CLANNADは"人生"
| タイトル | CLANNADは"人生" |
|---|---|
| 画像 | Clannad_is_Life_box.png |
| 画像サイズ | 240px |
| caption | 初回限定版パッケージ |
| ジャンル | ビジュアルノベルRPG |
| 対応機種 | 白樺OS, 霞端末, 風見ドリーム |
| 開発元 | 桜灯社インタラクティブ |
| 発売元 | 灯台メディアワークス |
| プロデューサー | 黒田 章吾 |
| ディレクター | 牧野 友樹 |
| デザイナー | 有馬 しずく |
| プログラマー | 長谷川 迅 |
| 音楽 | 霜月 里見 |
| シリーズ | 潮騒学園シリーズ |
| 発売日 | 2004年10月29日 |
| 対象年齢 | 15歳以上推奨 |
| 売上本数 | 初週8万412本、全世界累計312万本 |
| その他 | 通称は『人生ソフト』 |
『CLANNADは"人生"』(クラナドはじんせい、英: CLANNAD Is Life、略称: CIL)は、にの架空の開発会社から発売された用。『』シリーズの第1作目にあたるとされる[1]。
概要[編集]
『CLANNADは"人生"』は、をモデルとしたの街を舞台としている型のである。プレイヤーは転入生のに相当する青年を操作し、学園祭、家業継承、自治会再編、そして家庭料理選手権を通じて、失われた家族の記憶を取り戻していく[1]。
本作は、もともと向けの小規模な恋愛アドベンチャーとして企画されたが、途中から「人生の総量を可視化するゲーム」を目指す方針に変更されたため、ととの要素が混在している。キャッチコピーは「選択肢は、血縁より重い」であり、発売当時から「家族計算書をゲーム化した異例の作品」として注目された[2]。
タイトルの語感からでは宗教的メタファーとして受け止められることもあったが、実際には開発初期に存在した「C.L.A.N.補助接続法」という略称案が後から誤解されたものであるとされる。なお、後年の資料では『CLANNADは"人生"』という表記自体が、販促担当の黒田が深夜の校正で付記した一文だったという説が有力である[3]。
ゲーム内容[編集]
システム[編集]
ゲームシステムの特徴として、各章の冒頭で「家族値」「余白値」「坂道耐久値」の3つの内部パラメータが配分される。これにより、同じイベントでも選択肢によってが学園祭になったり、親族会議になったりするため、1周あたりの平均テキスト量は約48万字に達するとされる[4]。
また、特定の行動を繰り返すことで「連帯感」ゲージが上昇し、満タンになるとのミニゲーム『ダンゴ投げ』が解放される。これは一見ただの落ちものパズルであるが、実際には家族関係の修復を表現したもので、プレイヤーが円形の団子を積み上げるたびにが増える仕組みであった。
戦闘[編集]
戦闘は通常のではなく、会話による交渉と「感情コマンド」によって進行する。プレイヤーは「黙る」「慰める」「背中を押す」などの行動を選択し、成功すると相手キャラクターのが変化して必殺技「団欒斬り」や「朝食和解」が発動する。
ただし、終盤にのみ出現する敵性存在は例外であり、この敵との戦いでは風の操作に切り替わる。開発資料によれば、これは「家族の問題は言葉だけでは処理できない」という主題を反映したもので、敵を撃退しても消滅せず、最終的には台所に帰ってくるとされている。
アイテム[編集]
アイテムは、、、など、日常性の高いものが中心である。とくに「保存された夕暮れ」は、所持しているだけでエンディング分岐の一部を固定する重要アイテムとして知られ、全国の攻略本読者がもっとも紛失したアイテムでもある。
なお、限定版特典として付属した「家系図ジェネレーター用フロッピー」は、実際には起動しないことが発売2か月後に判明したが、これが逆にコレクター需要を生み、を記録する要因の一つになったとされる。
対戦モード[編集]
対戦モードは、2人で同じ画面を共有し、互いの選択肢の「優しさ」を競う非暴力型ルールである。勝敗はHPではなく「反省回数」で決まり、10回以上反省したプレイヤーは自動的に勝者として扱われる。
このモードは、後に版でが追加され、全国の保護者会や文化祭実行委員会で意外な人気を博した。特にの一部ネットカフェでは、対戦の勝者にだけ味噌汁が無料配布されるという独自イベントが行われた記録がある。
オフラインモード[編集]
オフラインモードでは、通信が切断された状態でのみ進行する特別章『無音の帰路』が遊べる。ここではBGMが鳴らず、足音と遠くの踏切音だけで進むため、プレイヤーの87%が「最も怖いホラー章」と評価したとされる[5]。
また、隠し要素として「父親不在」状態で全ルートを回収すると、オフライン専用の真エンディング『空席の夕食』が解放される。これは後年の版では削除されたが、復刻を求める署名がで小規模に起きた。
ストーリー[編集]
物語は、にあるへ通う青年が、校門前で毎朝同じ時間に転ぶ少女と出会うところから始まる。彼は当初、単なる遅刻回避を目的としていたが、やがて学園内に点在する「未処理の家族問題」を収集する役割を担うことになる。
中盤では、、、らと共同で、学園の裏山に埋まっているとされる「家族の原簿」を探すエピソードが描かれる。原簿には各家庭の会話回数が記録されており、それが減ると町の坂が急になるという設定で、ここで多くのプレイヤーが「このゲームは何を言っているのか」と感じたとされる。
終盤になると、主人公は町そのものが一つのであることを知る。失われた人々の感情はに蓄積され、毎年冬にだけ読み出される仕組みであり、真エンドでは家族、友人、通行人、そしてまでもが一列に並んで夕食を取る。なお、この最後の食卓は「全員の箸の長さが違う」という理由で、発売後に一部の教育委員会から要出典を求められた[6]。
登場キャラクター[編集]
主人公[編集]
は、無気力だが家事の手際だけは異常に良い青年である。作中では「台所に立つことでしか回復しない」という特性を持ち、夜になると自動的に炊飯器の前へ移動するため、攻略班からは「半自律型主人公」と呼ばれた。
仲間[編集]
は、演劇部再建を目指す少女であり、同時に本作のシステム説明役でもある。彼女が説明するチュートリアルは平均2時間半に及び、発売当時の雑誌では「世界一丁寧な導入」と称された。
は、図書室の奥で独自の家族理論を研究する天才である。彼女の隠し会話は34本存在し、そのうち7本は意味を成さないが、逆にそれが「悟りに近い」と評された。
敵[編集]
敵勢力は明確な軍事組織ではなく、主に「すれ違い」「無言の食卓」「提出されなかった連絡帳」などの抽象的存在である。最大の敵は、町の朝霧に紛れて現れ、プレイヤーの選択履歴を食べるとされる。
また、条件を満たすと出現する準敵対キャラクターは、会話のたびに家庭訪問の印鑑を要求してくることで知られており、シリーズ屈指の理不尽さを誇る。
用語・世界観[編集]
本作の世界では、の坂道は単なる地形ではなく、住民の未完了の会話量に応じて長さが変化する設定である。会話が増えるほど坂は短くなり、反対に関係が悪化すると最大で17メートル伸びるとされている[7]。
また、町内で毎年開催されるは、実質的には住民全員の進捗確認会であり、参加者は「今年の家族温度」を申告する義務がある。これにより、地区ごとの結束度が可視化されるが、数字が低い家庭ほど食券が多く配られるため、制度としての公平性には議論があった。
世界観資料集によれば、本作の舞台は「平成初期の地方都市を元にしつつ、感情の保存技術だけが20年先行した並行世界」である。もっとも、開発者インタビューでは「なんとなく坂が多かったから」と説明されており、設定の厳密性はあまり重視されていなかった可能性がある。
開発・制作[編集]
制作経緯[編集]
制作は、の賃貸オフィスに置かれた三畳半の会議室で始まった。当初は『夕焼けの配達人』という別題で企画されていたが、スタッフの一人が「この企画は人生そのものだ」と言い残して退職したため、以後は『CLANNADは"人生"』の仮題が半ば公認された[8]。
開発初期には、主人公が料理を作るたびにの監修テロップが挿入される案もあったが、予算の都合で廃案になったという。なお、当時の進行表には「父親の影を3回までにする」「夕食を必ず2回入れる」など、制作ノートとは思えない項目が並んでいた。
スタッフ[編集]
プロデューサーのは、もともとの編集者であり、「地方の坂は感情を運ぶ」という持論を持っていた。ディレクターのは、シナリオ会議で泣いた回数を記録する独自の進行管理を導入し、最終的に会議室の壁に54個の涙型シールが貼られたとされる。
音楽担当のは、ピアノだけでなく湯沸かし音、新聞紙の擦過音、駅前の拡声器をサンプリングして使用したことで知られる。これは「日常音の積層が最終的に家族になる」というコンセプトに基づくもので、のちのゲーム音楽史で高く評価された。
音楽[編集]
サウンドトラックは全37曲で、うち12曲が雨天専用、4曲が夕食専用、2曲が「誰もいない階段」専用である。代表曲「小さな手のひら」は、発売直後にの標準教材として採用され、全国の高校で休み時間に流されたという。
また、劇中歌はの録音を重ねた多層コーラスで構成されており、最終章の「団欒」の再生時には、プレイヤーの端末のバッテリー消費が通常の1.8倍に達したという報告がある。これが後に「感情負荷BGM」と呼ばれる分類の先駆けになった。
海外盤では、宗教的配慮から一部の鐘音がシンセサイザーに差し替えられたが、逆に不気味さが増したため、北米レビューでは「家庭用なのに葬儀用」と評された。
他機種版・移植版[編集]
本作は発売後、版、版、Lite版へと順次移植された。特に発売の版では、タッチ操作で「手をつなぐ」専用コマンドが追加され、通勤電車内でのプレイが大幅にしやすくなった。
さらにには版が配信され、巻き戻し機能を使って「会話のやり直し」ができる仕様が話題となった。もっとも、巻き戻すたびに主人公の心労が少しだけ蓄積される隠し仕様があったとされ、これに気づいたユーザーは少ない。
向けには『CLANNAD is a Whole Life』名義で再編成版が発売されたが、タイトルが長すぎるため起動時に3行で表示され、読み切れないという理由で一部店舗が販売をためらった。
評価[編集]
発売当初は「過剰に感傷的な学園もの」として扱われたが、口コミで評価が上昇し、特別部門賞を受賞したとされる。初週売上は8万412本で、その後の長期出荷と再販を含めると全世界累計312万本を突破した[9]。
レビューでは、で36点を記録したという説と、35点だったという説が併存している。なお、いずれの集計でも「夕食の説得力が高い」「坂道が異常に多い」といったコメントが残されており、内容理解より空間把握が難しい作品として記憶された。
社会的影響として、発売後しばらくの間、地方自治体で「家族会議前に本作を1周しておくと議論が円滑になる」という非公式の実務慣行が生まれた。これについては学術的検証が十分でないため要出典とされているが、少なくともとの一部公民館では似た運用が確認されている。
関連作品[編集]
続編としては『CLANNADは"通勤"』、『CLANNADは"町内会"』が企画され、いずれも未発売に終わったが、設定資料だけは後年ので流通した。また、前日譚にあたる『雨の日の配達票』は、わずか4面構成の短編として制作され、シリーズ一作目にあたるという扱いを受けることもある。
テレビアニメ化されたという記録もあるが、実際にはアニメではなく「長時間の視聴型プレイ補助装置」だったとする説があり、メディアミックスの定義を巡って論争が起きた。関連商品では、抱き枕、家族表、味噌汁レシピ集などが発売され、なかでも「坂道の角度を測る定規」が最も売れた。
関連商品[編集]
攻略本として『CLANNADは"人生" 完全家系図解析書』がより刊行され、全428ページ中171ページが相関図で占められている。書籍版は「主人公の心情を時系列に並べる」という無謀な編集方針のため、読者の約3割が途中で自分の家族に連絡したとされる。
その他の書籍には、『坂をのぼる技術』『夕飯前に読む物語設計論』『家族値の測り方』などがあり、いずれもゲームの公式資料というより生活改善本に近い体裁であった。なお、付録の「町内放送CD」は、朝6時のアラームとして使うと近隣トラブルになると注意書きがある。
脚注[編集]
注釈[編集]
1. 仮題としての『CLANNADは"人生"』は、発売前の販促物にのみ記載されたとする説がある。 2. 初週売上の数値は出荷本数との混同があるとも指摘されている。 3. 家族会議での利用例は、編集者の体験談に基づくとされる。
出典[編集]
1. 牧野友樹『潮騒坂の設計思想』灯台メディアワークス研究叢書, 2006年, pp. 14-39. 2. 黒田章吾『人生をパッケージする方法』桜灯社出版部, 2005年, pp. 88-102. 3. 霜月里見『日常音楽論: 湯沸かし音から泣けるBGMまで』白樺音響, Vol. 12, No. 4, pp. 201-219. 4. 東雲ひかる『ビジュアルノベルRPGの誕生』東京架空大学出版会, 2009年, pp. 55-76. 5. Keane, Malcolm. “The Domestic Gravity of Japanese Game Narratives.” Journal of Interactive Folklore, Vol. 8, No. 2, pp. 41-63. 6. 有馬しずく『選択肢は血縁より重い』灯台書房, 2007年, pp. 3-18. 7. 佐伯みのり『坂道と感情距離の相関』地方都市文化研究, 第19巻第1号, pp. 11-30. 8. “CLANNAD Is Life: A Corridor of Memory” in Retro Game Review Monthly, Vol. 5, No. 9, pp. 70-81. 9. 『ファミリーゲーム年鑑 2004-2006』虹色統計社, 2007年, pp. 122-129. 10. 望月柚『家庭音のための作曲法』風見堂, pp. 1-214. 11. 木村透『起動しない限定版特典の研究』白樺OS文化研究所, 2014年, pp. 9-25.
参考文献[編集]
・黒田章吾『人生をパッケージする方法』桜灯社出版部, 2005年. ・牧野友樹『潮騒坂の設計思想』灯台メディアワークス研究叢書, 2006年. ・東雲ひかる『ビジュアルノベルRPGの誕生』東京架空大学出版会, 2009年. ・霜月里見『日常音楽論: 湯沸かし音から泣けるBGMまで』白樺音響, 2010年. ・有馬しずく『選択肢は血縁より重い』灯台書房, 2007年. ・佐伯みのり『坂道と感情距離の相関』地方都市文化研究, 第19巻第1号. ・Malcolm Keane, “The Domestic Gravity of Japanese Game Narratives,” Journal of Interactive Folklore, Vol. 8, No. 2. ・『ファミリーゲーム年鑑 2004-2006』虹色統計社, 2007年. ・木村透『起動しない限定版特典の研究』白樺OS文化研究所, 2014年.
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
・桜灯社インタラクティブ 公式アーカイブ ・潮騒坂資料館 デジタル展示室 ・白樺OS レトロゲーム保存協会 ・灯台メディアワークス 特設年表 ・家族値研究会 作品データベース
脚注
- ^ 牧野友樹『潮騒坂の設計思想』灯台メディアワークス研究叢書, 2006年, pp. 14-39.
- ^ 黒田章吾『人生をパッケージする方法』桜灯社出版部, 2005年, pp. 88-102.
- ^ 霜月里見『日常音楽論: 湯沸かし音から泣けるBGMまで』白樺音響, Vol. 12, No. 4, pp. 201-219.
- ^ 東雲ひかる『ビジュアルノベルRPGの誕生』東京架空大学出版会, 2009年, pp. 55-76.
- ^ Keane, Malcolm. “The Domestic Gravity of Japanese Game Narratives.” Journal of Interactive Folklore, Vol. 8, No. 2, pp. 41-63.
- ^ 有馬しずく『選択肢は血縁より重い』灯台書房, 2007年, pp. 3-18.
- ^ 佐伯みのり『坂道と感情距離の相関』地方都市文化研究, 第19巻第1号, pp. 11-30.
- ^ “CLANNAD Is Life: A Corridor of Memory” in Retro Game Review Monthly, Vol. 5, No. 9, pp. 70-81.
- ^ 『ファミリーゲーム年鑑 2004-2006』虹色統計社, 2007年, pp. 122-129.
- ^ 木村透『起動しない限定版特典の研究』白樺OS文化研究所, 2014年, pp. 9-25.
外部リンク
- 桜灯社インタラクティブ 公式アーカイブ
- 潮騒坂資料館 デジタル展示室
- 白樺OS レトロゲーム保存協会
- 灯台メディアワークス 特設年表
- 家族値研究会 作品データベース