マリトッツォに埋もれて遊んじゃおうよ
| タイトル | マリトッツォに埋もれて遊んじゃおうよ |
|---|---|
| 画像 | 架空のパッケージアート(白いクリーム山と埋もれた冒険者) |
| 画像サイズ | 250px |
| caption | クリームの海を泳ぐプレイヤー(公式イラストとされる) |
| ジャンル | ほのぼの探索ロールプレイングゲーム |
| 対応機種 | 架空のハンドヘルド『PastryPocket(ペストリーポケット)』 |
| 開発元 | 菓子雲コンソーシアム(Cumulus Confection Consortium) |
| 発売元 | ミルク輪和商事(通称: ミル輪) |
| プロデューサー | 鷹見 倫子(たかみ りんこ) |
| ディレクター | 佐波田 クリス(さわだ くりす) |
| 音楽 | 遠柿 和奏(とおがき かずかな) |
| シリーズ | マリトッツォ王国冒険譚 |
| 発売日 | 2021年6月18日 |
| 対象年齢 | 全年齢(CERO相当: A相当) |
| 売上本数 | 全世界累計 186万本(2023年時点) |
| その他 | 通称: MBP。バーチャルでんぷん地図を同梱 |
『マリトッツォに埋もれて遊んじゃおうよ』(英: Maritozzo Buried Playtime、略称: MBP)は、[[2021年]][[6月18日]]に[[日本]]の[[菓子雲コンソーシアム]]から発売された[[架空のハンドヘルド]]用[[ロールプレイングゲーム]]。[[マリトッツォ王国冒険譚]]の第3作目である[1]。
概要[編集]
『マリトッツォに埋もれて遊んじゃおうよ』は、[[PastryPocket]]用[架空]ソフトとして提供されたほのぼの探索[[ロールプレイングゲーム]]である。プレイヤーは「埋もれ冒険者」として操作し、クリーム状の足場を伝ってお菓子の国を横断する[1]。
本作が注目された理由は、戦闘よりも「埋まり方」を競う設計にあったとされる。公式サイトではキャッチコピーは「キャッチはしない、沈むだけ。」とされ、さらに『初回プレイはクリーム指数 72%推奨』のような奇妙な数値ガイドが掲載された[2]。
なお本作は、のちに[[マリトッツォ王国冒険譚]]の雰囲気を確立した作品として位置づけられ、シリーズの第3作目にあたる[3]。ゲーム内では現実の菓子文化史と見紛う導入文が流れるが、その多くは開発上の“演出設定”として解釈されてきた[4]。
ゲーム内容/ゲームシステム[編集]
本作では、落ちものパズルの要素と探索RPGを統合した「埋没ナビゲーション」を採用している。探索フィールドには、クリーム山・砂糖雲・ゼリー舗道など、粘度の異なる地形が存在し、プレイヤーの沈み具合がルート選択を左右する[5]。
システムの中心は「潜りゲージ」であり、ゲージは行動に応じて変動するとされる。具体的には、ジャンプ着地から0.8秒以内に走り出すと“軽沈み(-12%)”、1.3秒以上待機すると“重沈み(+27%)”になると説明された[6]。この数値は開発資料の“心地よさ指標”をゲーム化したものだとしている。
戦闘はハンティングアクションに近い軽快さで行われ、敵は「胞子ドラジェ」や「バター雲コウモリ」のような菓子由来の存在として表現される。敵を倒すのではなく「クリームの重さを読み、押し返す」と進行するため、ゲーム進行はほのぼのに寄った設計となっている[7]。
アイテム面では、アイテムを収集するというより“埋もれに役立つ形状”が集められる。「羽目板スプーン」や「逆再生ホイップの欠片」などが代表例で、使用すると足場の硬さが変化するとされる[8]。対戦モードはオフラインでも可能で、同じクリーム山をどれだけ自然に歩けたかをスコア化する「埋没フェアレース」が存在する[9]。
ストーリー[編集]
物語は、甘味貿易都市[[飴灯港(あめあかりこう)]]から始まるとされる。主人公は“王国公式観測員”として派遣され、各地で起きる「お菓子の国のクリーム迷子」を記録する役目を負う[10]。
ある日、王国中央の[[練乳神殿]]が“沈み始めた”という報告が届く。練乳神殿の床からは、過去の冒険者の足跡が逆流するように浮かび上がり、プレイヤーは「埋もれて遊ぶこと」が封印をほどく鍵だと知らされる[11]。
第3作目らしく、今回は“埋没”が単なる事故ではなく、王国の伝統儀礼「季節クリーム航法」と結びつく。季節の転換点に合わせて、住民はわざと低温ホイップの中へ沈み、未来の航路を夢で確認するといった設定が語られ、プレイヤーはその儀礼を学びながら進む[12]。
登場キャラクター/登場人物[編集]
主人公は無名の“埋もれ冒険者”として扱われ、会話の主導は町の案内役が担う。案内役として最初に登場するのは[[ミルル・プルーニャ]]であり、彼女は“沈み読み師”として紹介される。ミルルは沈み方の癖を手袋の温度で判定できるとされ、初対面時に「今日は湯気が右に寄っている」と告げる[13]。
仲間には、スプーンを楽器のように鳴らして足場を調律する[[オリオン・コンフィ]]、そして“恐怖を砂糖に変換する”という設定の[[ビスクン・キャラメリー]]が含まれる。特にビスクンは戦闘よりも「クリームの匂い」を頼りに進路を決めるため、プレイヤーに探索の手触りを教える役割が強い[14]。
敵役としては、[[胞子ドラジェ]]の群れが挙げられる。彼らは倒されるたびに甘い粒になって散り、結果としてフィールドを“進めやすい地形”に変えていくため、悪役でありながら不思議な善性があると論じられることもある[15]。
用語・世界観/設定[編集]
本作の世界観は、菓子が物流と気象を兼ねる「香気循環圏」と呼ばれる概念で説明される。[[練乳神殿]]周辺では香気が“沈み”に変換され、離れるほど“跳ね”に戻るとされる[16]。
ゲーム内用語で重要なのが、沈み具合を表す「クリーム指数」である。指数は0〜100の段階で示され、雨の日に高くなるとされるが、実装上は天候ではなくプレイヤーの行動履歴で調整されていると推定されている[17]。この設定は、プレイヤーに“自分の操作が世界の物理を変えている”感覚を与えるためとされた。
また、各地に点在する“夢のしおり”は、過去の冒険者が書いたとされる航海日誌である。その一部は現実の地名と似た響きを持つとされ、たとえば[[東京]]にも似た「糖京(とうきょう)」という都市名が登場する[18]。ただし公式は「都市名の類似は偶然だ」と述べたとされるが、資料調査では編集方針の指示書が見つかったとも報じられている[19]。
開発/制作[編集]
開発は[[菓子雲コンソーシアム]]が主導し、制作経緯は“お菓子の国を歩かせる会議”から始まったとされる。会議の議事録では、最初に出た注文が「戦うより、埋もれて転がる動作を滑らかに」と記録されている[20]。
ディレクターの[[佐波田 クリス]]は、プロトタイプ段階で「沈むアニメーションを分岐させるだけで、プレイヤーが勝手に冒険っぽくなる」と語ったと伝えられる。さらにプログラマー陣は粘度演算のため、当初は“粘度マップ”を3,041枚で作ったが、最終的には1,982枚へ削減されたという[21]。
制作スタッフには、サウンド面の[[遠柿 和奏]]のほか、食感コンサルタントとして[[農林お菓子技術局]]の前身部署出身者が関わったとされる。ここで引用された“味覚の官能評価”の考え方が、クリーム指数の算出式に流用されたとする説明がファンにより補完されている[22]。
音楽と操作感の統合は、テストプレイのサンプル数が延べ 7,240 セッションに達したことで実現したとされる。なおこの数値は、公式発表ではなく当時の社内カレンダーに記されていたとされ、要出典の扱いとなった[23]。
音楽[編集]
音楽は「沈みの音階」をテーマに設計されたとされ、[[遠柿 和奏]]が作曲した。メインテーマでは、ホイップを擦るような高音と、低温で鳴るような丸いベースが交互に現れると説明された[24]。
サウンドトラック『MBP Cream Index』(通称: クリインデックス盤)は全15曲構成で、うち3曲はプレイヤーのクリーム指数に連動してテンポが変化する“可変拍子”として実装された。可変拍子は当時の技術的制約のため、ゲーム内では最大でも 8% の揺らぎに抑えられているとされたが、プレイヤーからは「もっと揺れて聞こえる」という声も多かった[25]。
なおエンディング曲「雲の下で甘くなる」は、開発中に臨時で録音された“午後4時12分の台所環境音”が素材になったと語られている。ただし録音の日時は複数回の修正があり、スタッフ間でも一致していないとされる[26]。
他機種版/移植版[編集]
本作は発売当初[[PastryPocket]]専用として提供されたが、のちに携帯機能拡張型の[[PastryPocket 2.0]]へ移植された。移植では描画負荷を抑えるため、沈み具合の計算を半精度化した結果、沈みの“ふわっ”感が増したと評された[27]。
また、互換サービスを通じて、仮想コンソール相当の「菓子棚チャンネル」へ配信された版では、対戦モードのマッチングが“友だちの通信簿”というUIで代替された。これは実質的なオンライン対応ではなく、オフラインデータを混ぜる仕組みであるとも説明された[28]。
海外展開では英語タイトルがやや直訳調に調整され、北米向けのパッケージでは略称を“MBP”から“MarPB”に変更する案があったとされるが、最終的には却下されたという[29]。
評価(売上)[編集]
売上は好調で、発売初月に日本国内で 34万本を記録したとされる。さらに年内には全世界で累計 120万本に到達し、広告施策が功を奏したという論調が見られた[30]。
一方で、ゲーム性の評価は割れた。[[ファミ通クロスレビュー]]では、総合スコアが26点とされつつ、ほのぼの要素に対して「面白いが、沈みの操作説明が散発的」といった批評が付いたとされる[31]。ただし同記事は当時の校閲担当が差し替えたとも言われ、出典には揺れがある[32]。
結果として本作は“日本ゲーム大賞”相当の[[日本ゲーム大賞受賞]]枠で評価を得たと報じられている。賞の決定理由としては「勝敗ではなく足場を楽しませた点」が挙げられた[33]。しかし同時期の別作品でも似た主旨が採用されており、受賞の背景は技術デモの露出にあったのではないかという指摘も存在する[34]。
関連作品[編集]
関連作品には、シリーズ前作の[[マリトッツォ王国冒険譚 第2作]]と、後年の[[マリトッツォ王国冒険譚 第4作]]がある。特に第4作では“沈みの学習”が強調され、クリーム指数がより詳細に分解されたとされる[35]。
また、本作を題材にしたメディアミックスとして、テレビアニメ『埋もれ小僧と雲の台所』(全26話)が挙げられる。アニメは「沈みは心のリズム」といった独自の格言を増やし、ゲームと同じ用語が頻繁に出てくるとして人気を得た[36]。
漫画『飴灯港の味見係』も刊行され、主人公側の視点が描かれた。作中では登場キャラクターが“敵を倒さない教育”を行う回があり、本作の平和性が前面に出たと評された[37]。
関連商品(攻略本/書籍/その他の書籍)[編集]
攻略本としては『MBP 公式埋没指南書 第1巻(沈みの章)』が発売された。内容は章ごとに「軽沈みルート」「重沈み迂回」「夢のしおりの読み方」が分かれており、ページ末ではチェックリスト形式でクリーム指数目標が提示されたとされる[38]。
書籍としては、世界観監修をうたう『香気循環圏の物語:練乳神殿の測定記録』が刊行された。記録の体裁をとることで資料風のリアリティを出したとされ、読者の間では「ゲーム設定なのに博物誌みたい」と評された[39]。
さらに、子ども向け派生教材『沈んで学ぶ:お菓子の国の安全な転がり方』が流通した。ここでは“転がり”の安全ルールがやけに細かく、たとえば「手袋は左手から装着、所要時間は 6分30秒」といった数値が書かれていたとされる[40]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 鷹見 倫子『沈みのデザイン:埋没ナビゲーションの思想』ミル輪和商事, 2021.
- ^ 佐波田 クリス『クリーム指数の算出式(社内報)』菓子雲コンソーシアム, 2020.
- ^ 遠柿 和奏『沈みの音階:MBP サウンド解析』Vol.3, 音菓出版社, 2021.
- ^ ノラ・ペティフォート『Soft Play Physics in Märchenlands』Journal of Sweet Interface, Vol.12 No.4, 2022, pp.33-51.
- ^ 中村 砂音『お菓子の国における探索RPGの受容』ゲーム文化研究会紀要 第7巻第2号, 2023, pp.91-108.
- ^ L. Hartman『Cream Index Tuning for Portable Devices』Proceedings of the Pastry Signal Society, Vol.6 No.1, 2022, pp.10-24.
- ^ 菓子雲コンソーシアム『MBP 公式開発ノート』第3版, 2021, pp.201-248.
- ^ 日本ゲーム大賞委員会『受賞理由記録:ほのぼの探索枠』第18回, 日本ゲーム大賞事務局, 2022.
- ^ ファミ通編集部『ファミ通クロスレビュー:マリトッツォに埋もれて遊んじゃおうよ』株式会社エンタメ通信, 2021.
- ^ “MBP Cream Index”監修『香気循環圏の物語:練乳神殿の測定記録』練乳大学出版局, 2021, pp.77-83.
外部リンク
- 菓子雲コンソーシアム 公式クリームログ
- ミル輪和商事 MBP サポート掲示板
- 飴灯港 観測員ギルド(非公式)
- クリーム指数 可変拍子研究室
- 日本ゲーム大賞 受賞作品アーカイブ(架空)