ABCフレッシュアップベースボール
| 番組名 | ABCフレッシュアップベースボール |
|---|---|
| ジャンル | 野球バラエティ・改良提案型トーク |
| 構成 | スタジオ討論+公開実験(フォーム計測)+視聴者データ放送 |
| 演出 | 検証ドキュメンタリー調(擬似計測演出) |
| 司会者 | 秋元祐太郎 |
| 出演者 | レギュラー:三木綾乃、佐藤啓介、鷲尾健一(不定期で元投手ゲスト) |
| OPテーマ | 『フレッシュアップ・スプリント』 |
| EDテーマ | 『守備の未来(データ版)』 |
| 制作局 | 愛知放送制作局(通称:中部実験編成部) |
| 放送期間 | 2011年4月3日 - 継続中 |
『ABCフレッシュアップベースボール』(えーびーしーふれっしゅあっぷべーすぼーる、英: ABC Fresh-Up Baseball、ローマ字表記: ABC Fureshu Appu Bēsubōru)は、[[愛知放送]]で[[メ~テレ|MTR系列]]により[[2011年]]([[平成]]23年)[[4月3日]]から毎週[[日曜日]]19時台([[日本標準時|JST]])に放送されているバラエティ番組である。[[秋元祐太郎]]の冠番組でもあり、[[データ放送]]を通じて視聴者が即時に「今週の守備改善提案」を提出できる仕組みとして知られている[1]。
概要[編集]
『ABCフレッシュアップベースボール』は、野球の技術や言葉の「新鮮さ」を競うことを目的として、毎週の対戦カード風にスタジオ企画を組み立てて放送されている番組である。視聴者は[[データ放送]]で投票し、番組内で翌週の「改善ランキング」が発表される流れが定着している[2]。
番組名の「フレッシュアップ」は、元々は野球用語として知られていたとされるが、制作側は「古いフォームを更新する」比喩として定義し直したと説明している。なお、初回放送直前には、[[愛知放送]]の編成会議で「ABC」を「Always Better Coaching(常により良い指導)」の略語として読ませる案が出たが、社内報では「案で止まった」とされている[3]。
世界線の出来事として特徴的なのは、番組が試合映像ではなく「改善実験」を主役に据えた点である。ゲストは実在の現役選手ではなく、当時の[[中部学院大学野球研究会]]などから“再現フォーム”協力者として招かれ、計測値を番組独自のスコアリングに換算する演出が繰り返された[4]。
放送時間/放送時間の変遷[編集]
放送開始当初は毎週[[日曜日]]19時20分から19時55分までの35分枠として編成された。開始から6か月間は「公開実験」が毎回15分を占め、視聴者投票の締切が19時40分に固定されていたため、番組は“締切番組”とも呼ばれた[5]。
その後、[[2013年]]の春改編で視聴者参加コーナーが伸長し、放送枠が19時台後半(19時25分開始・19時58分終了)へと移動した。さらに[[2016年]]には[[ハイビジョン放送]]へ完全移行し、計測演出の解像度を売りにする形で「フォームの軌跡グラフ」を導入した[6]。
一方で、視聴率の観点では波があったとされる。公開実験回が強い週では最高で視聴率6.9%を記録したが、ゲスト回がトーク寄りになった週では4%台へ落ち込む傾向が観測されたと報じられている[7]。なお、これらの数値は番組公式には“参考値”として扱われていた。
出演者(司会者/レギュラー出演者/歴代の出演者)[編集]
司会は[[秋元祐太郎]]が務め、番組内では「更新の審判」として進行する役割が与えられている。秋元は野球経験の有無について明確に語らない方針で知られ、代わりに“言い換え辞典”を持ち込んで改善ワードを選別するスタイルが定着した[8]。
レギュラーとしては、運動科学の言語化を担当する[[三木綾乃]]、トークパートの要約とツッコミを担当する[[佐藤啓介]]、実験の安全管理を担当する[[鷲尾健一]]が挙げられる。初期の頃は公開実験の被験者補助として[[中部学院大学]]の学生が出ていたが、[[2014年]]以降は“顔出し”を抑え、スタジオからの遠隔計測へ移行したとされる[9]。
歴代の出演者としては、[[2012年]]に不定期で出演した元審判の[[辻村和昭]]が“判定の言葉”をテーマに一度だけ出演した回が特に言及される。辻村は「打球の言い方で守備の反応が変わる」と述べたとされ、これが番組の言語改善路線の発火点になったと記述されている[10]。ただし当該発言の一次記録は確認困難であるとされている。
番組史[編集]
起源:『ABC』の誕生と“言い換え投球”[編集]
番組の起源は、[[2009年]]に[[愛知放送]]が社内で試験運用した「ABCフォームアーカイブ」企画にあると説明されている。この企画は、野球指導者が使う比喩を収集し、次年度の教育素材へ転用する目的で始まったとされる[11]。
ただし当初から番組として成立していたわけではない。制作側の内部資料では、実験協力者が“フォーム”ではなく“言い換え”で最も成果が出たことが強調されていた。具体的には、投球前に使う短い指示語を「3語」「5語」「7語」に分類し、被験者の反応時間がそれぞれ平均0.41秒、0.39秒、0.38秒短縮したという結果が残っているとされる[12]。この数値は番組初期のテロップにそのまま転用された。
さらに、この“言い換え投球”の成功が、のちの番組名の「ABC」へとつながったとされる。とはいえ、ABCを何の略にするかは最後まで決まらず、秋元が「三角測量みたいなもの」と言い出したことで、視聴者には“意味より体感”の姿勢が伝わったとされる[13]。
社会的波:指導現場の“即時改善”文化[編集]
放送開始後、草野球チームや少年野球の指導者の間で、番組の投票結果をそのまま練習メニューに取り込む動きが見られたと報じられている。特に「今週の守備改善提案」が紙で配られるようになり、[[名古屋市]]の球場では練習中の読み上げが始まったという記録がある[14]。
一方で、この流れは“改善の短期化”を促したとされる。番組で示される評価軸は「言い換え頻度」「反応距離」「守備開始の早さ」など複合指標で構成され、練習者はそれらを家庭内でも復唱するようになったとされる[15]。
制作側は、社会影響として「指導語の標準化」を挙げているが、現場側からは“番組が教える正解に寄りすぎる”という懸念も出た。番組はこの指摘を受け、[[2018年]]に視聴者投票のカテゴリを分割し、守備偏重から投球・走塁・声かけへ比率を戻す改編を行ったとされる[16]。
終盤ではなく“継続”を選んだ理由[編集]
番組は長寿番組として知られるが、その理由は「終えることで価値が減る」と考えられたことにあるとする説がある。公開実験の成果が単発で終わらず、シーズンごとに“同じフォームを別の言葉で再更新する”設計になっているためである[17]。
また、局内では“放送回数”が研究の節目として扱われ、たとえば[[2020年]]の時点で第500回を超えた際には、技術ではなく「改善ワードの使用率」に着目した特番が編成されたとされる[18]。このときワード使用率のトップは『追うな、待て』であったと報告されている。
番組構成/コーナー(主要コーナーのサブセクション)[編集]
番組は大きく「スタジオ試合」「公開実験」「データ反映」の三層で構成されている。オープニングで今週のテーマを宣言し、視聴者の投票を“先発”として位置づけ、出演者がその投票を検証し直す流れが基本である[19]。
主要コーナーは、後述の通り複数あり、特に“計測の見せ方”が細かい。たとえばスタジオ内のライトは色温度を5600Kに固定し、被験者の影がどの位置に落ちるかで角度を推定するという、科学番組風の演出が追加された時期があるとされる[20]。なお、この演出は厳密な計測ではないと内部で注記されていたが、視聴者には「疑似計測」として紹介された。
番組構成の多くは、毎回の“言い換え実験”を核に据えるため、トークが盛り上がっても結論が「次の改善」に結びつくよう編集されている。編集者の間では、秋元の言葉が締めになるよう“最後の3秒”を必ず確保する運用が続いていると伝えられている[21]。
シリーズ/企画[編集]
シリーズ企画として最も有名なのは「フレッシュアップ・リーグ」である。これは実在球団の成績ではなく、“言い換え指示語”ごとに架空の勝敗が付くもので、勝った指示語は翌週の公開実験で必ず使用されるという仕組みである[22]。
また「0.01秒改善チャレンジ」も企画として繰り返し登場する。ここでは、反応時間の差が小さくても“テロップ上の換算値”で差を強調する編集がなされ、視聴者は「改善の積み重ね」を疑似的に体験することになると説明されている[23]。
加えて、「地方収録リハビリ回」がある。これは[[茨城県]]の架空協力施設「つくば即応スタジオ」で収録されたとされ、地元の少年団が“声かけリハ”を行う様子が放送された。実在の町名は使わない方針だったが、告知文では[[つくば市]]の施設名が誤って表示されたことがあり、局が訂正を出したという経緯があるとされる[24]。
オープニング/テーマ曲[編集]
オープニングテーマは『フレッシュアップ・スプリント』で、曲の冒頭8小節の中に「A・B・C」コールが埋め込まれているとされる。番組はそのコールを“視聴者が投票を確定する合図”として扱い、データ放送の締切時刻に合わせてサウンドが再生されるという運用があった[25]。
エンディングテーマ『守備の未来(データ版)』は、放送回ごとに歌詞が一部差し替えられることで知られている。例として[[2017年]]9月回では「待て、追え、整え」の三語が採用され、同年12月回では「声で返す、足で返す」へ変更されたとされる[26]。ただし歌詞改変は公式発表よりも先にファンが解析して判明したとも言われている。
なお、音源の制作では、制作局の若手が自宅で録音した仮歌を採用したという噂がある。これは関係者の話として語られているが、裏取りは十分でないとされる[27]。
スタッフ(歴代のスタッフ/歴代スタッフ)[編集]
制作は[[愛知放送]]制作局で行われ、プロデューサーには[[前田史朗]]、チーフ・プロデューサーとして[[長谷川美咲]]が関わった時期があるとされる。スタッフは「検証班」「編集班」「安全管理班」の三チームに分けられ、公開実験回では班ごとにカウンターバーが画面下に表示される仕様だった[28]。
ディレクターとしては[[高柳健太]]が知られ、彼は“疑似科学の温度”を維持する編集を重視したとされる。たとえばグラフは必ず3種類までに絞り、色は青・橙・白の順で提示する運用があったという記述がある[29]。
なお、番組史の節目である第100回では、スタッフロールに誤字が混入し「守備の未来(データ版)」が「守備の未来(データ変)版」と表示された。放送後に公式サイトへ訂正が掲載されたが、視聴者はむしろその表記を“伝説のテロップ”として記憶したとされる[30]。
ネット局と放送時間/放送局・配信元[編集]
ネット局は中部圏を中心に展開されているとされ、[[愛知放送]]以外では[[北陸通信放送]]、[[関西サンテレビジョン]]、[[東北メディアネット]]などが同時枠で放送する場合があると記載されている[31]。ただし、放送時間は局ごとに微調整されることが多く、19時台前半と後半の間で揺れることがあったとされる。
配信については、番組公式の動画アーカイブがあり、放送後24時間以内に「公開実験の要点」だけが見られる方式が導入されたとされる[32]。このとき同時に、データ放送で提出された投票の“要約版”がアプリに反映され、視聴者がポイントを獲得する仕組みがあったという。
なお、誤解が生じやすい点として、配信は完全な全編無料ではなく、試験的に一部コーナーのみが公開される時期があった。局側は「番組体験の一貫性」を理由として説明していたとされる[33]。
特別番組[編集]
特別番組としては、シーズン中に放送される「フレッシュアップ・ワールド(改)」が知られている。ここでは、国内外から“改善言語”を学ぶ架空の講師を招き、スタジオで多言語の指示語に置き換える実験が行われたとされる[34]。
また、[[2021年]]には第750回記念として「0.001秒の声かけ選手権」が編成された。反応時間を計測できないはずの場面でも、制作側が“聞こえた瞬間”の推定値をテロップで提示したため、視聴者が大きく盛り上がったと報じられている[35]。この回は生放送とされているが、裏では収録版をベースに音声だけ差し替えたという噂があった。
地方収録の特番としては「中部逆転フェア」が挙げられる。これは[[愛知県]]の架空企業研修施設で収録されたとされ、訓練メニューが野球の言語改善へ転換される流れが描かれた[36]。
関連商品(DVD/書籍)[編集]
関連商品としては、番組コーナーを再編集したDVD『ABCフレッシュアップ・ベースボール完全改善集』が発売されている。内容は「言い換え辞典」「改善ランキング」「公開実験の設計図」などから構成され、初版は全国で約3.2万枚が出荷されたとされる[37]。
書籍としては『守備が変わる3語の魔法』があり、番組に登場した改善ワードを家庭用にアレンジしたと説明されている。著者は「番組編集部(編)」名義で、実名が出ないことが話題になった[38]。
さらに、公式連動のデータカード『フレッシュアップ・スコアブック』も販売された。紙のカードをアプリに読み込ませると、投票結果の“相性係数”が表示される設計だったとされるが、利用には機種依存があったためサポートページが増えるという形で運用上の問題も起きた[39]。
受賞歴[編集]
番組は放送技術賞の一部門で評価されたとされる。具体的には、公開実験のテロップ設計が評価され「視聴者参加型情報デザイン」で選出されたと報じられている[40]。
ただし、評価の対象が“科学性”ではなく“わかりやすさ”であった点が批判の的にもなった。制作側は「理解できる疑似科学に徹する」方針だったと説明し、結果として“誤解を前提にした番組作り”が特徴として定着したとされる[41]。
使用楽曲[編集]
使用楽曲はオープニングとエンディングに加え、公開実験中のBGMが週替わりで差し替えられる。公開実験のBGMは、テーマが守備の場合にテンポ120bpm、投球の場合に96bpmへ切り替える運用があったとされる[42]。
また、データ放送の投票締切BGMとして「チャイム風SE(3音)」が採用されている。視聴者がその3音を認識して番組と行動を同期することが狙いだとされ、制作側の“意図的習慣化”として語られたことがある[43]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 編集部『ABCフレッシュアップ・ベースボール公式ガイドブック(改訂版)』愛知放送出版局, 2012.
- ^ 前田史朗「言い換え投球の設計思想」『放送研究月報』第48巻第2号, 愛知放送研究所, pp.45-61, 2013.
- ^ 長谷川美咲「参加型ランキングの運用に関する一考察」『テレビジョン・メディアレビュー』Vol.12 No.7, 技術企画社, pp.12-27, 2016.
- ^ 三木綾乃「短語指示が反応時間に与える影響(疑似計測モデル)」『スポーツと言語』第9巻第1号, 中部大学出版部, pp.101-118, 2017.
- ^ 佐藤啓介「“科学っぽい”編集の温度管理」『映像演出クロニクル』Vol.4 No.3, 画面設計工房, pp.77-90, 2018.
- ^ 高柳健太「テロップ設計の情報量最適化:3色ルールの成立」『情報デザイン研究』第21巻第4号, 日本色彩技術協会, pp.200-214, 2019.
- ^ 秋元祐太郎「観客参加と心理的フィードバック:A・B・Cの読み」『視聴者行動ジャーナル』Vol.9 No.2, Global Broadcasting Press, pp.33-48, 2020.
- ^ 辻村和昭「判定語彙の選択が守備動作に与える影響」『審判論叢』第6巻第5号, 判定学会出版, pp.1-15, 2012.
- ^ 北陸通信放送 編『地方収録番組の運用指針:24時間アーカイブ時代』北陸通信出版, 2021.
- ^ 誤植で話題になったため追補が出た『守備の未来(データ版)歌詞対照表』愛知放送制作局, 2017.
外部リンク
- ABCフレッシュアップ・ベースボール 公式アーカイブ
- 愛知放送 中部実験編成部
- フレッシュアップ・リーグ ビジュアル辞典
- データ放送 投票ガイド
- 公開実験 撮影裏話ノート