ペット・ショップ・ボーイズ
| 名前 | ペット・ショップ・ボーイズ |
|---|---|
| 画像 | Pet Shop Boys live in Shibuya 1994.jpg |
| 画像説明 | での公演時の様子とされる写真 |
| 画像サイズ | 250px |
| 背景色 | #B0C4DE |
| 別名 | PSB、夜間営業同盟 |
| 出身地 | 東京都 |
| ジャンル | シンセポップ、ダンス・ロック、都市型歌謡 |
| 職業 | 音楽ユニット、作曲家、舞台演出家 |
| 活動期間 | 1981年 - 現在 |
| レーベル | ミラージュ・ナイン・レコーズ |
| 事務所 | トーキョー・エーテル・スタジオ |
| 共同作業者 | 、、 |
| メンバー | ニール・テナント、クリス・ロウ |
| 旧メンバー | なし |
| 公式サイト | petshopboys.jp |
ペット・ショップ・ボーイズ(ぺっと・しょっぷ・ぼーいず)は、の2人組ユニットである。所属事務所は、レコード会社は。に結成、にメジャーデビュー。略称および愛称は「PSB」である。公式ファンクラブは「夜間営業同盟」とされる。
概要[編集]
ペット・ショップ・ボーイズは、発祥の2人組ユニットであり、後半の都市型ディスコ再編運動を代表する存在である。白昼のと深夜のを往復するような音像で知られ、機械的なビートの上に、やけに人間くさい恋愛感情を乗せる手法が特徴とされる。
結成当初は、の上階にあった輸入家電店の試聴ブースで音作りをしていたとされ、店内のBGM規格をめぐるトラブルから独立したという説が有力である[1]。なお、初期の楽曲はの終電アナウンスに影響を受けたともいわれており、歌詞の半数が路線図の折り目で書かれたという逸話が残る。
メンバー[編集]
主なメンバーは、作詞を担当するニール・テナントと、編曲および機材設計を担当するクリス・ロウである。両者の役割分担は明確で、ニールが都市生活の不安を詩へ変換し、クリスがそれを互換の自作回路で冷やし固める構造になっている。
結成初期には、サポートメンバーとして、、らが参加したことがあるとされるが、ライブごとに名義が変わるため、正確な人数は研究者のあいだでも一致していない。2003年頃には「事実上の3人体制」とする見解も出たが、これは舞台監督を含めた数え方であり、音楽史上しばしば誤解を招く。
バンド名の由来[編集]
バンド名は、のペット用品店「ペット・ショップ・ボーイ」に由来する。創業者の老犬が夜になると棚卸し用の電卓を叩く癖があり、その音がデモ制作のリズムパターンに酷似していたため、来店客のあいだで「ボーイズ」と呼ばれるようになったのが始まりとされる。
ただし別説として、の深夜営業アーケードに掲示されていた求人広告「Pet Shop Boys Wanted」を逆読みにしたものだという主張もある。両説は長く対立したが、のファン投票では「どちらでもよいが語感が勝っている」が最多票を獲得した[2]。
来歴[編集]
結成[編集]
、の中古シンセサイザー売り場でニールとクリスが出会い、売れ残りの互換機を2台まとめて買ったことが結成のきっかけとされる。最初期の活動は、店頭実演の延長として行われ、客の会話をそのままサンプリングしたデモテープが地域の文化祭で話題になった。
当時はとして扱われるが、実際には「どこのレーベルにも所属していないのに毎月カタログが届く」という奇妙な状態で、音楽業界では半ば伝説化している。
デビュー[編集]
、シングル『Midnight Lease』でメジャーデビューしたとされる。オリコンチャートでは初登場27位ながら、発売3週目に突如1位へ上昇し、これは都内のカラオケボックスで同曲を同時に歌うと割引になる制度が導入されたためだという。
この成功により、ユニットは一躍な存在となったが、本人たちは「夜間営業向けの音楽がたまたま昼間に売れただけ」とコメントしたとされる。
1989年 - 1997年[編集]
にはアルバム『Suburban Cathedral』が発売され、累計売上枚数は国内だけで約183万枚を記録した。収録曲の『Elevator Romance』はの改札音を再構成したことでも知られ、同局からは当初抗議があったが、のちに「文化的再利用」として黙認された[3]。
にはの特番に出演し、ステージ上での換気音を楽器として扱ったため、放送後に視聴者から問い合わせが相次いだ。
2000年代以降[編集]
以降は活動休止と再始動を何度も繰り返し、特にの『Glass Ticket Tour』では、観客全員に透明な乗車券型パンフレットが配られた。これは「音楽は移動である」との思想に基づくもので、会場までの導線そのものを楽曲の一部として設計したとされる。
には再結成後初の配信限定シングル『Terminal Love』がストリーミング1.2億回再生を突破し、都市部の終電前後に聴く曲として再評価された。
音楽性[編集]
ペット・ショップ・ボーイズの音楽性は、、、を基礎としながら、駅前の再開発工事音やコンビニの入店音を織り込む点に特徴がある。とりわけ低音部は、の高架下で録音した金属音を加工したものが多いとされる。
また、歌詞は都市の孤独、深夜の買い物、恋愛の保留といったテーマを扱うことが多く、聴き手に「今すぐ帰るか、もう一軒行くか」を迫る構造になっている。音楽評論家のは、彼らの楽曲を「設計図としてのポップス」と評したが、本人たちは「むしろ仮設住宅に近い」と応じたという。
人物[編集]
ニール・テナントは、細部に異常なこだわりを見せることで知られ、衣装の袖口が3ミリでも長いとリハーサルを止めるとされる。一方のクリス・ロウは寡黙であるが、機材の配線ミスを一瞬で見抜くことから「歩く説明書」と呼ばれたことがある。
両者は公の場での口数が少ない反面、制作現場では極めて饒舌であり、ひとつのシンセの音色名を決めるだけで議論した記録が残る。なお、クリスは一時期の倉庫で自作スピーカーを量産していたというが、これは本人の証言なのか周辺住民の記憶なのか判然としない。
評価[編集]
ペット・ショップ・ボーイズは、において「商業ポップの体裁を保ちながら、都市計画の問題を歌にした稀有なユニット」と評価されている。特にのクラブ文化に与えた影響は大きく、彼らの影響を受けた若手ユニットがを中心に多数登場した。
一方で、楽曲の一部が「オフィスの蛍光灯の下でしか真価を発揮しない」との批判もあり、ライブ会場の照明が暗すぎるとむしろ歌詞が聞こえなくなるという逆説が指摘されている。もっとも、ファンの間ではこれを「聴覚的な余白」として肯定する声が強い。
受賞歴・記録[編集]
に『Subway Ceremony』で特別賞を受賞したほか、には年間アルバムチャート1位を獲得したとされる。記録上は「通算14回の週間1位」を保持しており、うち2回は同一タイトルの再発盤で達成されたため、統計処理をめぐって議論が起きた。
またには、深夜帯の音楽番組で「最もエレベーターに乗せたくなるユニット」として表彰され、これはの社内アンケートが発端であったという。
ディスコグラフィ[編集]
シングル[編集]
『Midnight Lease』(1986年) - デビュー作。カラオケ割引制度と結びつき、異例の売上を記録した。
『Terminal Love』(2016年) - 配信限定。終電前の再生数が極端に多く、曜日別集計で金曜深夜だけ突出していた。
『Glass Ticket』(2020年) - 紙ではなく透明樹脂盤で販売されたため、開封前に失くすファンが続出した。
アルバム[編集]
『Suburban Cathedral』(1989年) - 代表作とされる。駅周辺の群衆音を合唱に見立てた構成である。
『Elevator Romance』(1994年) - エレベーター11機分の昇降音をサンプリングした実験作。
『Night Shift Atlas』(2008年) - 深夜労働者向けの長尺曲を多く収録した。
映像作品[編集]
『Live at Shibuya Mirror Hall』(1997年) - 鏡面演出が話題となったが、観客が自分を見続けてしまうため一部で不評だった。
『Glass Ticket Tour Final』(2007年) - 全編が移動式スクリーンで撮影され、上映会場によって色味が変わる仕様である。
タイアップ一覧[編集]
彼らの楽曲は、の車内BGM、の深夜販促CM、の啓発映像などに起用された。特に『Terminal Love』は、駅構内での「あと1本前」キャンペーンと結びつき、タイアップの成功例として業界誌に取り上げられた。
また、2010年代後半にはのプロモーション曲も担当し、「夜の街を歩くときの安全な気分」を売りにした珍しいタイアップとして知られる。
ライブ・コンサートツアー[編集]
代表的なツアーには『Glass Ticket Tour』(2007年)、『After Midnight Circuit』(2012年)、『Station to Station Again』(2021年)などがある。いずれも会場導線、開演時刻、物販の並び順まで演出に含まれており、ライブというより交通実験に近いと評された。
特に公演では、開演前に観客へ折り畳み式の時刻表が配布され、終了後に「次の終電までの余白」を聴かせるアンコールが行われたという。サポートメンバーには、ストリングス担当の、ドラムのらが参加した。
出演[編集]
テレビではの音楽番組のほか、深夜情報番組『都市の余白』に出演し、無音の間を長く取りすぎたことで台本に追記が必要になったとされる。ラジオでは風の架空局『TOKYO MOON FM』で長寿コーナーを担当した。
映画出演としては、ドキュメンタリー風作品『A Night Bus Named Desire』に本人役で出演し、バス停の照明設計について15分にわたり語った場面が有名である。CMではの「夜も開いている安心感」キャンペーンに起用された。
NHK紅白歌合戦出場歴[編集]
、『Suburban Cathedral』を披露して初出場を果たした。舞台装置として巨大な改札機が設置され、演出の都合で審査員席までICカード風の札が配られたという。
には2度目の出場を果たし、『Terminal Love』の特別編集版を披露した。なお、衣装が白組の範囲を超えて「発光体」と表記されたため、番組内資料では色分けが曖昧になっていた。
批判と論争[編集]
一部の批評家からは、彼らの作品が「都会の夜景に依存しすぎており、地方都市では半減する」と批判された。また、のアルバム収録曲に、実在する駅名と架空の駅名が1文字違いで混在していたことから、鉄道ファンのあいだで小規模な論争が起きた。
さらに、ファンクラブ「夜間営業同盟」の会員規約において、入会時は午後9時以降でなければ申請できないという条項があり、これは形式上の夜型性を強制するものだとして要出典のまま残っている[4]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 黒田冬彦『夜間営業ポップ史』ミラージュ文庫, 1998.
- ^ Margaret A. Thornton, "Suburban Electronics and Urban Melancholy," Journal of East Asian Pop Studies, Vol. 12, No. 3, 2004, pp. 44-67.
- ^ 佐伯コンラート『改札機と合唱のあいだ』都市音楽出版社, 2001.
- ^ Hiroshi Watanabe, "Transit Sounds as Rhythm Sources in Tokyo Synth Pop," Popular Music Review, Vol. 8, No. 2, 1996, pp. 101-128.
- ^ 石井ミユ『夜の買い物と歌詞生成』青磁新書, 2010.
- ^ Petrov, Elena, "Transparent Tickets and the Aesthetics of Disappearance," Sound & City, Vol. 5, No. 1, 2017, pp. 9-31.
- ^ 久保田理一『設計図としてのポップス』港区文化叢書, 2009.
- ^ 高橋ノリト『終電後の和声論』新宿大学出版会, 2014.
- ^ Christopher Rowe, "When an Elevator Becomes a Chorus," The Journal of Urban Performance, Vol. 19, No. 4, 2020, pp. 201-219.
- ^ 『東京ポップ年鑑 1981-2021』東京音楽資料室, 2022.
外部リンク
- 公式サイト
- ミラージュ・ナイン・レコーズ アーティストページ
- 夜間営業同盟 公式掲示板
- 東京都市音楽アーカイブ
- ペット・ショップ・ボーイズ年表研究室