ネコネコカワイイILOVEDOG
| 分野 | デジタル・サブカルチャー/ストリーミング時代のミーム文化 |
|---|---|
| 起源とされる時期 | 2016年後半(初投稿の主張が複数ある) |
| 主な媒体 | 画像掲示板、短尺動画、配信コミュニティ |
| 象徴的要素 | 猫(ネコネコ)と犬(ILOVEDOG)の並置 |
| 社会的波及 | 動物シェルター支援施策の“合言葉”化 |
| 批判点 | 寄付導線の曖昧さ、動物愛護の商業利用疑惑 |
(ねこねこかわいい あいらぶどっぐ)は、日本で流通したとされる「犬と猫の二重承認」を掲げるポップ・フレーズである。主にSNSの文脈で用いられ、流行後は関連グッズやイベント運営の指針として参照されたとされる[1]。
概要[編集]
は、猫への愛情を強調する語「ネコネコカワイイ」と、犬への愛情を英語で短く宣言する「ILOVEDOG」を、あえて衝突させるように並べた言い回しである。表面上は可愛さの連呼として受け取られるが、運用される場では「誰もが二種類の“推し動物”を同時に承認する」ための合図として説明されることが多い。
一方で、後述の通りこのフレーズは“寄付”や“投票”と結びつく形で拡張され、その結果、単なるミームを超えてイベント設計のテンプレートとして参照されたとされる。なお、成立経緯には複数の説があり、公式な系譜が整理されないまま派生語だけが増殖した点が特徴である[2]。
歴史[編集]
誕生:港区の深夜回線で組み上げられたとされる[編集]
伝承としてもっとも語られやすいのは、2016年10月、の一時的な配信スタジオで「猫に反応する人」と「犬に反応する人」を同じチャット欄に閉じ込める実験が行われた、という筋書きである。関係者の証言では、当時の配信は回線が不安定で、コメントが遅延するたびに視聴者のリアクションが“ズレ”を起こした。そのズレを逆手に取り、猫側のテンプレ文「ネコネコカワイイ」と犬側のテンプレ文「ILOVEDOG」を交互に投入することで、同じタイミングで感情が一致する確率を上げたとされる[3]。
この実験の成果は、当時のログ解析担当だったとされるが、チャットの一致率を「平均0.62→0.91(計測単位は“隣接3コメント窓”)」まで改善したと報告したことにより、ミームへ昇格したとされる。さらに、このときスタジオ備品として使われていた“丸い砂時計”が、砂が落ちるまでの秒数をコメント規約のタイムアウト(5秒)に流用したという細部まで語られ、後のイベント運営者がそれを模倣したとされる[4]。
拡張:シェルター支援“二段階クリック”モデルの採用[編集]
2017年に入ると、は、単に可愛い合言葉としてだけでなく、動物保護の寄付導線と接続されるようになったとされる。拡張を促したのは、配信者コミュニティ「プルーフ・オブ・ポロ(Proof of Polo)」の運営補佐だったである。彼は「愛の宣言を“二段階クリック”に落とすと継続率が上がる」と主張し、フレーズ投稿→スポンサー告知閲覧→寄付意思フォーム、という3ステップを設計したとされる[5]。
この方式は、東京都内の複数団体に試験導入されたとされ、たとえばのある施設では、閲覧者のうち寄付フォームまで到達する比率が「(当初)18.4%→(採用後)24.7%」に改善したと報告された。ただし、この数字は団体側の公開資料に基づくのではなく、当時の“裏ログ”という形で回覧されたものだとされ、研究者からは「選択バイアスが強い」との指摘が出たともいう[6]。
転換:商業利用疑惑と“猫だけ祭”の炎上[編集]
2018年末、流行を受けて大手アパレルが“ネコネコカワイイ”を冠した限定パーカーを発売したことで、フレーズ全体の解釈が揺れたとされる。特に、犬要素「ILOVEDOG」がグッズ展開から外れたため、「猫だけ祭」と呼ばれる現象がSNS上で発生したとされる。運営側は「ブランド上の都合で犬要素は配色のみ」と説明したが、当時の投稿者は配色の判定基準が曖昧であると反論し、スクリーンショットによる“判定裁判”が行われたという[7]。
このとき最も拡散した騒動が、ある投稿者が「犬の文字(DOG)を想起させるネームプレートが、実際には“猫の爪”を模した刻印であった」と指摘した件である。刻印の拡大写真には誤差があるはずだが、なぜかSNS上では“刻印の角度”が議論の中心になり、最終的に「角度は14度、よって犬要素は失格」といった判定がまことしやかに引用されたとされる。なお、この14度という数値は誰の測定か不明であるが、後の批判記事で「ミームは測定可能になった瞬間に信仰へ変わる」とまとめられたともいう[8]。
仕組み:なぜ“犬と猫”が同時に成立したのか[編集]
が一種の“コミュニティ通貨”として機能した理由として、まず言語学的な要因が挙げられる。前半は擬態語と連結し、感情を高揚させる短い音の塊であるのに対し、後半は英語の定型句に近く、読んだ瞬間に意味が確定する。つまり、読み心地が異なる2要素を同一文内に置くことで、異なる趣味嗜好の読者がそれぞれ「自分側の勝ち」を感じられる設計になっていたとされる[9]。
また、運用面では、フレーズが“投票の二重化”に向いていたことが指摘される。猫側テンプレ投稿がコメント欄の速度を上げ、犬側テンプレ投稿が反応時間を安定化させるため、配信者はそれを“場の呼吸”として利用できたとされる。さらに、フレーズに含まれる固有要素が視覚的商品化(ステッカー、キーホルダー、スタンプ)と相性が良かったため、二次流通が促進されたと説明される[10]。
ただし、二次流通が進むほど、元来の「動物愛護の気分」から「購入の証明」へ重点が移る危険もあったとされる。このため、運営者の一部は寄付を装う形の“ポイント風”施策を避け、配信者の発言ログを監査する仕組みを取り入れたとされるが、裏付けとなる監査規程は公開されなかったという[11]。
批判と論争[編集]
批判は主に3点に整理される。第一に、寄付とミームが結びつく過程で、視聴者が「愛の表明」と「実際の支援の到達」を混同しやすくなった点である。特に、“二段階クリック”モデルでは、意思フォームへの到達率が語られる一方で、実際の送金完了率がどの程度だったかが不明確だったとされる[12]。
第二に、商業利用の境界が曖昧であった点である。は誰のものか、という問いに対し、運用者は「みんなの合言葉」と説明したが、企業が派生ロゴを商標登録しようとした動きがあったとされ、関係者が“原形維持条項”を巡って対立したと報じられた[13]。
第三に、ミームの解釈が過激化する局面があった点である。「猫だけ祭」や「犬要素の失格」など、比喩が測定と裁定に置き換わった瞬間から、内輪の評価ゲームになってしまったという指摘がある。なお、炎上収束のために提示された「角度14度ルールを一時撤回する」という声明が、なぜか角度そのものを“守護数字”として扱う投稿に転用され、鎮火よりも拡散を強めたという笑えない話も残っている[8]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 海野ミナト「配信コメント一致率の改善と“二種承認”テンプレート」『行動ログ研究』第12巻第3号, pp.45-61, 2017.
- ^ 鈴木アキヲ「ミームを寄付へ接続する設計:二段階クリックの継続性」『デジタルコミュニティ設計論叢』Vol.4, No.2, pp.10-29, 2018.
- ^ 田中ミサト「猫犬並置言説の語用論的効果」『社会言語学年報』第22巻第1号, pp.101-119, 2019.
- ^ 山川シオン「炎上の“角度”が意味するもの:可視化された解釈競争」『メディア批判研究』第7巻第4号, pp.77-92, 2020.
- ^ Kobayashi, R. & Thornton, M.A.「Two-Step Affection and Conversion Metrics in Livestream Culture」『Journal of Participatory Media』Vol.15, No.1, pp.201-219, 2021.
- ^ 佐々木レイ「ロゴの商標化と原形維持条項の交渉」『知財運用ケーススタディ』第9巻第2号, pp.33-48, 2022.
- ^ Nakamura, H.「テンプレート化されるミーム:イベント運営の標準手順」『Event Automation Review』Vol.2, No.6, pp.1-18, 2018.
- ^ 東京都福祉企画局「動物愛護施策に関する参加行動の概況(回覧資料)」pp.12-14, 2017.(本文中に引用相当の数値があるとされる)
- ^ Proof of Polo運営委員会「合言葉運用マニュアル(第1版)」『コミュニティ内規集』, 2018.
- ^ 架空文献編集部「ネコネコカワイイILOVEDOG総覧」『嘘でも役に立つミーム百科』第3版, pp.250-275, 2023.(一部記述が推定に基づく)
外部リンク
- ミーム検算アーカイブ
- 寄付導線デバイス研究所
- 炎上ログ図書館
- コメント一致率計測ボード
- ネコ犬二種承認ギャラリー