トリキュー
| コンビ名 | トリキュー |
|---|---|
| 画像 | — |
| キャプション | 『定規で挨拶』の人文字ネタで話題になったとされる |
| メンバー | 渡瀬 鳥一郎(つませ とりいちろう)/高橋 九兵衛(たかはし くへえ) |
| 結成年 | 2012年 |
| 解散年 | — |
| 事務所 | 雲隠れエンタープライズ |
| 活動時期 | 2012年〜(主に関東) |
| 芸種 | 漫才・コント |
| ネタ作成者 | 基本は渡瀬鳥一郎、コントの構成は高橋九兵衛が担当 |
(英: ToriQ)は、所属のお笑いコンビである。結成。NSC校期生であり、漫才とコントを横断するスタイルで知られている[1]。
概要[編集]
トリキューは、呼吸の間(ま)を“数える”ことを売りにしたお笑いコンビである。特に、ツッコミが発声するたびに床の床面温度が0.1℃ずつ上がると観客が感じる、という怪談めいた語りがファンの間で共有されてきた[2]。
コンビ名の由来については諸説あり、語呂(トリ=鳥、キュー=Q)から競技の合図を模したとも、語源が「三手(さんて)で詰む」将棋用語だともされている。ただし、本人たちは「本当は“紙の上で行う呼吸訓練”の略称だった」と主張しており、番組取材ではたびたび割愛されている[3]。
メンバー[編集]
渡瀬 鳥一郎は、立ち位置の基準を指示棒で線引きすることで知られる。練習では毎回「右足の角度は9度、左足は108度」と言い切り、ズレが出ると“自分の時計が遅れている”と笑いながら訂正する[4]。
高橋 九兵衛は、世界観の説明が長いほどオチが短くなる“逆算型”で評価される。舞台袖で台本を折る回数を記録し、折り目が7本を超えたネタは「寿命が縮む」として本番前に破棄するとされる[5]。
2人は養成所時代に、の路地で偶然同じ時間に同じ傘を拾った経験を共通点として語っているが、同じ傘が何色だったかについては資料映像が存在しない。後年、当時の写真が“白飛びしてしまった”という話だけが残っている[6]。
来歴/略歴/経歴[編集]
出会い[編集]
2人の出会いは、の“補助線ネタ”講座であるとされる。渡瀬は「線は嘘をつかない」派で、黒板に書いた数字をなぞるように漫才を組み立てた。一方の高橋は「数字は嘘でも、嘘が本物に見える角度がある」として、同じ数字を斜めに見せることで笑いを作ったと報告されている[7]。
当時の担当講師であったは、合格条件として「観客が“秒”を数えたくなること」を提示したとされる。ただし、合格条件を明文化した紙が見つからず、として学校の掲示板に残っているだけだとも言われる[8]。
東京進出[編集]
結成から半年後、トリキューはの立ち飲みイベントに“折り返し登壇”として呼ばれた。通常は1組あたり3分であったが、彼らには“余白”として追加で2分が与えられ、結果的に5分ネタに最適化されたとされる[9]。
このときの小道具が、のちに代表ネタで使われる「呼吸キュー(じゅうぶんに深く吸って0.5秒止め、1秒で吐く)」用の紙カードであった。カードには三段階の指示が書かれていたが、配布の際に印刷機の設定がずれており、あるロットだけ指示が反転していた。ファンはこれを「初期の呪い」と呼び、反転版が最も受けたと回顧している[10]。
芸風[編集]
トリキューの漫才は、前半で“前提”を過剰に丁寧に積み上げ、後半でその前提だけを抜き取る構造である。ツッコミのタイミングは毎回厳密に管理され、渡瀬が「一呼吸目は“0秒扱い”」と宣言してから高橋が反応する。観客には一見すると意味不明だが、終盤で数字が整列するために納得感が生まれるとされる[11]。
コントでは、架空の公的機関が登場する形式が多い。彼らが最も得意とするのは「空気の混線を取り締まる」手続き劇であり、受付番号が“トリキュー式”として3桁刻みで配布される設定が頻出する(例として、観測データは“第103回・迷子区画”のように扱われる)[12]。
一方で、芸風の核には“反証可能な妄想”が置かれている。ネタの中では、のどこかにあるとされる“証拠倉庫”に対して、観客が「行けるなら行って確かめて」と思う余地が残される。結果として、笑いが終わった後に“調べたくなる疲労”が残るタイプの芸と評価されている[13]。
エピソード[編集]
トリキューは“出囃子”の前に、短い沈黙を必ず挟む。沈黙の長さはスタッフがストップウォッチで管理し、平均は0.37秒、標準偏差は0.12秒と、なぜか統計で記録されていると報じられた[14]。
また、あるテレビ特番でネタ中に突然小道具の紙カードが裂けたことがある。このとき渡瀬は「紙が先に謝った」と言って裂け目をそのまま利用した。以後、その裂け方が“ハート型”に見える回だけ視聴者投票が伸びたという。番組スタッフは「たまたまだ」と言うが、トリキュー側は「裂け目が寄付金のように増えた」と真顔で語り、スタジオが一度だけ凍ったとされる[15]。
さらに、ラジオで“トリキュー”という言葉をリスナーに定義してもらう企画を行ったところ、回答が「鳥」「キュー」「逆立ち」「検閲」「窓口」に集中したとされる。高橋は「全部“窓口”に集約される」と結論づけ、翌週の放送では架空の手続きを読み上げて時間が足りなくなった。公式サイトのアーカイブでは、読み上げが途中で切れている箇所にだけの注記が付いている[16]。
賞レース成績・受賞歴など[編集]
トリキューは、での知名度が最初の大きな転機となった。2016年大会では予選で“無音ボケ”を採用し、審査員の評価が割れたにもかかわらずファイナリストに残ったとされる[17]。
一方で、2017年のでは、コントタイトルを「三角形の呼吸室」として提出したところ、審査用紙に手書きで「なぜ三角形?」と追記された。結果として準決勝進出を果たし、のちにその理由を聞かれた高橋は「三角形だと嘘が立つから」と答えたと報じられた[18]。
受賞歴としては、地域大会の“笑いの窓口協会杯”を含めると合計9回の優勝歴があるとされるが、公式に確認できるのはそのうち6回分である。残り3回は「会場の記録媒体が摩耗していた」と説明されている[19]。
出演[編集]
テレビでは、を中心にレギュラー枠と特番の両方に出演してきた。代表的な番組としてが挙げられ、彼らは“間違いの場所だけ合っている”コントを連日作り続けたとされる[20]。
過去の代表番組としてはがあり、笑いの発生を役所手続きのように擬態する企画で人気を博した。スタジオセットにはの意匠を想起させる回覧板が置かれたが、実際の自治体資料とは無関係であると注意書きが付けられていた[21]。
ラジオではに似た位置づけので、リスナーから届く相談を“トリキュー式”に仕分けるコーナーを担当した。相談が多すぎた回は、途中から「笑いの優先順位が逆転した」と高橋が告げ、渡瀬がそれに合わせてツッコミの順番を入れ替えたという[22]。
作品[編集]
ディスコグラフィーとしては、ネタ音源を収録した『呼吸キュー大全〜0.5秒の嘘〜』が流通しているとされる。この作品はCDでリリースされたと説明される一方、録音データが“テープの残り時間”を基準に編集されたという逸話がある[23]。
DVD『窓口の中に窓口がある』は、架空の役所手続きが連続するコントをまとめた内容であり、特典映像として“裂け目分析”が収録されているとされる。ただし、当該映像の再生時間が短縮されている版もあり、購入者の間では「短いのが正しい」と言い合われた[24]。
なお、公式サイトでは著作権上の理由により台詞の一部が伏せられているが、放送で披露された“数字の整列”の部分だけは不思議に全文が掲載されている。ここだけ例外扱いになっている点が、長年のファンの観察対象となっている[25]。
単独ライブ[編集]
単独ライブは、2018年の『第一窓口、第二窓口、第三窓口』から継続している。ライブのタイトルはいつも“窓口の数”を増やすルールで決められており、2020年は“第七窓口”まで行ったとされる[26]。
単独ライブの演出では、会場の照明が“受付番号”ごとに色分けされる。客席で発行される番号札は3色であり、渡瀬は「黄色はボケ、青はツッコミ、赤は謝罪」と説明する。ただし、実際には赤札の人が一番笑いやすいという調査結果が出たとも語られるが、調査の方法は公開されていない[27]。
終演後、物販コーナーでは“呼吸キュー”の紙カードを配布する。配布枚数は会場規模に応じて細かく決められ、会場では3,200枚、会場では2,840枚と記録されている。ただし、記録担当者が途中で部署異動になったため、例外回も存在したとされる[28]。
書籍[編集]
書籍としては、ナンセンスな芸論をまとめた『笑いの窓口監査報告書』がある。内容は、ネタの仕込みを会計監査の手続きに見立てた形式で書かれており、監査項目が“間”“汗”“沈黙”のように分類される点が特徴である[29]。
また、渡瀬は『数字で泣くための9章』、高橋は『短い説明で長く刺す』という別々の単著も刊行しているとされる。ただし、両者の単著が同時期に同じ出版社から出ている理由について、読者が「関係者が同じ編集だったのでは」と推測しており、編集者名は公開されていない[30]。
書籍の末尾には“署名欄”ではなく“呼吸欄”が設けられており、「0.5秒停止してください」と注意書きがある。これが冗談として受け取られつつ、なぜか一部の読者が実際に試したと伝えられている[31]。
批判と論争[編集]
批判としては、トリキューのネタが“説明過多”である点が挙げられてきた。特に、数字のカウントが多い回は、笑いに到達するまでの時間が長いとして一部の視聴者から不満が出たとされる[32]。
また、コント内で登場する架空の行政手続きが、実在のの窓口案内と見分けがつきにくいと指摘されることがある。彼らは「似ているのは仕様である」と述べているが、似せた理由は明確にされていない[33]。
一部では、語源説明に矛盾があることが論争の種になった。コンビ名が「三手で詰む」将棋用語の略称だとする説もあれば、「鳥が合図するQ(キュー)」だとする説もあり、どちらが最初の説明だったかが記録として残っていない。トリキューは「どっちでもいい。合図が届けば勝ち」と言って終わらせたとされる[34]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 渡瀬鳥一郎『笑いの窓口監査報告書』雲隠れ出版, 2021.
- ^ 高橋九兵衛『短い説明で長く刺す』回覧板文庫, 2022.
- ^ 大道寺演助『養成所における沈黙の計量』NSC叢書, 2015.
- ^ 『笑いの発声タイミング統計(非公式)』日本笑い工学会, Vol.3 第7巻, 2016, pp.12-19.
- ^ 『特番台本の編集遅延に関する現場報告』テレビ演出技術研究会, Vol.11 No.4, 2018, pp.44-53.
- ^ Smith, John. 『Timing-Based Comedy and Audience Perception』Tokyo Laugh Studies, Vol.2 Issue1, 2017, pp.71-88.
- ^ Kuroda, Emi. 『Administrative Metaphors in Japanese Variety Shows』Journal of Media Humor, Vol.9 No.2, 2019, pp.101-129.
- ^ 『トリキュー物販の配布枚数と笑いの相関』笑い商材学研究所, 第103回調査, 2020, pp.3-9.
- ^ 『呼吸キュー大全〜0.5秒の嘘〜』雲隠れエンタープライズ, 2019.
- ^ 『窓口の中に窓口がある』回覧板プレス, 2020.
外部リンク
- トリキュー 公式サイト
- 雲隠れエンタープライズ オフィシャル
- 笑いの窓口協会杯アーカイブ
- 呼吸キュー資料館
- トリキュー 物販ログ(会場別)