中部縦貫自動車道(松本JCT〜飛騨清見JCT〜白鳥IC・JCT〜福井北IC・JCT〜三国・舟津IC〜北潟IC〜加賀IC・JCT)構想
| 対象地域 | 〜〜〜 |
|---|---|
| 路線の性格 | 自動車専用道(連結・分岐型の段階整備構想) |
| 主要接続点 | 、、、、、、 |
| 想定延伸ロジック | を追加する前提 |
| 計画開始の端緒 | 「縦貫物流回廊」検討のための非公開会議(とされる) |
| 想定所要時間短縮 | 最終形で約42分、暫定形で約18分と試算されたとされる |
| 特徴 | “風の回廊”を用いた渋滞モデルが提案されている |
中部縦貫自動車道(松本JCT〜飛騨清見JCT〜白鳥IC・JCT〜福井北IC・JCT〜三国・舟津IC〜北潟IC〜加賀IC・JCT)構想は、およびを縦断する自動車専用道路の計画として語られてきたものである。既存の幹線に連結する形で区間を段階的に整備する構想であるとされる[1]。ただし、成立経緯には官民協議の裏帳簿や“風力学的な渋滞予測”のような逸話が混在している[2]。
概要[編集]
は、既存の高速道路ネットワークに縦方向の連続性を与えることで、観光・物流・救急搬送の時間を短縮することを狙った道路計画として説明されてきたものである[1]。
この構想の特徴は、北陸側の“最後のつながり”を重視し、具体的にはの自動車専用道を、既存区間に追加する形で段階整備する点にあるとされる[3]。当初案では、区間の接続を「渋滞の波形が重ならないように設計する」ことが技術部会の合言葉だったと、後年に一部の関係者が回想している[2]。
一方で、構想は“道路”であるにもかかわらず、交通工学の会議資料に「風向頻度」「山肌の積雪粒径」「トンネル換気の気柱共鳴」などの項目が併記されることがあったとされる。このため、資料を見た職員が「道路より先に気象学を読まされた」と冗談めかして語った記録が残っており、計画書の“専門の多層化”が早い段階から指摘されていた[4]。
成立の物語(検討会の誕生と目的)[編集]
「縦貫物流回廊」研究会と、最初の4つの縛り[編集]
構想が語られ始めた背景には、周辺の産業集積と、海側の港湾・卸売圏を結び直す必要性があったと説明される[1]。ただし、研究会の実務設計は“目的”よりも“縛り”から着手されたとされ、関係者の証言では縛りは次の4点だったとされる。
第一に、急カーブを避けるのではなく「カーブが発生する場所にだけ“固定渋滞”を割り当てる」ことで、平均遅延を均すという考え方である[5]。第二に、用地交渉を円滑にするため、橋梁の種類を3種に標準化すると決められた。第三に、暫定開通時の料金施策は“年末年始の混雑を横に逃がす”発想で、第三四半期にだけ休日割を変えるとされた[6]。第四に、沿線住民への説明では「医療圏が広がる」ことを主軸にする、とされた。
もっとも、当時の議事録には“固定渋滞”の定義がなく、代わりに「歌舞伎の見栄えに似ている」との比喩が書かれていたとされる。これがのちに、道路の話なのにやけに演出論が混ざる構想として、地域紙のコラムで半ばからかわれるきっかけになった[7]。
風力学的モデル「回廊の息」と、数字が暴走した瞬間[編集]
構想の提案者の一人として名が挙がるのが、(架空の内部呼称とされる)交通技術課の技官・である。彼は渋滞を“車の渦”として捉えるのではなく、“山と海の間を行き来する空気の流れ”に対応すると説明したと伝えられている[8]。
彼らが用いたとされるモデルは「回廊の息(かいろうのいき)」と呼ばれ、トンネル換気量を毎秒何リットルかで議論する代わりに、渋滞のピーク時間を“風向が安定するまで”の時間として扱うものであった[2]。試算の際には、付近の風向分布をもとに、混雑ピークのズレを17分と見積もった回があり、後に会議でその数字だけが独り歩きしたとされる[9]。
さらに、ある年度の試算では、最終形の開通で所要時間が約42分短縮される一方、暫定形では約18分短縮にとどまるという“二段階の数字”が並記された。ところが、資料の別紙では「短縮分の合計は60分を上限とする」と注釈されており、なぜ60分なのかの根拠は不明とされている[10]。これが、計画に対する懐疑と期待が同時に膨らむ理由になった。
区間設計:つながり方が“物語”になる[編集]
構想は、単に起点と終点を結ぶだけでなく、各ジャンクション・インターチェンジを「役割」で説明する癖があったとされる。たとえばは、山岳部の交通を受け止める“受容器”として扱われ、通過車の増減を抑えるために緩い合流形状が望ましいとされた[3]。
一方では、岐阜側と福井側を“乗り換えなしで流す”節目とされ、出口と入口の間隔を道路延長ではなく「運転者の注意が回復する時間(平均14秒)」で設計するという、説明資料らしからぬ記述が添えられていたとされる[5]。もちろん、この14秒は交通工学上の標準指標として知られていないため、後の批判点として残った。
さらに北陸側ではを中核に、提案の要としてを経由させる形が話題となった。ここで“追加区間”として提示されたのがである[1]。ただし、資料上の接続図には、との間に「寄り道が最短になる」注記があり、実際にはそれが物流ルートの都合で生じたものか、あるいは観光動線を意識した演出であるかが議論になった[4]。
結果として、この構想は“インターチェンジ名が駅前の看板のように読める計画”として記憶されることになった。地名の並びがあまりに具体的であるため、反対派は「地名で釣っている」と批判し、推進派は「地名は記憶の接着剤である」と応じたとされる[9]。
関係者と意思決定:官民の綱引きと“裏の規格”[編集]
構想の意思決定には、複数の利害調整があったとされる。表向きには、や各県の交通政策課が中心であると説明されることが多い[1]。しかし当時、裏で動いていたと語られるのが「縦貫物流回廊協議会」であり、そこには荷主側の団体、物流コンサルタント、そして“気象データの民間保有者”が参加していたとされる[11]。
特に周辺の需要予測では、ある民間企業が「積雪粒径の推計式」を提示し、運転挙動より先に除雪性能を決めるべきだと主張したとされる[6]。この主張は最終報告に採用され、車線数ではなく“凍結解消の処方時間”が優先指標になったという逸話がある。もっとも、その処方時間の定義が統一されず、会議後に資料のページ番号だけが増殖したとも言われる[2]。
また、橋梁の規格が3種に標準化される一方で、用地境界の測量精度には「±0.5メートル」という具体的数値が挿入された[10]。この数値は測量の実務目標としては成立し得るが、なぜ0.5なのかは不明とされ、後年に「測る方の気持ちの問題だった」と笑い話にされたという。計画の言葉が技術と感情の間で揺れていたことが、構想を長命にしたとも、長命にしてしまったとも説明されている[7]。
社会的影響:渋滞が“経済の季節”になった[編集]
構想が実現した場合、地域社会には輸送コストの低減だけでなく、物流の季節性が変化する可能性があると説明された[1]。推進派は、経由の販路が拡大し、冬季の水産出荷が前倒しされることで、港の雇用が安定すると主張したとされる[9]。
また、救急医療面ではから山側医療機関へのアクセス改善が期待され、搬送時間短縮の試算には“ピーク医療圏”という概念が持ち込まれた[3]。ここでは、時間を分で示すのではなく「渋滞の息が止まるまで」という表現が使われたとされ、実務者が苦笑したという記録が残っている[4]。
ただし影響は良い話ばかりではない。反対派からは、地価が“接続点の50メートル圏”で先行して上がることへの懸念が出された[6]。さらに、観光面では地名の連なりが宣伝に使われ、を目的地にする旅行商品が出回る事態が想定されたが、これが地域の生活導線を乱す可能性も指摘された[8]。このように、構想は道路であると同時に、地域の時間割(だれがいつどこに向かうか)を書き換えるものとして語られていった。
批判と論争[編集]
最も大きな批判は、モデルの説明があまりに“定性的”で、根拠の示し方が統一されない点にあったとされる[10]。とりわけ「回廊の息」という比喩が資料から消えたり、また復活したりしたため、編集者の立場から見ても説明が追いにくかったという指摘がある[2]。
また、の扱いについては、なぜ追加区間なのに単独の説明見出しが与えられたのかが疑問視された。反対派は「既存区間を守るための方便で、実際には用地交渉が難しい区画をごまかす意図がある」と主張した[5]。推進派は「説明の都合で順番が入れ替わっただけで、難易度は同じである」と応じたとされるが、結論は出なかった。
さらに、計画の“最終形で約42分短縮、暫定形で約18分短縮”という数字は、整合性が問われた。ある試算では合計が60分を上限とする注記があり[10]、別の資料では「短縮は利用者の心理によって変動する」と書かれていたとされる[9]。このように、数字があまりに具体的であるがゆえに、逆に信頼性が揺らぐという珍しい論争が発生したとされる。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 中部地域道路研究会『縦貫物流回廊と交通の時間設計』中部地域出版, 2012.
- ^ 渡辺精一郎『回廊の息:山岳交通の渋滞波形モデリング』国土社, 2015.
- ^ 田島和博「自動車専用道における“注意回復時間”の仮説」『交通工学研究』Vol.38第2号, pp.51-63, 2016.
- ^ 【道路整備局】編『連結ジャンクション設計要綱(暫定版)』官庁資料, 第3巻第1号, 2011.
- ^ 石川港湾物流協会『北陸沿岸の季節輸送と接続効果』港湾通信社, 2013.
- ^ M. A. Thornton, “Ventilation-First Planning for Mountain Tunnels”, Journal of Alpine Transportation, Vol.22 No.4, pp.101-119, 2018.
- ^ 佐伯啓二「渋滞ピークの遅延推定における風向データの役割」『気象交通連携論集』Vol.7, pp.10-27, 2017.
- ^ Hiroshi Nakamura, “Psychological Bounds in Travel-Time Reduction”, International Review of Road Economics, Vol.19 No.1, pp.77-92, 2019.
- ^ 福井県交通政策課『北陸救急搬送と道路連結(試算記録)』福井県印刷局, 2014.
- ^ 北陸地整監修『道路用地測量の目標精度と運用(±0.5mの考え方)』道路技術叢書, 2010.
外部リンク
- 縦貫物流回廊アーカイブ
- 回廊の息資料室
- 北陸接続模型研究グループ
- ジャンクション設計ノート(匿名版)
- 中部縦貫ロードマップ掲示板