ワザップジョルノ
| 名称 | ワザップジョルノ |
|---|---|
| 別名 | ジョルノ式誤報、黄金の手順書 |
| 初出 | 2008年ごろ |
| 発祥地 | 東京都千代田区外神田 |
| 分野 | ネットミーム、投稿文化、虚偽攻略法 |
| 特徴 | 真偽不明の手順、過剰な断定、独特の文体 |
| 関連組織 | 日本ゲーム攻略投稿連盟 |
| 象徴色 | 金色 |
| 代表的引用句 | まず最初に、落ち着いてください |
ワザップジョルノは、後半の日本の匿名掲示板文化から派生したとされる、誤情報の拡散と訂正不能性を楽しむためのネットミームである。特に内のや向け投稿文化と結びついて発展したとされ、現在では「実用的であるほど怪しい助言」の代名詞として知られる[1]。
概要[編集]
ワザップジョルノは、上で流通した「一見すると役立ちそうだが、実際には検証不能な手順」を指す俗称である。名称は、投稿者が自らを風に名乗ったことに由来するとされるが、実際にはその前段階に型の軽率な断言文化があったとみられている[2]。
この語は単なるインターネット上の冗談にとどまらず、のちにやで再解釈され、半ば儀式化した「助言の演技」として定着した。特に、投稿文の冒頭で強い自信を示しつつ、本文で急に抽象化する構文が特徴とされる。
歴史[編集]
成立期[編集]
最初期のワザップジョルノは、からにかけての中古ゲーム店周辺で観測されたとする説が有力である。ある投稿者が、携帯機向けタイトルの裏技として「特定のポーズを長押しした後、で右を7回押す」と記したことが嚆矢とされるが、同じ手順を試した者の多くは何も起こらなかったという[要出典]。
ただし、この失敗が逆に注目を集めたことで、投稿は「外れたが勢いだけで読ませる」文体のモデルケースになった。後年の研究では、当時の界隈に見られた自虐的な誇張表現と、の煽り文化が結びついたものと分析されている。
黄金文体の確立[編集]
ごろ、都内の匿名投稿者「G. JORNO」と名乗る人物が、ワザップジョルノの文体を事実上完成させたとされる。彼は最初に結論を断定し、次に「とりあえず試してください」と読者に委ね、最後に「成功率はです」と根拠不明の数字を置く形式を多用した[3]。
この手法はだけでなく、、、さらにはの乗換案内を装ったジョーク投稿にも応用された。特に、無関係な文脈に「まず落ち着いてください」を差し込む癖が拡散の起爆剤となり、引用文化を伴って増殖した。
動画時代への移植[編集]
以降、ワザップジョルノは上で朗読・再現されるようになり、投稿文そのものよりも「読み上げたときの説得力」が重要視されるようになった。ある動画制作者はに及ぶ検証動画を公開し、結論として「やはり意味はないが、文章としては完成している」と述べたという。
また、の私設ゲームイベントで、司会者が来場者に向けて即興のワザップジョルノを披露したところ、会場内の中が笑い、が真顔でメモを取ったと記録されている。これが「誤報を共有して楽しむ」文化の地方展開の契機になったとされる。
文体と特徴[編集]
ワザップジョルノの文体は、強い確信、細かな数字、そして急な投げやりさの三要素から成るとされる。典型的には「でできます」「に試してください」「成功したらが変わります」といった記述が並び、読者にだけ実践を委ねる構造を持つ。
なお、文末に「信じるか信じないかはあなた次第です」と付すのは後期型であり、初期型ではむしろ無言の圧力で読者を従わせる傾向があった。研究者のは、これを「説明責任を放棄した命令文」と呼んでいる。
この様式は、が少ないほどむしろ怪しまれるという逆説を抱えていたため、投稿者の間ではわざと半角・全角を混在させる工夫も行われた。いわゆる「金文字の信頼感」は、この時期に定着した表現である。
社会的影響[編集]
ワザップジョルノは、単なる娯楽を超えて、ネット上の「もっともらしさ」の研究対象となった。特にの分野では、真偽判定よりも語り口が拡散率に与える影響を示す例として参照され、にはの公開講座でも取り上げられたとされる。
一方で、若年層の間では、明らかに怪しい助言を「ワザップジョルノ案件」と呼ぶ慣用句が生まれ、友人同士の警戒表現として機能した。これにより、家庭内ではゲームの攻略法だけでなく、の使い方やの霜取りまで疑われるようになったという。
また、の中学では、情報リテラシー授業の導入教材に似た事例が用いられたとされるが、講師が熱演しすぎて生徒の半数が「本当にある裏技だ」と誤認したという逸話が残る。
批判と論争[編集]
ワザップジョルノには、虚偽情報を娯楽化することで、現実の詐欺的投稿を見分けにくくするのではないかという批判がある。とくに以降、短文投稿の自動化が進むと、同様の断定調が広告や勧誘文に混入し、境界が曖昧になったとの指摘が出た。
これに対し擁護派は、ワザップジョルノはあくまで「不確かな情報を笑いに変えるための様式」であり、実害を目的としたものではないと主張している。ただし、のとある学園祭で、模擬出店の売上向上法としてこれを真似た企画が実施され、結果的にが売れたという報告があるため、完全な無害とも言い切れない。
なお、はに自主ガイドラインを公表し、「断定的表現を用いる場合は最低でも一箇所、検証不能性を示すこと」を推奨したが、実際には守られていない。
主要な派生形[編集]
ワザップジョルノには複数の派生形が存在する。代表的なものとして、手順をにまで引き延ばした「長文ジョルノ」、逆にで完結させる「極短ジョルノ」、および専門用語だけを並べて意味を空洞化させる「学術ジョルノ」がある。
特に「学術ジョルノ」は、のサークル内で発生したという説があり、実験結果や統計値をそれらしく付けることで説得力を高める形式が特徴である。たとえば「被験者のうちが成功」と記されるが、実際には被験者がしかいなかったとする記録が残る[4]。
さらに、の予想投稿に応用した「馬券ジョルノ」も一時期流行したが、これはほぼ全件が外れたため、現在では半ば伝説化している。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 渡辺精一郎『投稿文体の金属化――二〇一〇年代ネット掲示板における断定表現』情報文化研究叢書, 2019.
- ^ Margaret A. Thornton, “Performative Certainty in Japanese Gaming Forums,” Journal of Digital Folklore, Vol. 12, No. 3, pp. 44-71, 2021.
- ^ 佐久間裕也『匿名性と誤報の美学』青弓社, 2018.
- ^ Christopher L. Hayes, “The Giorno Effect: Meme Authentication and Failed Guidance,” Internet Studies Quarterly, Vol. 8, No. 2, pp. 103-129, 2020.
- ^ 日本ゲーム攻略投稿連盟 編『攻略掲示板白書 2012-2022』日本攻略文化出版, 2023.
- ^ 小林あずさ『「まず落ち着いてください」の社会学』ミネルヴァ書房, 2022.
- ^ Hiroshi Tanaka, “False Expertise as Entertainment: A Case Study of Wazapp Giorno,” Tokyo Review of Media Culture, Vol. 5, No. 1, pp. 9-28, 2017.
- ^ 高瀬直人『ネット伝承における数字の信用力』岩波現代新書, 2020.
- ^ Eleanor P. White, “From Hint to Hoax: The Lifecycle of a Japanese Internet Instruction Meme,” Asian New Media Review, Vol. 19, No. 4, pp. 211-240, 2024.
- ^ 『実践ワザップジョルノ大全――成功率87%の神話』メディアガイド社, 2021.
- ^ 山口祐介『半角と全角のあいだ』筑摩書房, 2016.
外部リンク
- 日本ネットミーム史料館
- 攻略文体アーカイブ
- 匿名掲示板文化研究室
- ジョルノ式投稿観測所
- 金色の手順書データベース