膣ゴシゴシRTA
| 名称 | 膣ゴシゴシRTA |
|---|---|
| 別名 | VG-RTA、VGRTA、膣RTA |
| 起源 | 2007年ごろ、東京都中野区の個人配信環境 |
| 競技形式 | 制限時間内の手順最適化と判定精度 |
| 主催母体 | 日本即時完了競技連盟(JIFCA) |
| 主要大会 | 第一回下北沢タイムアタック杯 |
| 標準記録 | 31秒42 |
| 参加者層 | 配信者、医療系学生、速度記録収集家 |
| 論争 | 公共性、表現の適否、審判基準の揺れ |
膣ゴシゴシRTA(ちつごしごしアールティーエー)は、で特定の衛生動作を完了することを競う、後半に成立したとされるの一種である[1]。一般には配信文化圏の隅で発生した極めて局所的なとして知られている[2]。
概要[編集]
膣ゴシゴシRTAは、を模した一連の動作を、いかに短時間かつ一定の判定条件で終えられるかを競う競技概念である。名称に強い印象があるためとして扱われがちであるが、競技史家の間では、実際には文化と家庭内実演型コンテンツの接点から生まれたとする見方が有力である[3]。
この競技は、単なる挑発的表現ではなく、当初は上での「手早い説明芸」から発展したとされる。特に、の冬にのレンタル会議室で行われた試行会が、後年のルール整備の原型になったという記録が残る[4]。
成立史[編集]
前史[編集]
起源は末のと文化の混交にあるとされる。当時、周辺の同人イベントでは「最短で説明を終えるデモ」が一種の余興として好まれ、そこにのパロディが持ち込まれたことで、後の膣ゴシゴシRTAの文法が形成された[5]。
初期の記録では、これを「V-goshi」と略記する傾向があり、読み上げるたびに会場が静まるため、司会者がわざと長い前置きを入れて空気を整えていたという。なお、この時期の参加者名簿には、医療系専門学校生とゲーム実況者がほぼ同数で並んでいたことが確認されている。
連盟の設立[編集]
、の小規模イベントスペースにおいてが発足した。設立メンバーは、元編集者の、看護学出身の配信者、および大会進行を担当していたの3名であるとされる[6]。
連盟は、競技が過度に過激化するのを防ぐため、道具の材質、発声の抑制、所要秒数の申告方法まで細かく規定した。とくに「完了宣言を先に言わない」「1回の動作に2秒以上停滞しない」といった条項は、後に他の即時完了競技へも流用された。
全国への拡散[編集]
頃から、系の切り抜き文化と短尺配信の流行により、競技は急速に認知を広げた。なかでもの心斎橋で行われた公開実演では、観客427人のうち39人が「途中で定義が分からなくなった」とアンケートに記入したが、逆にそれが話題性を生んだ[7]。
この頃には、膣ゴシゴシRTAは実演そのものよりも、開始前の口上、タイマーの置き位置、そして失敗時の言い訳の短さを競う文化へと変質していた。あるベテランは「速さとは、動作ではなく場の沈黙を制御する能力である」と述べたという。
競技方式[編集]
標準的な膣ゴシゴシRTAは、の4区分で構成される。導入では説明の冗長さが減点対象となり、実演では一定回数の動作と視認確認を経て、確認段階で審判が所定のチェックリストに記入する[8]。
採点はに加えての3項目を加点方式で評価するため、単純な高速化だけでは上位に入れない。一方で、2018年以降は配信コメント欄の反応速度が参考値として扱われるようになり、会場での沈黙が長いほど逆に高評価になる「逆説加点」が導入された。
用具については、あくまで象徴的な代用品が使われることが多く、地域大会ではなどが並ぶ程度である。ただし、大会で一度だけ審判が本物の衛生用品を持ち込んでしまい、以後は「持参物は説明書類に限る」と明文化された。
主要大会[編集]
下北沢タイムアタック杯[編集]
にのライブハウス跡地で始まった大会で、初代優勝者はである。記録は当時としては平凡なだったが、審判が秒数を読み上げる際に2度噛んだことから、観客の記憶には強く残った[9]。
京都静粛選手権[編集]
からで開催されるようになった大会で、もっとも重要なルールは「舞台上で無意味に笑わない」こととされた。第3回では、出場者の一人が畳のきしみ音で失格になったため、以後は会場にが敷かれるようになった。
横浜国際短手順フェス[編集]
の開催では、海外参加者4名が加わり、英語圏ではこの競技が「micro-scrub speedrun」と誤訳されていたことが判明した。なお、決勝では代表のがわずかを記録し、現在も半公式の標準記録とみなされている[10]。
社会的影響[編集]
膣ゴシゴシRTAは、表現の過激さゆえにしばしば批判を受けた一方、の研究対象としては意外なほど高い評価を受けた。特にの映像研究ゼミでは、説明過程の短縮、羞恥の演出、共同視聴の反応速度が、デジタル時代の儀礼として分析されている[11]。
また、地方自治体の一部では、名称の印象から広報資料への掲載を拒否した例がある。これに対し、は「本件はあくまで時間計測の文化であり、内容の実体を示すものではない」との声明を出したが、声明文がやたら丁寧であったため、かえって注目を集めた。
なお、以降は配信規約の厳格化により、露骨な演目は減少したものの、略称のみが独り歩きし、若年層の間では意味を知らずに使われる語として再流通した。これはとしての第二の寿命であるとする説がある。
批判と論争[編集]
最大の論点は、競技名が公衆向けの案内文に適さないことである。実際、の周辺イベントでは、案内板に略称だけが印刷され、来場者の一部が別会場へ流れる事故が発生した[12]。
また、審判基準の曖昧さも繰り返し批判されてきた。とりわけ「手順の再現」と「演出の誇張」の境界が曖昧で、審判によっては開始前の深呼吸だけで加点する者もいたという。これに対し、古参ファンは「膣ゴシゴシRTAは記録ではなく気配を測る競技である」と反論している。
さらに、医療関係者からは名称の不適切さと誤解誘発性が問題視されたが、連盟側は「本競技は教育目的の比喩を出発点としている」と説明した。この説明はほとんどの人に理解されず、結果として競技の神秘性だけが増した。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 榊原慎一『即時完了文化の生成と逸脱』青燈社, 2018.
- ^ 三浦まどか『配信時代の手順芸:RTAと身体表象』メディア文化研究, Vol. 14, No. 2, pp. 33-51, 2019.
- ^ 小林一矩『短時間実演における審判基準の揺らぎ』日本パフォーマンス論集, 第7巻第1号, pp. 88-104, 2020.
- ^ Eleanor P. Wren, “Micro-Task Speed Rituals in Japanese Livestream Culture,” Journal of Applied Ludics, Vol. 22, No. 4, pp. 201-219, 2021.
- ^ 渡辺理香『羞恥の編集史と観客反応』東亜映像学会紀要, 第12巻第3号, pp. 15-29, 2017.
- ^ H. K. Mercer, “Timing, Silence, and Audience Compliance,” Proceedings of the International Conference on Stream Studies, pp. 77-93, 2020.
- ^ 山岸由紀『都市圏における奇習コンテンツの流通』現代民俗学, Vol. 9, No. 1, pp. 5-24, 2016.
- ^ Theodore J. Black, “On the Semantics of ‘Scrub’ in Competitive Contexts,” Review of Unreal Competitive Practices, Vol. 3, No. 1, pp. 1-18, 2018.
- ^ 日本即時完了競技連盟編『公式競技規程 第4版』JIFCA出版部, 2022.
- ^ 藤堂さやか『膣ゴシゴシRTA入門――静かな加点のために』中央新書, 2023.
外部リンク
- 日本即時完了競技連盟 公式資料室
- 下北沢タイムアタック杯 アーカイブ
- 配信文化研究センター
- 都市奇習アーカイブス