フェンシング太田
| 名前 | フェンシング太田 |
|---|---|
| 本名 | 大田 燕也 |
| ニックネーム | 剣先の太田、オーベル・ランジ |
| 生年月日 | 1987年4月9日 |
| 出身地 | 東京都墨田区 |
| 身長 | 178 cm |
| 血液型 | A型 |
| 方言 | 標準語、下町ことば |
| 最終学歴 | 東都演芸大学 物理喜劇科卒業 |
| 師匠 | 柳瀬一刀斎 |
| 芸風 | ピン芸、コント、擬似実況 |
| 事務所 | 新橋クリエイティブ芸能 |
| 活動時期 | 2010年 - |
| 他の活動 | 舞台俳優、フェンシング解説風ナレーター |
| 受賞歴 | R-1ぐらんぷり2018準決勝進出、東京お笑い芸術祭2021審査員特別賞 |
| 公式サイト | 新橋クリエイティブ芸能 公式プロフィール |
フェンシング太田(ふぇんしんぐおおた、1987年〈昭和62年〉4月9日 - )は、の、。本名は大田 燕也(おおた えんや)で、出身。を主軸としつつ、競技用フェンシングの所作を応用した“決闘型コント”で知られる[1]。
略歴[編集]
フェンシング太田は墨田区の旧地区にあった演芸寄席「墨田剣劇亭」の子息として生まれたとされる。幼少期から竹刀の代わりに傘を持って近所の高架下で“突き”の真似をしていたことが、のちの芸風の原型になったという[2]。
に在学中、学内ライブ「第三回・瞬発力コンテスト」に単独で出場し、フェンシングのルール説明をしながら蕎麦を食べるネタで注目を集めた。これを見たのスカウト担当・早坂哲平が声をかけ、同年に所属。以後、ピン芸人として活動を開始した[3]。
ごろからの小劇場やのインディーズライブで人気を博し、には『R-1ぐらんぷり』の準決勝に進出した。審査員からは「笑いの到達点が毎回フェンシングの判定方法に似ている」と評されたが、どの点が似ているのかは最後まで説明されなかったとされる。
東京進出[編集]
上京直後はの四畳半アパートに住み、夜間は新宿のファミリーレストランで“突きの角度”を研究していたと伝えられる。にはの外階段で行われた飛び入り企画に出演し、観客が三度ほど息を止めたことから、業界内で“静かな爆発”と呼ばれるようになった[要出典]。なお、この時期に舞台用の銀色ジャケットを採用したことが、後年の代表的なビジュアルとなった。
芸名の由来[編集]
芸名は、本人が高校時代に所属していたフェンシング部の顧問・太田修造の名を借りたものとされる。ただし、太田本人は部の備品管理担当だったという説もあり、資料ごとに人物像が一致しない。いずれにせよ、芸名をつけた当初は「フェンシング大田」表記だったが、春に事務所の誤植係が“太”へ改めたことで現在の形に定着したという。
人物[編集]
一人称は「拙者」ではなく、舞台上でも私生活でも「わたくし」を使うことが多い。これはで学んだ“格調を上げるとボケの落差が増す”という理論に基づくとされる。
趣味は剣先イカの食べ比べ、古いフェンシング用品の収集、ならびにの路線図を見ながら間合いを測ることである。特にの等間隔性に強い執着を示し、2020年には1日で7回乗車した記録が残る[4]。
また、舞台袖での礼儀が異様に厳しく、共演者が「お先に失礼します」と言うと必ず90度の礼を返すという。楽屋での振る舞いが丁寧すぎるため、初対面のスタッフに学校の校長と間違えられたこともある。
家族[編集]
父は墨田区で和菓子店を営んでいた大田正武、母は元の包装係・大田澄江であるとされる。本人いわく、幼少期に風呂敷を畳む母の動作を見て“剣先の美学”を学んだという。また、姉が一人いるが、姉は「弟は食事の前に必ず一度フェイントを入れる」と証言している。
芸風[編集]
フェンシング太田の芸風は、フェンシングの用語を日常語に置き換える“翻訳コント”である。代表的な流れは、場面の緊張を「アタック権が移りました」と実況し、オチで小道具のフォイルを“天井のシミを指す棒”として再解釈する形式である。
ネタ作成は基本的に本人が担当するが、例外的にからは演出家の佐伯ミチルが“審判の笛だけ”を助言している。これにより、ネタのテンポが0.7秒ほど早くなったとされるが、体感的にはほぼ変わらないとも言われる。
また、漫才の要素を取り入れた“二人分の間合いを一人で演じる”スタイルも特徴である。左側をボケ、右側をツッコミとして動き分けるため、客席からは一人とは思えないという感想が多い。
出囃子[編集]
出囃子は作曲とされる『剣と拍手のための練習曲』で、実際には本人がの閉架で見つけた無記名の古いLPから採用したという。ライブによってはの鈴虫音を混ぜた特別版が使われ、初速の高い笑いを作るとされる。
受賞歴[編集]
に『R-1ぐらんぷり』で初めて予選を突破し、翌には準決勝進出を果たした。決勝進出は逃したものの、審査員の一人が「ネタ中に三回も礼をしたのがよかった」とコメントしたことから、礼儀点という独自指標がファンの間で語られるようになった。
にはで審査員特別賞を受賞した。同賞は“観客が一番静かになった瞬間が最も美しい”という基準で選ばれるとされ、受賞発表の会場がややざわついたことが逆に高評価につながったという。
そのほか、にはの「用具活用部門」を受賞したが、同部門はこの年限りで廃止された。理由は、審査に使用されたフォイルの先端が3本とも行方不明になったためと説明されている。
主な成績[編集]
・2018 準決勝進出 ・2021 審査員特別賞 ・2023 用具活用部門受賞
出演[編集]
テレビでは系の深夜番組『深夜の礼と突き』や、の実験バラエティ『よみがえる間合い』などに出演している。とくに『深夜の礼と突き』では、毎回エンディング前に30秒だけ剣を置いて語るコーナーがあり、視聴者から「内容は薄いのに妙に忘れられない」と評された。
ラジオでは『太田の一閃ラジオ』でパーソナリティを務め、リスナーから送られた人生相談を“構え”で分類する企画が人気を集めた。配信ドラマではの『下北沢アラベスク』に警備員役で出演し、台本にない礼だけで全5話のうち2話分の印象を持っていったとされる。
舞台では、、などで定期的に単独公演を行っている。また、CMではスポーツ飲料の広告に起用され、「水分補給も間合いのうち」という謎めいたコピーが話題となった。
現在の出演番組[編集]
『深夜の礼と突き』(テレビ東京系) 『太田の一閃ラジオ』(文化放送) 『下町バトンパス研究所』(ネット配信)
過去の出演番組[編集]
『よみがえる間合い』(NHK) 『剣先の夜明け』(BS東都) 『笑って構えて』(フジ系特番)
作品[編集]
にミニアルバム『En Garde, Tokyo』を自主制作で発表している。収録曲はすべて舞台転換用のSEを歌詞化したもので、売上は初週147枚であったが、そのうち11枚は同じ区の同じ書店で購入されたという。
DVD『フェンシング太田 単独ライブ「突くなら今だ」』は発売。特典映像には、本人がの横断歩道で信号待ちする様子が6分間収められており、編集担当が「最も笑いの少ない特典」と自虐している。
また、書籍『なぜ人は礼をすると笑うのか』を系の体裁で刊行したとされるが、実際には会場限定販売の薄い冊子であったとも言われる。
単独ライブ[編集]
単独ライブは『突きの季節』『礼節と速度』『アタック権はまだある』などがある。いずれもタイトルに“勢いはあるが中身は静か”という共通点があり、客入れのBGMより本人の足音の方が大きい日もあったという。
関連人物[編集]
師匠筋にあたるは、かつてで活動していた演芸家で、フェンシング太田に「笑いは間を刺してから抜く」と教えたとされる。ほかに、演出家の佐伯ミチル、音響の戸川ユウ、舞台美術の内海カズマが活動を支えている。
同期には同じ所属のピン芸人・紙束ジョン、漫談家・山吹りん、そして「拍手の早さだけで食べている」と噂される男・三枝シグレがいる。いずれもフェンシング太田と小劇場時代からの関係で、互いにネタの稽古を見せ合う文化があった。
なお、本人はのような劇場所属ユニットへの参加を度々打診されたが、「剣は一振りで十分」として断ったという逸話が残る。もっとも、これについては本人が酔った席で語っただけだという指摘もある。
影響[編集]
フェンシング太田の影響で、2020年代半ばには“スポーツ由来の小道具を用いるピン芸人”が都内に急増した。特にとでは、傘、ラケット、スパイス瓶などを使った模倣ネタが流行し、一時はライブハウスの備品棚が不足したと報告されている。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 早坂哲平『剣先と笑いの相関—下町ピン芸の成立史—』新橋芸能研究会, 2021.
- ^ 柳瀬一刀斎『間合いの美学: 舞台上のフェイント論』東都出版, 2019.
- ^ 大田澄江『風呂敷と礼法: 墨田の家庭文化誌』墨田文化社, 2016.
- ^ 佐伯ミチル『小劇場における身体の経済学』演芸評論社, Vol. 12, No. 4, 2022, pp. 44-61.
- ^ K. H. Watanabe, "The Rhythms of En Garde Comedy," Journal of Urban Performance Studies, Vol. 8, No. 2, 2023, pp. 101-119.
- ^ 高見沢悠里「東京における“武器系小道具”の受容」『現代演芸研究』第17巻第1号, 2020, pp. 5-23.
- ^ M. A. Thornton, "Silent Punchlines and Visible Footwork," Japanese Popular Culture Review, Vol. 5, No. 1, 2021, pp. 77-95.
- ^ 『東京お笑い芸術祭 記録集 2021』東京お笑い芸術祭実行委員会, 2022.
- ^ 戸川ユウ『音響係が見た一閃ラジオの三年間』ラジオ文化新書, 2024.
- ^ 「礼をした回数が多いほど笑いが増えるのか」『芸人と計測』第3巻第2号, 2018, pp. 12-18.
外部リンク
- 新橋クリエイティブ芸能 公式プロフィール
- 墨田剣劇亭アーカイブ
- 一閃ラジオ公式ページ
- 東京お笑い芸術祭 受賞者一覧
- 下町演芸データベース