九州縦断ツーリングカー選手権
| 読み | きゅうしゅうじゅうだんつーりんぐかーせんしゅけん |
|---|---|
| 発生国 | 日本 |
| 発生年 | 1991年 |
| 創始者 | 九州縦断ツーリング社 企画室(当時) |
| 競技形式 | 縦断区間走行+ルート観測+燃費技術の合算 |
| 主要技術 | 縦断ライン制御(ZLC)と方位ログ運用 |
| オリンピック | オリンピック正式競技(想定) |
九州縦断ツーリングカー選手権(きゅうしゅうじゅうだんつーりんぐかーせんしゅけん、英: Kyushu Longitudinal Touring Car Championship)は、で生まれた「縦断ルート適応」を軸とするのスポーツ競技である[1]。
概要[編集]
九州縦断ツーリングカー選手権は、からまでの「縦断ルート」を舞台に、車両の走行性能とナビゲーション精度、さらに燃費や消耗の管理を同時に競う競技として位置づけられている。
本競技においては、単に速さで順位が決まるのではなく、指定観測点でのログ一致率、区間ごとのタイヤ摩耗係数、そして「縦断ライン制御(ZLC)」と呼ばれる減速・再加速の癖の安定性が点数化されるとされる。観客にとっては、レースというよりも“縦に伸びる地形へ車を調律する作業”のように見えるのが特徴である。
公式記録では「完走」自体が一つの評価指標とされ、完走率が上位選手の条件に含まれる点が、従来のツーリング系イベントとの差別化要素となったと説明されている。なお、選手は地元の測量協会から貸与される「縦断方位地図」を携行するのが慣例となっている。
歴史[編集]
起源[編集]
競技の起源については、1991年にの倉庫街で開催された「港町から火山口へ、燃費で書く地図」と題する社内競技が発端になったとする説がある。企画したのは企画室の渡辺精一郎(わたなべ せいいちろう)であり、同氏は“車は速くするより、方位を間違えない方が賢くなる”という理念を掲げたとされる[2]。
当初の走行は、単純な縦断ドライブ(→→→)だったが、途中の土砂崩れ多発地点で観測点の位置がずれる現象が問題化した。これに対し、測量出身者が「観測点を曲率で再定義する」方式を提案し、ZLCの原型となるログ照合手順が整備されたと記録されている。結果として、順位は“いかに縦断の癖を誤差内に収めたか”で決まるようになったという。
もっとも初期は、計測装置がアナログであったため、記録の丸め誤差が選手間の争点になった。そこで1993年に、誤差を嘘ではなく「戦略」として点数に転化する制度(縦断誤差ボーナス)が導入され、競技は競技として成立したとされる。
国際的普及[編集]
競技の国際的普及は、1998年の「アジア縦断都市連盟」がに主催として招致したことに始まるとされる。同連盟は、自国の地形に合わせた“縦断方位”の概念を翻訳したが、言語差よりも「勝敗の重心が燃費とログに置かれている」点が新鮮だったとして受け入れられた。
2004年、ルールが「世界共通縦断測位規約(World Longitudinal Positioning Regulation)」として整形され、採点が国境を越えて比較可能になった。これにより、やだけでなく、の観測系自動車クラブにも取り込まれ、特に燃費技術の講習が人気を博したとされる。
ただし普及の過程で、他国チームは“速さ至上”の発想を持ち込み、縦断誤差ボーナスを悪用しようとしたことが問題化した。事実として、2007年大会ではログ一致率の虚偽申告が発覚し、当時のは検査プロトコルを強化したとされる。ここで技術体系が整備され、のちの用具規定にも影響を与えることになった。
ルール[編集]
試合は「縦断区間」を複数の観測ステージに分割して行われ、各ステージでは速度そのものより、指定観測点を通過する際のログ一致率が重視される。コースは公道をベースとしつつ、観測点の設置はの承認を得た“縦断測位帯”として区画されるとされる。
試合時間は標準で1台あたり総走行240分(目安)であり、観測点での停車は最大12分まで許容される。なお、停車時間はゼロベースで採点されるのではなく、「ZLC中断係数(再起動時の挙動ペナルティ)」が乗算されるため、単なる休憩は得にならない仕組みになっている。
勝敗は合計得点方式で、①縦断ログ一致率(最大60点)、②燃費換算点(最大25点)、③タイヤ摩耗係数(最大10点)、④遅延ペナルティ(最大-15点)で構成される。完走は最低条件であり、未完走の場合は順位から除外される一方、完走者は別枠で「縦断調律賞(完走技術に基づく)」が与えられる運用が行われてきたと説明されている。
要するに、速さだけでは勝てないが、“遅すぎてもログは保てない”ため、選手は一定の揺らぎを設計しながら走ることになる。この揺らぎが技術体系へと結びついている。
技術体系[編集]
本競技の中核は、縦断ライン制御(ZLC)と呼ばれる減速・再加速の「癖」を数式化した制御思想にある。ZLCでは、縦断ルートの曲率変化を事前に読み取り、ホイールベース方向の荷重移動を“読み通りに起こす”ことが目標とされる。
技術要素としては、縦断荷重観測(LWO)と呼ばれるセンサ群、方位ログ圧縮(ALC)と呼ばれるデータ処理、さらに「再加速の立ち上がり角度」を示す立上り規格(ROA)が組み合わされるとされる。ROAは0.8度刻みで調整されると公式ガイドで示され、細かな制御が競技の“通”の領域とされている。
また、燃費についてはエンジン性能のみではなく、車両全体の熱管理が点数化される。具体的には、停止許容時間内に車内の温度推移が規定曲線を外れた場合、燃費換算点に影響が出ると説明される。このルールが、海外チームのエアコン最適化の研究を促したとされる。
技術運用面では、選手側に「観測者(ナビ兼メカ)」の役割があり、運転手だけでなく観測者がログ一致率の責任主体になる。これにより、縦断ツーリングカー選手権は単なるドライビング競技ではなく、チーム技術の総合戦とみなされるようになった。
用具[編集]
用具は大別して車両規定部品と計測・携行機器に分かれる。車両規定では、タイヤは指定銘柄からの選択制であり、銘柄ごとに摩耗係数の基準値が登録されている。そのため選手は“勝つタイヤ”ではなく“勝つ摩耗グラフ”を選ぶ傾向が生じたとされる。
計測機器としては、縦断方位ログ計(DVL)と呼ばれる装置が必須である。DVLはGPSに依存するだけでなく、地磁気ゆらぎの補正を内蔵しているとされるが、実装方式は大会ごとにわずかに変更されるとされ、選手は事前に補正係数表を暗記することになる。
さらに、携行用具として縦断方位地図が配布される。この地図はの測量協会が制作し、観測点の座標は“道路の幅”まで反映されたと説明される。地図を折り目どおりに開いて使用しないと読み取りがずれる、という小さな罠があったことが、ある選手の敗因として後に語り継がれた。
変わり種として、チームが使用する微振動抑制材(VRS)が用具規定の範囲で認められている。VRSはサスペンションそのものではなく、センサの揺れを減らすために使うとされ、結果としてログ一致率に間接的に効くと考えられている。
主な大会[編集]
主な大会は、毎年の「九州縦断本戦(KZLC Main)」と、夏季の「縦断調律合宿レース(ZLC Camp)」、冬季の「低温ログ耐久(Cold Log Endurance)」に分けられるとされる。特に本戦は、季節で地形摩擦が変わることに着目し、ログ照合の学習が重要視される大会として知られている。
本戦の開催形式は、総走行240分+観測ステージ8区画が基本である。最終区画では、側の霧がログに与える影響を見せるため、DVLの補正係数を変更する手順が儀式のように組み込まれているとされる。
一方、合宿レースは同一チーム内のタイム比較に近い運用がされることが多く、外部から見れば“競技というよりトレーニング”に見える。しかし実際には、誤差ボーナスを最大化するための戦略講義が点数に含まれる制度になっており、観客が置き去りにされることで有名になった。
また、低温ログ耐久では、車内の熱管理の失敗がタイヤ摩耗係数へ波及するため、運転手より観測者が主役になる傾向がある。2016年大会では、観測者が地図の折り目を逆にしてしまい、最終的にログ一致率が-7点されたという逸話が伝わっている。
競技団体[編集]
競技団体は国内と国際の二層構造として運用される。国内ではが規約策定と車両検査を担当し、国際面ではが国際比較のための採点仕様を統一するとされる。
KZTAは審判の配置にも特徴があり、各区画に“ログ審判”と“摩耗審判”を分けている点がある。これにより、ログ一致率の争点が速度違反ではなく計測設計に戻るため、抗議が技術的に処理されやすいと説明されている。
運営資金は、スポンサーだけでなく「縦断測位教育基金」からの助成が大きいとされ、学校や自動車整備専門校でZLCの基礎が教えられている。さらに、過去の不正事例をもとに検査プロトコルが改訂されてきた経緯があり、競技の社会的信頼性を支える仕組みとして語られている。
なお、団体側は本競技を“オリンピック正式競技”へ近づけるため、記録の国際連携を進めているとされる。ここで、観測者の役割が競技人口を増やしたという評価が一部でなされている。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 渡辺精一郎『縦に走る論理:ZLC実装と採点設計』KZTA出版局, 1996.
- ^ 田中澄乃『燃費を物語にする採点法:縦断ツーリングの数理』技術評論社, 2002.
- ^ Sophie Martin, “Longitudinal Control in Touring Car Events: The ZLC Model,” Journal of Urban Motorsport, Vol.12 No.3, pp.45-61, 2005.
- ^ 清水誠人『ログ一致率の測り方:方位補正と丸め誤差の統計』計測工学会, 2007.
- ^ 郭文濤『縦断測位帯と教育基金の運用実態』アジア交通政策研究所, 第8巻第2号, pp.101-130, 2010.
- ^ Kenta Nakamura and Hiroshi Otake, “Tire Wear as a Competitive Signal in Touring Navigation,” International Review of Motorsport Analytics, Vol.6 No.1, pp.9-27, 2013.
- ^ IFLM, “World Longitudinal Positioning Regulation (WLPR) 1.2,” IFML Publications, pp.1-88, 2004.
- ^ 九州縦断ツーリングカー協会『九州縦断本戦公式採点要項(第3版)』KZTA, 2018.
- ^ Margaret A. Thornton, “Olympic Pathways for Hybrid Navigation Sports,” Proceedings of the International Sport Governance Forum, Vol.19, pp.200-223, 2021.
- ^ 片桐ユイ『ツーリングは遅くて強い:縦断誤差ボーナスの是非』スポーツ制度研究叢書, 2022.
外部リンク
- KZTA 公式採点シミュレータ
- IFLM 国際縦断規約ポータル
- 縦断方位地図アーカイブ
- ZLC講習動画ライブラリ
- DVL 校正証明書データベース