Alicia(ギターペダル・ブランド)
| 名称 | Alicia(ギターペダル・ブランド統合研究機関) |
|---|---|
| 略称 | AL |
| ロゴ/画像 | 淡い藍色の三角波と、錆びたスパナを組み合わせた紋章 |
| 設立(設立年月日) | 1997年7月3日 |
| 本部/headquarters(所在地) | 京都市(左京区・音波団地) |
| 代表者/事務局長 | 事務局長:内藤 ルイナ(Naohtou Ruina) |
| 加盟国数 | 31か国 |
| 職員数 | 214名(技術職 131名、監査職 19名、渉外職 64名) |
| 予算 | 年額 48億2,600万円(2024年度) |
| ウェブサイト | alicia-pedals.org |
| 特記事項 | 音響規格「A-7B(Alicia-7Bode)」を独自に運用する |
Alicia(ありしあ、英: Alicia、略称: AL)は、音響研究と即興演奏の連携を目的として設立されたである[1]。設立。本部はに置かれている[1]。
概要[編集]
は、ギターペダルの回路安定性に関する国際共同試験と、現場演奏者の即興プロトコル策定を目的として設立されたである[1]。本部はに置かれており、加盟団体を通じて統一規格の普及を行っている。
同機関は「ブランド」を名乗りつつ、実際には各国の工房・大学・スタジオの技術者が参加する試験場として運営されている点が特徴である[2]。特に、同機関が発行する個体識別子「AL-個体票(AL-Stock Sheet)」は、現場で“音の身分証”と呼ばれている。
なお、同機関の名称は「Alicia」という音の通称から来たとされるが、語源は複数の説があり、理事会は確定的見解を示していない[3]。このため、初期文書の一部には「よく分からないけれど信じてしまう」表現が残され、百科事典的整理ではしばしば混乱が生じている[3]。
歴史/沿革[編集]
創設の経緯と設置法[編集]
Aliciaは、1990年代中葉の各国スタジオで「同じ型番のペダルが現場ごとに違う挙動を示す」問題が繰り返されたことを背景として創設された。同機関は、当時の国際音響連絡会議が提出した「ギターペダル挙動整合化勧告」を受け、技術と運用の双方を統合するために設立されたとされる。
設置法は「音響即興基準設置法(京都第15号)」であると説明され、同法に基づき運営される外局として「AL-試験規格室」などが置かれた[4]。ただし、初期の文書には“外局”という語が一度だけ誤記されており、監査報告では「誤記が残るほど、当時の緊急性が高かった」と整理されている[5]。
規格の拡大と「A-7B」の誕生[編集]
1999年頃から、同機関は回路の温度変動・電源ノイズ・踏み込み速度の三要素を同時に測る統合試験を開始した。このとき導入された指標が、周波数応答の立ち上がりに着目した「A-7B(Alicia-7Bode)」である。
A-7Bは、測定器の都合で“7”が固定されたという説明がある一方で、理事会議事録では「偶然の数ではない」と強い言及が見られる[6]。また、2003年の技術文書では、試験の合否を「踏み込み 0.72秒以内」「ノイズ床 -74.2dBV以上」などの細かい数字で規定した[6]。この“過剰な精密さ”が、のちに現場の熱狂を生み、逆に批判の種にもなった。
組織[編集]
Aliciaは、理事会と総会の二層構造で運営されている。総会は加盟国の代表、理事会は技術・運用・監査の分野ごとに指名された理事で構成され、決議に基づき各種の活動を行っている[7]。
主要部局としては、運用標準局、回路検証局、訓練・即興連携局、財政・監査局が置かれている。回路検証局は、工房が持ち込む試作品に対し、個体番号の照合と回路ログの保全を担う[8]。また、訓練・即興連携局は、ペダルの挙動を“演奏言語”として解釈するワークショップを開催し、音楽教育機関と共同で教材を作成している。
なお、初期の運営では「ブランド委員会」が前身となったとされるが、資料によって名称の表記揺れがあり、統一は後年の“第3改訂”により行われたと記録されている[9]。このように、公式の組織名と現場での呼称がずれていた期間があることが、Alicia研究ではしばしば指摘される。
活動/活動内容[編集]
Aliciaは加盟国の工房・スタジオ・大学を管轄し、規格適合の認証試験と、演奏者の即興プロトコル策定を行っている。具体的には、年次の「AL-統合ペダル試験会」において、同一回路構成の量産品が現場で同等に振る舞うかが検証される[10]。
活動内容は多岐にわたり、(1) 回路安定性の国際比較、(2) 電源・ケーブル相性のデータベース化、(3) 失敗例の公開(とされる)に大別される。特に失敗例は、あえて“外部公開の価値が低い”と判断された部位だけが残される運用があり、研究者の間では「選別公開」と呼ばれている[11]。
また、同機関は演奏者向けに「踏み込み速度の言語化研修」を実施し、例えば“強いバイアス”を「コインを裏返すように踏む」など比喩で説明する教材を配布している[12]。この比喩が実務で役立ったとする声がある一方、理系技術者からは“科学ではない”という指摘も受けた。
財政[編集]
Aliciaの予算は年額 48億2,600万円(2024年度)であり、分担金、認証試験手数料、技術講習の受講料を主な財源としている。分担金は加盟国ごとに段階制で算定され、例えば試験協力の度合いが高い国ほど職員派遣枠が増える仕組みとされる[13]。
財政は財政・監査局によって運営され、予算は四半期ごとに理事会へ報告される。会計年度中の“緊急補正”が認められる条項があり、これが現場では「音が狂ったら金が動く」と簡略化されている[14]。この表現はやや誇張ではあるが、実際に2022年度には、試験環境の温度制御装置更新により予算の 3.14%が繰り越されたとされる[14]。
なお、財政資料には、支出の分類に一部独自の語彙が用いられており、外部監査でも「解釈を要する」との注記が付いたと報告されている[15]。
加盟国(国際機関の場合)[編集]
Aliciaの加盟国は31か国である。加盟国は総会で承認され、加盟後は一定期間内に認証試験へ参加することが所管事項として定められている[16]。
加盟国の例としては、音響研究が盛んな、即興教育の制度が整備されている、伝統的工房が多いなどが挙げられる。ここでの加盟は必ずしも政治的同盟を意味せず、あくまで技術データ共有と試験協力の契約として運営されているとされる[17]。
一方で、加盟申請には「現場での事故報告(踏み損ねや機材破損)を提出すること」と明記されているため、加盟国の拡大は慎重に行われてきた[18]。この条件は、同機関の理念である“失敗もまた規格を作る”を体現すると説明されるが、実務負担が大きいと批判されることもある。
歴代事務局長/幹部[編集]
歴代の事務局長としては、初代に当たる「石倉 ルシアン(Ishikura Lucian)」が1997年から2001年まで務めたとされる。次いで2代目は「マリオ・バルドビーノ(Mario Valdobino)」であり、制度の国際化を進めたと記録されている[19]。
3代目以降は、技術寄りの「チェン・ミンチャン(Chen Mingchang)」(2006年就任)や、運用寄りの「ファリダ・サエド(Farida Saedo)」(2010年就任)など、分野に応じた人選が行われてきたとされる[20]。現職の事務局長は内藤 ルイナであり、回路検証局と訓練・即興連携局の統合作業を分担する方針を示している。
なお、幹部構成では「監査補佐」が複数名置かれ、技術と会計の両方を見られるように設計されていると説明される[8]。この“横串”は理念として評価される一方、権限の衝突も起きやすいと指摘されることがある。
不祥事[編集]
Aliciaは、音の統一を掲げる一方で、統一が行き過ぎたように見える事案も報告されている。代表的には、2018年の「AL-補正ログ改ざん疑惑」があり、試験の合否判定に関する回路ログの一部が差し替えられたのではないかと指摘された[21]。
同機関は当初、差し替えは“読み取り方式の変更による形式統一”であると説明したが、その後の第三者確認では、差し替えのタイミングが“異常に早い”と監査報告がまとめた[22]。さらに、監査員の宿泊記録に「左京区で深夜に音が止まった」というメモが添付されていたため、当時の委員会では“音響的な偶然”として扱われたとされる[22]。
また、2021年には、認証試験の優先枠が一部の研修団体に偏っていたとして、総会で決議が行われた。決議は形式的には「是正勧告」であったが、現場では“優先枠の棚卸し”という言い換えが広がり、調整の実態が薄れると批判された[23]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 内藤 ルイナ「A-7Bodeにおける温度補償の挙動整理」『音響即興技術年報』Vol.12 No.3, 2004. pp. 41-66.
- ^ 石倉 ルシアン「個体番号と“音の身分証”の実装」『国際ギター機器通信』第7巻第2号, 2000. pp. 9-28.
- ^ Mario Valdobino「スタジオ環境差分を吸収するログ運用」『Proceedings of the International Footswitch Standardization Symposium』Vol.3, 2006. pp. 113-129.
- ^ チェン・ミンチャン「踏み込み速度の測定系校正:0.72秒基準の再検討」『関節音響工学レビュー』Vol.18 No.1, 2011. pp. 201-235.
- ^ Farida Saedo「失敗例を公開する認証制度の設計思想」『ジャーナル・オブ・オーディオポリシー』第5巻第4号, 2013. pp. 77-98.
- ^ 京都第15号「音響即興基準設置法に基づくAlicia外局の設置」『京都官報』第152号, 1997. pp. 1-14.
- ^ ハンス・クレッペル「A-7Bの指標が現場の耳に与える影響」『Journal of Signal-Driven Musical Instruments』Vol.9 No.2, 2016. pp. 55-73.
- ^ 山下 カナデ「AL-統合ペダル試験会の運用透明性:選別公開の分析」『音楽機材監査論集』第2巻第1号, 2019. pp. 13-40.
- ^ 監査報告書「AL-補正ログ改ざん疑惑の暫定整理(要旨)」『Alicia監査局資料集』Vol.2022-AL, 2022. pp. 3-22.
- ^ K. Nwogu「International inclusion metrics for pedal certification organizations」『International Review of Audio Governance』Vol.1 No.1, 2020. pp. 1-17.
- ^ トマス・レイヴェン「誤記が制度を残す:理事会議事録の表記揺れ研究」『史料学と技術の交差』第11号, 2021. pp. 88-102.
- ^ AL-個体票運用マニュアル『AL-Stock Sheet Spec』第3版, Alicia事務局, 2024. pp. 12-29.
外部リンク
- Alicia公認試験場カレンダー
- A-7B計測機器ライブラリ
- AL-個体票 検索ポータル
- 京都左京区 音波団地 アクセス案内
- 失敗例公開アーカイブ(閲覧制限あり)