スーパーマリオ
| タイトル | スーパーマリオ |
|---|---|
| 画像 | SuperMario_keyart.png |
| 画像サイズ | 280px |
| caption | 箱絵に描かれたマリオ・ラインの初期試作機 |
| ジャンル | アクションシューティングゲーム |
| 対応機種 | ファミリア32 |
| 開発元 | ルミナス・ギャラクシー社 第3研究部 |
| 発売元 | 東洋インタラクティブ販売 |
| プロデューサー | 北沢 恒一 |
| ディレクター | 宮前 進 |
| デザイナー | 佐伯 みどり / ウルフ・ハーディング |
| プログラマー | 田辺 恒一郎 |
| 音楽 | 桐島 蓮 |
| シリーズ | マリオ・ラインシリーズ |
| 発売日 | 1985年9月13日 |
| 対象年齢 | 全年齢 |
| 売上本数 | 全世界累計4,860万本 |
| その他 | 日本ゲーム大賞特別功労賞、後年にバーチャルコンソール対応 |
『スーパーマリオ』(英: Super Mario)は、にのから発売された用。のちにの第1作目と位置づけられ、通称は「マリオ・ライン」と呼ばれる[1]。
概要・概説[編集]
『スーパーマリオ』は、半ばの家庭用市場において、横方向の移動と射撃を中核に据えたとして設計された作品である。発売当初から、プレイヤーは配管工の青年マリオ・ベッリオを操作し、重力の変動する都市国家を舞台として、王国上空に散布された「跳躍結晶」を回収することを目的とした[1]。
本作は、のちに化される「マリオ・ライン」の原点とされる一方、実際にはに触れない範囲で射撃操作を抽象化した教育用シミュレーションとして企画された経緯があるとされる。だが開発終盤、操作体系が過度に軽快であったため、社内では「シューティングなのに走る」という矛盾が話題となり、そのまま商品化されたという[要出典]。
キャッチコピーは「跳べ、撃て、帰れ。」であり、当時の広告ではの駅貼りポスターに加えて、なぜか内の銭湯にまで等身大パネルが設置されたことで知られている。なお、初版カセットの背面に印刷された注意文の一部が逆さ文字になっていたため、発売翌週の問い合わせ件数が通常の3.8倍に達したともされる。
ゲーム内容[編集]
システム[編集]
ゲームシステムの特徴として、左右移動・ジャンプ・射撃の3軸を基礎にしつつ、床面の材質によって跳躍角が微妙に変化する「床反応補正」が搭載されている。プレイヤーは最大3種類の弾薬を切り替えられ、うち1つは実際には球ではなく、開発部が「慣性のある挨拶」と呼んでいた衝撃波であった。
また、残機制を採用しながらも、一定条件下でミス直後にマリオが自動復帰する「現場復旧モード」が存在する。これは当初、の安全基準に合わせて導入されたものとされるが、後年のインタビューでは北沢恒一が「単に難しすぎたから」と述懐している。
戦闘[編集]
戦闘はステージごとに配置された「甲殻標的」と呼ばれる敵対物に対して行われる。敵は踏みつけるだけでなく、角度45度で跳ね返る細弾を用いて処理することも可能で、熟練者はこの挙動を利用して一画面内の敵を連鎖的に同時撃破する。
特筆すべきは、ボス戦の多くが「撃破」ではなく「説得」で終了する点である。たとえば第7面のは、3発撃ち込んだ後に特定の笛入力を行うと降伏し、以後は背景の雲を整列させる役に回る。これは当時の学術雑誌『』でも「暴力表現の迂回的処理」として評価された。
アイテム[編集]
アイテムには、巨大化薬「スーパークランチ」、短時間の無敵を与える「星片」、そして一見ただのコインに見える「記念貨」がある。記念貨は100枚集めると1UPではなく、なぜか画面外から列車の汽笛が鳴り、次のステージの開始位置が1マス前進する。
なお、試作版には「風呂敷型スコアブースト装置」が存在したが、量産版では削除された。理由は、風呂敷の色によって効果が変わるため、から「説明が不親切」と指摘されたためであると伝えられる。
対戦モード・オフラインモード[編集]
対戦モードは2人同時プレイに対応しており、交互ではなく同画面分割方式を採用した最初期の作品の一つとされる。ただし実際には画面が分割されるのではなく、中央に透明な壁が立つだけであったため、上級者同士の対戦はしばしば「壁越しの心理戦」と呼ばれた。
オフラインモードでは、通信が不要な代わりに、カセット内部の時計機構を利用して敵配置がわずかに変動する。後年の移植版ではこの機構が再現できず、代替として「午後3時にだけ難しくなる疑似時刻演算」が実装されたとされている。
ストーリー[編集]
物語は、の中央にある送水塔が突如として「逆噴射現象」を起こし、都市全域に上昇気流が発生するところから始まる。主人公マリオは、消失した配管網を修復する任務を与えられ、各地区に封印された7枚の「王室整流札」を回収するため、地上から地下、さらに屋上庭園へと進む。
物語中盤では、マリオが実は王宮の公認整備士ではなく、失踪した統計局員の代理として雇われていたことが明かされる。これにより、彼の行動目的は「王女の救出」ではなく「配管図の提出」にすり替わるが、プレイヤーの大半は気づかないまま最終面に到達する構造になっている。
終盤、敵対勢力であるの主権者クッパは、マリオに対し「本件は水圧の問題である」と主張し、和解を求める。だがマリオは最後まで無言を貫き、結果として王室の認証印が壊れたため、エンディングでは救出よりも先に「水道料金の再計算」が行われる。
登場キャラクター[編集]
主人公[編集]
マリオ・ベッリオは、本作の主人公である。彼は本来の下請け作業員だったが、靴底に埋め込まれた反発板の適性が認められ、特別任務に抜擢されたとされる。史料によっては「口ひげを伸ばした方が空気抵抗が減る」と信じていたとも記録されている。
続編資料では、彼は身長164cm、体重不明、握力72kg、好きな食べ物は「冷めたポレンタ」とされる。ただし、取扱説明書の別版では好きな飲み物が麦茶になっており、設定が統一されていない点が逆にファンの考察を呼んだ。
仲間[編集]
ルーチェ姫は、王宮送水塔の管理権限を持つ人物であり、ゲーム中では遠隔通信端末からヒントを送る。彼女は毎回「門を開くには石を置き換えよ」としか言わないため、当時の攻略誌では「最も優雅な説明不足」と評された。
そのほか、整備補助AIの『トード小隊』が登場する。彼らは小さな帽子を被った端末群であり、状況に応じて拍手したり、突然消火器を持って走り回ったりする。これは初期案では完全に無機質なセンサー群だったものが、ディレクターの宮前進が「もっと愛嬌が必要だ」と主張して改造された結果である。
敵[編集]
主要な敵はクッパであり、正式名称はバルカン=クッパ13世とされる。彼は竜脚型搬送ロボットに搭乗しており、実際にはラスボスというより「最終検査官」に近い役回りである。
ほかに、鉄球を吐くメカプラント、逆走するクラゲ型警備装置、そして背景にのみ現れる「見物人」などがいる。とくに見物人は敵ではないが、画面端で拍手するため、初見プレイヤーの集中を著しく削ぐ存在として知られている。
用語・世界観[編集]
本作の世界観は、地表・地下・雲上層の3層で構成されている。地表は主にの管理下にあり、地下は旧式の蒸気配管網が迷路状に広がる。雲上層には重力が軽くなる「浮遊気圧帯」が存在し、そこでのジャンプは通常の1.7倍まで伸びるとされる。
「マリオ・ライン」という語は、当初は配管修復経路を示す工事用語だったが、後にプレイヤーの移動経路そのものを指す一般名詞となった。なお、作中に登場する「ワープ土管」は異次元移動装置ではなく、実際にはが試験導入した都市間連絡管の転用であるとされる。
また、世界設定資料には「キノコ盆地は海に面していないが潮位表がある」と記されており、学会では長らく謎とされた。のちにこれは、送水塔の圧力変化を潮位に見立てた内部資料だったと判明したが、ゲーム中では一切説明されない。
開発[編集]
制作経緯[編集]
制作は秋、吹田市にあった仮設研究棟で開始された。元々は子ども向けの「橋梁学習ソフト」として計画されていたが、操作テストで被験者が橋ではなく敵を踏みつけ始めたため、企画が急遽変更されたという。
宮前進は後年、「跳ぶこと自体に報酬を与えると、人は理由を忘れる」と語ったとされる。この発言が本作の設計思想を端的に示しているとみなされており、ゲーム批評誌では「意味のない行為に最短距離で意味を与えた作品」と紹介された。
スタッフ[編集]
中心スタッフは、プロデューサーの北沢 恒一、ディレクターの宮前 進、デザイナーの佐伯 みどり、プログラマーの田辺 恒一郎である。音楽は桐島 蓮が担当し、当初は4音しか鳴らせない制約の中で、鐘の音を模した旋律を多用した。
なお、海外向けパッケージには「ウルフ・ハーディング」の名義が大きく記載されていたが、彼は実在の人物ではなく、社内で使われていた警告用ダミー名だったという説がある。もっとも、関係者の証言は食い違っており、真相はなお曖昧である。
音楽[編集]
サウンドトラックは、発売当時のの音源制約を逆手に取ったもので、全12曲・総再生時間18分44秒から成る。特に地上面BGMは、当時の子ども向け番組で流行していた口笛を逆位相で再現したとされ、耳に残る一方で、再生中に軽い眩暈を訴える者もいたという[要出典]。
桐島 蓮は、タイトル曲の制作にあたりの地下道で録音した電車接近音を分解し、3音だけ残して再構成した。結果として生まれたメロディは、後年の記念講演で「8ビット時代の整流美」と評され、オーケストラ版やハープシコード版まで派生した。
また、ボス戦曲は拍子が7/8と5/8の間を行き来するため、プレイヤーが無意識に足踏みしてしまう設計になっている。これにより、攻略の成否とリズム感が奇妙に連動し、開発側は「音楽が操作の一部になる」と説明したが、実際には単に制御が難しかっただけとも言われる。
他機種版・移植版[編集]
1988年には版が発売され、描画速度の向上と引き換えに、マリオのひげが毎フレーム1ピクセルずつ増減する仕様が追加された。さらに、の携帯機版では対戦モードが削除された代わりに、オフラインでAIが勝手に拍手する「応援自動化機能」が実装された。
その後、版、対応版、そして教育施設向けの版が順次登場した。とくに展示端末版は、来館者が連続でジャンプすると床が振動するため、内の導入館では1日平均17回の注意放送が行われたという。
移植版の一部には、原作にない「安全確認ボタン」が存在する。これを押すとゲームが一時停止し、画面右下に「整備記録を見よ」と表示されるだけであるが、当時はこれが隠し要素として熱心に調査された。
評価[編集]
発売後、本作は国内外で高い評価を受け、時点でミリオンセラーを記録したとされる。全世界累計4,860万本を突破したとする資料もあり、は同年の決算説明会で「想定より配管が売れた」とコメントした[2]。
批評面では、の前身とされる『週刊遊技年鑑』で34点相当を獲得し、特に「敵を倒すのではなく、画面の秩序を回復する感覚」が高く評価された。一方で、操作説明書に「左を押すと左へ、右を押すと右へ進む」と書かれていたため、当時の初学者には不親切だったという指摘もある。
後年にはの特別回顧部門を受賞し、からも「迷路・跳躍・射撃の三要素を家庭で定着させた作品」と表彰された。ただし、売上の一部は初回出荷分に同梱された未使用シールの価値を含むとする説もあり、数字の解釈には揺れがある。
関連作品[編集]
本作の成功を受けて、続編『スーパーマリオ2: 逆流の王冠』、『マリオ・ライン3: 雲海の遺跡』、『マリオ・ラインワールド』が相次いで制作された。これらは「シリーズ一作目にあたる本作の設計を、そのまま少しずつ壊す」ことを目的としており、ファンからは半ば伝統として受け入れられている。
また、メディアミックスとしてテレビアニメ化された『マリオと七つの配管』、舞台化作品『跳躍都市キノコ盆地』、および実写特番『マリオ、配管を学ぶ』が存在する。特にテレビアニメ版は、敵キャラクターのクッパが毎回エンディングで反省文を読むことで人気を得た。
関連派生作としては、落ちものパズル『スーパーマリオ・ブロック』、ハンティングアクション『マリオ狩猟記』、ロールプレイングゲーム『マリオと消える王印』などがあるが、いずれも本編との整合性はほぼ考慮されていない。
関連商品[編集]
攻略本としては、『完全攻略 スーパーマリオ配管技法』(東洋遊戯出版)や、『ジャンプの科学 1985年改訂版』が刊行された。前者は全284ページにわたり、実際には攻略よりも配管設計の心構えが詳しいことで知られる。
書籍では、北沢 恒一名義の回想録『私はなぜ敵を踏んだか』、桐島 蓮の音楽解説書『8音で足りる世界』などがある。また、その他の書籍として、全国の書店で「なぜかレジ横に置かれていた」と記録される小冊子『マリオ・ライン安全運転手帳』が存在し、初版3万部のうち約6,200部が未開封のまま倉庫に残った。
グッズ類には、跳躍用のゴム底靴、ひげ型クッション、そしてマリオの移動軌跡を再現する定規がある。とくに定規は、子どもが真っ直ぐ線を引けなくなるという理由で一部小学校から回収要請が出たとされる。
脚注[編集]
1. 本作の初出資料では、発売元が「東洋インタラクティブ販売」ではなく「東洋販売局」と記されている版があり、版間差異が確認されている。 2. 売上本数はパッケージ出荷数と登録ユーザー数を合算した値であるとする説もあるが、当時の統計方式が不統一であったため、厳密な比較は難しい。 3. 取扱説明書の付録には、ゲーム内容と無関係な「非常時の配管の叩き方」が載っている。
参考文献[編集]
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
ルミナス・ギャラクシー社 公式アーカイブ
マリオ・ライン資料室
桐島蓮 音楽保管庫
キノコ盆地デジタル博物館
東洋遊戯出版 旧作案内
脚注
- ^ 北沢 恒一『マリオ・ライン構想史』東洋遊戯出版, 1992年, pp. 41-79.
- ^ 宮前 進「跳躍と射撃の接点」『電脳遊戯研究』Vol. 4, No. 2, 1986, pp. 12-27.
- ^ 桐島 蓮『8音で足りる世界』新潮ゲーム文庫, 1994年.
- ^ M. Thornton, "Pipe-Based Mobility in Early Home Software" Journal of Interactive Mechanics, Vol. 3, Issue 1, 1987, pp. 88-103.
- ^ 佐伯 みどり「初期家庭用機における床反応補正」『ゲーム設計学会誌』第11巻第4号, 1989年, pp. 201-219.
- ^ R. Harding, "The Mushroom Basin and its Vertical Logistics" Digital Play Quarterly, Vol. 2, No. 3, 1988, pp. 5-16.
- ^ 北沢 恒一・田辺 恒一郎『ファミリア32実機解析ノート』ルミナス工学社, 1990年, pp. 122-167.
- ^ 宮前 進『私はなぜ敵を踏んだか』東洋遊戯出版, 1998年.
- ^ 『週刊遊技年鑑1985-1986 総集編』遊技時報社, 1986年, pp. 55-61.
- ^ L. Carter, "When Jumping Became a Public Service" Retro Systems Review, Vol. 7, No. 4, 1991, pp. 144-158.
外部リンク
- ルミナス・ギャラクシー社 作品アーカイブ
- マリオ・ライン資料館
- 電脳遊戯研究所 年報データベース
- 東洋遊戯出版 デジタル目録
- キノコ盆地観光振興会