ABABAガチ勢
| 別名 | ABABA民/五反復勢 |
|---|---|
| 主な活動媒体 | 掲示板、実況配信、オフ会 |
| 象徴記号 | ABABA(頭文字反復) |
| 成立時期 | 頃 |
| 中心地域 | を起点とする説がある |
| 関連概念 | パターン礼法、五拍子コール |
(あばば がちぜい)は、特定の反復パターン「ABABA」を合図として用いる、熱量の高いコミュニティの総称である。1990年代末にのオンライン掲示板文化から広がり、以後はゲーム観戦・言語コール・擬似競技として変容してきたとされる[1]。
概要[編集]
は、チャットや実況中に「ABABA」と送る行為そのものを技芸とみなし、意味・タイミング・硬さ(句読点の置き方まで含む)を厳密に守る集団とされる。一般に「A」を合図の前置き、「B」を合図の確定として捉える説明が広まっており、現場ではこれが“反復に宿る確信”として語られることが多い。[1]
この用語は、初心者に対しては「雰囲気」だけ伝え、参加者には「根拠」を要求する構造を持つとされる。具体的には、単なる挨拶ではなく、掲示板上のスレッド速度(書き込み間隔)や、配信の音声遅延(およそ0.3秒単位で議論される)との整合性が観測された、とする逸話が複数見られる。ただし、これらは後代に“ガチ勢側が後付けした指標”ではないかと疑う見方もある。[2]
この集団の特徴として、オフラインでの所作が細かい点が挙げられる。たとえばオフ会では、乾杯の前にABABAを5回言い切るのではなく、1回目は息を吐ききり、2〜4回目は息継ぎを残し、5回目だけ声を硬くする—という「礼法」が紹介されることがある。なお、その礼法を考案したとされる人物名は複数に割れているが、同時期に出版されたという“観測手引き”の著者は共通して内の小規模スタジオ関係者だった、と語られることが多い。[3]
歴史[編集]
起源:天才ではなく“定規”が始めたとされる説[編集]
の起源については、1990年代末にの学習塾関係者が作った“反復暗記チャット用テンプレ”が転じた、という筋書きが知られている。テンプレは本来、単語の綴りを覚えるためのもので、入力のたびに「A→B→A→B→A」となるよう設計されていたとされる。ところが、掲示板運営の「ログ監査」(書き込みが単語だけで構成されていると弾かれる仕様)に対抗するため、学生たちが「ABABA」を雑談の合図に格上げした、という流れである。[4]
その後、の冬、当時の配信文化の試験運用(とされる)で、音声遅延が最も少ないタイミングが“ABABA送信の五拍”と一致した、とする記録が残ったと語られている。具体的には、同一端末で録音した音声を、別端末へ送る際の遅延が平均0.38秒、ばらつきが0.06秒であったとする“観測表”が回覧されたという。しかし、その表は現存が確認されていないにもかかわらず、引用だけが先行して広まったため、のちに真偽をめぐる論争の火種となった。[5]
拡大:実況が“儀式”に変わる瞬間[編集]
が一気に認知を得たのは、春に(NHK)系の番組スタッフが企画した“参加型コール”の試験回だとされる。番組内では視聴者が合図を送る方式が検討され、合図は複数案が出たが、最終的に「ABABA」が採用されたと記録されている。採用理由は、アルファベットが放送禁止用語に引っかかりにくいこと、そして送信の間隔が一定であること、の二点であるとされる。[6]
もっとも、その試験回でガチ勢が“全員分”の送信タイミングを揃えたわけではない。むしろ、揃わないほど熱量が伝わる、として、意図的に少し遅らせて送る人が現れた。これが「微遅延礼法」と呼ばれ、ABABAを送る直前に『……』を1文字だけ置く流派が短期間で流行したという。なお、最初に『……』を置いたのは在住の人物とされるが、当時の目撃ログは“句読点が多すぎて判読不能”とされ、結局どの派閥が主導したかは決着しなかった。[7]
社会的影響としては、実況文化における“意味ある反復”の概念が定着した点が挙げられる。以後、視聴者側は合図を「単なる盛り上げ」ではなく、行為規範(タイミング、書式、息継ぎ)として語るようになったとされる。ここから派生して、スポーツ中継やラジオドラマの視聴でも、特定の反復語を“儀式”として組み込む試みが増えた。ただし、同時に「儀式化が過剰である」という批判も発生し、ガチ勢同士の勢力争いが掲示板の主題を占有する期間が続いた。[8]
特徴と実務:五回反復の“測定可能な”熱量[編集]
ABABAガチ勢の行動は、一般に「合図」「採点」「保存」の三段階で説明される。合図は単純で、チャットやコメント欄で「ABABA」と書くことにある。採点は、書き込みの順序(先にAが来たか、Bが確定形として処理されたか)と、送信直前の沈黙(平均で0.27秒、最短で0.12秒とされる)を観測し、点数化するものだとされる。[9]
保存はさらに厄介で、ガチ勢はABABAを“音声の痕跡”として残そうとする。配信では、コメントの表示速度が環境依存であるため、視聴者が自前で遅延補正した動画を作り、その中でABABAの瞬間を切り出す。あるまとめサイトでは「合図断面は合計14フレームに収めるべき」と主張され、編集ツールの設定項目までスクリーンショットで配布されたという。もっとも、実際のフレーム数は視聴環境で変化するため、後年になると「保存の熱量が目的化している」と皮肉られるようになった。[10]
また、技術的には“ABABAは長文に埋め込まれるべきである”という規範があったとされる。たとえば「勝ったABABA」と短く送るのではなく、「勝った気がする、ABABA—」のように前後の文章を置き、合図が浮かぶ位置を調整する。これは、読み手が合図だけを抽出できないようにするための“妨害ではなく儀礼”と説明された。こうした細部のこだわりが、結果として初心者の心理的敷居を上げ、コミュニティを閉じさせた一因になったとされる。[11]
批判と論争[編集]
一方でには、過剰な計測と排他性への批判がある。批判者は、書式や沈黙長のような要素が“実装環境”に依存する以上、ABABAそのものの本質を見失うと指摘する。実際、掲示板管理者向けの文書(とされる)では、ABABAの流行によりスパム監視の閾値が誤検知され、通常のメッセージが弾かれたケースが年間約3,200件報告された、とされる。[12]
さらに論争として有名なのは「ABABAの意味は勝利宣言なのか、礼儀なのか」という点である。ガチ勢の一部は「ABABAは相手の反応速度を測る鏡であり、勝ち負けではない」と主張する。他方で別派は「ABABAは“次の手が来る”という予告であり、勝利のカウントに近い」と言う。ところが双方とも、根拠は古いログではなく、自分たちが作った“再現実験”に依存しているため、外部研究者からは「研究というより信仰に近い」と評されたことがある。[13]
なお、この論争の末期には「偽ガチ勢」が問題化したとされる。偽ガチ勢は、見た目だけABABAを真似るが、所作(息継ぎや句読点)に従わない人物だとされた。問題は個人攻撃にまで発展し、派閥間の衝突が増えたため、最終的に“ABABAを強制しない”という新しい合意が作られた、と語られる。ただしその合意文書は草案止まりで、誰が最初に破ったかだけが長く語り継がれた。[14]
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 井上蒼太『反復合図の社会学:ABABA現象の一次ログ解析』新潮デジタル選書, 2003.
- ^ Margaret A. Thornton『Ritualized Messaging in Low-Latency Chatrooms』Journal of Participatory Media, Vol.12 No.3, 2004, pp.41-66.
- ^ 田島実『掲示板における句読点政治』東京文化出版社, 2006.
- ^ K. Watanabe, S. Hasegawa『Delay-Sensitive Call Patterns: A Case Study of ABABA』International Review of Media Timing, Vol.7 No.1, 2002, pp.9-27.
- ^ 佐伯涼『実況の“意味ある反復”とその逸脱』メディア論叢, 第18巻第2号, 2008, pp.113-140.
- ^ 【NHK】技術部 編『視聴者参加企画の設計指針(試験版)』日本放送出版協会, 2001.
- ^ 古川千尋『五回反復の声帯設計:礼法の映像史』映像工房叢書, 2010.
- ^ 杉浦和義『熱量の計測は可能か—沈黙長指標の批判的検討』情報文化研究, Vol.5 No.4, 2012, pp.77-95.
- ^ 小林由梨『コメントの保存形式と儀礼化の副作用』論文集『オンライン儀式学』第3巻第1号, 2014, pp.55-73.
- ^ Hiroshi Nakamura『Who Benefits from Hardcore Timing Norms?』Proceedings of the East Asia Digital Culture Conference, Vol.2, 2016, pp.201-219.
外部リンク
- ABABA観測室
- 五反復まとめWiki
- 礼法フォーラム(管理人不明)
- 遅延補正アーカイブ
- 句読点監査ログ倉庫