偽き鯉
| コンビ名 | 偽き鯉 |
|---|---|
| 画像 | (架空)鯉の口だけが動く着ぐるみの宣材写真 |
| キャプション | 『でかい口の法則』の舞台上で撮影された写真 |
| メンバー | ボケ担当:渡辺 どんぶら(わたなべ どんぶら)/ツッコミ担当:小宮 からさわ(こみや からさわ) |
| 結成年 | 2009年 |
| 解散年 | (活動継続) |
| 事務所 | 笑神舎 |
| 活動時期 | 2009年 - 現在 |
| 芸種 | 漫才・ものまね・ショートコント |
| ネタ作成者 | 渡辺 どんぶらが中心(小宮 からさわが口上を監修) |
偽き鯉(にせきごい、英: Nisekigoi)は、を拠点とする架空のお笑いコンビである。[[笑神舎]]所属で、[[2009年]]に結成された。鯉の着ぐるみを着用した[[漫才]]と「錦鯉風の口上」として知られる[1]。
概要[編集]
偽き鯉は、鯉の“生物っぽさ”を極端に強調したコメディを核とする架空の[[お笑いコンビ]]である。とりわけ、曲面の多い着ぐるみを使った「息継ぎのリズム」や、架空の師匠から受け継いだ“口上の型”で知られる[1]。
コンビ名の「偽」は、本人たちが公の場で「本物の鯉になりきれない」「ただし“それっぽさ”だけは本物」と説明していることに由来するとされる。なお、初期の活動では「鯉のモノマネ芸人」と紹介されることも多く、テレビ局の制作現場では口伝で“にせき”と呼ばれた時期があったという[2]。
メンバー[編集]
ボケ担当の[[渡辺 どんぶら]]は、口上の語尾を意図的に三段階へ変調することで観客を混乱させる技法を得意とした。彼の“どんぶら語彙”と呼ばれる語彙セットは、控室で50音を紙に書き出し、そのうち「ぶら・ぶり・どん・ぶん」のみを採用するなどの習慣があったとされる[3]。
ツッコミ担当の[[小宮 からさわ]]は、着ぐるみの口が開閉するタイミングに合わせて論理を畳みかける役割を担う。小宮は「鯉は水面でしか判断できない」という作中ルールを持ち込み、客の笑いが途切れた瞬間に“水面の設定”を再定義することで立て直すと報じられた[4]。
来歴/略歴/経歴[編集]
結成とNSCルート[編集]
偽き鯉は[[NSC]]の一次選考をすり抜けた“合格者同士が滑り台で転がり落ちる”という都市伝説的な経緯で結成されたとされる。実際の結成日は[[2009年]]4月17日で、当初の仮称は「にせ鱗(にせりん)」だった[5]。仮称は、滑舌のテストで“りん”だけが妙に刺さり、観客が反射的に拍手したことから改名されたという。
同年の学園祭では、渡辺が鯉の着ぐるみの胴回りを[[65 cm]]と申告し、実際に計測してから縫い直した。小宮は「数字が嘘だとボケが死ぬ」方針を掲げ、以後、ネタの前振りに細かな数値を埋め込む制作スタイルが定着した[6]。
東京進出と“錦鯉風”の注意書き[編集]
[[2012年]]に東京へ活動拠点を移した際、所属事務所である[[笑神舎]]は「鯉ネタは既に飽和」と判断したとされる。ただし、偽き鯉の初回営業では、観客が笑うタイミングを“水面の高さ”として換算し始めたことで話題になった[7]。
この時期、偽き鯉は“錦鯉に似ている”と言われることを避けるため、舞台袖で毎回「これは偽物です(ただし似せています)」という注意書きを声に出してから登場したという記録が残っている。ただし、注意書きを読んだ直後から似ていく演出になっており、結果として「むしろ伝説化した」と報じられた[8]。
芸風[編集]
芸風は主に[[漫才]]で、冒頭の口上から“鯉の体温”を巡る哲学へ滑り込む構成が多い。渡辺が口上を唱え、小宮が「その口、酸素濃度が低いですよ」とツッコむ流れは、初期に観客の鼻息が聞こえたことで生まれたとされる[9]。
ネタの特徴として、(1)設定上の“水面の温度”を[[18.3℃]]や[[21.0℃]]のように細かく提示すること、(2)鯉の“泳ぐ方向”を比喩ではなく運送便の番号で説明すること、(3)ラストで観客の拍手回数を当てに行くことが挙げられる。なお、拍手回数は当てにいくほど外れる設計であり、外れた瞬間に「ほら、偽なんだよ」とまとめるのが定番となった[10]。
ただし、偽き鯉の“偽”は侮蔑ではなく、似せたうえで自分から崩す勇気として語られることが多い。一方で、制作陣の間では「似せる方向性が危うい」との指摘があり、脚本会議では“似せる比率”を紙片で投票する謎の手順が導入されたという[11]。
エピソード[編集]
偽き鯉が全国ネットのロケで大物司会者に呼ばれた際、渡辺は「口上は呼吸の延長」として、台本のページ数を[[12ページ]]ではなく[[12.0ページ]]と表現した。小数点の有無を理由に司会者が笑うと、渡辺が“鯉の浮力計算”として即興で[[9.81 m/s^2]]を持ち出したため、現場は一度だけ止まったという[12]。
また、ある地方局の特番では、着ぐるみの口を開閉させるためのエアダクトが[[A4用紙]]1枚分の隙間で塞がり、口が開かないトラブルが発生した。にもかかわらず小宮は「鯉は黙っている間に“言い訳”を作る」と説き、黙ったまま“ツッコミだけ”を連打するスタイルに切り替えたとされる[13]。
さらに、彼らのファンコミュニティでは“偽き鯉の正しい見方”として「水槽の前では笑ってはいけない。笑うなら拍手の前に一呼吸置く」などの独自ルールが拡散した。番組側が注意喚起を出した結果、逆に視聴者がルールを守るようになり、結果として番組の平均視聴維持率が上がったという、やけに都合のいい数字が残っている[14]。
出囃子[編集]
出囃子は「[[どんぶら小唄]]」とされ、冒頭30秒だけ三味線が“間違った拍”で入る仕様になっている。制作スタッフによれば、最初に聞こえる拍がずれているほど観客が「何か始まる」と察し、結果的に笑いが前倒しになると計算されたという[15]。
また、舞台転換の間に小宮が一度だけ鳴らす合図の太鼓は、実際には太鼓ではなく“空になったボールペンのキャップ”を指で弾く音で代用されているとされる。ただし、この事実は後年のインタビューで否定されたため、要出典に相当する扱いで語られることがある[16]。
賞レース成績・受賞歴[編集]
偽き鯉は[[M-1グランプリ]]での成績が特筆されており、[[2014年]]にはファーストステージから“口上の数値化”を全面に出したことで評価が集まったとされる[17]。同年は準決勝進出に加え、審査員が「鯉のロジックが破綻しているのに説得力がある」とコメントしたことが話題になった。
一方で、[[キングオブコント]]では“似せる”要素が強すぎるとしてブレイク前から議論の的になった。にもかかわらず[[2016年]]の準優勝は、得点が伸びたのではなく「笑いの波形が安定した」ことが理由と説明された。ここで用いられた“波形”という表現は、後に計測担当者が否定したとされる[18]。
受賞歴としては、[[2017年]]の「地方局イチオシ賞(第3回)」や[[2019年]]の「嘘でも泣ける漫才大賞」を獲得したと報じられている。ただし、嘘でも泣ける漫才大賞は主催が匿名であり、公式サイトが頻繁に更新されないことで話題になった[19]。
出演[編集]
テレビ番組では、レギュラーの[[笑神亭]](毎週土曜深夜)に出演しているとされる。番組内では「鯉のモノマネ芸人としての矜持」がテーマ回として扱われ、渡辺は“本物との差分”を科学の言葉で語る企画が好評だった[20]。
過去の出演としては、[[2020年]]の特番「にせき全国水面紀行」や、関東ローカルの[[ラジオバトル]]にゲスト出演した記録がある。なお、ラジオでは着ぐるみを外し、代わりに“声の高さだけ鯉にする”実験が行われ、リスナーが一斉に擬音を書き込んだという[21]。
また、配信では短尺動画プラットフォームの「口上30秒選手権」で上位進出を果たし、最長記録は[[00:30]]ではなく[[00:29]]で止める演出が評価されたとされる。こうした“短く終わる偽”が、視聴者の期待をずらすとして言及されることが多い[22]。
作品[編集]
CD/DVDとしては「偽き鯉 口上コレクション〜偽の呼吸〜」([[2018年]])がリリースされたとされる。収録ネタには“水面の温度当て”をテーマにしたものが多く、特典としてメモ用紙が付属し、客が本番前に書いた数字を後から回収して再現する企画が組まれていると報じられた[23]。
単独ライブとしては「偽の鱗が剥がれる夜」([[2021年]]、[[新宿]]の架空劇場“鱗座”で開催)などが知られる。なお、当日パンフレットの誤植として「鱗座→きん座」と誤って記載されたが、結果として誤植がネタに昇格したという[24]。
単独ライブ[編集]
単独ライブではセットを毎回変え、“水槽の位置”を微調整することで客の笑いの角度を研究したとされる。渡辺は「笑いは斜めに入ってくる」と語り、観客席の導線を[[3]]方向へ分ける運用を行ったが、スタッフが迷子を出して中止になった回もあるという[25]。
ライブの終演時には必ず「偽き鯉の現在位置」として、自分たちのいる場所を当てるコントが挟まれる。これは会場名が伏せられていても進行できるように作られた“保険芸”であり、外れたときにだけ拍手が大きくなる仕掛けになっていると説明された[26]。
書籍[編集]
書籍としては「偽き鯉の“似せて逃げる”技術」([[2023年]])が出版されたとされる。内容は漫才の脚本論ではなく、呼吸と間の計測方法、着ぐるみの構造に関する“現場メモ”が中心である。
同書では、口上の語尾を変える方法として、紙片に「ぶら・から・どん」を並べ、読み上げ速度を[[毎分112語]]のように数値で管理する章がある。ただし、後年の編集者は「112語は打ち間違いで、正しくは[[毎分122語]]だった」と述べており、差分がそのまま第2版の“嘘の章”に採用されたという[27]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 山岡まどか『鯉が笑いになるまで—偽の呼吸と口上の設計』笑神舎出版局, 2024.
- ^ 渡辺どんぶら『偽き鯉口上集(現場版)』鱗座メディア, 2018.
- ^ 小宮からさわ『ツッコミは水面で鍛える:数値化された間』河原書房, 2020.
- ^ 田中ユリヤ「“似せる”が許される条件—配信視聴維持率の検討(架空)」『コメディ研究ジャーナル』Vol.12 No.3, pp.45-61, 2022.
- ^ Kobayashi K., Thornton M. A.「Rhythm Misalignment in Semi-Living Costumes」『Journal of Stage Humor』Vol.8 No.1, pp.10-27, 2019.
- ^ 佐藤健一『NSCの裏口と都市伝説—一期生の滑り台記録』青藍印刷, 2013.
- ^ 米田啓太『地方局イチオシ賞の統計と物語化』全国放送社, 2017.
- ^ 匿名編集部「キングオブコント採点会議の議事録(抄)」『賞レース運用叢書』第3巻第2号, pp.120-133, 2016.
- ^ Miyata R.『Waveform Laugh: A Practical Guide』東京数式出版社, 2021.
- ^ 編集部『偽でも生きる漫才—“嘘の章”の作り方』笑神文庫, 2023.
外部リンク
- 偽き鯉 公式ポータル
- 笑神亭 番組アーカイブ
- 鱗座(会場)データベース
- 口上30秒選手権 スコア履歴
- 嘘でも泣ける漫才大賞 受賞者一覧(非公式)