TFT
| タイトル | TFT |
|---|---|
| 画像 | TFT box art.jpg |
| 画像サイズ | 280px |
| caption | 北米版パッケージに描かれた三角形の迷彩艦 |
| ジャンル | アクションシューティングゲーム |
| 対応機種 | ドリームラインSS、セレスティアル64、LS-2 |
| 開発元 | 株式会社トライアングル・フォージ |
| 発売元 | 株式会社トライアングル・フォージ |
| プロデューサー | 望月 恒一 |
| ディレクター | 矢代 由紀夫 |
| デザイナー | 西園寺 つばめ |
| プログラマー | 黒田 兼人 |
| 音楽 | 神谷 レイ |
| シリーズ | TFTシリーズ |
| 発売日 | 1997年11月21日 |
| 対象年齢 | CERO相当15歳以上 |
| 売上本数 | 全世界累計184万本 |
| その他 | キャッチコピーは「撃つたび、図面が変わる。」 |
『TFT』(ティーエフティー、英: Tactical Fragment Theatre、略称: TFT)は、にのから発売された用。後に同作を起点とするシリーズの第1作目とされる[1]。
概要[編集]
『TFT』は、と呼ばれる独自の照準機構を採用したである。プレイヤーは〈フラグメント整備士〉として、崩壊しつつある人工軌道都市を舞台としている戦域を修復しながら敵勢力と戦う。
本作は、発売当時にとの要素を同時に備えた珍しい作品として注目され、のちにという略称そのものがジャンル名のように扱われることもあった。なお、社内資料では「TFT」は当初の略とされていたが、後年のインタビューで企画書の余白に書かれた「Tactical Fragment Theatre」の書き殴りが正式名称として採用されたとされる[2]。
ゲーム内容[編集]
システム[編集]
ゲームシステムの特徴として、敵弾を避けるだけでなく、戦場に落下する破片を回収して即席の足場や射線を再構成する必要がある。プレイヤーは最大で27枚の戦術タイルを保持でき、うち3枚を同時に展開することで局地的な地形改変が可能である。
また、画面左上には「破片温度」と呼ばれる独自パラメータが存在し、これが92%を超えると自機の旋回が鈍化する。この仕様は後に不親切さの象徴として語られたが、開発チームは「戦場は冷えていない」という思想によるものだと説明している。
戦闘[編集]
戦闘はの形式を採るが、通常弾・貫通弾・反響弾の三系統に加え、敵の装甲を“分解”するための解析弾が存在する。解析弾を命中させると、一定確率で敵機の外装が割れ、内部に隠れた弱点が露出する仕組みである。
この要素は「撃つ順番で敵の意味が変わる」と評され、当時のゲーム雑誌では「戦闘というより図面引き」と形容された。なお、隠し難度の〈第4断面〉では、ボスが自ら弾幕の配置を学習するため、理論上は無限に強化されるとされている[3]。
アイテム[編集]
アイテムは、回復用の〈鉛の菓子〉、一時的に速度を上げる〈薄い磁石〉、そして得点計算を歪める〈空白のチケット〉など、極めて奇妙な名称で統一されている。とくに〈空白のチケット〉は、使用時にBGMが2拍遅れ、敵の出現位置が5秒だけ逆転するため、上級者からは事実上の実験装置として扱われた。
一方で、通常プレイではほとんど役に立たない〈水銀の鍵〉が最終面の真エンディング条件に関わるため、発売から8年後にようやく存在が周知されたという逸話がある。
対戦モード[編集]
対戦モードでは、2人が同一画面で戦うに見せかけた非対称ルールが採用されている。片方は自機を操作し、もう片方はステージそのものの傾きと風向きを担当するため、初心者同士の対戦はほぼ事故で終わる。
発売後の追加版ではも実装され、通信遅延を逆手に取った〈遅延反射弾〉が対戦メタの中心になった。ただし、国内大会では平均1試合あたり14回の回線再接続が発生したため、公式ルールでは「3回以上の再接続は演出として扱う」と定められた。
オフラインモード[編集]
オフラインモードは、全54面のキャンペーンと、各面を分解再生できる〈研究室モード〉から構成される。研究室モードでは、プレイヤーが任意の敵弾に座標を書き込み、戦場の設計図を保存できることから、当時の攻略本編集部では「半分はゲーム、半分は製図板」と記された。
また、隠し要素として、一定時間放置すると自機のAIが勝手に整列行動を始める。これにより、単純な放置プレイでも画面が妙に美しくなるため、写真撮影目的で遊ぶユーザーが少なくなかった。
ストーリー[編集]
物語は、軌道都市で起きた〈三度目の断線事故〉から始まる。都市の重力制御網が破損し、住民の記憶が細片化したことで、地上に残された修復班は「街の形を先に思い出さなければ、街そのものが戻らない」という異常事態に直面する。
主人公は、修復用装置〈TFTフレーム〉を背負う若年技師である。彼/彼女は、崩壊した区画を巡りながら、かつて都市の安全保障を担っていた《白色評議会》の真意を探ることになる。
終盤では、都市の中枢AI〈セブン・スパイン〉が「人類は地図を欲しがるが、地図は常に人類より先に老いる」と宣言し、自ら都市区画を再編し始める。最終決戦は、空中に浮かぶ七枚の区画を射撃でつなぎ直す形式で進行し、エンディングでは修復されたはずの都市名が一文字だけ増えていることが示唆される。
登場キャラクター[編集]
主人公[編集]
は本作の主人公であり、テルマ・フォール修復局の臨時技師である。寡黙であるが、装備品の整備記録には妙に長い詩が残されており、開発初期案では「銃より先にノートを撃つ人物」と定義されていた。
プレイヤーの選択により、ミナトは戦闘中に「修復優先」か「殲滅優先」かを切り替えられるが、どちらを選んでも最終的には都市から叱責されるという構造になっている。
仲間[編集]
仲間キャラクターとしては、通信士、爆砕工、記録保全官が登場する。リリィは受信した敵通信を鼻歌に変換する特技を持ち、ガルドは1回の会話につき必ず3つの爆薬名を挟む癖がある。
佐伯は、日本語版のみに登場する補助役であり、デバッグ用の台詞を誤って本編に入れた結果、「本当に存在しない駅の名前」を延々と案内することで有名になった。
敵[編集]
敵勢力は《断面局》と呼ばれ、都市の破損を「管理された危機」として維持しようとする官僚的集団である。隊員は全員、肩章に角度記号を付けており、上位幹部ほど会話が長くなる。
特に終盤ボスのは、プレイヤーの直近20分間の失敗回数を読み上げながら攻撃してくるため、発売当時のプレイヤーから強い精神攻撃として問題視された。なお、公式攻略本では彼を「会社の会議室に住んでいるタイプの悪役」と要約している。
用語・世界観[編集]
本作の世界観は、都市が建造物ではなく「保守される記憶」として扱われる点に特徴がある。建物は定期的に再定義されなければ崩壊するとされ、住民は毎朝、玄関で昨日の住所を再確認する習慣を持つ。
〈フラグメント〉は、物質・記憶・座標の三要素が分離した状態を指す語であり、開発側はこれを「情報工学的な幽霊」と説明していた。とくにテルマ・フォールの北区画では、路線図の一部が先に消え、その後で駅が消える現象が記録されている。
また、ゲーム内通貨の〈リベット〉は1枚ごとに重量が異なり、最大級のものは2.7kgあったとされる。これは経済より物流を重視した結果だが、結果として市場の屋台がどれも床を補強する必要に迫られた。
開発[編集]
制作経緯[編集]
制作は、の倉庫を改装した開発室で始まったとされる。当初はの試作として企画されたが、試作機が偶然敵弾の反射計算をうまく処理したことから、シューティングへと転化した。
社内では、企画書が毎週のように三角形の押印で差し戻されたため、関係者の間で「三角会議」と呼ばれていた。なお、プロトタイプの保存媒体は28枚の磁気板に分散されており、1枚でも欠けると最終面の背景が逆さまになる仕様だった。
スタッフ[編集]
プロデューサーの望月 恒一は、前職で港湾機器の設計に携わっていた人物で、敵弾の並びを「荷役の流れ」として捉えたことで戦闘設計を成立させたとされる。ディレクターの矢代 由紀夫は、1フレーム単位の演出に異常な執着を見せ、タイトル画面のロゴが8フレームだけ震えるよう指示した。
音楽担当の神谷 レイは、録音した金属音を13回重ねて主旋律を作る手法で知られ、開発終盤には録音機材の方が先に疲弊したという。公式には少人数体制とされるが、外部協力を含めると最大19人が関わったと推定されている[4]。
音楽[編集]
サウンドトラックは、電子音と打撃音を基調としたらしい構成である一方、各ステージで異なる拍子を用いる実験的な作風でも知られている。とくに第12面の〈反転回廊〉では、BGMが7拍子と9拍子の間を揺れ続け、プレイヤーの歩調までずらす効果があった。
主題曲「Triangular Wake」は、発売前の展示会でわずか40秒だけ流されたにもかかわらず、来場者アンケートで「都市が泣いているようだ」と評された。後年、の審査会で音響面が高く評価されたという逸話もあるが、受賞記録には残っていないため、半ば都市伝説化している。
なお、限定版付属の〈再生テープ〉は、裏面を再生すると開発者の昼食の会話が入っていることで一部収集家の間で珍重された。
移植版[編集]
『TFT』は、その後に版が発売され、ポリゴン数が増えた代わりに破片の個数が減少するという奇妙な調整が行われた。さらにには携帯機向けに移植され、通信機能を用いた簡易が追加された。
の海外版では、言語表記の都合から一部の用語が大きく変更され、「フラグメント」が「Shards of Bureaucracy」と訳された。これにより、作品の印象が「戦う行政書類」に近づいたとする指摘がある。
一方で、相当の再配信サービスでは、オリジナル版の高難度をそのまま再現したため、クリア率が0.8%前後に留まったとされる。
評価[編集]
発売当初の評価は概ね好評で、国内初週売上は約8万4000本、全世界累計では184万本を突破したとされる。特に、独創的な戦場構成と「何をしているのか分からないのに面白い」という手触りが評価され、した中堅作として扱われた。
一方で、難易度の高さから一部媒体では「説明書を読む前提のゲーム」と評され、発売2か月後には問い合わせ窓口に「敵が強いのではなく都市が意地悪なのではないか」という苦情が3,200件寄せられたという。開発側はこれを受け、次回出荷分の取扱説明書に32ページ分の補遺を追加した。
また、ファンの間では、売上本数のうち少なくとも2万本は「タイトルの略称がかっこいいから買った層」だと推定されている。
関連作品[編集]
続編には『TFT II: Second Grid』、『TFT: Blue Recoil』、『TFT Δ/0』がある。とくに『TFT II: Second Grid』はシリーズの第2作目にあたり、協力プレイを強化したことで家庭内離婚を防ぐどころか、むしろ増やしたとされる。
また、外伝として『TFT: Archive Pressure』が配信され、戦闘よりもログ閲覧に重点を置いた構成が話題となった。これによりシリーズは化し、後年には舞台化企画『TFT - The Last Corridor -』まで進んだが、舞台装置が重すぎて初日公演の床がわずかに沈んだという。
さらに、廉価版『TFT Lite: 27秒の都市』は、シリーズの入門編として発売されたが、実際には難易度がほぼ据え置きであったため、入門者よりも既存ファンの罵倒を集めた。
関連商品[編集]
攻略本『TFT 完全分解マニュアル』は、ゲーム画面のスクリーンショットよりも地形図の比率が高く、実質的に製図本としても利用された。付録CDには、未使用ボイスと、開発室の冷蔵庫に貼られていた注意書きが収録されていた。
書籍『テルマ・フォール事件簿』は、世界観の背景を補完するノベライズであり、作中の都市法規を逐条解説する異色の内容で知られる。なお、児童向けに刊行された『ぼくらのTFT入門』は、なぜか敵弾の避け方ではなく「会議の議事進行」が詳述されている。
その他、限定版には三角形のメモスタンド、透明な座標定規、そして使い道の分からない〈第4断面シール〉が同梱された。
脚注[編集]
注釈
[1] ただし、当初のチラシでは発売年がと誤植されていた。 [2] 社内広報誌『月刊トライアングル・ノート』第11号に掲載された座談会による。 [3] ただし、この仕様は後年の検証会で再現に失敗しており、実在しない可能性がある。 [4] 関係者の証言が一致しないため、人数には幅がある。
出典
※ いずれも架空の資料である。
参考文献[編集]
・望月 恒一『TFT設計思想の断面』トライアングル出版、1998年。 ・矢代 由紀夫『撃つたび、図面が変わる。――TFTと90年代後半の戦術表現』電算芸術社、2001年。 ・神谷 レイ『金属音の作法』セレス文庫、2003年。 ・佐伯 朔『都市はなぜ記憶を失うのか』白色評議会資料室、2002年。 ・Margaret J. Holloway, "Spatial Fragments and Bureaucratic Enemies", Journal of Fictional Game Studies, Vol. 12, No. 3, pp. 44-71, 2005. ・Ken Ito, "A Study of Triangular Input Latency in TFT", Proceedings of the 14th Annual Digital Arcade Symposium, pp. 109-118, 2004. ・『ドリームラインSS公式年鑑 1997-1998』東雲メディア、1998年。 ・『ゲームと行政のあいだ――TFT論集』北街社、2006年。 ・加賀見 一葉『三角の都市、四角い制度』港湾新書、2007年。 ・Helen V. Ward, "Why Shards Matter More Than Bullets", Interactive Fiction Review, Vol. 8, No. 1, pp. 5-19, 2002.
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
TFT公式アーカイブ
トライアングル・フォージ資料館
テルマ・フォール市民保全委員会
架空ゲーム年鑑オンライン
TFTファン保存会
脚注
- ^ 望月 恒一『TFT設計思想の断面』トライアングル出版、1998年.
- ^ 矢代 由紀夫『撃つたび、図面が変わる。――TFTと90年代後半の戦術表現』電算芸術社、2001年.
- ^ 神谷 レイ『金属音の作法』セレス文庫、2003年.
- ^ 佐伯 朔『都市はなぜ記憶を失うのか』白色評議会資料室、2002年.
- ^ Margaret J. Holloway, "Spatial Fragments and Bureaucratic Enemies", Journal of Fictional Game Studies, Vol. 12, No. 3, pp. 44-71, 2005.
- ^ Ken Ito, "A Study of Triangular Input Latency in TFT", Proceedings of the 14th Annual Digital Arcade Symposium, pp. 109-118, 2004.
- ^ 『ドリームラインSS公式年鑑 1997-1998』東雲メディア、1998年.
- ^ 『ゲームと行政のあいだ――TFT論集』北街社、2006年.
- ^ 加賀見 一葉『三角の都市、四角い制度』港湾新書、2007年.
- ^ Helen V. Ward, "Why Shards Matter More Than Bullets", Interactive Fiction Review, Vol. 8, No. 1, pp. 5-19, 2002.
外部リンク
- TFT公式アーカイブ
- トライアングル・フォージ資料室
- テルマ・フォール保全局
- 架空ゲーム博物館デジタル展示
- TFTコミュニティ年表