スーパーマリオ花魁道
| タイトル | スーパーマリオ花魁道 |
|---|---|
| 画像 | Super Mario Oirando boxart.png |
| 画像サイズ | 256px |
| caption | 茶屋町式版パッケージイラスト |
| ジャンル | アクションシューティングゲーム |
| 対応機種 | 茶屋町式 |
| 開発元 | 千鳥坂デジタル研究所 |
| 発売元 | 都鳥インタラクティブ |
| プロデューサー | 石動一之助 |
| ディレクター | 真柴かえで |
| デザイナー | 御門鈴太郎 |
| 音楽 | 三輪サエコ |
| シリーズ | 花街冒険シリーズ |
| 発売日 | 1987年11月21日 |
| 対象年齢 | 12歳以上推奨 |
| 売上本数 | 約184万本 |
| その他 | 通称は『花道マリオ』。オンライン対応版は未発売 |
『スーパーマリオ花魁道』(すーぱーまりおおいらんどう、英: Super Mario Oirandō、略称: SMO)は、に京都府の架空の開発会社から発売された用。のちにの第1作目として扱われた[1]。
概要・概説[編集]
『スーパーマリオ花魁道』は、の紙芝居演算基板を応用して製作されたである。プレイヤーは花街の見習い遊芸人「マリオ」として操作し、を模した架空都市を舞台としている。
キャッチコピーは「咲いて撃って、通して上がる」であり、当時の業界紙では「との奇妙な結婚」と評された[2]。なお、シリーズの始祖・元祖であるとされる一方で、実際には後年の移植版が先に有名になったため、作品の成立史にはしばしば混乱が見られる。
ゲーム内容[編集]
ゲームシステム[編集]
ゲームシステムの特徴として、敵を撃つだけではなく、帯の結び目を正しい順序で解くことでルートが開通する「礼法判定」が採用されている。これにより、通常のシューティングに加えて、半ば的な会話選択が発生する。
また、一定条件を満たすと「見返り歩き」状態に入り、移動速度は落ちるが弾幕が三方向に拡散する。開発資料では「上品さと危険性の同居」と説明されているが、実際にはテストプレイヤーの半数以上が操作を誤ったと記録されている[3]。
戦闘・アイテム[編集]
戦闘では、扇子状の弾を放つ「末広ショット」、紙吹雪で敵弾を相殺する「散華ガード」、高下駄で段差を飛び越える「足袋ジャンプ」が基本である。アイテムには「鼈甲かんざし」「金箔の手鏡」「黒蜜団子」などがあり、特に黒蜜団子は1個で体力が2.5目盛り回復するため、速度重視の攻略では使用が推奨された。
一方で、隠しアイテムの「禁制の白粉」は取ると一時的に移動が2倍になるが、画面全体が淡く霞み、3面以降は事実上の視認不能状態になる。これについては当時から要出典のまま放置されていた。
対戦モード・オフラインモード[編集]
対戦モードは最大2人までのと同時に、任意で「悪口合戦」ルールを有効化できる。これは相手より先に敵NPCへ一礼し、礼を返された回数で得点が決まる珍しい方式で、最終的には弾幕よりも礼節の精度が勝敗を左右した。
オフラインモードには「奥座敷百景」があり、全36座敷を順番に巡ることでエンディングが変化する。なお、版は企画されていたが、茶屋の通信帯域が足りなかったため中止されたと伝えられる。
ストーリー[編集]
物語は、の外れにある朽ちた芝居小屋から始まる。主人公のマリオは、花魁道の免許を持たないまま夜明け前の通りを走り回り、失われた「八本半襟」を集める任務を与えられる。
途中で彼は、三味線を弾く謎の老女や、提灯の中に住む案内役と出会い、都を支配する組合の陰謀を知る。終盤では、朱楼京の地盤そのものが巨大な回転台であったことが判明し、最終ボスである「大将花魁・紫乃院」が、客引きの拍手で地形を反転させながら襲いかかる[4]。
登場キャラクター[編集]
主人公[編集]
マリオは見習い遊芸人で、赤い袴と白い羽織を着用する。ジャンプ力が高い理由については、足袋の底に産の竹炭が仕込まれているためとされるが、公式設定資料集では「本人が納得しているから」としか書かれていない。
仲間[編集]
は、口数が多いが実体のない提灯型の案内役であり、迷路面では必ず壁に突き当たる方向を示す。ほかに、帯職人の少女が同行し、一定条件で回復アイテムを無料配布する。彼女は発売前の試遊会で「ゲーム中で最も忙しいNPC」と呼ばれた。
敵[編集]
敵勢力は配下の「お座敷機械化部隊」である。代表的な敵として、掃除をしながら迫ってくる、簪を投げる、そして中ボスのがいる。特に三味線砲台は、音を外すと自壊するという珍しい仕様を持つ。
用語・世界観・設定[編集]
本作の世界では、花街の地形は「評判」によって隆起・沈降するとされ、人気の高い通りほど高台になる。これをと呼び、攻略本では半ページにわたり真顔で解説されている。
また、「道」は単なる街路ではなく、礼法・装束・弾幕の三要素が一致したときのみ現れる経路を指す。ゲーム内ではこれを「一人前の花道」と称し、道を極めた者は提灯の明かりの色を四段階で使い分けられるという。
このような設定は、京都市内の実在地名と微妙に重ねられている一方で、地図上ではが突然二本に分岐している箇所があり、地理考証の担当者が最後まで納得していなかったといわれる。
開発・制作[編集]
制作経緯[編集]
制作は1985年、大阪府の小規模オフィスで始まった。当初は和風の演出試験作であったが、企画会議で「花街でも弾を撃てば売れるのではないか」という極端な提案が通り、現在の形になった。石動一之助プロデューサーは、後年のインタビューで「当時の我々は、茶屋とシューティングの差を誰も説明できなかった」と述べている。
スタッフ[編集]
ディレクターの真柴かえでは、舞踊の所作をドット単位で監修した人物として知られる。デザイナーの御門鈴太郎は、帯の揺れを再現するために近隣の呉服店へ34回通ったという。音楽担当の三輪サエコは、三味線の収録時に深夜の奈良で録音を行い、後年「鹿の鳴き声が入ったが、そのまま採用した」と証言している[5]。
音楽[編集]
サウンドトラックは、雅楽風シンセサイザーと打楽器を組み合わせた独特の音作りで知られる。特に1面BGM「宵の五條橋」は、1周約2分40秒のループでありながら、拍子が7回ごとに一拍ずれるため、熟練者ほど焦る構造になっている。
発売後には単独盤『花魁道 夜半集』も発売され、全12曲のうち3曲が実際には効果音のロング版だったことが話題になった。業界誌では「されてもおかしくない完成度」と評されたが、実際には提灯の権利関係が複雑で実現しなかった。
他機種版・移植版[編集]
には版が発売され、画面解像度の向上と引き換えに帯の処理が省略された。さらに1992年の版では、対戦モードが強化され、2人同時プレイ時に片方の画面が必ずやや傾く仕様が追加された。
対応版は存在しないが、海外向けに『Super Geisha Road』という英題で非公式に流通したことがあり、これが逆輸入的に本作の知名度を押し上げたともいわれる。移植のたびに「花魁が高速化するのは文化的に正しいのか」という論争が起きた。
評価[編集]
売上[編集]
初動3週で約41万本を販売し、累計ではを突破したとされる。これは同時期の和風題材ソフトとしては異例であり、都鳥インタラクティブは「ミリオンセラーを記録」と発表した[6]。ただし、内訳の約7万本は茶屋組合への法人配布分である。
受賞・批評[編集]
相当の地域賞で特別奨励を受けたほか、風の模擬誌面ではゴールド殿堂入りと記載された。批評家からは「操作は難しいが、礼儀正しさの学習効果が高い」「敵よりも所作が怖い」と評価された一方、一般プレイヤーの間では3面の霧演出が見えすぎるとして不評もあった。
関連作品[編集]
続編として『スーパーマリオ花魁道 II 朱楼京無頼帳』が企画されたが、会議室の畳が足りず中止された。代わりに派生作『花魁道 かんざしリターンズ』と、落ちものパズル寄りの『お座敷マリオ牌』が発売されている。
また、メディアミックスとして小型ラジオドラマ『灯籠丸の午前二時』、そして実写版の舞台公演『朱楼京異聞』が上演された。後者では主演俳優が歩き方の練習で足首を痛めたため、以後の公演では下駄に車輪が仕込まれた。
関連商品[編集]
攻略本には『スーパーマリオ花魁道 完全礼法書』があり、全256ページ中84ページが「失敗しても気にしないこと」と書かれている。ほかに設定資料集『朱楼京絵巻』、音盤『花魁道 夜半集』、そしてなぜか香り付きしおりが封入された児童向け解説書『わかる!花街の弾幕』が刊行された。
一部書店では、攻略本購入特典として「紙製の黒蜜団子」が配布されたが、保存条件が厳しく、受け取って24時間以内に食べるよう注意書きが添えられていた。
脚注[編集]
参考文献[編集]
石動一之助『花街と弾幕のあいだ』都鳥出版、1988年。
真柴かえで『見返り歩きの設計学』千鳥坂書房、1991年。
三輪サエコ『朱楼京サウンドノート』鳳凰レコード出版部、1992年。
御門鈴太郎『帯はなぜ飛ぶのか』ゲームデザイン社、1990年。
北條まどか『風評地形学入門』東都学術、1993年。
Alan B. Mercer, "Oiran Shooters and the Geometry of Courtesy", Vol. 8, No. 2, Arcade Studies Quarterly, 1994, pp. 44-79.
M. Thornton, "The Tea House Cartridge Crisis", Vol. 12, No. 1, Journal of Imaginary Game History, 1996, pp. 11-36.
『全国茶屋町式ゲーム年鑑 1987-1995』日本遊興電子史料館、1997年。
『Super Mario Oirandō Official Fan Book』Dōtori Interactive Press, 1988.
井伏京子『ゲームと礼法の近代史』柳原文化研究所、1998年。
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
都鳥インタラクティブ 公式年表
千鳥坂デジタル研究所 アーカイブ
朱楼京観光協会 特設ページ
花街冒険シリーズ ファン保存会
架空ゲーム資料館『電脳絵巻』
脚注
- ^ 石動一之助『花街と弾幕のあいだ』都鳥出版、1988年。
- ^ 真柴かえで『見返り歩きの設計学』千鳥坂書房、1991年。
- ^ 三輪サエコ『朱楼京サウンドノート』鳳凰レコード出版部、1992年。
- ^ 御門鈴太郎『帯はなぜ飛ぶのか』ゲームデザイン社、1990年。
- ^ 北條まどか『風評地形学入門』東都学術、1993年。
- ^ Alan B. Mercer, "Oiran Shooters and the Geometry of Courtesy", Vol. 8, No. 2, Arcade Studies Quarterly, 1994, pp. 44-79.
- ^ M. Thornton, "The Tea House Cartridge Crisis", Vol. 12, No. 1, Journal of Imaginary Game History, 1996, pp. 11-36.
- ^ 『全国茶屋町式ゲーム年鑑 1987-1995』日本遊興電子史料館、1997年。
- ^ 『Super Mario Oirandō Official Fan Book』Dōtori Interactive Press, 1988.
- ^ 井伏京子『ゲームと礼法の近代史』柳原文化研究所、1998年。
外部リンク
- 都鳥インタラクティブ 公式年表
- 千鳥坂デジタル研究所 アーカイブ
- 朱楼京観光協会 特設ページ
- 花街冒険シリーズ ファン保存会
- 架空ゲーム資料館『電脳絵巻』