『タコ利敵』
| タイトル | 『タコ利敵』 |
|---|---|
| 画像 | (架空)タコ利敵フィールド画面 |
| 画像サイズ | 320x240 |
| caption | 潮位計と索敵レーダーが同時に点滅するUIが特徴とされた。 |
| ジャンル | アクションRPG(潮汐索敵型) |
| 対応機種 | MSX2 / PC-9801互換 / 後年の携帯端末(非公式移植含む) |
| 開発元 | 海底戦略開発社 |
| 発売元 | 潮騒メディア(販売提携) |
| プロデューサー | 渡辺精一郎 |
| 音楽 | 鯨波(くじらなみ)サウンド研究所 |
| シリーズ | タコ利敵シリーズ |
| 発売日 | 1987年9月13日 |
| 対象年齢 | 12歳以上(当時の自主基準) |
| 売上本数 | 全世界累計123.4万本(当時換算) |
| その他 | 通称TKT。潮汐に連動した敵AI挙動が話題となった。 |
『タコ利敵』(英: Takoriteki、略称: TKT)は、[[1987年]][[9月13日]]に[[日本]]の[[海底戦略開発社]]から発売された[[MSX2]]用[[コンピュータRPG]]。[[タコ利敵シリーズ]]の第1作目であり、同作に登場する「利敵タコ」の総称としても用いられる[1]。
概要[編集]
『タコ利敵』は、潮汐の時間帯に応じて敵の「利敵スイッチ」が入るとされる、潮汐索敵型の[[コンピュータRPG]]である[1]。プレイヤーは潜水艇「マナ藻号」の艦長として操作し、海底遺構から奪取した「利敵符」を解析していくとされる。
本作の成立経緯には、当時の業界で「海象ログからAIを作る」と話題になっていた試作研究が関わったとされる[2]。ただし同社の社史では、利敵という語は敵味方の概念ではなく、索敵装置の誤差(利・敵の誤認)をめぐる工学用語の誤読だったと説明されており、用語の揺れが作品タイトルへ逆輸入された形になったとされる[3]。なおこの“誤読”が、のちの[[メディアミックス]]にも波及したとされる。
ゲーム内容[編集]
ゲームシステム(潮汐索敵と利敵符)[編集]
ゲームシステムの特徴として、戦闘開始の判定に「潮位」ではなく「潮位の差分(ΔH)」が用いられる点が挙げられる[4]。プレイヤーはフィールド上で索敵リングを展開し、敵の装甲表面に走る微振動を読み取ることで、通常敵/利敵タコ/通信破壊型クラゲのいずれかに分類される。
なお、利敵タコは“敵なのに味方側の通信ログを先に流してくる”存在として描かれる。ゲーム内では、利敵符を3枚以上同時装備すると「敵HPが減る代わりにプレイヤーの次ターン行動時間が縮む」ペナルティが発生すると説明され、調整の意図が後に「勝っているのに時間が足りないRPG」という言い回しで定着した[5]。この設定は、解析班がMSX2のRAM制約を誤魔化すために、内部計算を“時間”として見せる必要があったためとも指摘される[要出典]。
戦闘・アイテム・パズル要素[編集]
戦闘はターン制とされるが、実際には「潮汐タイムスライス」という疑似リアルタイムが混入しているとされる。具体的には、敵の行動は最大で0.78秒刻みで前倒しされ、プレイヤーの行動入力が0.2秒以上遅れると、同じ技でも“別効果”になる仕様が採用されたとされる[6]。
アイテム面では、落ちものパズル型の「符札調律」が搭載された。符札調律は、画面下から降ってくる「塩粒メモリ」を特定の行に揃えると、既に解析した利敵符が“書き換わる”仕組みになっている。利敵符は一度は取得したら固定のように見えるが、調律を行うと“前回の自分が嘘をついていた”ように効力が変わる演出があり、当時のプレイヤー間では「嘘の上書きゲーム」と呼ばれた[7]。
対戦モードとオフライン挙動[編集]
対戦モードは当初“対人戦”として企画されていたが、メモリ転送の都合でオフライン擬似対戦に変更されたとされる[8]。プレイヤーは自分の潮汐パターンを「擬似台本(台本ID=潮位×敵分類)」として保存し、相手にはその台本が敵AIの挙動として再生される仕組みである。
このため、友人同士でデータ交換をして遊ぶ文化が生まれ、交換された台本IDが「海賊レシピ」として流通したとされる。なお、台本IDが一致しない場合は通信破壊型クラゲが極端に出現しやすくなる“嫌がらせ補正”が入っていたとする証言もある[要出典]。
ストーリー[編集]
物語は、[[神奈川県]][[横須賀市]]沖の廃潜水試験海域「潮折(しおおり)溝」から始まる。主人公(艦長)は、海軍系の研究施設跡から回収されたログ「利敵指数表」を解析する使命を負う[9]。
当初、利敵指数表は“敵の行動を見抜く鍵”として理解される。しかし章が進むにつれ、利敵という言葉は「敵味方の利害が一致した時にだけ有効になる記号」へと再解釈され、味方側の通信にも“利敵タコ”の痕跡が混ざっていることが判明する。終盤では、プレイヤーが集めた利敵符が、実は潮汐測定を誤魔化すための自己改ざんプログラムだったと示唆される。
エンディングでは、ΔHが一定を超えた夜にのみ、主人公の艦が“自分自身にだけ反応する索敵”へ切り替わる演出が用意される。これにより、ラスボスは倒すというより「味方だったはずの記録が敵へ転調する瞬間」を待つことになるとされる[10]。
登場キャラクター[編集]
主人公は艦長の「渡り符(わたりふだ)・シン」、通称シンとされる。シンは会話のテンポが速く、潮汐に合わせて口調が変わる描写があり、発売当時の攻略本は「台詞の末尾が濁るほど危険」と冗談めかして解説したとされる[11]。
仲間には、通信解析官の[[安藤マリア]]、機関担当の「鳴門(なると)カシ」、そして“利敵タコの声”を拾う採音員「ユリウス礁(じょう)」が登場する。特に安藤マリアは、作中で一度だけ“主人公の行動が遅れている”と断言し、その直後の戦闘で0.2秒遅延ペナルティが発生するため、プレイヤーの間では「本人がバグを呼び込むタイプのキャラ」と噂された[12]。
敵としては、通信破壊型クラゲ「パルス・クラゲ」、装甲貝「誤差貝」、そして利敵タコの上位種「利敵総督タコ」が挙げられる。利敵総督タコは、戦闘中に画面外からログを読み上げ、勝利条件を“撃破”から“読み違いをやめる”へ変える演出が特徴とされる。
用語・世界観/設定[編集]
本作の中核となる用語が「利敵符」である。利敵符は、海底遺構から出土する紙片状の記録媒体であり、読み取った瞬間に戦闘AIの“罪悪感”を計算するとされる[13]。この説明は科学用語のように見えるが、実際には当時の開発メンバーが冗談で書いたメモが採用されたという証言もある。
また、敵味方を分けるものとして「通信の癖」が語られる。通信の癖が一致する対象は味方側に誤認され、利敵タコの行動パターンが変化するとされる。ここから「潮折の人々は、最初から味方を信じていなかった」という解釈が生まれ、ファンの間では“利敵は倫理”というスローガンが流行した。
なお、世界観の地名として[[千葉県]][[館山市]]の旧測候所「白濁(しらにごり)観測舎」が登場する。観測舎は作中で、潮汐のΔHを“24分間平均”で記録していたとされるが、開発資料ではその平均窓が“42秒で動く内部時計の都合”だったとも言及されている[要出典]。
開発/制作[編集]
制作経緯(誤読からタイトルへ)[編集]
制作は海底戦略開発社の小規模チームによって行われたとされる。同社は当初、海象ログを解析する教育用プログラムの開発に関わっていたが、1987年の初頭に「ゲームとして動かした方が売れる」という方針転換がなされた[14]。
プロデューサーの[[渡辺精一郎]]は、社内で「利敵指数」の語が工学ノートに出てきた際、別部署の新人がそれを“敵味方を利する敵”と誤読したことがきっかけで名称が固定されたと語ったとされる[15]。この逸話はのちにインタビュー集で“30秒のうっかり”として整理され、ファンは「タコ利敵はミスから生まれた」と言うようになった。
スタッフ(実装が先、物語が後)[編集]
ディレクターは「北川ロア」、デザインは「駒津(こまつ)ユリ」、プログラムは「伊佐坂(いさかさ)ミナト」が担当したとされる[16]。音楽は鯨波サウンド研究所が手がけ、潮汐のΔHを音階に変換する手法が採用されたとされる。
ただし当時の制作状況は混乱しており、ゲームの一部で“プレイヤー入力遅延”がタイムスライスに反映される仕様は、フレーム管理のバグを面白い挙動として包んだ結果とも推定されている[17]。また、利敵符の並び替え演出は、当初別ゲーム用のUI部品を流用したものであるとする記事もあり、同業者の編集者は「移植というより再誕生」と評したとされる。
音楽(サウンドトラック)[編集]
サウンドトラック『潮折譜(しおおりふ)—TKT Original—』は1987年10月28日に発売されたとされる[18]。全16曲で、平均再生時間は1曲あたり2分41秒と記載されている。
代表曲には「ΔH前夜」「利敵タコの咳払い」「白濁観測舎の沈黙」などがある。特に「利敵タコの咳払い」は、作中の利敵タコ登場時にBGMが一瞬途切れ、その後に高音だけが残る設計になっている。ファンはこれを“プレイヤーの心拍を騙すため”と解釈しているが、実際には当時の音源割り当てが過密で、割り込みが起きた痕跡だったという指摘もある[要出典]。
評価(売上)[編集]
発売当初はMSX2向けRPGとして中堅の評価を受けたが、潮汐索敵という癖のある仕様が注目され、短期間で普及したとされる。全世界累計123.4万本を突破したとされ、内訳は日本国内が約78.1万本、欧州が約21.6万本、北米が約23.7万本と記録されている[19]。
また、[[ファミ通]]のクロスレビューでは「ゴールド殿堂入りソフト」として扱われ、戦闘テンポの説明文が難解すぎることが逆に話題になったとされる[20]。ただし後年の再評価では、説明不足が原因で“利敵符の効果がランダムと誤解された”ケースが多く、攻略情報の整備が評価に追いついたとも指摘されている[21]。
関連作品[編集]
続編としては『タコ利敵II 潮折の誓約』が1989年に発売されたとされる。第二作では協力プレイが導入されたと説明されるが、実際には同一カートリッジを二人で同時操作する“現場用”設計であり、当時の喧騒がそのままゲーム体験になったと語られている[22]。
メディアミックスとしてはテレビアニメ『利敵タコ通信〜誤読から始まる海〜』が1992年に放送された。アニメ版は原作よりも倫理観を強めた構成になっており、「利敵は敵ではない」という主題歌(架空の楽曲)が話題となったとされる[23]。さらに、攻略本『ΔHの歩き方(上・下)』と、海象用語集を模した書籍『利敵指数表の解剖』が同時期に刊行され、読者層がゲーム外へ広がったとされる。
関連商品(攻略本/書籍/その他の書籍)[編集]
攻略本『潮折マニュアル—TKT完全符解—』は、符札調律の手順を図解したことで人気を得た。巻末には“誤差貝に勝つための睡眠手順”という謎ページがあり、編集部は「プレイヤーの生活リズムを整えるためのジョーク」と説明したとされる[24]。
また、書籍『利敵タコの発声学』は、作中音声をスペクトログラム風に再現した付録が特徴である。付録の表はA4で9ページ、印刷色は3色分解とされ、細部まで作り込まれたとされる[25]。一方で、推奨音量が小さすぎて“読めない”と嘆く読者もおり、のちに改訂版で改善されたとする証言がある[要出典]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 渡辺精一郎「『タコ利敵』開発日誌—誤読から設計へ—」『海の計算機時報』第12巻第3号, 海底戦略開発社, 1988, pp. 41-67.
- ^ 北川ロア「潮折のRPGにおける疑似リアルタイム処理」『日本ゲーム計算論集』Vol. 4 No. 1, 情潮学会, 1989, pp. 15-29.
- ^ 駒津ユリ「符札調律UIの作法と限界」『インタラクティブ・インクワイヤリー』第2巻第9号, 企画書出版社, 1990, pp. 88-96.
- ^ 安藤マリア「通信の癖は感情を持つか—利敵タコの会話解析—」『海底言語学通信』Vol. 7, 海辺文庫, 1991, pp. 103-131.
- ^ 鯨波サウンド研究所「潮汐を音階に写す手法(TKT版)」『音響記録学会誌』第19巻第2号, 音響書院, 1987, pp. 55-72.
- ^ ファミ通編集部「クロスレビュー再録:タコ利敵」『ファミ通クロスレビュー選集』増補版, エンタメ出版, 1995, pp. 210-223.
- ^ J. R. Haldane「Enemy-Alliance Misclassification in Retro RPGs」『Journal of Playful Systems』Vol. 11 No. 4, 1992, pp. 77-102.
- ^ M. Thornton「Tide-Driven Decision Trees and the TKT Paradox」『Computational Folklore』第5巻第1号, Northshore Academic Press, 1993, pp. 201-219.
- ^ 海底戦略開発社編『社史:潮折の十三年』潮騒メディア, 1999, pp. 302-349(※一部の数値は要確認とされる).
外部リンク
- Takoriteki公式ログアーカイブ
- 潮折譜コレクションセンター
- TKT符札調律オンラインファイル
- 利敵タコ通信(ファン議事録)
- DeltaH研究会(非公式)