竹卓BANBAN
| タイトル | 竹卓BANBAN |
|---|---|
| 画像 | 竹卓BANBAN パッケージアート |
| 画像サイズ | 240px |
| caption | 竹卓の天面に「BAN」と刻まれたロゴ。 |
| ジャンル | アクションRPG(リズム連動) |
| 対応機種 | 竹卓BANBAN専用筐体、アーケード互換PC(Banban-Link) |
| 開発元 | 桟敷電算工房 |
| 発売元 | 竹卓商事ゲーム事業部 |
| プロデューサー | 渡辺精一郎(わたなべ せいいちろう) |
| シリーズ | 竹卓BANBAN(第1作) |
『竹卓BANBAN』(たけたくばんばん、英: Bamboo Table BANBAN、略称: TTB)は、[[2021年]][[9月17日]]に[[日本]]の[[桟敷電算工房]]から発売された[[竹卓BANBAN専用筐体]]用[[コンピュータRPG]]。[[竹卓BANBAN]]シリーズの第1作目であり、同名の[[卓上型音楽朗読劇]]や[[アニメ]]を含む[[メディアミックス]]作品群の原点とされる[1]。
概要/概説[編集]
『竹卓BANBAN』は、[[竹卓BANBAN専用筐体]]の天面に配置されたセンサー付き「竹卓」を叩く動作と、画面内の譜面を同期させることで進行する[[コンピュータRPG]]である。プレイヤーは「打鍵(だけつ)」を行う[[卓打士]]として、物語上の“禁じられた踊り”を解凍していく存在とされる[2]。
本作は、ゲームセンターでの体験が「手の疲労より先に物語が理解される」ことを目標として設計されたとされる。桟敷電算工房は開発初期に、音ゲーのように正確さを競うのではなく、テンポの“ズレ”を物語の分岐に変換する実験を重ねた[3]。なお、この仕組みの着想は、長野県松本市の地方放送局が企画した「竹材の音響測定番組」に由来するという噂もある[4]。
シリーズの第1作目であり、のちの『竹卓BANBAN 再解凍譜』『竹卓BANBAN 竹霊ナイトシフト』へと世界観が拡張された。2021年当時、売上は全世界累計で“ミリオン級”を謳われたが、その集計方法が「筐体稼働日数×貸出回数」であったため、編集部では数字の信頼性に疑問が投げかけられた[5]。
ゲーム内容/ゲームシステム[編集]
ゲームシステムの中心は「BANバー(BAMBOO AUTHENTIC NOTEの略)」と呼ばれる同期ゲージである。プレイヤーは[[卓打士]]として、攻撃時に竹卓を“3点打ち”し、同時に表示される3音の和音パターンを成立させる必要がある。成立すると通常ダメージに加えて「記憶補正」が発生し、次の会話選択の成功率がわずかに上昇すると説明される[6]。
戦闘はアクションRPG形式でありつつ、攻撃の当たり判定ではなく“リズムの摩擦係数”がヒット判定を左右するとされた。桟敷電算工房の技術資料では、摩擦係数は竹卓材の含水率(%)から推定されると書かれている。実際の筐体は年2回、点検員が含水率を測る運用があったとされるが、当時の運用ログは外部に公開されていない[7]。
アイテムは「刻印札(こくいんふだ)」と呼ばれ、所持枚数が多いほど“音の遅延”が減るという逆転の設計が採られた。対戦モードとしては「BANBAN争奪卓(そうだつ)」があり、協力プレイでは「鐘鳴らし共有ゲージ」により、仲間の打鍵タイミングが同期するとされる。オフラインモードでは、過去の自分の打鍵癖を解析して“擬似会話”が増える仕様があるとされたが、アップデートで仕様が部分的に変わったとも指摘されている[8]。
プラットフォーム性能を活かした追加機能として、[[竹卓BANBAN専用筐体]]では手首の角度を3軸ジャイロで推定し、角度が閾値を超えると「天面反響(てんめんはんきょう)」が発動する。閾値は公称で“27.5度”とされるが、ユーザー報告では“27.1度”とするものもあり、微細な差が議論の火種となった[9]。
ストーリー[編集]
本作は、[[竹卓]]が“音を固定する装置”として扱われる世界を舞台としている。プレイヤーが追うのは、竹卓に刻まれた「BAN」の文字が、時間そのものの継ぎ目を塞ぐ呪具であるという伝承である[10]。
物語は全12章で構成され、各章の終盤で「解凍儀式」が行われる。解凍儀式は、主人公が敵対勢力の“凍結された対話”を復元するイベントであり、成功すると過去の選択肢が“別の温度”で再提示される。桟敷電算工房はこれを“プレイ履歴の再編集”と呼び、RPGの周回要素を単なる周回ではなく編集体験として設計したとされる[11]。
ただし、解凍の進行により世界の地理が少しずつ歪む。たとえば、第4章では[[岐阜県]]の架空地名「水鏡山(みずかがみやま)」が登場するが、第9章では同じ場所が“竹卓が吸い込んだ反射”として再説明される。この矛盾が“物語上の演出”として許容される一方、ゲーム内の地図が更新されないことが批判にもつながった[12]。
エンディングでは、敵勢力「卓霊庁(たくれいちょう)」の長が“BANは攻撃ではなく校正である”と述べ、プレイヤーに「最後の叩き」を強いる。最後の叩きは不正確でも進行するが、演出の色調が変化し、隠し会話が解放されるとされる。なお、その色調変化は「金比(きんぴ)の比率に近づく」と説明されるが、ゲーム内で用いられる数値は“1.6183”と極めて具体的である[13]。
登場キャラクター/登場人物[編集]
主人公は無名であり、プレイヤーは通称として「打鍵調律(ちょうけつちょうりつ)係」と呼ばれる。ゲーム内の設定資料では、主人公の正式名称は「卓打士免許第0号」とされるが、取得年は表記されない[14]。
仲間としては、竹の年輪を読む少女「綾小路 まどか(あやのこうじ まどか)」が挙げられる。彼女は戦闘中に“裏拍”を教える役割を持ち、正面から叩くほど攻撃が弱くなるという、逆説的な支援を行うとされる。まどかの台詞には方言が混ざるが、桟敷電算工房のローカライズ担当は「方言は音の補正値として扱われた」と説明している[15]。
敵対勢力側では、卓霊庁の監査官「早霧 正則(はやぎり まさのり)」が中心人物として描かれる。早霧は“竹卓は公共財であるべき”と主張しつつ、実際には解凍儀式の素材を独占している。さらに、彼の側近「九条 こはく(くじょう こはく)」は、会話の途中で突然ゲームテンポを落とす“減速強奪”を得意とする敵であるとされた[16]。
特別キャラクターとして、筐体を修理する保守員「松平 たたみ(まつだいら たたみ)」がいる。松平は戦闘に参加しないが、含水率を測定した日だけ特定のNPCが“正気な台詞”を言う。公式には偶然とされるが、プレイヤーコミュニティでは“測定日カレンダー”の共有が進み、事実上の裏要素として機能したと報告されている[17]。
用語・世界観/設定[編集]
世界観の根幹には「竹卓学(ちくたくがく)」と呼ばれる学問が置かれる。竹卓学では、竹材の繊維配列が音の反射を決め、反射が時間の“微細な区切り”を作ると説明される。ゲーム内の用語集では、BANとは“Bam”と“Nib”を同時に鳴らす合成音であるという、実在の音楽理論と見紪う解説が付されている[18]。
[[卓打士]]は免許制の職業であり、免許は「刻印札」への署名権を含むとされる。免許更新は毎年ではなく“筐体の季節(春・夏・秋・冬)に合わせた4回”であり、更新漏れは“打鍵の判定が鈍る”としてペナルティ化された[19]。
戦闘用語としては「記憶補正」「天面反響」「裏拍同期」などがある。とくに天面反響は、叩いた瞬間の衝撃が筐体側のセンサーに伝わり、音声演出とログ採取を遅延なく同期させる仕組みとされる。さらに、会話イベントでは「温度スコア」が採用され、同じ選択肢でも主人公の“叩き癖”に応じて結果が変わるとされた[20]。
地理設定としては、作中の都市「[[栃木県]]宇都宮郊外にある筐体集落・矢羽沢(やばざわ)」が反復登場する。矢羽沢は実在の地名「矢羽根沢(やばねざわ)」に類似していると推測されるが、ゲーム内では一度もモデル地が明かされない。なお、開発スタッフのインタビューでは“似ているが違う”とされ、出典のないまま話題になった[21]。
開発/制作[編集]
『竹卓BANBAN』の制作経緯は、2018年に始まった“叩いて読ませる”実験から始まったと公式には説明されている。[[桟敷電算工房]]は当初、読み物のUIを単に表示するだけではなく、手の動きで理解を促すことを狙った。プロトタイプでは筐体ではなく卓上タブレットで同様の同期を試したが、遅延が大きく頓挫したという[22]。
ディレクターの「高原 ひかり(たかはら ひかり)」は、ゲーム設計を“音の校正”に寄せるべきだと主張し、脚本も戦闘テンポと同期させる方針が固まった。シナリオの草稿は、会話の文字数が譜面の拍数と整合するように書き直されたとされ、1章あたり平均で「会話行が87行」という社内目標まで設定された[23]。
制作スタッフの一部には、建築音響出身の「杉本 伽耶(すぎもと かや)」が関わった。彼女は竹の音響モデルの数式をゲーム用の簡易表に落とし込み、含水率推定のアルゴリズムを実装したと伝えられる。なお、開発中の数値検証では“27.5度”の閾値が最初に“26.9度”として採用され、テスト参加者から「叩くと謝りたくなる角度」と言われたため改修されたという逸話がある[24]。
宣伝面では、発売前に東京・日本橋の架空展示施設「[[日本橋]] ふすまラボ」で“竹卓の音が文字を変える”実演会が行われた。イベントは好評だったと記録される一方、来場者の多くが展示の最後に手を止めて固まったため、スタッフが“成功の兆候”として解釈したとされる[25]。
音楽(サウンドトラック)[編集]
サウンドトラックは、筐体の叩き動作に同期するよう設計された“譜面連動音声”を特徴とする。作曲は「[[桟敷電算工房]]音響班」とされ、個人名では公開されにくい運用が取られた。そのため、収録トラックのクレジットは「班名義」と「謎の記号」表記が混在したとされる[26]。
キャッチコピーは「叩け、校正せよ。」であり、歌詞がゲームの選択肢と対応する仕組みが採られた。第6章テーマの“反響カノン”は、リズムが崩れると歌詞の母音が変化する仕様で、検証で“母音の比率が0.37:0.63”に寄ると報告された[27]。
一方で、音楽がテンポを支配しすぎるとして一部のプレイヤーから批判も受けた。特にオフラインモードではテンポ同期が弱くなるため、曲の盛り上がりと戦闘の勝敗が一致しない場合があると指摘された[28]。ただし桟敷電算工房は、これを“勝ち方が物語を変える演出”と説明したとされる。
2019年に先行体験会用として配布されたミニアルバムが存在し、そこに収録された“BANBANの空隙”が製品版の隠しボス戦に転用されたとする説がある。出典は不明だが、ファンサイトの解析ではトラックの周波数帯域が一致していると主張された[29]。
他機種版/移植版[編集]
竹卓BANBAN専用筐体版ののち、2023年にはアーケード互換PCで稼働する「Banban-Link版」が配信された。移植の際、センサー制御がソフトウェア推定に置き換えられ、天面反響の体感が変わったという声が多いとされる[30]。
同年には家庭用「竹卓ミニ(TakeTaku Mini)」向けに家庭移植も検討されたが、未発売となった。理由としては「家庭用の叩打デバイスが、現場調整を再現できないため」とされる一方、内部文書では“国内販売代理店の在庫都合”が原因だったという噂もある[31]。
ネットワーク機能としては、オンライン対応の協力プレイが追加された。だがオンライン同期は“プレイヤーの手癖を平均化する”仕様のため、相手が上手いほど逆に自分のテンポが難しくなる場合があると話題になった[32]。公式は仕様としつつ、アップデートで補正係数が見直されたともされる。
さらに、後年の収録データの検証では、筐体版にのみ存在した“含水率ログ連動イベント”が移植版では削除されていることが判明した。これにより、ある特定のNPCが言うはずの台詞が再現されないとユーザーが不満を示した[33]。
評価(売上)・関連作品・関連商品[編集]
評価面では、発売直後に[[日本ゲーム大賞]]へのノミネートが発表され、「打鍵と物語の連動が新しい」と報じられた。後に受賞したかどうかについては媒体により差があり、ファミ通系の集計では“ゴールド殿堂入り”とされる一方、別媒体では「殿堂入りの基準が不明確」と注記された[34]。
売上は全世界累計で“約143万本相当”とされることがある。もっとも、集計は売上本数ではなく「筐体稼働日数に基づく換算」であったため、実売と乖離しているのではないかと指摘される。加えて、Banban-Link版の課金モデルが“譜面パック”であったことから、総額換算でも論争が起きた[35]。
関連作品としては、同年齢帯向けの[[冒険ゲームブック]]『竹卓BANBAN 解凍の章』、さらにテレビアニメ化された『竹卓BANBAN 霊卓回線』が挙げられる。いずれも卓打士たちが地域の“凍結した声”を取り戻す物語として展開され、メディアミックスとしての相互参照が多い点が特徴とされる[36]。
関連商品では、攻略本『BANBANの校正手帖』(編集: [[日本橋]]ふすまラボ記録班)、サウンドトラックの完全版『反響カノン大全』(ISBN相当番号: 978-4-××××-××××-×)などが発売された。なお攻略本は、各章の“最適打鍵角度”を表にしたことで話題になったが、角度の推奨が筐体個体差を考慮していないとして批判も受けた[37]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 渡辺精一郎「『竹卓BANBAN』における打鍵同期設計と物語分岐」『桟敷電算工房紀要』第3巻第1号, pp.12-41, 2022.
- ^ 高原ひかり「音楽連動RPGの校正哲学:BANの正体」『ゲーム音響研究』Vol.18, No.2, pp.77-104, 2021.
- ^ 杉本伽耶「竹材含水率推定モデルの簡易化とゲーム応用」『建築音響ジャーナル』第24巻第4号, pp.201-226, 2020.
- ^ 綾小路まどか「裏拍が会話成功率に与える影響:フィールド報告」『卓打士実務報告書』第2号, pp.5-19, 2023.
- ^ 早霧正則「卓霊庁監査の記録:凍結対話はなぜ必要か」『公共音文化論』Vol.9, pp.33-58, 2022.
- ^ 伊東春磨「アーケード筐体における天面反響の遅延補正」『インタラクション工学論集』第11巻第3号, pp.88-96, 2023.
- ^ T. Nakamura『Rhythm-Linked Narrative Systems』Sashiki Academic Press, 2024.
- ^ M. Thornton『Sound Calibration in Interactive Fiction』Global Game Studies, 2023.
- ^ ファミ通編集部『ゲームソフト年鑑 竹卓BANBAN編』KADOKAWA、2022.
- ^ 日本ゲーム大賞事務局『受賞基準と殿堂評価の実務』日報出版, 2021.
外部リンク
- 竹卓BANBAN 公式譜面アーカイブ
- 桟敷電算工房 サポート掲示板
- ふすまラボ 音響ログ倉庫
- BANBAN打鍵角度データベース
- 卓霊庁 解凍手順翻訳サイト