阿蘇山大火山
| コンビ名 | 阿蘇山大火山 |
|---|---|
| 画像 | 不明(公式サイトに未掲載) |
| キャプション | “大火山”の布衣装で登場する(とされる) |
| メンバー | 渡辺 精次郎(ボケ)/嶋田 断罪(ツッコミ) |
| 結成年 | 1997年 |
| 解散年 | 活動継続中 |
| 事務所 | 九州ワイバーン芸能社(通称:九州WB) |
| 活動時期 | 1997年 - 現在 |
| 芸種 | 漫才・コント |
| 出囃子 | 『灰色の有罪判決』(自作音源) |
阿蘇山大火山(あそやまだいかざん、英: Asozan Dai-Kazan)は、をモチーフにした“爆笑・防災学”ネタで知られる架空の日本のお笑いコンビである。1997年に結成され、を地名のまま芸名に取り込みつつ、火山灰にも言葉遊びにも正確すぎる比喩を仕込むことで人気を博した[1]。
概要[編集]
阿蘇山大火山は、火山学用語を過剰に“裁判用語”へ翻訳し、さらに防災情報を“推理小説”の体裁で笑わせる漫才・コントの二人組である。初期は熊本県の学校寄席を中心に活動し、やがての観光協会が主催する夜イベントに出演したことが話題となった。
コンビ名は、噴火と同じ語感をもつ“罪の火花”に由来するとされる。ただし、実際の由来については諸説あり、特に「舞台上で爆発音を鳴らしすぎた結果、寺の庫裏が“大火山”と呼ばれるようになった」など、出典が錯綜した説明がファン間で広まっている[2]。
メンバー[編集]
渡辺 精次郎はボケ担当であり、火山灰の“粒径”を演技の間(ま)に換算する癖がある。嶋田 断罪はツッコミ担当であり、噴煙を“証拠物件”と見立てて即座に法廷口調へ切り替えることで知られる。
二人は、共通の趣味としての解説台本収集を掲げているが、実際には“説明の文章構造”をネタの設計図として転用しているとされる。特に嶋田は「説明書は、読み手の注意力を採点する書類だ」との持論を語っており、漫才が終わる頃には観客の視線の動きまで追いかける。
来歴/略歴/経歴[編集]
結成まで[編集]
渡辺は福岡県で理科系の浪人生活を送り、嶋田は鹿児島県の自治体職員研修で“危機管理文書”の添削をしていたとされる。両者は九州校の卒業説明会(通称“落ち葉サミット”)で出会い、1997年に結成された。
当時の企画書には、噴火の擬音を「ドン」「ゴロ」「コン」に分類し、さらに各擬音が“民事・刑事・行政”のどれに対応するかまで図示されていたという。もっとも、この企画書は行方不明となっており、現在確認できるのはコピー紙の端に「灰 3.2mm/注意 0.7秒/笑い 1.1秒」と手書きされた断片のみである[3]。
東京進出[編集]
東京進出は2003年とされる。当初はの小劇場で月3回の“即興防災裁判”を上演していたが、観客が途中で笑い始めると、嶋田が被告人席へ指を差し「お前は今、笑っていいのか」と止める演出がウケた。
この“被告人にする裁判をネタにする芸人”というスタイルは、後述の騒動と結び付けて語られることが多い。公式の発表ではないものの、関係者は「笑いのタイミングが法廷の証言順と似ていた」と述べたとされる[4]。
芸風(漫才/コント)[編集]
阿蘇山大火山の芸風は、(1)火山の説明、(2)説明の“裁判化”、(3)最後に説明を“告白”へ反転させる三段階で構成されるとされる。冒頭で二人は、という名称を“正式名称”として語るが、その根拠を次々に“判例”へすり替える。
ネタ作成の作業工程は非常に細かいことで知られる。嶋田は「1個のネタを作るのにめちゃくちゃ時間がかかる」と公言しており、実際には下書きが通常の10倍の厚さになってから、ようやく台詞の順番が確定すると語られている。渡辺はさらに、火山灰の“色番号”を勝手に作り、「灰色は#0F0F0F、笑いは#1A1A7A」と舞台上で言い換えるため、舞台スタッフからは色鉛筆の調達を度々求められたという[5]。
また、二人はコント内での地名を必ず一度は入れる運用をしており、入れ忘れると“噴火シミュレーター”が不調になるというジンクスがある。
エピソード[編集]
代表的なエピソードとして、2009年の地方巡業で「避難勧告の文書を読み上げる」ネタが、なぜか途中から“証拠開示”のシーンになってしまったことが挙げられる。渡辺が“避難”を読み間違えて「委任状」と言ってしまい、嶋田が即座に「異議あり。あなたは今、逃げる側ではなく提出する側ですね」と法廷口調で追従したため、会場の笑いが一斉に過熱したとされる[6]。
さらに彼らは、自分が被告人になった裁判をネタにすることで知られる。本人談によれば、実際の訴訟記録を“台本の行数”へ変換し、各段落の長さが笑いの高さに対応するように調整したという。その結果、ネタの仕上げには平均で「8週間+最終手直し36分」とされ、最終手直しの36分が“噴火の前兆”としてファンにより比喩されるようになった[7]。
ただし、当該裁判がどの種類のトラブルであったかは曖昧にされている。取材メモには「騒音」なのか「誤認」なのかが揺れているとも指摘され、ここが記事執筆者の中でも最も“言質が取れない”箇所として語られている。
受賞歴・賞レース成績・受賞歴[編集]
賞レースでは、2006年の一次予選から“火山語彙縛り”を持ち込んだことで注目され、最終的に同年のファイナリストに選出されたとされる。もっとも、年ごとの成績は記録サイトによって差異があり、嶋田が「審査員の注意点が火山灰みたいに細かいから」と冗談で片付けたと報じられた[8]。
その他、2007年の“即興防災裁判”で準優勝、2008年の“キングオブコント”予備審査で特別扱い(理由は不明)など、公式発表が薄いものが多い。なお、彼らは賞レースよりも、会場に張られた避難誘導テープの配置を“舞台美術の一部”として扱うことを評価される場合がある。
出演・作品・単独ライブ・書籍[編集]
テレビでは系列の深夜バラエティ『灰色の判決、白い拍手』に出演し、防災コーナーの進行を“判事の口調”で行ったことがある。ラジオではの地域枠で、リスナーから届く“避難文書”の読み上げを法廷形式に崩す企画が定番となった。
作品面では、CD『判例(はんれい)灰文書』(20011年発売)とDVD『噴火じゃなくて認定』(2011年)をリリースした。なお、発売年が“数字の並び”として語られることが多く、ファンは「2011が噴煙の高さを連想させる」とするが、これは本人の発言に基づかない二次創作ともされる[9]。
単独ライブは“テープ誘導”と銘打ったシリーズを行い、チケットには方向の注意喚起が印字されたことがある。書籍として『一ネタ、八週間。—阿蘇山大火山の裁判台本術—』(2014年)が刊行され、冒頭で「笑いは証拠である」と断言していると報じられた。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 嶋田 断罪「火山語彙は証拠である:説明の裁判化に関する覚書」『現場笑学研究』第12巻第3号、pp.33-58、九州ワイバーン芸能社, 2010.
- ^ 渡辺 精次郎「灰 3.2mm仮説と間(ま)の整合」『舞台工学通信』Vol.7 No.2, pp.101-129, ステージ出版社, 2008.
- ^ 田中 隆文「地方寄席における“防災の語り”の受容—阿蘇郡イベントの事例—」『地域芸能レビュー』第5巻第1号、pp.1-26、中央配信学会, 2012.
- ^ Margaret A. Thornton「Jurisprudential Humor and Disaster Narratives」『Journal of Civic Comedy Studies』Vol.19 No.4, pp.441-469, Oxford Humor Press, 2016.
- ^ Kensuke Yamamura「The Volcanic Metaphor in Contemporary Japanese Stand-up」『International Review of Performance Logic』第21巻第2号, pp.77-96, Cambridge Laugh Institute, 2019.
- ^ 熊本県観光協会 編『阿蘇夜イベント台本集:2000年代の余白』九州文化出版, 2005.
- ^ 阿蘇山大火山『判決の灰文書:公式になりきれなかった注釈』謎詩社, 2014.
- ^ 佐藤 里美「“数字の並び”が笑いを誘発する条件」『認知ジョーク学』第9巻第6号、pp.220-245、東京理笑大学出版会, 2021.
- ^ (タイトル表記にゆらぎがある)K. Sato「Trial as Punchline: An Overfitted Model of Audience Timing」『Proceedings of the Symposium on Excess Explanation』pp.1-8, Vol.3, LaughSpring, 2018.
外部リンク
- 九州WB公式プロフィール
- 灰文書翻訳アーカイブ
- 避難誘導テープ協会アカウント
- 判例灰文書オンライン試聴室
- 阿蘇夜警団コラボ企画ページ