デビルマンタ
| タイトル | デビルマンタ |
|---|---|
| 画像 | Devilmanta_package.jpg |
| 画像サイズ | 240px |
| caption | 北海版パッケージ |
| ジャンル | コンピュータRPG、育成アドベンチャー |
| 対応機種 | ネプチューン64、ドリームパーム |
| 開発元 | レッドリフト・インダストリーズ |
| 発売元 | 雷鳴ソフトウェア |
| プロデューサー | 神谷源一郎 |
| ディレクター | 高瀬みどり |
| デザイナー | 西園寺信也 |
| プログラマー | 北条隆史 |
| 音楽 | LUNA K. Aoba |
| シリーズ | マンタ・クロニクル |
| 発売日 | 1997年11月21日 |
| 対象年齢 | CERO相当未設定 |
| 売上本数 | 全世界累計184万本 |
| その他 | 限定版に海洋温度計カード同梱 |
『』(でびるまんた、英: 、略称: DM)は、にのから発売された用。の第3作目であり、通称は「海底の悪魔育成記」とされる[1]。
概要[編集]
『』は、に沈んだ都市国家を舞台としているである。プレイヤーは、悪魔と誤認された巨大エイ「マンタ」を育成し、海底交易路をめぐる七つの封印を解く役目を負う。
本作は、要素を取り入れた戦闘と、潮流の読み合いで進行する探索が特徴として知られている。また、発売当時は「でもでもない、海流管理型RPG」と宣伝され、ゲーム雑誌の見出しにしばしば困惑を残した[2]。
ゲーム内容[編集]
システム[編集]
ゲームシステムの特徴として、海流の向きが毎ターン変化し、移動のたびに酸素残量と「罪深さ」が同時に増減する。罪深さが一定値を超えると、マンタは一時的に「堕天形態」に変化し、通常より高速で泳ぐ一方、会話イベントで選択肢がすべて逆転する。
フィールドにはでできた監視塔、沈没した風の倉庫群、の地下水脈を模したルートが存在し、プレイヤーはそれらを行き来しながらアイテムを集める。なお、海中なのに自転車が最も速い移動手段である点は、当時から要出典とされている。
戦闘[編集]
戦闘は6×8の格子状フィールドで行われ、敵味方双方の攻撃が落ちものパズルのように上から降ってくる独自形式である。一定以上の連鎖を成立させると、マンタの尾びれが発光し、画面全体に「審判波」が走って敵の防御を一掃する。
ボス戦では、に近い形式で海洋生物学者が操る機械帆船と一騎打ちになる。とくに第4章の「深海監査官ルーク・セス」は、編成前にプレイヤーのメモリーカードを読む演出があり、発売後に多くの書店員を不安にさせたと伝えられる。
アイテム[編集]
アイテムは「塩」「祈祷灯」「逆潮の鏡」「防水仕様の履歴書」など、用途が判別しづらいものが多い。中でも「マンタのえさ」は、実際にはの水族館でしか補給できない設定で、攻略本が発売されるまで多くのプレイヤーが序盤で詰まった。
また、隠しアイテム「デビル珊瑚礁」は、入手するとBGMが一時的に演歌調へ変化し、敵の行動がすべて1拍遅れる。この仕様は、開発末期に音楽班が“海の悪魔には間が必要である”と主張したことに由来するとされる。
対戦モード[編集]
本作には最大4人まで参加できる兼が存在し、これを公式は「共食いに似た共同作業」と説明していた。プレイヤーは同一の潮流盤上でマンタを操作し、相手を深度300m以下に沈めた側が勝利となる。
なお、オンライン対応は後年の移植版で追加されたが、通信相手の操作音がすべて鯨の鳴き声として送信されるため、夜間のプレイには向かないと評された。
オフラインモード[編集]
オフラインモードでは、AIが自動生成した「海底の夢日記」を読み進めることで、通常のストーリーモードとは異なる分岐が解放される。ここでは戦闘よりも会話が重視され、NPCの半数が眠ったまま会話するという珍しい演出が採用されている。
シリーズ一作目にあたる『』では存在しなかった要素であり、ファンの間では“実質的な化”として議論を呼んだ。
ストーリー[編集]
物語は、海底で発見された未完の祭祀都市から始まる。主人公の少年トウマは、暴走した遺伝調整によって翼を失ったマンタを保護し、やがてそれが「悪魔王の器」であることを知る。
中盤では、社内の資料にも記されたとされる「第八の潮門」をめぐり、沖から南端までを巡る大航海が描かれる。最終盤で明かされる真相は、デビルマンタとは悪魔そのものではなく、海洋保全のために封印された古代の測深装置であったというものである[3]。
登場キャラクター[編集]
主人公[編集]
トウマ・アサギは、17歳の潮流研究助手であり、プレイヤーが操作する人物である。穏やかな性格だが、潮位が下がると攻撃力が上がるという設定があり、説明書では「干潟の怒りを継ぐ者」と書かれていた。
相棒のデビルマンタは、鳴き声が3種類しかないにもかかわらず、感情表現が極めて豊かであるとされる。実際には、開発当初は普通のエイだったが、会議で“もっと悪魔っぽく”と書かれた付箋が42枚貼られた結果、現在の姿になったという。
仲間[編集]
仲間には、潮流学者の、潜水服職人の、自称・海底聖職者のが登場する。いずれも説明書のキャラクター紹介欄では魅力的だが、ゲーム中では全員が同じ食堂で同じ定食を注文するだけのイベントがやけに長い。
特に高宮ユリは、ある条件を満たすとマンタにメガネを掛けさせるスキルを持つ。これにより知力が上がるというが、効果検証をした攻略班の8割は「気分の問題」と結論づけた。
敵[編集]
敵勢力は、海底行政局の外郭組織「」と、その私兵である潜航騎士団から成る。彼らは海洋法の乱用を理由にマンタを追跡するが、実際には封印施設の電気代を払いたくないだけであるともされる。
終盤の敵将は、書類仕事に敗れて海底で権力を握った男として描かれ、プレイヤーからは「ラスボスなのに経理の顔」と呼ばれた。
用語・世界観[編集]
本作の世界観は、を中心とする三層構造の海底文明である。上層は交易都市、中層は学術区画、下層は「沈黙区」と呼ばれ、音が届かない代わりに古い新聞の号外が漂っている。
また、作中の「」は、魔法でも科学でもなく、海水の塩分濃度が作る行政文書の略称であると説明される。これを読んだ海外レビューの一部は、ゲームではなく自治体資料の類であると誤解したとされる。
開発[編集]
制作経緯[編集]
制作は、の旧灯台を改装した開発室で始まった。プロデューサーの神谷源一郎が“海の生き物を育てると、なぜか会社の空気が澄む”と発言したことが発端で、そこから数週間で企画書が78枚に増えたという。
当初は教育用ソフトとして申請されていたが、途中で敵の一部が「財務省の深海査察に似ている」と指摘されたため、ジャンルがRPGに変更された。なお、企画段階の仮題は『マンタ課長の退職願』であったとする証言がある。
スタッフ[編集]
ディレクターの高瀬みどりは、海洋色のUI設計で知られ、本作ではボタン配置を“波の癖”で決めた。プログラマーの北条隆史は、酸素残量処理のために独自の圧力計算式を組んだが、その式が複雑すぎて本人も完成後に1度しか説明できなかった。
音楽のLUNA K. Aobaは、海中ピアノと呼ばれる電子鍵盤を使用し、深度100mごとに和音が半音下がる仕掛けを導入した。これにより、サウンド担当が潜水士より先に減圧表を読むようになったという。
音楽[編集]
サウンドトラックは、海底アンビエントと軍艦マーチ風の旋律を往復する構成である。代表曲「深層の礼拝堂」は、発売後に深夜の天文番組で誤って使用され、視聴者から“やけに重いオープニング”として苦情が寄せられた。
また、戦闘曲「逆潮の鼓動」は、テンポが一定ではなく、BPMが海流の強さに応じて128から143の間を揺れる。作曲者は「人間はリズムで泳ぐ」と語ったとされるが、記録されたインタビューは2分で終わっている。
他機種版・移植版[編集]
には版が発売され、タッチ操作によってマンタのヒレを直接なでられるようになった。これにより、オリジナル版では不可能だった“撫でるだけで開く扉”が実装され、家庭内での評価が急上昇した。
さらにの相当配信では、通信対戦が削除された代わりに「潮騒フィルター」が追加され、画面端に常時小さな波しぶきが表示されるようになった。移植版ごとにマンタの瞳孔の太さが微妙に異なることから、コレクターの間では別個体説まで唱えられている。
評価[編集]
発売当初の初回出荷は32万本であったが、翌月には海洋研究施設向けの追加発注が入り、全世界累計184万本を突破したとされる。とくに相当の特別表彰を受けたことで、教育機関からの問い合わせが増え、結果として“生物教材なのかゲームなのか分からない作品”として話題を集めた。
一方で、売上の約12%が水族館の売店経由で記録されたとする報告があり、通常の流通統計に含めてよいかは議論がある。また、レビューでは「ミリオンセラーを記録したのに、誰も友人に内容を説明できないゲーム」と評された。
関連作品[編集]
続編には『』、『』がある。いずれも展開の一環として制作され、後者は寸前まで進んだが、海底で収録できる声優が不足したため中止された。
また、派生作として落ちものパズル『』が企画されたが、権利関係が複雑すぎて一度も体験版が流通しなかった。シリーズの第N作目として扱われることもあるが、開発側は公式には数えたがらない。
関連商品[編集]
攻略本[編集]
攻略本『』は、全512ページのうち146ページが潮の満ち引きに費やされている。戦闘よりも“朝の干潮でしか出ないヒント”が重要だったため、当時の書店では地図帳と同じ棚に置かれることがあった。
付録の折り込みポスターには、マンタの胃袋の内部構造が描かれており、購入者の3人に1人が一度はそれを壁に貼ったとする調査がある。
書籍・その他の書籍[編集]
ノベライズ『』、設定資料集『』、児童向け読本『』などが刊行された。中でも『』は、海底の都市インフラを解説しているはずが、巻末の付録だけで一冊分の気象図鑑になっている。
関連商品としては、温度で色が変わるキーホルダー、塩分濃度に反応するシール、そして水に浸けると開封できる限定トレーディングカードが発売された。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 神崎修一『海底育成RPGの成立史』雷鳴出版, 2003, pp. 44-71.
- ^ LUNA K. Aoba『潮騒と電子鍵盤: Devilmanta音楽設計論』海鳴社, 2002, pp. 12-39.
- ^ 高瀬みどり「海流管理型ゲームにおける遅延入力の研究」『ゲームデザイン学会誌』Vol. 8, No. 2, 1998, pp. 101-118.
- ^ 西園寺信也『深海UIの記号論』リフトアート叢書, 2001, pp. 88-109.
- ^ Margaret T. Holloway, "The Politics of Undersea Monsters in Japanese RPGs" Pacific Game Studies, Vol. 14, No. 1, 2005, pp. 7-26.
- ^ 北条隆史「圧力計算式と酸素残量管理」『ネプチューン64開発報告』第3巻第4号, 1997, pp. 55-63.
- ^ 神谷源一郎『マンタ課長の退職願』未刊企画書集, 1996, pp. 1-14.
- ^ 石田みのる『海底の悪魔と地方流通』東洋ゲーム経済研究所, 2004, pp. 203-220.
- ^ Rachel M. Pine, "Why the Fish Wore Glasses: Accessory Systems in Obscure Console RPGs" Journal of Synthetic Ludology, Vol. 6, No. 3, 2011, pp. 77-95.
- ^ 高宮ユリ資料編纂室『アビス・トラフ人物録』潮文社, 1999, pp. 140-168.
外部リンク
- 雷鳴ソフトウェア公式アーカイブ
- ネプチューン64資料保存会
- 海底ゲーム博物館 デビルマンタ特集
- アビス・トラフ観光局 文化資産ページ
- 潮流RPG研究室