ、視聴者の間では「山手線で筋肉を見せるのは何罪か」という奇妙な議論を生んだ。これを受けて、では翌年、車内での過度なポージングに関する注意喚起ポスターを試験掲示したとされる。
一方で、ボディビル界ではこの事件を契機に“公共空間ポージング”という新しい練習法が一部で流行した。特に、胸を張ったまま吊革に触れず立ち続けるは、港区のジム3店舗で1か月に約120件の試行報告があったとされる。これにより、事件は単なる笑い話から、身体文化の境界をめぐる象徴的事案へと昇格した。
後年の解釈[編集]
2010年代後半になると、事件はの素材として再評価された。とりわけの準研究会が発表した『移動体における筋収縮の儀礼性』では、拓也の行為を“通勤者に対する無言の祝祭”と位置づけている。
また、SNS上では“拓也は本当にサーフ系だったのか”という論争が繰り返されたが、旧式の掲示板ログには、彼が出身で、幼少期にの大会でサーフボードに座ったまま腹筋を競ったという書き込みが確認されている。ただし、この記録は後年のコピペ文化によって増幅された可能性が高いとされる。
批判と論争[編集]
本事件には、当初から“迷惑行為を美談化している”という批判があった。とくには、身体表現としての価値を認めつつも、混雑時の実演は公共性を損なうとする立場を取った。
他方で、事件を批判する論者の中にも、拓也が実際には乗車時間8分のあいだ一度も座席を要求しなかった点を評価する声がある。もっとも、彼が車両中央で“肩で波を割る動き”をしたことについては、車内広告の視認性を31%低下させたとの社内報告があり、ここは強く問題視された[5]。
記録と資料[編集]
事件に関する一次資料としては、が所蔵する7秒の無音映像が最重要とされている。映像には、拓也が吊革の下で左腕を上げる瞬間が写っているが、顔の半分が他客の帽子で隠れており、本人確認には追加鑑定が必要である。
また、のデジタルアーカイブには、事件当日の夕刊広告欄に挟まっていた小冊子『車内で鍛える三角筋』が保存されている。これが実際に拓也本人の配布物であったかは不明であるが、ページ末尾に「Yamanote should become your runway」と手書きされた欄外注記があることから、関係資料として扱われている。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 佐伯倫太郎『車内身体表現史——山手線事件群の研究』交通文化出版社, 2014.
- ^ Margaret H. Ellison, "Transit Musculature and Urban Ritual", Journal of Japanese Urban Folklore, Vol. 18, No. 2, 2016, pp. 44-71.
- ^ 渡会真一『サーフ系美学の成立と崩壊』港北書房, 2011.
- ^ Keiji Nakamura, "Posture, Crowding, and the Yamanote Myth", The Review of Metropolitan Studies, Vol. 9, No. 4, 2018, pp. 203-219.
- ^ 『Muscle & Tide Weekly』編集部『肩甲骨の波を読む』海風出版, 2006.
- ^ 小早川彩『公共交通における見せる身体』日本交通文化研究所, 2020.
- ^ Robert J. Halloway, "On Boarding Performance in Commuter Rails", East Asia Social Movement Papers, Vol. 3, No. 1, 2012, pp. 11-29.
- ^ 『東京都市怪談アーカイブ 第7巻』東京怪異資料社, 2017.
- ^ 藤堂雅人『アイソメトリック通勤法入門』港区トレーニング研究会, 2015.
- ^ 中島由貴『新橋駅で何が揺れたのか』青葉文庫, 2009.
外部リンク
- 日本筋車連盟アーカイブ
- 首都圏車内文化研究会
- 東京都市怪談アーカイブ
- 山手線身体史資料室
- 港区トレーニング研究会