霜夜(音MAD作者)
| 氏名 | 霜夜 |
|---|---|
| ふりがな | しもよ |
| 生年月日 | |
| 出生地 | |
| 没年月日 | |
| 国籍 | 日本 |
| 職業 | 音MAD作者(音響編集者) |
| 活動期間 | - |
| 主な業績 | 「霜夜式・奇数拍テンポ補正」普及 |
| 受賞歴 | 第7回《異常なリズム》賞・技術部門ほか |
霜夜(しもよ、 - )は、の音MAD作者。多重録音と奇数拍の編集手法で広く知られている[1]。
概要[編集]
霜夜は、日本の音MAD作者である。多重録音を“映像の欠け”に見立てる編集思想を持ち、視聴者のリズム感に意図的なズレを仕込むことで知られている[1]。
霜夜の作品は、一般的なカット編集ではなく、音声波形の“間”を切り出すように組み立てられたとされる。特に、テンポをの中間値に寄せた上で、出だしだけ前にずらす手法が「霜夜式」と呼ばれ、音MAD界隈の作法として定着したとされる[2]。
一方で、霜夜はプロフィール上ほとんど素性を明かさず、初期作品の投稿時期に関しても「の“第3日曜”から」と曖昧にする癖があった。このため、ファンの間では「霜夜のカレンダーは氷点下で動く」といった伝承が生まれた[3]。
生涯[編集]
生い立ち[編集]
霜夜は、に生まれた。父は市内の放送局関連企業で整音を担当していたとされ、霜夜は幼い頃からスタジオの残響の“残り方”に興味を示したとされる[4]。
霜夜が初めて自作の編集を行ったのは、の冬であった。当時は家庭用のICレコーダーを分解し、内蔵マイクの角度を変えるだけで音が変わることに気づいたとされる。ただし、この話は後年のインタビューで「たぶん角度はだった」と言い直され、真偽が揺れている[5]。
また、霜夜は小学校の音楽授業で「拍は数えるものではなく、息継ぎの場所で決まる」と発言したとされる。担任は当時の記録ノートに「妙に具体的」と書き残し、のちに同級生が“霜夜の癖”として語っている[6]。
青年期[編集]
霜夜は、高校在学中に音声ソフトのタイムライン機能に没頭した。動画投稿を始めたのはであるが、最初の投稿は“音MAD”ではなく、駅の発車ベルをずつずらして重ねる実験動画だったとされる[7]。
青年期には、札幌市内の同人イベント「北雪オーディオ市」へ通い、音響機材の販売ブースを“並び順で覚える”ことに熱中した。参加者名簿に記載された霜夜の連絡先が、後年ファンによって追跡され「最後の数字が1の時と9の時がある」と指摘された[8]。この不一致が、霜夜の匿名性を強化したとも言われる。
同時期、霜夜は動画編集仲間のに短期間師事したとされる。篠原は、音MADの“整列”ではなく“ずれの設計”こそが本質だと説き、霜夜は以後、テンポ補正を「見えない小節線」として扱うようになったとされる[9]。
活動期[編集]
霜夜の活動期はに本格化した。最初期の代表作とされる「霜夜式・奇数拍で泣く夜」が、視聴者のコメント欄で“体感BPM当て”遊びを生んだことが転機であった。この作品では、音源の一部を意図的に単位で反復し、そこから視聴者が拍を誤認する仕掛けになっていたとされる[10]。
その後、霜夜は「編集は正確さよりも“再現性”」という方針を掲げ、作品ごとにテンポ表を公開した。テンポ表は毎回で構成され、各行に「到達前の呼吸」「到達後の余韻」などの比喩が書かれていたとされる。もっとも、ファンが検証したところ、ある作品だけテンポ表が少なかったことが判明しており、「霜夜は意図的に嘘の列を混ぜた」と議論になった[11]。
霜夜は、投稿速度を落とす代わりに“音MAD用の波形テンプレート”を配布した。テンプレートは計種類で、波形の上下だけでなく左右の“余白”まで規格化されていたとされる。この配布により、音MAD制作のハードルが下がったと評価される一方、型にはまった作品が増えたとの批判も生まれた[12]。
晩年と死去[編集]
霜夜は頃から体調不良を理由に表立った投稿を控え、代わりに「音の設計日誌」をテキストで断続的に公開した。日誌には、ある日だけ「昨日の天気は、だから今日の余韻は長い」といった記述が見られたとされる[13]。
霜夜は9月19日、札幌市内の自宅で倒れたと伝えられ、で死去した。死因は公表されなかったとされるが、ファンの一部は“編集作業の徹夜が響いた”と推測した[14]。
死後、霜夜のPCから未公開作品が複数見つかったと報じられた。もっとも、未公開作品のうちは音声だけで、映像は空白のタイムラインのままであった。これらが「霜夜の最後の挑発だ」と語られ、追悼コメントは数週間にわたって伸び続けた[15]。
人物[編集]
霜夜は、他人の作品を見ても「良い/悪い」で語らず、必ず“どこで息を止めたか”を質問する人物であったとされる。そのため、インタビューでは同じ質問が繰り返され、周囲が困惑したという[16]。
性格は几帳面であったともされるが、几帳面さの方向が一般的な“正しさ”ではなく“再現のための矛盾”に向いていた。たとえば、音量を規格化する際にあえてとを交互に混ぜる癖があり、後年になって「人間の耳は微差に物語を見てしまう」からだと説明したとされる[17]。
一方で霜夜は、言葉にすると陳腐になるのを嫌い、作品の説明欄を意図的に短くする傾向があった。その最たる例として、最古の代表作の説明欄には「今夜、折り目を数えろ」の一文しかなかったとされる[18]。
業績・作品[編集]
霜夜の業績は、音MADの制作工程に“テンポ表と余白規格”を持ち込んだ点にあるとされる。とくに、作品の冒頭だけ周波数を意図的に削り、視聴者の聴覚を一度“洗う”手法は、後の投稿者へ大きく影響したとされる[19]。
代表作として挙げられるのは「霜夜式・奇数拍で泣く夜」()、「氷点下のサイドチェイン」()、「折り目のない朝」()である。これらはそれぞれ、奇数拍・サイドチェイン・余白の欠落という異なるテーマを持ちつつ、共通して“視聴後に拍が狂う”感覚を設計していたとされる[20]。
また霜夜は技術面だけでなくコミュニティ形成にも関わったとされる。には、制作指針を議論する非公開フォーラム「第零暦の部屋」を運営したとされるが、参加条件が「投稿作品のBPM表をで提出できること」とされていたため、締め切り直前に提出テンプレが大量に改造されたという[21]。なおこのフォーラムの存在は後年まで公式発表されず、霜夜本人の最期のテキストにだけ痕跡が残ったとされる[22]。
後世の評価[編集]
霜夜は死後、音MAD史の“分岐点”として語られることが増えた。編集の快感を追うだけではなく、視聴者の知覚に対して設計を施すという姿勢が評価されたとされる[23]。
一方で、霜夜の「テンポ表と余白規格」が広まりすぎたことで、作品が“同じ顔”になったとの指摘もある。特に以降、奇数拍補正を多用する作品が急増し、視聴者の疲労が問題視されたことがあるとされる。もっとも、霜夜自身が日誌で「疲労は必ず笑いに変わる」と書いていたため、この批判は逆にファンの間で“霜夜は先に勝っていた”という慰め話へ変換されたとも言われる[24]。
評価の中心には、霜夜が残したテンプレート群と、制作思想の言語化の少なさがある。言葉が少ないぶん、解釈が増殖し、結果として後続の制作が続いたとされる[25]。この増殖性こそが、霜夜の“最後の作品”だったのではないかとする学術的な考察も出たとされるが、当該論文は学会資料としてしか流通しなかったとされる[26]。
系譜・家族[編集]
霜夜の家族については情報が限られている。父はの放送関連企業で整音を担当していたとされ、母は市内の図書館で音の貸出管理を担当していたという伝承がある[27]。
霜夜には兄がいたとされるが、兄の名は公にされていない。兄が所有していたというカセットテープのリストが、ファンのオフ会で点だけ出回ったとされる。そのうちだけ題名が“音のないサマー”と書かれており、霜夜がそれを“空白の規格”として扱った可能性が指摘された[28]。
霜夜は死後、制作の引き継ぎ先として特定の個人名を残さなかった。ただし、霜夜が最後に投稿したテキストに「手を離せ、波形は一人で揺れろ」とだけ書かれていたため、共同編集の提案が多数あったにもかかわらず、最終的に“単独制作”の伝統が守られたとされる[29]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 佐藤 釈人『音の設計日誌と奇数拍の倫理』北雪出版, 2014年.
- ^ 田中 瑛理『MAD制作の余白規格—9行テンポ表の運用』異常リズム研究所, 2017年.
- ^ M. Thornton『Perceived Misalignment in Audio Remix Works』Vol.12 No.3, Klang Journal, 2018.
- ^ 李 明河『Temporal Engineering for Web-Based Fan Edits』第2巻第1号, 音響工房論集, 2020.
- ^ 山根 風雅『折り目のない朝と聴覚疲労の転換』札幌音声技術学会, 2019年.
- ^ K. Müller『Waveform Templates and Community Copying』pp. 221-239, Journal of Remix Studies, 2021.
- ^ 鈴木 桐人『再現性の矛盾—-0.2dB/-0.3dBの世界』蒼霜堂, 2016年.
- ^ 篠原 眞鍋『第零暦の部屋の記録(抜粋)』北雪オーディオ市実行委員会, 2018年.
- ^ 『第7回《異常なリズム》賞 技術部門資料』異常リズム財団, 2019年.
- ^ “The Calendar at Below Zero” pp. 9-16, Journal of Unverified Rhythm, 2022.
外部リンク
- 氷点下アーカイブ
- 北雪音MAD資料館
- 霜夜式テンポ表コレクション
- 第零暦の部屋(断片まとめ)
- 異常リズム財団データベース