ネトウヨザメ(Netuyo-zame)
| 名称 | ネトウヨザメ |
|---|---|
| 界 | 動物界 |
| 門 | 脊索動物門 |
| 綱 | 軟骨海中綱 |
| 目 | カイメン目 |
| 科 | ネトウヨザメ科 |
| 属 | Netuyofish |
| 種 | N. labilis |
| 学名 | Netuyofish labilis |
| 和名 | ネトウヨザメ |
| 英名 | Netuyo-zame |
| 保全状況 | 絶滅危惧(国内局地個体群) |
ネトウヨザメ(漢字表記、学名: ''Netuyofish labilis')は、カイメン目ネトウヨザメ科に分類される海中騒音魚類の一種[1]。
概要[編集]
ネトウヨザメは、沿岸部のカイメン目に属するとされる、音響と視線情報の両方を“餌”として利用する海中騒音魚類である[1]。
本種は、群れの成員が同じ速度で同じ方向へ向かうことで「同調圧」と呼ばれる現象を起こすとされ、観察者の感情変化を間接的に誘導する能力があると考えられている[2]。
近年では、人工海域の港区周辺に限って繁殖が確認される一方、過剰な警戒灯の設置により分布が縮小したとも報告されている[3]。
分類[編集]
ネトウヨザメは、カイメン目の中でも、体表の“粘着コメント層”と呼ばれる皮膜を有する個体群に特徴づけられるとされる[4]。
分類上はネトウヨザメ科に置かれ、同科の近縁種として、似た音響癖を持つホイホイバチリスクや、集団で同一視線方向へ突進するリンクキマグロが知られている[5]。
なお、学名の ''labilis'' は「揺らぐ/移ろう」という意味で与えられたとされ、行動が環境(とくに光のチラつき)に応じて数値的に変動することが根拠とされた[6]。
形態[編集]
ネトウヨザメは、体長が平均 72〜94 cm 程度であると記載されている[7]。全身の背面には、透明なゼリー状の棘条が縦に並び、刺激が加わると“文字状の泡”が一瞬だけ形成されるとされる[8]。
また、口器は通常の吸盤型ではなく、直径 2.1〜3.4 cm の「クリック環」と呼ばれる円形構造で覆われると報告されている[9]。クリック環が微弱電流に反応して開閉するため、捕食というより情報の“取り込み”に見える現象が観察されたという[10]。
体表色は海藻の色に追随するが、成熟個体では赤〜茶の混合へ傾く傾向があり、研究者はこれを「怒りの擬態色」と比喩的に呼んだ[11]。
分布[編集]
ネトウヨザメは、主として東京都沿岸の人工藻場で観察されるとされ、特に港区側の防波堤近くで出現頻度が高いと報告されている[12]。
分布の中心は“潮位の影響を受ける半径 1.6 km の環状海域”で、調査記録では月間の観察回数が 11〜19 回に収束したとされる[13]。この環状海域は、漁業監視用の海上保安庁ドローンの飛行経路と同期していた点が、後に議論を呼んだ[14]。
一方で、遠隔地では偶発的な漂着が知られるものの、自然繁殖までは確認されていないとする見解もある[15]。
生態(食性/繁殖/社会性)[編集]
食性については、本種が主に微小プランクトンを摂取するとされつつも、実際には“熱量の高い視線信号”や“反響の強い音声断片”を優先して回収する傾向が観察されている[16]。そのため、餌場に見える場所ほど静かである場合があり、捕食効率よりも注意の集中が重要であると考えられている[17]。
繁殖は年に 2 回行われると推定され、最初の産卵は春季(4月第2週〜4月第4週)、次が秋季(10月第1週〜10月第3週)とされる[18]。卵は硬い泡嚢に包まれて固定され、孵化までの推定日数は 23〜28 日であると記録されている[19]。
社会性は高度で、同種同士が“同じ速度で同じ方向へ回遊する群”(いわゆる同調群)を形成するとされる[20]。群れの中で先導個体が発する反響パターンが、他個体の行動を 73% 程度の確率で同化させるという報告もあり[21]、その統計はのちに「野生ではなく舞台の上のようだ」と評された[22]。
人間との関係[編集]
ネトウヨザメは、人間の活動、とくに海岸部の放送・監視・交通整理の影響を強く受けるとされる[23]。研究チームの報告では、警告音の周波数が 2.4〜2.6 kHz に近づくと出現率が上がり、逆に 3.1 kHz 以上では急減したとされる[24]。
漁師や沿岸住民の間では、本種が現れると「ネットが荒れる」ような錯覚が起きると語られ、観察者の周囲で議論が増える現象が繰り返し報告された[25]。この“錯覚”は、研究者の一部により、ネトウヨザメが視覚刺激を媒介として注意資源を奪うからだと説明されている[26]。
また、ある調査では東京都の自治体が設置した「静穏ゾーン」の効果が 12週間で頭打ちになったとされ、同ゾーン内で個体数よりも“行動の言い換え”が増えた点が指摘された[27]。一方、別の研究では人間側が言い換えを解読していた可能性が示唆され、因果関係は確定していない[28]。
脚注[編集]
脚注
- ^ 田中海斗『東京湾・人工藻場の音響捕食者図鑑』海洋生物出版, 2019.
- ^ Margaret A. Thornton「Acoustic-Response Schooling in Netuyofish」『Journal of Coastal Semiotics』Vol. 12 No. 3, pp. 211-238, 2021.
- ^ 高橋梓『カイメン目の粘着コメント層と行動同期』沿岸学会誌第7巻第2号, pp. 33-58, 2017.
- ^ Ibrahim M. Sayegh「On the Click-Ring Morphology of Labilis-like Cartilaginous Fishes」『Marine Morphology Letters』Vol. 4 No. 1, pp. 1-19, 2018.
- ^ 鈴木篤志『波の周波数と群れの同化率』北関東水域研究所, 第◯巻第◯号, 2020.
- ^ Eiko Kuroda『泡嚢固定卵の孵化日数統計(22〜29日レンジ)』日本海洋統計学会誌, Vol. 26 No. 11, pp. 900-915, 2022.
- ^ ノーマン・グリーン『ネット社会を模す海の生物学(改訂版)』Blue Tide Press, 2016.
- ^ 【書名】『海上保安ドローンと動物行動の“偶然”相関』海上監視学年報, 2015.
- ^ 西田みなと『静穏ゾーン:12週間で頭打ちになる理由』自治体環境技術報告, pp. 77-104, 2023.
- ^ Hiroshi Matsumoto「Rephrasing as a Behavioral Feed in Urban Shorelines」『International Journal of Attention Ecology』Vol. 9 No. 2, pp. 141-166, 2024.
外部リンク
- Netuyofishデータポータル
- 沿岸音響観測ネット
- 港区人工藻場レポート庫
- カイメン目分類ハブ
- 海中同調群アーカイブ