謎の未使用データ
謎の未使用データ(なぞのみしようデータ)とは、の都市伝説に関する怪奇譚の一種である[1]。2012年に発売されたとされるゲームソフトに「未使用データ」として残されていたという不気味な画像群が、ネット上で妖怪めいた正体論を呼び、全国に広まった[2]。
概要[編集]
とは、噂が噂を呼んだ末に「見てはいけない」と言い伝えられる都市伝説である。特定のゲームソフトに未搭載の画像データが残されていたという話が起源とされ、そこから怪談化が進んだ[3]。
伝承では、画像の中に意味のあるキャラクターや背景が描かれていないにもかかわらず、目撃談が増え続けたとされる。不気味で、画面を閉じても“残像”のような恐怖だけが残る、と噂されることが多い[4]。なお別称として、ネット上ではやとも呼ばれる[5]。
歴史[編集]
起源:2012年、流通前の“白い倉庫”[編集]
起源は2012年とされる。ゲーム制作会社が、の広告用素材とは別に「最終ビルドの外部に置く」画像保管領域を用意していたという。そこが後に「未使用データ」として漏れた、と言い伝えられている[6]。
この保管領域は社内では、極秘の“白い倉庫”と呼ばれていたとする説がある。倉庫のアクセス権が切り替わったタイミングと、複数の外部テスト端末が突然同期したタイミングが重なり、何らかの不具合で画像群が参照されてしまった、という筋書きが広まった[7]。
一方で、起源をゲームではなくデバッグ基盤に求める主張もある。具体的には、の開発支援企業「株式会社」が導入した監査ログの形式が、未使用データを“見える”状態に変えたのではないか、と全国掲示板で語られたとされる[8]。このあたりの言い分は、真偽不明であるとされつつも、妙に細かい数字が添えられることが多い。たとえば“画像のインデックスは0x00A17E〜0x00A1B3の範囲だった”などと記される、と噂されている[9]。
流布の経緯:スクリーンショットが“出没”する[編集]
流布は、ゲームの発売から約2か月後、SNSで始まったとされる。ある投稿者が「未使用データのプレビュー画面」をスクリーンショットしたところ、画像の輪郭が“動画圧縮のはずれ”のように揺れて見えた、と目撃談が増えた[10]。
噂の核は、画像が静止画なのに“視線の向きだけが変わる”ように見える、という点にあった。ネットでは「視点が合ってしまった瞬間に、次のフレームが勝手に進む」などと言われ、恐怖とパニックがブームになったとされる[11]。
さらに、の専門学生コミュニティ「関西ログ研究会」が独自に復元を試みた結果、“未使用データは意図的に無効化されているが、数回の再生操作で参照されることがある”と報告したとする伝承がある。この報告がメディアに拾われ、マスメディアでも「正体不明の“ログの底”」として取り上げられたと語られている[12]。
噂に見る「人物像」/伝承の内容[編集]
伝承では、未使用データの正体が妖怪めいた存在に結びつけられている。最初に語られた人物像は「データ管理担当の夜勤者」である。彼(または彼女)は、の物流倉庫「データゲート」で夜間にサーバを監視していた、とされる[13]。
目撃談としては、未使用画像の中に“誰かが手袋を外す瞬間”のようなモチーフが見える、と言われている。しかし誰も同じ形を同じ場所に見ていないため、正体は固定されない。不気味さはむしろそこにある、として「意味のないはずの図形に、見ている者の記憶が吸い込まれていく」ような話が広まった[14]。
また別の伝承では、画像群の一部に「404」でも「OK」でもない中途半端な記号が含まれており、それが“出没の合図”とされた。たとえば「記号は16×7の点描で、合計112ドット」「点の明度は0.73前後だった」など、やけに細かい数字が書き添えられることがある[15]。ただし、そうした数字は後から“もっともらしく”補完された可能性もある、と語られる。いずれにせよ、恐怖が増幅される構造として語り継がれている。
委細と派生/派生バリエーション[編集]
派生バリエーションは複数ある。第一に「未使用データは3種類に分かれる」とする説である。すなわち、(1)白地の影、(2)薄いグリッド、(3)短い文字列断片、の3系統であるとされる[16]。この分類は、画像の解像度やメタデータの揺れから作られた、と言われる。
第二に「呪文バージョン」がある。ネット上の一部では、未使用データのファイル名を順に読み上げると“同じ顔が2回目にだけ増える”と言われる。実際にはファイル名は英数字の連番で、読みに規則性はないはずであるにもかかわらず、語呂合わせが派生し“呪いのリスト”として貼られたという[17]。
第三に「学校版」が挙げられる。これはとして語り直されたもので、学級閉鎖中にPC室を開けたら、液晶の奥に未使用データの“影だけが残っていた”という話になっている。恐怖は、机の上の時間割がいつの間にか“別の日付”にすり替わっているという不気味さで語られることが多い[18]。
噂にみる「対処法」[編集]
対処法は、恐怖の中でも実践可能な手順として共有された。最初に広まったのは「未使用データのプレビューを見ない」だが、伝承ではそれだけでは足りないとされる[19]。次に語られるのが、見た直後に“音量を0にして電源を落とす”という方法である。
また「ダウンロードした画像を、回転せずに保存するのが正解」という妙な指示もある。回転した場合、次に見たときに“視線が合う確率が上がる”と噂されたためである[20]。一部では「回転角は90度、保存形式はPNGがよい」など、具体条件まで付けられた。
さらに最も有名になった対処法が「7分だけ画面を“青い壁紙”で覆う」である。噂では、青の領域が残像の“輪郭形成”を止めるとされ、徹底する人はの図書館自習室でさえ青色フィルタを常用したという[21]。ただし、これらの方法は都市伝説として語られたものであり、効果は検証されていないとされる。
社会的影響[編集]
社会的影響としては、第一にゲーム制作現場の“未使用データ管理”が過剰に意識されるようになった点が挙げられる。噂の流布後、各社はファイル配置やログ出力の扱いを見直したとする筋書きが広まった[22]。
第二に、ネット上の監査文化が強まり、画像解析やメタデータ検証の動画がブーム化したとされる。結果として、技術者だけでなく一般層も「0x00A17E」のような値に関心を持つようになった、と言われる[23]。
第三に、恐怖の連鎖も発生した。未使用データに似た画像が、別の投稿に混入して拡散される“なりすまし”が増え、パニックと笑いが同時に進行したとされる。一部では、未使用データの話題になると学校のPC室の点検が前倒しで行われる自治体もあった、と語られている(ただし根拠は曖昧であるとされる)[24]。
文化・メディアでの扱い[編集]
文化面では、怪談としての翻案が早かった。深夜番組のVTRが「未使用データ怪奇譚」として構成され、テロップには“正体”ではなく“見た者の反応”が中心に置かれた、と言われる[25]。
またネット配信では、視聴者参加型の“未使用データ当てクイズ”が一時期流行した。しかし実際には画像が意味を持たないことが多く、正解よりも“見た感想の一致”が重視されるようになった。これが、妖怪が人の記憶を攫うという語りに接続され、都市伝説は一層強化されたとされる[26]。
漫画やラノベの二次創作でも扱われ、主人公が「未使用のまま眠るデータ」に触れると画面の外からメッセージが届くという構図が繰り返し使用された。なお、コミック化の際に“青い壁紙”がアイテムとして登場し、恐怖と対処法が物語の仕掛けに変換された、と語られている[27]。
脚注[編集]
参考文献[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 編集部『週刊オカルトレビュー:未使用データの正体』青蛍出版社, 2012.
- ^ 佐藤瑛一『「未使用」の恐怖:都市伝説としてのログ解析』情報民俗学会誌, 第12巻第3号, pp.45-68, 2013.
- ^ Margaret A. Thornton『Digital Folklore and the Uncompiled Image』University Press of Kisaragi, Vol.7 No.1, pp.101-130, 2014.
- ^ 高橋みなと『ゲーム開発現場のログ倫理と沈黙』ソフトウェア監査研究会論文集, 第4巻第2号, pp.12-29, 2015.
- ^ 中村礼子『ネット怪談の拡散速度:投稿からブームまで』日本通信文化年報, 第19巻第1号, pp.77-95, 2016.
- ^ 清水誠『未使用資産管理の実務と都市伝説の混線』計算機技術史研究, 第2巻第4号, pp.201-223, 2017.
- ^ Liam O’Doyle『The Unseen Asset: A Study in Errant Metadata』Journal of Apparent Systems, Vol.3 No.2, pp.1-20, 2018.
- ^ 株式会社【天秤クラウド】編『監査ログ運用規程(非公開資料として引用されがち)』天秤クラウド資料, 2012.
- ^ 『深夜放送アーカイブ特集:ログの底にいるもの』放送倫理機構叢書, 第8号, pp.33-60, 2013.
- ^ (一部誤植の疑いあり)『No culture No Life』開発資料補遺(架空の付録として流通), 2012.
外部リンク
- 未使用データ観測所
- ログ怪談アーカイブ
- 青い壁紙コンソーシアム
- 関西ログ研究会(掲示板ミラー)
- 都市伝説画像解析ラボ