『マリオブラザーズネクスト』
| タイトル | マリオブラザーズネクスト |
|---|---|
| 画像 | MBN_title_mock.png |
| 画像サイズ | 300px |
| caption | 終盤ステージ『スカイ・ブリッジ郡』の空撮シーン |
| ジャンル | アクションシューティングゲーム(2D横スクロール) |
| 対応機種 | ニンテンドー64 |
| 開発元 | 桜井インタラクティブ研究所 |
| 発売元 | 共同カートリッジ販売株式会社(通称:KCV) |
| プロデューサー | 渡辺精一郎 |
| ディレクター | エミリア・クレーン |
| 音楽 | 平野ユウタ & スタジオ“燭光” |
| シリーズ | マリオブラザーズ |
| 発売日 | 1998年10月15日 |
| 対象年齢 | 全年齢 |
| 売上本数 | 全世界累計 164万本(初年度換算) |
| その他 | バーチャルコンソール対応(仮想配信版では難易度が再調整) |
『マリオブラザーズネクスト』(英: Mario Brothers Next、略称: MBN)は、にのから発売された用であり、シリーズの第12作目である[1]。本作は「兄弟が“次”へ跳ぶ」ことを主題に掲げた作品として知られ、のちにメディアミックスへと展開されたとされる[2]。
概要/概説[編集]
『マリオブラザーズネクスト』は、横スクロールの“2D操作”に合わせて疑似的な立体奥行きを付与するアクションシューティングゲームであり、兄弟はジャンプだけでなく、滑空・射撃・反射板を用いた軌道調整を行うとして説明されている[1]。
本作が注目された経緯として、プロデューサーの渡辺精一郎が「プレイヤーの“次の一手”を測る」目的で、ステージ構造を数値化した“跳躍格子(グリッド)”を導入したことが挙げられる[3]。また、販売初月にの周辺で行われた体験会では、参加者に「兄弟の中で誰が“次の鍵”を握るか」を問う投票用紙が配布され、投票比率が隠し要素の分岐に使われたとされる[4]。
なお、本作のキャッチコピーは「キャッスルじゃない。リンクだ。」であり、公式には“城の階段”を“コマの連結”として再解釈する意図があったとされる[5]。この点は、後述の開発資料が“数学に似たステージデザイン”を正当化する文言で埋まっていることとも整合すると指摘されている[6]。
ゲーム内容/ゲームシステム[編集]
プレイヤーはの主人公兄弟として操作し、撃つ・跳ぶ・滑るの三系統を同時に扱うことが基本設計とされる[1]。特に“反射板ショット”は、射撃した弾が壁ではなく、設置物の材質タグに反応して角度を変える仕組みであり、レビューでは「弾速より“面”の読み合いだ」と評された[7]。
ゲームシステムの特徴として、各ステージは全て“3層”で構成されるとされ、第一層が到達ルート、第二層が回収品の経路、第三層が失敗時の救済導線に割り当てられる[8]。失敗しても即死ではなく、“次の分岐点”へプレイヤーを転送する「延命ゲート」が働く仕様であると説明され、結果として周回が促進されたとされる[9]。
アイテム面では、落下してくるパネルを拾う「ピン留めコイン」、敵の攻撃を“遅延”させる「時差マッシュルーム」、および、一定時間だけジャンプの慣性を増幅する「ブースト靴(型番BS-7)」が登場するとされる[10]。さらに対戦モードとして、二人で“弾の軌道を奪い合う”協力と競争が混在した「リンク・チェイス」が実装され、プレイヤーの評価は賛否両論になった[11]。
オフラインモードに関しては、最大4人で遊べるとされるが、実際には“同一カートリッジでの順番待ち”を含むため、開発側が「協力ではなく儀式だ」と述べた記録がある[12]。この発言は、のちに制作経緯の項で「待ち時間もゲーム性に含めた」意図として引用されている[6]。
戦闘[編集]
戦闘は“銃撃”というより、地形を利用した弾道操作に重点が置かれたとされる。敵は、、などの系統に分けられ、弱点がHPではなく「接触面の温度帯」で管理されると説明された資料が残っている[13]。ただしこの温度帯設定については、後年の検証でUI表示との対応が曖昧であったとの指摘もある[14]。
対戦モード[編集]
「リンク・チェイス」では、互いの射撃を“奪う”ことでスコアが増減する。奪取は成功すると爽快だが、失敗時は自分の弾が味方の進路に吸着し、結果として協力が崩れるとされる[11]。この設計思想は、当時の商業誌で“喧嘩できる協力”と評されたとされる[15]。
ストーリー[編集]
物語は、兄弟がの崩落を目撃した直後、空中に現れた“次の道”の座標を追うところから始まるとして知られる[16]。城は実際には崩れておらず、座標がずれて見えただけだとされるが、兄弟はその誤差を“敵の時差”だと推定する[17]。
終盤の舞台は、の架空地名であるに連なる橋梁群「スカイ・ブリッジ郡」であり、各橋には“跳躍格子”の番号が彫られている[18]。第7格子を突破した後、兄弟は敵側の演算塔から「次とは何か」という問いを投げかけられ、プレイヤーは選択肢ではなく“入力速度”で返答を行う方式が採用されたとされる[19]。
なお、ラストイベントは録画映像が残っており、分岐条件が「コントローラ上のAボタンとBボタンの押下間隔が平均0.42秒以内」であると、攻略本でやけに細かく記述された[20]。この数値は当時ネットで“計測遊び”を誘発し、発売後のコミュニティ形成に影響したとされる[21]。
登場キャラクター/登場人物[編集]
主要人物はに相当する兄とに相当する弟であるとされ、いずれも“次の跳躍”に関する過去の失敗が共通の動機として描かれる[22]。兄は反射板の操作が得意で、弟は時差マッシュルームの扱いに長けると説明される[10]。
敵勢力には、城の座標ズレを発生させると呼ばれる監査官が登場するとされる[23]。彼らはのを拠点とする“税関風の機械”を纏い、戦闘中に「延命ゲートは行政判断である」などの台詞を放つとされる[24]。この官僚的な敵描写は、当時の雑誌で“笑いながら腹が立つ敵”として取り上げられた[25]。
また、味方側には“第三層の救済導線”を整えるが登場し、橋梁の欄干に紙片を貼り付けてルートを固定する役割を担うとされる[26]。キヨは終盤で沈黙するが、未回収のピン留めコインがあると最後にだけ小さな字幕が表示される仕様だったとされる[27]。
用語・世界観/設定[編集]
本作の中心概念として「跳躍格子」が挙げられる。跳躍格子は、ステージ上の足場を“次の一手”単位で再配置するための補助行列であり、開発側はこれを“数学的な遊び心”と説明したとされる[6]。
次に、敵味方を問わず登場する「延命ゲート」は、失敗時にプレイヤーを救済するだけでなく、プレイスタイルを推定して次の第三層を最適化する装置とされる[9]。一方で、演算塔が発する「時差」は、単に時間のズレではなく“慣性のズレ”として理解すべきだとする説が有力である[19]。
なお、ステージ名称は実在の地名と似せたものが多く、の架空区画のように、現実の都市計画用語を借用している点が指摘されている[28]。この“現実に似た語感”は、プレイヤーの没入を高めた一方で、設定考証の難しさにも繋がったとされる[29]。
開発/制作[編集]
開発はが担当し、企画段階では“2Dアクションの流体化”が目標だったとされる[6]。ただし資料では、最初のコンセプト案に「弾を流体のように曲げる」という記述があり、当時の開発会議でそれが“速度ではなく密度の問題”として扱われたという逸話がある[30]。
制作経緯として特筆すべきは、プロデューサーの渡辺精一郎がの旧倉庫で行った“跳躍格子合宿”である。合宿にはディレクターのエミリア・クレーンと、検算担当のが参加し、24時間で格子データを作り直したとされる[31]。さらに、なぜか合宿中の来訪者リストにの技術スタッフ名が含まれていたと記録されており、これは後年の編集者により「露骨な出典の入れ忘れではないか」と疑われた[32]。
スタッフについては、プログラマーの田中オサムが“ボタン入力の分布”を解析したとされ、結果として分岐条件が入力速度へ寄ったと考えられている[19]。一方で、デザイナー側は入力速度を隠す方針だったとされ、最終的に攻略本で数値が漏れた経緯は未だに議論がある[20]。
音楽(サウンドトラック)[編集]
サウンドトラックは平野ユウタとスタジオ“燭光”によって制作されたとされ、BGMにはカットアップ風のリズムが多用された。特に「回転する橋梁」は、冒頭0:17から“ジャンプ格子”に合わせて拍子が1回だけ揺れる構造であると、ファン解析で話題になった[33]。
また、主題曲「次の道、兄弟の弾」では、サビのコーラスに“実在しない地名”が一節だけ挿入されているとして注目を集めた[34]。この地名がどこを指すのか、当時は在住のプレイヤーが勝手に推理し、コミュニティに「地図の歌詞」文化を根付かせたとされる[35]。
評価(売上)[編集]
販売面では、初年度の全世界累計が164万本を突破したとされる。内訳として日本で61.2万本、北米で54.7万本、欧州で33.5万本、その他地域で14.6万本とされるが、この割合は“集計の方式”が明確でないと批判もある[36]。
受賞歴として、日本ゲーム大賞における“操作快感部門”で評価されたとされる[37]。ただし、同部門の選考基準が後に公開された際、審査票の一部が「跳躍格子の面白さ」といった曖昧な文言で構成されていたことが問題視された[38]。このため、評価は“実利より思想”を評価したものと解釈される一方、透明性が弱いという指摘も残った[39]。
批評[編集]
ゲーム誌のクロスレビューではゴールド殿堂に入ったとされるが、同時に“延命ゲートの多用が上達を鈍らせる”という声もあった[11]。編集者の間では、難易度調整がプレイヤーの入力癖に依存しているため、初見が不利だったのではないかとの見方も出たとされる[14]。
関連作品[編集]
本作の世界観を広げるメディアミックスとして、テレビアニメ『次の道は兄弟である』が制作されたとされる[40]。アニメでは、跳躍格子を“家業の家訓”として扱い、敵の座標税監をコメディとして描写した点が特徴であるとされる[41]。
また、攻略視点のスピンオフとして、兄弟の日常を描いた冒険ゲームブック『スカイ・ブリッジ郡の白い欄干』が出版されたとされる[42]。この本は、章の順番がページ番号ではなくコントローラの型番に紐づくと説明され、一部で「ただの迷子装置では」と笑われた[43]。
関連商品[編集]
攻略本としては『マリオブラザーズネクスト 跳躍格子完全解析』が発売されたとされる。本文では“入力速度の平均が0.42秒以内の人のためのルート”のように、数値を前面に出す構成だったとされる[20]。
ほかに関連商品として、公式風グッズの「延命ゲート型キーホルダー」や、サントラのCDに付属した“反射板メモ”(A6判、材質はアルミ蒸着)などが販売されたとされる[44]。一部の店舗では、メモに記されたQRコードが誤って別ゲームのページへ誘導してしまい、返品の理由が「次へ行けなかった」だったという逸話がある[45]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 渡辺精一郎『跳躍格子設計論:2D横スクロールの次元補正』桜井出版, 1999年。
- ^ エミリア・クレーン『入力速度と救済導線:延命ゲートの倫理』Vol.2, KCV研究叢書, 2000年。
- ^ 平野ユウタ『回転する橋梁:音楽が足場を変える瞬間』燭光書房, 1998年。
- ^ 田中オサム『ボタン分布解析の実務(追補版)』第1巻第3号, 情報ゲーム学会誌, 2001年。
- ^ 山口みどり『官僚的敵キャラクターの笑い:座標税監研究』pp.112-139, ゲーム文化評論, 2002年。
- ^ S. Nakamura『Grid Hopping in Pseudo-3D Platforms』Vol.7 No.1, Journal of Play Engineering, 1999.
- ^ M. Thornton『Refraction Mechanics in Console Action Titles』pp.44-61, Proceedings of Interactive Logic, 2000.
- ^ 伊藤カズオ『スカイ・ブリッジ郡の記号学的検算』第5巻第2号, 日本記号ゲーム論叢, 2003年。
- ^ 石井玲『“キャッスルじゃない。リンクだ。”というコピーの言語史』pp.7-19, 言語ゲーム研究会紀要, 1998年。
- ^ クイックスタート編集部『マリオブラザーズネクスト攻略の常識:跳躍格子完全解析』クイックスタート, 1999年(タイトル表記が一部版で『跳躍格子完全計算』となっている)。
外部リンク
- 桜井インタラクティブ研究所アーカイブ
- KCVメディアライブラリ
- 燭光サウンド解析ポータル
- 跳躍格子非公式データベース
- 座標税監コレクション