にゃんだーすわん
| タイトル | にゃんだーすわん |
|---|---|
| 画像 | NyanderSwan_boxart.png |
| 画像サイズ | 280px |
| caption | 主役級の「白湯まなこネコ」が抱える水晶地図(とされる) |
| ジャンル | ロールプレイングゲーム(ハンティング・メトロイド風味) |
| 対応機種 | にゃんだーすわん専用機(NS-01) |
| 開発元 | ラグナメルド工房 |
| 発売元 | 御膳堂ゲームズ株式会社 |
| プロデューサー | 渡辺精一郎(通称: セイちゃん) |
| 音楽 | ミカヅキ・アコースティックス |
| シリーズ | 嘘しっぽ冒険譚 |
| 発売日 | 2009年9月17日 |
| 対象年齢 | C(軽いショック描写あり) |
| 売上本数 | 全世界累計 138.4万本 |
| その他 | 日本ゲーム大賞『会釈部門』受賞(架空)/協力プレイ対応 |
『にゃんだーすわん』(英: Nyander Swan、略称: NDSW)は、にのから発売された用。通称は「嘘しっぽ冒険譚」であり、同ジャンルの第1作目とされる[1]。
概要[編集]
『にゃんだーすわん』は、霧の港町を舞台に、プレイヤーが「しっぽの誓約」によって相棒を呼び出し、落ちもの的な素材採取を繰り返しながら街の“噂”そのものを狩るである[1]。
本作が作中でたびたび言及される「にゃんだー(だんだん近づくもの)」という概念は、ゲーム内では位置補正、現実では広告学の比喩として語られ、発売後に少年向け雑誌の編集会議を混乱させたとされる。なお、タイトルの「すわん」は白鳥ではなく、開発チームが誤って読んだ古地図の地名(Swan = “相互監視網”の略)に由来する、とする資料が残っている[2]。
初期ロットでは特典の「嘘しっぽ地図」が極端に重く、梱包担当が腰を痛めたという逸話が有名である。これが噂になり、発売から3日で“地図を振ると会話が増える”という伝承が生まれ、結果として初動売上が伸びたと推定される[3]。
ゲーム内容[編集]
ゲームシステムの中核は「噂採取」と「しっぽ変換」であり、プレイヤーはフィールドに落下する“断片”を拾うことで、仲間の猫獣(いわゆる“噂の形”)を一時的に召喚できる。断片は全部であり、同一素材でも“拾った順番”に応じて変換先が変わるため、攻略が収束しにくい設計とされる[4]。
戦闘はターン制に見えて実際は「詠唱ゲージ」方式で、猫獣が吠えるタイミングでダメージ倍率が変動する。特に「鳴き声に含まれる濁点の数」をプレイヤーが意識するよう誘導されるため、サウンドを消した状態でプレイすると勝てないという批判も出た[5]。
アイテム面では、回復薬の代わりに“手紙”が用意されており、読むたびに主人公の記憶が更新される。装備は頭・胸・しっぽの3スロットのみで、しっぽスロットには合計相当の“こだわり”が積算される演出があるとされる[6]。この数値はファンの間で「開発者の体重では」と噂された。
対戦モードとして「嘘しっぽ実況競争」が実装され、プレイヤーは相手の噂採取ルートを妨害する代わりに、正解を見つけたら“編集権”が奪える。協力プレイでは、仲間が同じ断片を拾っても双方で別の噂に変換される“非同期学習”が採用され、協力が噛み合ったときの快感が売りになった[7]。
ストーリー[編集]
物語は、霧の港町で発生した「夜になると地図が嘘をつく」現象から始まる。主人公は地図職人見習いで、夜だけ現れる路地“にゃんだー通り”を歩くたびに、過去の出来事が上書きされていく[8]。
鍵となるのは、白鳥のように見える“監視端末”「スワン灯(あかり)」である。スワン灯は実体がなく、あくまで住民の会話の間に割り込むことで機能する。作中では「会話に干渉する端末が、なぜ敵なのか」が繰り返し問われ、プレイヤーは“噂が敵”ではなく“噂が正解を隠す”点に気づかされる構成になっている[9]。
終盤では、世界樹とされる巨大回覧板「レターオーク」が登場し、主人公はそこに“正確すぎる真実”を貼ってしまう。すると街の霧が晴れる代わりに、誰も何も覚えなくなるという結末が選択式で用意される。なお、開発はこの結末を「善意のBAN」と呼んだとされ、公式インタビューでは一度だけ強い口調で訂正された[10]。
登場キャラクター[編集]
主人公は記名式のためフルネームが変わる仕様で、初期案では「猫又」とされていたが、商標調査で跳ねられた経緯が残っている。最終的に一般公募名として定着し、プレイヤーは“自分の名前が呪文になる”体験として語られる[11]。
仲間として、港の配達員「クロモリ・ルル(黒錫瑠瑠)」と、霧の鑑定士「白湯まなこネコ」が登場する。白湯まなこネコは目が二つなのではなく“温度計”として機能し、断片を拾う際に最適な順番を“目盛り”で示す。ファンアートではよく、目盛りを読めない主人公が戸惑う一コマが描かれる[12]。
敵役には、噂を改竄する役人「霧評議会(むひょうぎかい)」の監査官「ドモリク・サカナ」がいる。ドモリクは魚の擬態ではなく、噂を“濁す”ことで勝つタイプの戦術家とされ、戦闘前の会話が本体に近いと評価された[13]。また、最終ボス前のイベントでだけ、なぜか攻略チャートが3ページ欠けている演出がある。欠けたページ番号はで、これが“呪いの再現”と呼ばれた[14]。
用語・世界観[編集]
世界は「港町モデル」として設計され、移動は徒歩・船・噂の3種類に分かれる。噂移動は、会話選択肢の“沈黙”が閾値に達すると発動し、プレイヤーは移動先が見えないまま到着する。到着後に初めて地図が正しいことがわかるため、プレイヤーは探索を“信頼ゲーム”として体験する[15]。
用語として重要なのが「しっぽの誓約」である。これは装備ではなく、プレイヤーの行動ログが一定期間保存されるという設定で、ログが古いほど誓約の効き目が強くなる。結果として、序盤で無駄な選択をしないプレイが推奨される一方、あえて矛盾する選択をする“逆ログ攻略”も流行した[16]。
さらに「にゃんだー(だんだん近づくもの)」は、現実での心理現象(足場づくりや期待効果)に近いものとしてファンが解釈していた。ただし作中では、にゃんだーは化学ではなく“港の音響”だと説明される。具体的には、の桟橋から6音分の反響で、一定の確率で“拾うべき断片”が落ちるとされる[17]。
なお、作中に登場する「嘘しっぽ」なる道具は、嘘をつくための道具ではなく、嘘が生まれない環境を再現するための鍵であるとされる。ここは終盤で回収されるが、当時の解説記事では誤って“嘘を増やす”と書かれ、訂正が遅れた[18]。
開発/制作[編集]
制作経緯[編集]
開発の発端は、ラグナメルド工房の社内プロトタイプ「断片学習器」である。これは研究費の出所が曖昧なまま、の“音声教材”試験に似た形で始まったとされる[19]。ただし社内記録では、実際には教材ではなく“梱包ミスの解析”が出発点だったとする記載もある。
ディレクターのは、ゲームの中心を“敵を倒す快感”ではなく“間違える快感”にしたいと考えていたとされる。そこで、噂採取の順番に意味を持たせ、プレイヤーの記憶を更新する手紙システムが提案された。なお、手紙の文面はスタッフが家で飼っている猫の癖を聞き取りして作られた、と雑誌記事で述べられた[20]。
スタッフ[編集]
プロデューサーは(通称: セイちゃん)で、ゲーム内の“嘘しっぽ地図”の仕様を「振ると会話が増える」に固定した人物とされる。ディレクターはで、戦闘の詠唱ゲージを「遅延の美学」と呼んだと伝えられている[21]。
プログラマーには、サウンドは、アートコンセプトはの外部協力チーム「港霧図案室」が担当したとされる。デザイナーのは、猫獣の目盛り表現に“気圧の変化”を混ぜた結果、視認性が悪化したが、後に難易度調整で救済された[22]。
音楽[編集]
サウンドトラックは「濁点協奏曲」として知られ、鳴き声に合わせてBPMが変わる仕様が特徴とされた。特定の曲では、無音状態で演奏が完結するよう一部楽器を“振動”として実装したという説明があり、当時の購入者の一部が“振動するから勝てる”と体感したとされる[23]。
代表曲には「桟橋第六反響(6th Reverb)」と「嘘しっぽ編集権(Edit Right)」、エンディングの「レターオーク静穏化」がある。作曲者のは、曲名に数字を入れすぎたことを反省し、以後は“誤読される程度”の曖昧さを残す方針になったと語ったとされる[24]。
他機種版/移植版[編集]
後年、携帯用の“薄霧端末”としてが派生発売され、データ圧縮により噂採取のがへ削減された。削減の理由は“記憶量の節約”と説明されたが、ユーザーからは「削られたのは確率の悪い噂だけでは」と疑われた[25]。
また、海外向けにはタイトルを簡略化して「Nyander Swan: RUMOR HUNT」として展開された。翻訳チームは“にゃんだー”を literal に訳すのを避け、「approach-signal」として扱ったため、ストーリー上の沈黙選択が英語版で微妙に意味を失う問題が指摘された[26]。この調整はパッチで“沈黙の長さ”を数値化する形で行われ、ユーザーはようやく仕様を理解したという逸話が残る。
評価[編集]
売上は全世界累計を記録し、当時の業界紙では「ミリオンには届かないが、忘れられない」と総括された。日本国内では初週で約を販売し、その後の伸びは“噂の再現度”が高いプレイヤー動画によって支えられたとされる[27]。
賞レースではの“会釈部門”を受賞したとされるが、公式の受賞リストには存在しないという指摘もある。もっとも、審査員の寄せ書き色紙が後日オークションに出ており、そこで言及されていたという噂が広まったため、真偽は揺れている[28]。
一方で批判として、サウンドが戦闘に影響する点、手紙の文章が人により“刺さり方”が変わる点、そしてエンディング分岐が説明不足な点が挙げられた。これらは翌年の移植版で一部調整されたが、根本的な“間違える楽しさ”は残されたとされる[29]。
関連作品[編集]
本作はメディアミックス展開として、テレビアニメ「嘘しっぽ冒険譚 霧評議会編」や、児童向けのゲームブック「レターオークのしおり」を生んだとされる。アニメ版では、主人公の沈黙選択が“泣き顔選択”に置き換えられたため、原作ファンの反発が少しだけ起きた[30]。
また、同社の別タイトルとして「にゃんだーすわん:編集権争奪戦」なる対戦スピンオフが企画され、試作ロムがに収蔵されたとされる。しかし実際の発売の有無は不明で、展示説明文も「可能性」として記されている[31]。
関連商品[編集]
攻略本として「嘘しっぽ地図完全読解ガイド」が発売され、収録ページ数はと明記された。内訳は噂採取索引が、しっぽ変換表がの図版(比喩として)とされ、読み物としても評価された[32]。
書籍では、作中の用語を解説する「港霧言語学入門」や、開発資料を“港の音”として読み解く「桟橋第六反響研究ノート」が刊行された。さらに、オンライン講座「NDSW学校(偽)」が一時期開かれ、受講者が増えすぎたためカリキュラムが“沈黙”により自動停止したとされる[33]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 渡辺精一郎「『にゃんだーすわん』開発の裏で進んだ“沈黙設計”」『ゲーム操作と言語』第3巻第2号, 2009, pp.12-29.
- ^ Eleanor K. Wight「詠唱ゲージと濁点の因果:ターン制の擬態」『International Journal of Play Mechanics』Vol.8 No.1, 2010, pp.41-57.
- ^ 佐伯みお「噂採取の順番依存モデル:137断片の実装記録」『ソフトウェア工房年報』第19巻第4号, 2010, pp.88-103.
- ^ ミカヅキ・アコースティックス「濁点協奏曲—音が勝敗を決める条件」『サウンドと認知』第7号, 2009, pp.3-18.
- ^ 御膳堂ゲームズ株式会社「嘘しっぽ地図完全読解ガイドに関する販売動向報告」『流通研究レポート』第12巻第1号, 2010, pp.77-91.
- ^ 村瀬イチロウ「港町モデルの物語構造:ミナミバースの地図が嘘をつく理由」『Narrative Studies of Games』Vol.5 Issue.3, 2011, pp.201-226.
- ^ Katsuo Hiramura「しっぽ変換表の可視化—視認性を破り救う」『インタラクションデザイン論集』第2巻第6号, 2012, pp.59-74.
- ^ 『にゃんだーすわん 公式パッチノート集』御膳堂ゲームズ, 2010.
- ^ Anonymous「会釈部門の再検証:日本ゲーム大賞“架空欄”」『週刊アワード探偵』2011年5月増刊号, pp.10-15.
- ^ 浜田晶「編集権争奪戦プロトタイプの真偽」『大阪デジタル資料館紀要』第1巻第1号, 2013, pp.33-44.
外部リンク
- 港霧図案室アーカイブ
- NDSW公式資料倉庫(沈黙版)
- ミナミバース観測ログ
- 嘘しっぽ地図ユーザー協会
- 濁点協奏曲ファンサイト