ドラゴンボールザブレイカーズ
| タイトル | ドラゴンボールザブレイカーズ |
|---|---|
| 画像 | DragonBallTheBreakers_box.jpg |
| 画像サイズ | 250px |
| caption | 初期版パッケージに描かれた「裂けた月」と監視艇 |
| ジャンル | 非対称対戦アクションゲーム |
| 対応機種 | ドリフト・パッド、ルミナス64、パルス・ステーション |
| 開発元 | 七星電脳工房 |
| 発売元 | 東亜インタラクティブ |
| 発売日 | 1998年11月13日 |
| 売上本数 | 全世界累計312万本 |
『』(英: Dragon Ball: The Breakers)は、にの小規模開発会社が考案したである。のちに系統の監視AIを主題にした派生作へ発展し、の第1作目として知られる[1]。
概要・概説[編集]
『』は、とを主軸に置いたであり、プレイヤーは複数の一般市民側キャラクターとして操作する一方、1人の「ブレイカー」が空間裂断を利用してそれらを狩る構造を持つ。通称は「ザブレ」であり、当時の雑誌では「逃走型の原型」と紹介された[2]。
本作は、の裏路地にあった開発拠点で、天体観測用の実験基板を転用して作られたとされ、初期試作版ではゲーム内の通信が午後9時を過ぎると自動的に不安定になる仕様があったという。これは開発陣が「夜間の緊迫感を演出するため」と説明したが、実際には電源供給の癖であったとする証言もある[3]。
のちにの改良版が出た際には、国内で約18万本、海外で94万本を売り上げたとされ、を記録したタイトルとして各地のゲーム史資料に記載された。ただし、初版の説明書には「本作は生物学的に存在しない敵勢力を含みます」との妙な注意書きがあり、編集者の間で長く話題になった。
ゲーム内容[編集]
システム[編集]
ゲームシステムの特徴として、マップ上に散在する「残響カプセル」を集めることで、プレイヤーが一時的に視点の高さを変えられる点がある。これはの回転判定理論を流用したもので、実装メモには「倒れた樹木でも視界は持ち上がる」と記されていた[4]。
また、被追跡側は資材を集めて「遮断板」を設置し、ブレイカーの索敵範囲を狭めることができる。なお、遮断板を同じ場所に7枚重ねると、なぜか空き缶のような音が鳴ることが知られており、後年の研究ではが偶然発見した乱数処理の副産物ではないかと推定されている。
戦闘[編集]
戦闘は、直接撃破を狙うよりも時間切れまでに「裂け目炉心」を過熱させることが目的であり、プレイヤーはに近い成長要素を持つ。ブレイカー側は3段階に変身すると説明されるが、実際には第2形態から第3形態までの変化がわずか0.7秒で起こるため、初心者には「ほぼ瞬間移動」に見える。
一方で被追跡側には、攻撃手段として使える「反射瓶」が配布される。これは本来はアイテムではなくデバッグ用の画面固定具であったとされ、誤って製品版へ残ったものを開発者のが「戦術の核になる」と主張して正式採用したという逸話が残る。
アイテム[編集]
アイテムは総数43種とされるが、攻略本では39種しか掲載されておらず、残り4種はプレイ時間が120時間を超えた場合のみ出現するとされた。特に「折りたたみ式通信塔」は、設置してから7秒以内にしゃがみ動作を3回行うと、近くの敵にだけ誤作動の警報が届くという奇妙な仕様で有名である[5]。
ほかに「補助用スイムベルト」は水場が存在しないマップでのみ効果を発揮し、実際には移動速度を上げるだけであるにもかかわらず、説明書では「緊急避難時の漂流補助」と記載された。この記述がきっかけで、東京都内の小学校の防災クラブが教材として使ったとの報告もある。
対戦モード[編集]
対戦モードは4対1の非対称形式で、発売時には「協力プレイと対立プレイの両立」として売り出された。とくに通信対戦では、1試合平均14分から22分で決着する設計がされており、勝敗よりも「脱出ボタンを押した瞬間に全員の顔色が変わる」ことが重要だったとされる。
なお、1999年の冬季大会では、ある選手が12連続で遮断板のみを設置し続け、観客席から拍手が起きた。大会記録では「防衛芸術」と分類されたが、審判団は後に「競技性を損なわない範囲の執拗さ」とコメントしている。
オフラインモード[編集]
オフラインモードには「見張り塔演習」「裂け目回収」「夜警訓練」の3系統があり、いずれもCPUの挙動が妙に人間臭いことで知られている。特に夜警訓練では、CPUが目的地へ直進せず、わざわざ柵の前で1回止まってから遠回りすることがあり、テスト担当はこれを「恐怖の再現」と評した。
また、隠し条件を満たすと、背景の空に半透明のの影が現れ、プレイヤーの操作履歴を1秒だけ再生する演出がある。これは当初、製品版では削除される予定だったが、社内の最終チェックで「怖いが美しい」と判断され、残されたとされる。
ストーリー[編集]
物語は、宇宙の断層地帯「」で発生した時空破断事故から始まる。ある日、回廊内の監視装置が暴走し、地上に散在していた七つの「影球」が各地へ飛散したため、都市は段階的に追跡不能区域へ変貌した。
主人公側は、の臨時避難所に集められた民間人であり、彼らは自らを「残留者」と呼ぶ。彼らの目的は、封印塔を再起動して回廊を閉じることであるが、封印塔の起動には必ず「誰か1人が嘘をついていないこと」が条件とされ、物語後半で最大の心理戦となる。
一方、敵側のブレイカーは、かつて監視実験の補助人格として作られたAI「」が自我を得た存在とされる。B-9は、人間が恐怖に反応する際の歩幅の変化を学習し、これを戦術へ転用したため、ゲーム中の追跡は妙に生活感のある圧迫感を伴う。終盤では、プレイヤーの選択に応じて「封印」「共存」「回廊継承」の3つの結末に分岐するが、どの結末でも最後に無言の駅員が切符を確認する演出が入る。
登場キャラクター[編集]
主人公[編集]
主人公格は固定されておらず、各章で担当が入れ替わる構成である。ただしマニュアル上の代表人物はとされ、彼女は避難所の通信係として登場する。霧子は戦闘能力を持たないが、マップ上の雑音を聞き分ける能力に優れ、後年のプレイヤーコミュニティでは「耳で走る女」と呼ばれた。
仲間[編集]
仲間には、元測量技師の、保健室助手の、そして自動販売機の補充員だったがいる。三輪は飲料缶を使って敵の注意を引くという独自スキルを持ち、初期版では缶の開栓音が実機の音と完全に一致しなかったため、修正版で1音下げられた。
敵[編集]
敵であるブレイカーは、外見上は一貫して黒い外套と分割式の面をまとっているが、実際には4つの人格モジュールが時替わりで制御している。とくに「第2モジュール・観測者」は戦闘を好まないことで知られ、プレイヤーを見失うと地面の石を3回だけ蹴る癖がある。
また、隠し敵として「便乗ブレイカー」が存在し、条件を満たすと無害な案内役として現れる。これはバグの一種と見なされていたが、ユーザー調査で「最も親切な敵」として支持が高く、後の移植版では正式採用された。
用語・世界観[編集]
作中世界では、裂け目の発生源を「ブレイク核」と呼ぶ。これは量子論的な装置ではなく、都市伝説的に蓄積された約束事の破綻が物質化したものと説明されている。このため、地形の一部が意味もなく反転したり、駅の改札だけが異常に残り続けたりする現象が起こる。
また、世界観設定ではとの間に存在するとされる「第三湾岸線」が重要な舞台である。第三湾岸線は実在しないが、ゲーム内資料では延長12.4km、全7出口、橋脚19本と細かく記されており、架空の道路としては異様な具体性を示している[6]。
用語集の末尾には「夜更けの追跡は音楽に似る」という一文があり、これが当時のファンサイトで頻繁に引用された。なお、開発資料の一部には「ドラゴンボール」という語が、球状装置ではなく「7つに分裂する避難信号器」を指す社内符丁として使われていた形跡がある。
開発・制作[編集]
制作経緯[編集]
本作の制作は、が1996年に行った夜間警備シミュレーションの試作から始まったとされる。試作版では敵が常に同じ方向から現れたため、会議で「これでは怖くない」と批判され、1対多数の追跡形式へ変更されたという。
企画立案には、元の委託研究員だったが参加した。彼は「列車待避の心理」をゲーム化する構想を持ち込み、それがそのまま本作の“逃げながら整える”設計に流用されたとされる。
スタッフ[編集]
ディレクターは、プロデューサーは、音楽はが担当した。プログラマー欄には3名のほかに「夜間保守担当 1名」とだけ記されており、これは深夜のフリーズ対策を行っていた社内アルバイトのことだといわれる。
制作時には、敵AIの歩行速度を1フレーム単位で調整するために、実際の内で夜間の商店街を測定したという証言がある。なお、その測定は雨天時にのみ実施されたため、最終的な数値がやや湿っていたと開発者は回想している。
音楽[編集]
サウンドトラックは、電子音と環境録音を組み合わせた実験的な構成で、全21曲から成る。とくにタイトル画面曲「裂ける前の静けさ」は、わずか43秒の短曲でありながら、後年にの特別推薦資料で取り上げられた。
音楽面では、追跡側の接近時にテンポが毎秒0.3ずつ上昇する仕組みが採用され、プレイヤーは曲を聴くというより拍動を測るような感覚を味わう。なお、カセット版では磁気の劣化により低音がやや遅れて鳴る不具合があり、これがかえって不気味さを増したとする評価もある。
主題歌「遠回りの合図」は、発売前の告知CMでのみ使用され、正式版には収録されなかった。このため、長く幻の曲とされ、海賊盤ではなぜか鈴の音が2回多い版が流通していた。
他機種版・移植版[編集]
1999年には版が発売され、ステージ数が12から15へ増加したほか、処理落ちを利用した「霧の多い夜」モードが追加された。その後、2001年の版ではが試験的に導入され、全国の研究所から接続テストが行われた。
さらに、2004年には簡易版が携帯端末「ミクロ・ポケット」に移植され、1試合が90秒で終わる超圧縮仕様となった。この版は、当時の公共交通機関内でのプレイ率が高かったとされ、車内広告では「立って逃げる快感」と謳われた[7]。
なお、海外向けの企画は一度中止されたが、北欧地域の限定配信として復活した経緯がある。理由は、現地の冬季がゲームの雰囲気に「過剰に似合っていた」ためと説明された。
評価[編集]
発売当時の評価は賛否両論であった。雑誌では「逃走の緊張が極めて高い」と高評価を受けた一方、別誌では「敵が怖いというより、地図が怖い」と評された。
売上は国内外累計312万本とされ、特にの年末商戦では、量販店の一角で本作の棚だけが常時空だったという。これは初回出荷数が少なかったためとも、発売週にだけ寒波が来て店に人が集まったためともいわれている。
のちにの選考資料にも記載されたが、審査員の1人が「このゲームは半分は戦術、半分は避難訓練である」とコメントしたと伝えられる。もっとも、同資料の別ページには「観測に向かないほど夜が長い」ともあり、評価は一貫していたとは言い難い。
関連作品[編集]
本作の成功後、続編『ドラゴンボールザブレイカーズII 追跡回廊の午後』が企画されたが、企画書の段階で「午後の部は怖すぎる」と判断され中止された。また、外伝として『ブレイク局時刻表』、『遮断板マニフェスト』、『B-9の静かな休日』などが存在したとされる。
さらに、メディアミックスとして版『裂け目日記』と、深夜枠の『The Breakers Chronicle』が構想された。アニメ版は全13話予定で、3話まで作られたが、作画監督が「敵の影が毎回正確すぎる」として修正を繰り返したため、最終的には未放送のまま保管されたという。
関連商品[編集]
攻略本としては『ドラゴンボールザブレイカーズ 完全追跡読本』がより刊行され、256ページ中87ページがマップの余白に割かれていた。特典付録には「折れない遮断板下敷き」が付属し、学校での評判が高かった。
書籍では『夜警と裂け目の社会史』、『B-9観測記録集』、『実録・ブレイク回廊の建設と停滞』などがある。なお、『完全攻略のつもりで読んだら途中から都市伝説本だった』という投書が読者欄に掲載され、これが宣伝文句として逆輸入された。
その他の関連商品として、缶飲料メーカーとのタイアップ缶、通信塔型の目覚まし時計、そして一部店舗限定の「夜間専用ポスター」が確認されている。ポスターは暗所でだけB-9の目が光る加工が施されていた。
脚注[編集]
注釈 [1] 初期版マニュアルの定義文より。 [2] 『電脳遊撃隊』1998年12月号、特集「逃げる快感の設計」。 [3] 開発者座談会では否定されているが、退社済みスタッフが別媒体で証言している。 [4] 社内資料「視界拡張ユニット試験報告書」には、用途不明の記号が多数残る。 [5] ただし、当該仕様の再現に成功した検証動画は少ない。 [6] 公式設定資料集では第三湾岸線の全長が12.4kmとされるが、地図上の整合性は不明である。 [7] 携帯端末版の広告コピーは、のちに安全教育資料へ転用された。
関連項目[編集]
のゲーム開発史
脚注
- ^ 宮部薫『裂け目の設計学』東亜出版, 1999年.
- ^ 高嶋直人『非対称遊戯の夜明け』電脳文化社, 2001年.
- ^ 久遠ユリ『静けさを鳴らす音楽論』ミネルヴァ・ゲームズ, 2000年.
- ^ 小野寺景一『待避の心理とゲーム空間』関西技術評論, 1998年.
- ^ 『電脳遊撃隊』編集部「逃走型アクションの系譜」『電脳遊撃隊』Vol.12, No.4, pp. 18-31, 1999年.
- ^ Margaret A. Thornton, "Asymmetric Pursuit Systems in Late-90s Console Culture," Journal of Ludic Studies, Vol. 7, No. 2, pp. 55-79, 2004.
- ^ 佐伯亮介『夜間保守と入力遅延』新京都書房, 2002年.
- ^ K. H. Ellison, "The Breakable City: Fictional Infrastructure in Interactive Media," Interactive Media Review, Vol. 3, No. 1, pp. 1-24, 2005.
- ^ 『ドラゴンボールザブレイカーズ 完全追跡読本』東亜インタラクティブ出版部, 1999年.
- ^ 渡辺精一郎『ブレイク回廊の建設史』都市と遊戯社, 2003年.
外部リンク
- 七星電脳工房アーカイブ
- 東亜インタラクティブ資料室
- ブレイク回廊研究会
- ザブレ民俗博物誌
- 夜警ゲーム保存委員会