本項目は呪われています
本項目は呪われています(ほんこうもくはのろわれています)とは、の都市伝説の一種で、特定の見出しや注意書きに現れるとされる不気味な文言である[1]。主にやの、古いの余白などで目撃されたという話があり、読むと自分の周囲で小さな異常が連鎖すると言われている[2]。
概要[編集]
本項目は呪われていますは、インターネット上の警告文が実体化したかのように語られるである。文言そのものは単純であるが、掲示された場所によって意味が変わるとされ、や譚の現代版として扱われることがある[3]。
伝承によれば、この文は「読者に見つかった時点で効力が確定する」タイプのであり、最後まで読んだ者の近くでページ番号がずれる、ログイン画面が再表示される、時計の秒針だけ遅れる、などの現象が目撃されたという話がある。なお、複数の学校で似た内容の紙片が見つかったことから、の一種としても広まったとされる[4]。
歴史[編集]
起源[編集]
起源はごろの内の深夜掲示板にさかのぼるとされる。当時、匿名投稿者が「本項目は呪われています。以上。」とだけ書き込んだことが最初期の記録とされ、投稿から12分後に同一回線の別端末で文字化けが連続した、という目撃談が残る[5]。もっとも、この記録はログ保存担当のが半年後に廃業しているため、検証は困難である。
別説では、古い百科事典の製本工程で、背表紙の糊が乾く前に編集者が注意書きを貼り付けた結果、活字の下に「呪」の字形が沈み込んだことが発端であるとも言われている。この説を採る研究者は少ないが、のちにが「活字災厄の典型例」として紹介したことで半ば定説化した。
流布の経緯[編集]
以降、携帯電話の文化とともに全国に広まったとされる。とくに「件名:本項目は呪われています」の短文が、本文なしで転送される形式が流行し、受け取った生徒が翌日の朝礼で妙に静かになった、という話が各地の中学校で共有された[6]。
には上で、画面右下に一瞬だけ現れる警告字幕として注目され、再生回数が92万回を超えたと報じられた。もっとも、その多くは「2回見ると字幕が増える」という検証を試みた視聴者であり、結果として余計に不安を煽ることになった。
噂に見る「人物像」[編集]
本項目は呪われていますの伝承では、これを最初に書いた人物は「編纂室の夜番」と呼ばれる。名前は時代や地域で変化し、、、あるいは単に「白いジャンパーの校閲者」とされることもある[7]。
人物像として共通するのは、いずれも「誤字を直すために深夜まで残っていた」「閉館後のでひとり索引を照合していた」など、極端に地味な労働者像である点である。そのため、伝承は怪異であると同時に、編集作業への過剰な献身を戒める職業譚としても読まれている。
一部の地域では、この人物は「読む者の背後に立つ」よりも「ページの余白に住む」と表現される。とくにの一部では、白黒印刷の紙束からだけ現れるお化けとして語られ、赤い修正液の匂いを嫌うという細部まで付け加えられている。
伝承の内容[編集]
伝承によれば、この文言が載った項目を開くと、まずページ番号が1つずれる。次に、本文中の漢字の一部が微妙に古字体へ変化し、最後に閲覧者の周囲で「本」という字だけが異様に目につくようになるという[8]。
さらに、夜間に読むと「自分以外の端末が同じ項目を見ている気配」が生じるとされる。目撃談では、画面の反射に知らない顔が映る、カーソルが勝手に余白へ逃げる、保存していない下書きに「まだ閉じないで」と出る、などの現象が語られている。ただし、これらの多くはの自動補完や接触不良によるものとする反論もある。
また、学校では「最後まで読み切ると次の授業の出席番号がひとつ増える」という奇妙な言い伝えがあった。これは各クラスでたまたま欠席者が続いたために生まれた偶然と考えられているが、当時の生徒の間ではかなり強い恐怖を伴って受け止められた。
委細と派生[編集]
紙媒体版[編集]
紙媒体版は、古本屋で見つかる栞付きの項目として知られている。栞には「第3版増補」と印字されているが、実際には第2版の余白に手書きで補われたもので、購入者が家に持ち帰ると必ず1枚だけ見当たらなくなるとされる[9]。このため、古書店の棚では他の本よりわずかに低い位置に置かれることが多いという。
電子掲示板版[編集]
電子掲示板版では、スレッド番号の末尾に「666」や「404」が付くと発生しやすいとされる。実際には投稿が埋もれやすいだけであるが、深夜帯に限ってレスが連鎖し、最終的に誰かが「この項目、消したほうがいい」と書くところまでが一連の型として定着した[10]。
校内放送版[編集]
ごろからは、の校内放送で「本項目は呪われています」というアナウンスが流れたという派生もある。これは実際には機器点検時の回線試験用テープが誤って再生された結果とされるが、放送後に給食のだけが妙に冷たかった、などの付随証言が増え、噂が増幅した。
噂にみる「対処法」[編集]
もっとも広く知られる対処法は、「項目名を3回声に出してから、検索結果を閉じずに別タブへ逃がす」方法である。これにより呪いが分散し、閲覧者本人ではなくブラウザの履歴に移るとされる[11]。
ほかに、画面の右上に向かって消しゴムを3回振る、印刷物ならホチキスを外してから再製本する、という民間療法もある。関東地方の一部では、を振る代わりに「更新」を押すとよいとされ、若年層ほどこの方法を信じたという。
ただし、対処法の中で最も効くとされるのは「深呼吸してから、誰かに見てもらう」ことである。目撃者が増えるほど怪異が薄れる、という心理的説明が付される一方、複数人で同時に見た場合は全員が少しずつ不安になるため、結果として誰も勝者にならない。
社会的影響[編集]
本項目は呪われていますは、における自己言及的な怖さの象徴として引用されることが多い。とくに後半の若年層には、「リンク先が危険」というより「リンク先がこちらを見返してくる」という感覚を定着させた点で影響が大きいとされる[12]。
教育現場では、情報モラルの教材としてしばしば使用された。あるの中学校では、閲覧後に感想文を書く授業を行ったところ、約38%の生徒が「内容よりタイトルが怖い」と回答したという。なお、残りの生徒は「タイトルを音読したら隣の席が笑った」と答えた。
また、出版社側では、注意書きや免責文の配置を見直す動きが生じたとも言われている。脚注をページ末に置くか、余白に置くかをめぐって編集会議が長時間化した例もあり、この都市伝説は実務にまでわずかな影を落とした。
文化・メディアでの扱い[編集]
には深夜ラジオ番組『』で特集が組まれ、パーソナリティの一人が放送中に「この原稿も呪われています」と読み上げたことで、一週間だけ番組宛ての葉書が増えたという[13]。また、同年の短編ドラマでは、字幕の誤表示を怪異として演出したため、再放送時に字幕担当が最も怖がったとされる。
漫画やゲームでは、項目そのものが敵役として登場することがある。たとえば、ページを読むたびに背景の本棚が1冊増える演出や、選択肢のうち「閉じる」を選ぶと必ず次の画面で再度表示される構造が好まれた。これらは都市伝説の不気味さを可視化したものとして評価されている。
一方で、やでは、検証動画がブーム化した。動画の多くは「9分17秒に異変が起こる」と自称していたが、実際には出演者が毎回同じ机を見つめるだけで終わるため、コメント欄がむしろ二次創作の温床になった。
脚注[編集]
[1] 伝承資料では初出表現が揺れている。 [2] 学校配布プリントの写しに基づくとされる。 [3] 『都市伝説研究年報』第14号。 [4] ただし同様の記述は各地で独立に発生した可能性がある。 [5] ログの原本は現存しない。 [6] 携帯メール文化との関連は後年の再構成とする説もある。 [7] 人名は地方版によって異同が大きい。 [8] いずれも個人の体験談に依拠する。 [9] 返品記録との照合は行われていない。 [10] 末尾番号と怪異の相関は確認されていない。 [11] 俗信の域を出ない。 [12] 文化史的研究では「警告文の人格化」と呼ばれる。 [13] 番組公式記録には残っていない。
参考文献[編集]
佐伯俊一『匿名掲示板と怪異表現の変遷』河出書房新社, 2014年.
Martha E. Kline, "Curse Notices in Digital Folklore", Journal of Contemporary Mythology, Vol. 22, No. 3, pp. 41-68, 2016.
中村澄子『学校の怪談における文言型伝承』青土社, 2009年.
Hiroto Seki, "When Warnings Look Back: An Archive Study", Folklore and Media Studies, Vol. 11, No. 1, pp. 5-29, 2012.
藤井誠『余白の妖怪学』岩波書店, 2018年.
Elizabeth R. Moore, "Typographic Hauntings in East Asian Internet Culture", International Review of Urban Legends, Vol. 7, No. 4, pp. 113-139, 2020.
山岸律子『本項目は呪われていますの成立と拡散』社会評論社, 2011年.
Paul J. Rennick, "The Cursed Heading Problem", Media Folklore Quarterly, Vol. 9, No. 2, pp. 77-84, 2015年.
編集工学研究所編『警告文の民俗誌』中央館出版, 2021年.
小田切太郎『タイトルが先に怖いとき』北沢書店, 2017年.
関連項目[編集]
脚注
- ^ 佐伯俊一『匿名掲示板と怪異表現の変遷』河出書房新社, 2014年.
- ^ Martha E. Kline, "Curse Notices in Digital Folklore", Journal of Contemporary Mythology, Vol. 22, No. 3, pp. 41-68, 2016.
- ^ 中村澄子『学校の怪談における文言型伝承』青土社, 2009年.
- ^ Hiroto Seki, "When Warnings Look Back: An Archive Study", Folklore and Media Studies, Vol. 11, No. 1, pp. 5-29, 2012.
- ^ 藤井誠『余白の妖怪学』岩波書店, 2018年.
- ^ Elizabeth R. Moore, "Typographic Hauntings in East Asian Internet Culture", International Review of Urban Legends, Vol. 7, No. 4, pp. 113-139, 2020.
- ^ 山岸律子『本項目は呪われていますの成立と拡散』社会評論社, 2011年.
- ^ Paul J. Rennick, "The Cursed Heading Problem", Media Folklore Quarterly, Vol. 9, No. 2, pp. 77-84, 2015年.
- ^ 編集工学研究所編『警告文の民俗誌』中央館出版, 2021年.
- ^ 小田切太郎『タイトルが先に怖いとき』北沢書店, 2017年.
外部リンク
- 国立民俗情報研究会アーカイブ
- 都市伝説資料室
- 閲覧注意文化研究センター
- 学校怪談データベース
- 匿名掲示板年代記