ズームアウト!!夜!
| 番組名 | ズームアウト!!夜! |
|---|---|
| 画像 | — |
| ジャンル | バラエティ番組(疑似検証・視聴者参加型) |
| 構成 | 司会進行+コーナー複数+生中継風VTR |
| 演出 | 逆光スタジオ演出(“夜”の再現) |
| 司会者 | 流星院(りゅうせいいん)ユイガ |
| 出演者 | 月詠ミナト、春霞トモヤ、笹舟リツ、ほか |
| 企画 | 夜間視聴率最適化プロジェクト |
| 制作/制作 | 株式会社ネオン夜間研究所(映像制作) |
| 制作局 | 蒼葉テレビ放送(番組制作部第3企画室) |
『ズームアウト!!夜!』(ずーむあうと よる)は、[[2012年]][[7月9日]]から[[2021年]][[3月27日]]まで[[蒼葉テレビ放送|S.A.Bテレビ]]系列の毎週[[月曜日]]23時40分〜24時10分([[JST]])に放送された[[バラエティ番組]]である。冠番組でもある同名企画を軸に、一般視聴者の“夜の証言”を疑似検証する構成で知られている[1]。
概要[編集]
『ズームアウト!!夜!』は、夜の出来事を“ズームアウト”という合図で一度俯瞰し、そこに現れるはずの「見落とし」を笑いながら探すことを目的とした[[バラエティ番組]]である。番組公式の説明では「夜は狭いまま記憶されるため、意図的に視野を広げて誤差を可視化する」とされる[1]。
番組の中心は、視聴者から寄せられる「夜の証言」を題材に、スタジオ内の疑似街並みセットへ“位置推定”を行う疑似検証コーナーである。開始当初は収録のみだったが、[[2016年]]のリニューアルで「生放送と同等の手触り」をうたう“遅延同期”が導入され、夜更けの視聴感を売りにした[2]。
一見すると単なるバラエティだが、後述するように“ズームアウト”は番組内で独自の技術用語として扱われており、視聴者参加型の投稿が、地域の観測活動と交差したことで社会的な波紋も生んだとされる[3]。
番組の成立とコンセプト[編集]
「夜間俯瞰」の考案経緯[編集]
番組コンセプトの発端は、[[蒼葉テレビ放送]]の番組制作部第3企画室に在籍していた架空の映像技術者・[[真方祐介]]が、社内実験で「深夜帯の苦情は、出来事の“見え方の誤差”から発生する」という仮説を立てたことに求められる[4]。彼は視聴者の証言を“出来事の距離”として扱い、編集で距離感を調整することでクレームが減ると報告したとされる。
この仮説を、[[ネオン夜間研究所]]が“夜の認知”研究として拡張し、[[2011年]]に行われた試験放送で、BGMの減衰率を変えるだけで視聴者の「自分の記憶がズレている」自己申告が増えるという結果が示された。ここで生まれた合図が「ズームアウト」であり、番組はそれを“合言葉”から“技術”へ格上げしたとされる[5]。
なお、当初のテストでは[[2012年]][[7月]]の単発特番タイトルが「夜の誤差を笑え」に近いものだったが、商標担当が「夜を笑いで切ると翌月のスポンサーが止まりやすい」と助言したため、現在の明るい断定形に落ち着いたとも語られている[6]。
スタジオセット「逆光街区」の設計[編集]
番組で繰り返し登場するセットは、逆光を強調した“逆光街区”である。照明は通常の順光ではなく、天井からの微弱な光を床面に反射させ、出演者の影を長くすることで“夜の時間の伸び”を演出する方式が採用されたとされる[2]。
街区セットは、実在の[[東京都]][[港区]]にある撮影協力施設を参考にしたとされるが、番組側は「学術的模倣ではなく“夜の匂い”の再現」であると説明している[7]。この説明は当時、映像倫理の観点から一部の批判を呼び、スタジオの床材サンプルが一般公開されないまま、メディア向け説明会だけで写真が配布されたという。
セットには“ズームアウト用の標識”が埋め込まれており、合図の瞬間にだけ視認性が切り替わる。番組内で「見落としは、光が少ないほど増える」という台詞が定番化した背景には、この仕掛けがあると考えられている[3]。
放送時間・ネット局・視聴者参加[編集]
『ズームアウト!!夜!』は[[蒼葉テレビ放送|S.A.Bテレビ]]で、毎週[[月曜日]]23時40分〜24時10分([[JST]])にレギュラー放送されていた。深夜番組でありながら、番組開始当初は再放送枠が確保され、翌[[火曜日]]の12時台に“昼のズームアウト”として再編集版が流された時期があったという[8]。
ネット局は、近隣の系列局だけに留まらず、[[長良放送]]や[[瀬戸川メディア]]のような準基幹局でも配信されていた。特に[[2018年]]からは動画配信に合わせて、投稿フォームの項目が「場所」「音」「光」「気温の体感(℃)」の4分類へ整理されたとされる。気温は厳密な計測ではなく自己申告でありながら、提出された数値は平均で“22.4℃相当”といった丸めが多かったと番組公式がまとめている[9]。
視聴者参加の仕組みは単純で、証言は“夜の観測点”として扱われた。証言が集まると番組側は、スタジオの街区に対応する距離を割り当て、出演者が「距離が近いのに近く感じない」「距離が遠いのに近い記憶が残る」といった矛盾を競った。ここで、視聴者が“ズームアウト”に合わせて投稿を作り直してくる現象が起き、参加型コンテンツとして定着したとされる[1]。
あらすじ(番組構造)[編集]
番組は毎回、冒頭で「今日の夜はどの方向にズレているか」を提示する。司会の[[流星院ユイガ]]が、街区セットの中心に立ち、テロップで「ズームアウト!!」と表示した後に“俯瞰フェーズ”へ移行する構成が取られる[2]。
俯瞰フェーズでは、投稿された証言がランダムに抽出され、出演者が“見落としの正体”を推理する。推理は科学っぽい言い回しで進められるが、実態としては笑いを優先した疑似ロジックであるとされる。とくに第1期の定番コーナー「逆光鑑定室」では、出演者が「仮想焦点距離 35mm相当」を口にしながら、街区内の特定地点を指差す。
さらに中盤には、疑似街灯の下で“再現VTR”が流される。証言の再現は、現実の地名を避けた画作りで統一される一方、出演者の一言だけが妙に具体的で、たとえば「この路地、[[横浜市]][[中区]]の帰り道みたいな音がする」といった形で連想が起きる。番組側は「現地の再現ではなく、“思い出の距離”の共有」であるとしている[3]。
出演者と制作スタッフ(抜粋)[編集]
司会は[[流星院ユイガ]]。夜のテンポに合わせて短く断定する話法が特徴で、収録後には「ズームアウトした後に言葉を戻さない」とスタッフノートに書かれていたともされる[4]。レギュラー出演は、間の取り方が評価された[[月詠ミナト]]、ツッコミ担当の[[春霞トモヤ]]、観測系の台詞を担当した[[笹舟リツ]]が中心であった。
制作面では、演出に[[城戸端人]]、企画に[[真嶋玲央]]、企画審査に[[山名ツバサ]]が関与したとされる。特に演出の[[城戸端人]]は逆光街区の照度を“毎回微調整する”ことを条件にしており、番組では照度ログが「夜の脚本」と呼ばれるほど重要視されていたという[2]。
一方で、番組中盤の疑似検証は、[[大学]]の研究者を名乗るゲストが呼ばれることがある。実際に検証を行ったのかは不明な場合もあり、ゲストの肩書きが一度だけ「臨床観測心理学(準会員)」と表記されたことがある。視聴者はそれを笑って受け入れたが、一部では出典の曖昧さを指摘する声もあったとされる[10]。
反響・評価と“ズームアウト”効果の波紋[編集]
番組は深夜ながら視聴率の数字が細かく公表されていたことで知られる。[[2014年]]秋の期間平均は、関東地区で2.8%前後、都市部に限れば3.1%まで上振れしたと番組資料に記されている[9]。また、同じ週に“夜の証言”投稿が通常の1.7倍に増えたことが、SNS集計の根拠として提示された。
ただし“ズームアウト”を合図に投稿が作り直される現象は、社会的には別の意味も持った。投稿者が「自分の見落としを説明するために、現場を想像で補う」ようになり、結果として“正しさ”より“物語性”が優先される傾向が強まったのではないか、という批判が一度だけ記事化されたとされる[3]。
さらに、[[2017年]]に放送された“夜の歩道橋企画”で、ある地域の自主観測団体とタイアップしたことが誤解を招いたとも言われる。自主観測団体の名は[[北星街観測会]]とされ、番組側は「観測は危険がない範囲で」と釘を刺したが、視聴者は「番組が街を監視している」という連想をしてしまった。これが、番組への好意的なコメントと同数の否定的コメントを生んだとされる[8]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 蒼葉テレビ放送番組制作部第3企画室『深夜番組における認知誤差の可視化:ズームアウト概念の設計思想』社内報告書, 2012.
- ^ 城戸端人『逆光街区の照度設計と笑いのタイミング』放送工学研究会誌, 2015.
- ^ 真嶋玲央『視聴者投稿を“距離”として扱う編集手法』『映像編集学論集』第12巻第2号, 2016, pp. 41-58.
- ^ 山名ツバサ『夜間バラエティにおける疑似検証の受容』『メディア社会学研究』Vol. 9 No. 1, 2017, pp. 101-126.
- ^ Kuroda Aki『The Zoom-Out Signal in Late-Night Audience Participation』Journal of Broadcast Play, Vol. 4, No. 3, 2018, pp. 77-92.
- ^ 流星院ユイガ『冠番組としての合図:ズームアウト!!夜!の言語設計』日本放送言語学会年報, 第23号, 2019, pp. 13-29.
- ^ 月詠ミナト『夜の比喩はなぜ刺さるのか:2.8%から3.1%への過程』『都市深夜文化レビュー』Vol. 2, 2020, pp. 201-219.
- ^ 笹舟リツ『観測心理と自己申告の丸め:22.4℃相当の統計的意味』『行動視聴研究』第6巻第4号, 2021, pp. 59-74.
- ^ 神田灯里『深夜番組倫理ガイドライン(第3版)』フィルム出版社, 2016.
- ^ Rosenfeld J.『Entertainment as Surveillance: A Misread of “Night Stories”』International Journal of Media Misconception, Vol. 11, Issue 1, 2019, pp. 5-18.
外部リンク
- ズームアウト!!夜! 公式アーカイブ
- 逆光街区 設計ログ(公開資料)
- 夜の証言データベース(抜粋)
- ネオン夜間研究所 研究紹介
- 蒼葉テレビ放送 番組制作部第3企画室