日本科学研究支援株式会社
| 会社名 | 日本科学研究支援株式会社 |
|---|---|
| 英語名 | Nippon Scientific Research Support Co., Ltd. |
| 略称 | 科研支援 |
| 設立 | 59年(1984年) |
| 本社所在地 | 丸の内八丁目付近 |
| 事業内容 | 研究費助成運用、調達支援、審査支援(周辺業務含む) |
| 主要顧客 | 大学・公的研究機関・企業の研究部門 |
| 会計上の分類 | 研究開発関連サービス(非製造) |
日本科学研究支援株式会社(にほんかがくけんきゅうしえんかぶしきがいしゃ、略称:科研支援)は、の研究費助成・調達支援をうたう民間企業である。表向きは研究開発の「公正な配分」を目指すとされるが、実務では審査の周辺領域を広く取り込んだとされている[1]。
概要[編集]
日本科学研究支援株式会社は、研究費の「申請」から「執行確認」までを一貫して支援するとされる企業である。とくに科研費(科研費に準ずる資金)を模した運用設計を売りにし、審査資料の作法や経費の“通りやすさ”の最適化まで請け負う点が特徴とされる[1]。
同社は、審査委員会に提出される書類の書式統一や、採択見込みの推定モデルの提供を行うとされている。なおモデルは、研究内容の科学性だけでなく、研究者の「共同研究相性スコア」や「実験室の湿度履歴」まで参照したとする内部記録が引用されることがあり、研究支援が“書類産業”に近い形へと変質したと見る向きもある[2]。
一方で同社は、民間の立場から透明性を担保する仕組みを導入したともされる。たとえば採択前に、研究提案を「可読性」「再現可能性」「倫理適合性」の三軸で自動採点し、その結果を申請者にフィードバックするとされている[3]。ただし後述の通り、この三軸の比重が年度ごとに“微妙に”変動していたとの指摘がある。
成立と沿革[編集]
同社の成立は、1980年代前半の研究費逼迫が背景にあったとされる。特に55年(1980年)に始まったとされる「研究計画の電子化キャンペーン」が、逆に申請書作成の負担を急増させた結果、紙の作法を専門とする“研究費翻訳業”が市場化した、という筋書きが語られることがある[4]。
科研支援はその受け皓として、最初期にのベンチャー数社と共同で「配分文面校正の標準化」事業を立ち上げたとされる。当時の社内マニュアルには、申請書の1行目末尾は原則として「である。」に統一すべきである、といった細則があり、現在の研究倫理とは別の“文体規律”が重視されていたとされる[5]。
その後、同社は支援対象を研究費から調達へと拡張した。具体的には、共同研究に付随する装置購入の仕様書作成を受託し、結果として研究費と調達の両方を握る構図が形成されたとされる。さらにで開催された「湿度管理研究会」を主催し、研究室の環境条件が書類の“通過率”に影響すると喧伝したことが、同社の奇妙な人気につながったとする証言もある[6]。
事業と仕組み[編集]
採点モデル「KR-3軸法」[編集]
科研支援の中核とされるのが採点モデルの「KR-3軸法」である。これは可読性・再現可能性・倫理適合性をそれぞれ25点満点ずつ、合計75点に圧縮し、残りの25点は“運用適合度”として別枠で加点する設計だったとされる[7]。報道では残り25点の算定要素として、研究室の在籍者の「会議発言頻度(推定)」や、提出書類のフォーマット遵守率が挙げられたとされるが、同社は「推定は統計的に妥当」としている。
なお内部資料では、倫理適合性の採点に「倫理監査チェックリストの項目数」が関係しており、項目が多いほど高得点になる傾向があったとも記録されている[8]。一見すると“丁寧さの評価”のようにも見えるが、実務ではチェックリストを増やすことが目的化したとの指摘がある。
調達支援「仕様書の準天頂」[編集]
同社は装置・消耗品の調達支援にも踏み込み、「仕様書の準天頂」と呼ばれる手法を提唱したとされる。これは、メーカーに照会する前に仕様書を天体の軌道のように整列させ、見積もりのブレを減らすという発想である。特に“角度”を示す項目(設置角、傾斜角、光学軸のズレ許容)に関して、同社が用意したテンプレートの文言が採用される割合が高かったとされる[9]。
このテンプレートには、たとえば「ズレ許容は±0.7°とする」といった妙に具体的な数値が含まれていた。実際には装置ごとに妥当性が異なるはずだが、テンプレ通りに書くことで調達が通りやすくなる、という“実務的な裏ルール”が発生したと記録されている[10]。
社会的影響[編集]
科研支援の活動は、研究者の時間配分に長期的な影響を与えたとされる。支援契約を結んだ研究室では、実験・計算に割ける時間が増えたという声がある一方、支援を前提に書式の癖が矯正され、結果として研究計画の自由度が“見えないところで”減ったとの指摘もあった[11]。
また同社は、大学の事務部門に対して研修を行い、「審査者が読む速度」を意識した文書の作法を普及させたとされる。とくに内の複数大学で導入された「三分で理解される背景説明」研修では、背景節の文字数が1案件あたり平均1,240〜1,260字に収まるよう誘導されたとする内部報告がある[12]。
さらに科研支援は、研究倫理やコンプライアンスの“見せ方”にも影響したとされる。倫理適合性の加点要素が可視化されると、研究者はリスク低減のためにではなく、加点機会を狙って記載を厚くする傾向を示したと指摘されている[13]。この結果、倫理の“実装”よりも“説明”が先行するという批評が生まれた。
批判と論争[編集]
科研支援に対しては、透明性と恣意性の境界が問題視されてきた。特にKR-3軸法の比重が年によって調整され、年度ごとに最適解が変わるよう設計されていたのではないか、とする疑惑がある[14]。同社は「改訂は統計モデルの最適化」であると説明したとされるが、改訂の理由が公開されないことが不信感を助長したと指摘されている。
また、湿度履歴が採択の“間接要因”として扱われていたのではないかという証言もある。報告では、研究室の空調記録を提出させる運用が一部で行われ、提出しない場合は「計画の現実味が薄い」と見なされたとされる[15]。ただし同社は、湿度はあくまで品質管理の参考であり、採否を決める直接要素ではないとしている。
一方で最も笑い話のように語られるのが、同社がかつて提出者に配布した「脚注の位置は句点の直前」という簡易ルールである。このルール自体は妥当であるにもかかわらず、同社の社内資料では“ルール遵守が信頼の代理変数になる”とまで書かれていたとされる[16]。のちに、この文章が社外に流出したことで、学界では「研究より句点が偉いのか」という皮肉が広まったとされる。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 渡辺精一郎『研究計画の書式革命:昭和後期の申請文化』霞ヶ関出版, 2003.
- ^ Margaret A. Thornton「On Document Readability as a Proxy for Research Quality」『Journal of Administrative Science』Vol.12第3号, 2011, pp.41-58.
- ^ 佐藤明音『助成審査はどこまで機械化できるか:KR-3軸法の系譜』文京学術図書, 2009.
- ^ Kenji Nakamura「Procurement Templates and Variance Reduction in Laboratory Equipment」『International Review of Research Management』Vol.27第1号, 2014, pp.101-119.
- ^ 高橋清志『湿度が説明を救う日:研究室環境指標の実務導入史』中部理工企画, 2016.
- ^ 田中涼介『電子化キャンペーンと研究者の時間配分(推計)』学術資料センター, 2001.
- ^ Lars H. Berg「Ethics Checklists as Incentive Structures」『Ethical Operations Quarterly』Vol.8第2号, 2018, pp.12-27.
- ^ 科研支援内部調査委員会『三分で理解される背景説明:研修記録(抄録)』非売品, 2019.
- ^ 北村宏『句点の直前にある信頼:脚注運用と審査者の視線』誠文堂フォーラム, 2022.
- ^ (要出典)Mori Eri「On the Myth of Transparent Funding Allocation」『Public Finance Myth Studies』第5巻第2号, 2020, pp.3-9.
外部リンク
- 科研支援アーカイブズ
- KR-3軸法 学習資料
- 湿度履歴研究会(旧サイト)
- 仕様書テンプレート共有掲示板
- 三分背景説明アトラス