絶対差別マン
| 名前 | 絶対差別マン |
|---|---|
| 本名 | 矢部 亘(やべ わたる) |
| ニックネーム | 差別雷神(さべつらいじん) |
| 生年月日 | 1989年5月12日 |
| 出身地 | |
| 身長 | 172 cm |
| 血液型 | B型 |
| 最終学歴 | の私立芸能高等学校 卒業 |
| 事務所 | ピクシー・スクリュー事務所 |
| 公式サイト | ZettaiSabetsuMan.jp |
絶対差別マン(ぜったいさべつまん)は、強烈な差別的な言動で笑いを成立させようとすることが特徴のお笑い芸人である。差別を題材にしたネタがしばしば問題視され、炎上と番組降板を繰り返してきたとされる[1]。
概要[編集]
絶対差別マンは、漫談と即興を融合したスタイルで知られる日本のお笑い芸人である。持ちネタは、あらゆる属性に対する差別語を次々に繋げていく形式であり、聴衆の「反射的な笑い」を狙って強い衝撃を与えるとされる。
一方で、ネタの中核が人権を直接的に踏みつける構造である点が繰り返し批判されており、スポンサーの意向変更や収録スタジオの使用停止など、職能の存続そのものに影響が出たとも報告されている[2]。なお本人は「差別を“演出”として笑いに変換しているだけで、当人の思想とは無関係」と主張しているが、受け取り手の反応は一様ではないとされる。
本項では、絶対差別マンのネタがどのような文脈で成立し、どのような社会的作用を持ったのかを、創作としての伝承を含めて整理する。
略歴[編集]
テレビ企画局の“安全装置”として生まれたという説[編集]
絶対差別マンの前身活動は、2008年頃にの小劇場で行われていた「一言爆弾」形式の即興に遡るとされる。伝承によれば、当時の制作会社は“差別を笑いにしてはならない”という反省文を社内に貼り出したものの、視聴者が見たいのは「言葉の刃」であると考え、編集段階であえて“刃の輪郭”だけを残す設計をしたとされる[3]。
この設計思想に沿って、絶対差別マンは「言ってはいけない言い方」を定型句として覚え、尺に合わせて発火させる技術者的な芸風として育てられたと語られている。とくに初期のネタは、1回のステージで“差別語の連鎖”を最大回までに制限し、それ以上は自動的に間を取る「ブレーカー芸」と呼ばれたという[4]。
冠番組“差別の温度”で一気に知名度が上がった時期[編集]
本人が大衆の前に強く打ち出されたのは2016年、深夜枠の情報バラエティ『差別の温度』であるとされる。番組側は、差別の是非ではなく“言葉が人に触れた時の温度変化”を測るという体裁を取り、スタジオに「熱感度マイク」を設置したと報じられた[5]。
絶対差別マンは毎回、想定される反応の発生タイミングを秒単位で申告してからネタを披露したとされ、初回は開始から後に観客の笑いが最大化し、その後で沈黙が発生したという“データ演出”が話題になったとされる。視聴者には冷笑も好意も混在し、ネット上では肯定派と批判派が同じクリップを奪い合う形になった[6]。
芸風[編集]
絶対差別マンの芸風は、分類不能なほど幅広い差別語を「カテゴリごとに整列」させ、最後に“絶対”という言葉で総括する点に特徴がある。本人の説明では、ネタはまず性差、年齢、障害、宗教、人種・民族などを“辞書の見出し”のように並べ、そこに同じ韻律(語尾の共通音)を付与してから投下するという[7]。
ツッコミ担当は基本的に不在で、絶対差別マン自身が「今のは大丈夫?」「大丈夫じゃないね?」と自己確認する“独り会議”を繰り返す。これにより、視聴者の判断を遅らせてから笑いへ接続する構造が作られているとされる。ただし、実際の反応は「笑い」よりも「怒り」「萎縮」「嫌悪」に寄る場合が多いと指摘されることもある[8]。
なお本人は、差別語を“玩具化”しているつもりだと主張しており、ネタ作成は「台本会議」ではなく「自己点検ログ」に基づくと語ったことがある。作成ログは1ネタにつき平均、各行に「笑いが出る条件」「止める条件」「炎上する条件」を書き分けているとされるが、真偽は定かではない。
エピソード[編集]
絶対差別マンが一躍“事件性のある芸”として語られたのは、2018年の地方局公開収録である。進行台本には「差別的表現を禁止する但書」が存在していたが、本人はそれを“反証ネタ”として読み替え、「禁止されるほど笑いが濃くなる」と宣言したとされる[9]。
当日、本人はスタッフに確認する形で「この線引き、目視で何ミリですか?」と質問し、場内の巻き尺で線引き幅を測らせたという。のちに関係者は、巻き尺の数値がだったと証言したと報じられたが、本人は「メタファーの精度を見せたかった」と供述したとされる[10]。
また、2019年のインターネット配信では、視聴者がチャットで差別語の“出題”を求めるほど熱狂する瞬間があったとされる。絶対差別マンはそれに応え、チャット欄からランダムに選んだ語を秒で言い切って終了する「三秒テロップ漫談」を披露したが、直後にコメント欄が凍結され、配信は途中で停止された。停止理由は「システム更新」だとされたが、当時のスクリーンショットには“監視キーワード”が表示されていたという[11]。
賞レース成績・受賞歴[編集]
絶対差別マンは、お笑い賞レースにおいて“危険な完成度”が評価される形で結果を残したとされる。ただし、受賞時期の記録が複数媒体で食い違うことがあり、百科記事のような整理では一部が推定扱いになる。
本人が話題になったのは2017年の『第34回爆笑構文大賞』における準優勝であるとされる。審査員は「言葉の連鎖が技術として成立している」と評し、批判側からは「技術ではなく加害の設計だ」と反発が起きた[12]。さらに2019年には『M字ウケコンテスト』で“観客反応指数”が最も高いとされる部門賞を獲得したと伝えられるが、公式記録は閲覧制限されているとも言われる。
なお本人は、賞レースでの評価が社会の是非を意味しないと釈明したとされる。一方で、主催側が“差別をネタにした事実”を軽視していたのではないかという疑義が残ったとも指摘されている[13]。
出演[編集]
絶対差別マンは、深夜情報バラエティ『差別の温度』を起点に、差異や偏見を扱うドキュメンタリー風のバラエティに次々と呼ばれたとされる。主な出演には、系の『言葉の温度計』、の『スタジオ偏差値』などがあるとされるが、放送局や時期には揺れがあるとされる。
ラジオ番組では『夜更けの皮算用』に不定期出演し、リスナーから寄せられた“禁句”を自分の芸として処理するコーナーを持ったという。本人は「処理」と称したが、批判側は「再生産」と表現したとされる。劇場では単独ライブ『絶対差別マンの絶対議事録』を開催し、会場の客席では“笑いの拍手”と“抗議の沈黙”が同時に増えるという独特の空気が語られた[14]。
映画については、コメディ枠の短編『刃と拍手』に出演したとする記述があるが、配役の確証は得られていないという。この種の曖昧さが、本人の“伝説化”を助け、結果として批判をさらに拡大させた側面も指摘されている。
批判と論争[編集]
絶対差別マンの芸は、差別の内容が多方面に及ぶことから、活動初期から強い反発を招いたとされる。批判は主に、(1)笑いのために対象を固定し、(2)受け手の内面に直接介入する構造を取り、(3)“冗談”として免責されやすい言い訳の枠組みを与える点に向けられている[15]。
一方で擁護の声としては、「差別を言語化することで社会の恐怖を可視化した」という主張が見られた。だが、実際には可視化される恐怖が当事者ではなく視聴者の“好奇心”として消費されるとして、擁護にも疑義があるとする意見が出た。さらに、制作側が“炎上は宣伝”とみなしていたのではないかという推測も、当時の番組進行資料の流出に基づく形で語られた[16]。
論争の帰結として、複数の企業案件が停止し、公式番組の一部では出演回が差し替えられたとされる。ただし、差し替えの理由は「コンプライアンス上の判断」とだけ説明されることが多く、当事者の声をどう扱ったかは資料上で確認できない場合があった。ここに、笑いが公共圏でどこまで許容されるかという、繰り返しの論点が残されたとまとめられる。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 架空山 風見『笑いの温度と視聴者の安全域』黎明コメディ研究所, 2017.
- ^ 矢間 翼『炎上の編集技術:但書を刃に変える企画書』pp. 41-63, Vol.2, 2018.
- ^ Dr. カルロ・ベッローニ『On the Performance of Offense』Journal of Satirical Semantics, Vol.12 No.3, pp.77-98, 2020.
- ^ 花井 澄江『“禁句”を尺にする:台本ログの統計分析』新宿ライブラリー, 2019.
- ^ 朽木 玲奈『ラジオが再生産するもの:差別語処理の心理学』音声メディア学会紀要, 第9巻第1号, pp.12-29, 2021.
- ^ スタジオ偏差値編集部『スタジオ偏差値大全(完全版)』【BS】研究企画, 2016.
- ^ 絶対差別マン監修『絶対議事録:自己点検ログの公開書式』ピクシー・スクリュー, 2019.
- ^ 北条 省吾『差別と“笑いの免責”の境界:法と感情のズレ』法文化評論, Vol.8 No.2, pp.205-231, 2022.
- ^ U. Nakamura『Audience Reaction Indexes in Comedy Scandals』International Journal of Media Friction, Vol.5 Issue 4, pp.101-130, 2019.
- ^ (出典確認が必要)『第34回爆笑構文大賞 審査講評』笑技学会, 2017.
外部リンク
- ZettaiSabetsuMan.jp
- 差別の温度計アーカイブ
- 夜更けの皮算用(放送記録)
- ピクシー・スクリュー事務所 公式プロフィール
- 言葉の温度計 企画資料館