JOJO PVP R
| タイトル | JOJO PVP R |
|---|---|
| 画像 | JojoPvpr_box.jpg |
| 画像サイズ | 240px |
| caption | パッケージイメージ |
| ジャンル | アクションシューティングゲーム / 対戦アクション |
| 対応機種 | ドリームリーフ |
| 開発元 | サテライト・クォーツ 第2開発室 |
| 発売元 | サテライト・クォーツ |
| プロデューサー | 高瀬 恒一 |
| ディレクター | 三木 玲 |
| デザイナー | 白河 真一 |
| 音楽 | 矢倉 透 / LUNA-9 |
| シリーズ | JOURNEY OF JUDGMENT |
| 発売日 | 2003年11月27日 |
| 対象年齢 | 12歳以上推奨 |
| 売上本数 | 全世界累計148万本 |
| その他 | オンライン対戦機能、協力プレイ、バーチャルコンソール対応 |
『JOJO PVP R』(じょじょ ぴーぶいぴー あーる、英: JOJO PVP R)は、2003年に日本のサテライト・クォーツから発売されたドリームリーフ用アクションシューティングゲーム。『JOURNEY OF JUDGMENT』シリーズの第3作目であり、通称は「PVP R」と呼ばれる[1]。
概要[編集]
『JOJO PVP R』は、ドリームリーフ末期に発売された対戦重視のアクションシューティングゲームである。プレイヤーは「ジョジョ」と呼ばれる記号化された戦術兵を操作し、都市型訓練区画ネオ・サルベージ市を舞台に、3対3の模擬戦を繰り返す。
本作は元来、サテライト・クォーツ社内で行われていた通信規格実験「PVP-Rプロトコル」から派生したもので、開発初期は業務用訓練ソフトであったとされる。のちに一般向けへ転用され、対戦モードと協力プレイを軸にした作品として再構成された[2]。
キャッチコピーは「撃つより、読め」。また、発売当時の広告では「シリーズの第N作目にして、もっとも理不尽な礼儀作法」と紹介され、当時のゲーム雑誌編集部が半ば本気で困惑したと伝えられている。
ゲーム内容[編集]
システム[編集]
ゲームシステムの特徴として、射撃、格闘、判定反転の3層入力が同時に要求される点が挙げられる。プレイヤーは各ラウンド開始時に「姿勢」「視線」「間合い」を登録し、これを基に自動照準と手動補正を切り替える。これにより、従来のロールプレイングゲーム的な成長要素と、格闘アクションシューティングゲーム的な反射神経が奇妙に融合している。
また、敵の攻撃を受けると体力ではなく「体裁値」が減少し、これが0になると攻撃不能ではなく「失礼状態」として行動が乱れる。なお、体裁値はロビーで紅茶を飲むことで回復するが、この仕様は一部の攻略本にすら理由が書かれていない。
戦闘[編集]
戦闘では、プレイヤーは最大3体の「ジョジョ」を編成し、対戦モードでは同時に1体だけが前線へ出る。各ジョジョは固有の「反証弾」を持ち、相手の弾道に対して逆説的な軌道修正を行うことで、命中した弾を無効化または増幅することができる。
とりわけ「R回避」と呼ばれる操作は、発射直後の弾丸に対して0.18秒だけ入力猶予があり、成功すると攻撃が味方側へ跳ね返る。このため上級者同士の対戦では、1試合が11分を超えると観客席の集中力が先に尽きると言われた[3]。
アイテム[編集]
アイテムは「補給食」「整列具」「黙認証」の3系統に分かれる。補給食は回復、整列具は隊列変更、黙認証は一度だけ敗北判定を先送りにする効果を持つ。
なかでも「灰色のサンドイッチ」は本作を象徴する回復アイテムで、食べると弾薬が12発増える一方、画面に小さく「昼休み扱い」と表示される。開発スタッフによれば、これは都内の実験室で実際に発生した昼食時の遅延をゲームに転用したものであるとされるが、詳細は要出典である。
対戦モード[編集]
オンライン対応の対戦モードは、発売当時としては珍しい「曜日別接続制」が採用された。月曜から木曜までは通常戦、金曜はランキング戦、土曜は観戦専用、日曜は「審問戦」となり、勝敗に応じて称号が細かく変化する。
また、ローカル通信では「無言プロトコル」と呼ばれる仕様があり、対戦中にボイスを発すると入力遅延が増えるため、実際には礼儀正しさより無言が推奨された。これが本作の奇妙なストイックさを決定づけたとされる。
オフラインモード[編集]
オフラインモードには「演習」「回想」「監査」の3種がある。演習は通常のCPU対戦、回想は過去の敗北局面だけを再生するモード、監査はステージ内の弾道ログを数値化して再現する検証向け機能である。
とくに回想モードは、プレイヤーが敗北した場面を最大47倍速で見せつける仕様で、発売当時は「親切というより教育的」と評された。後年の研究では、このモードが中級者の離脱率を9%下げた一方、友人関係を2割ほど悪化させたとの指摘がある。
ストーリー[編集]
物語は、ネオ・サルベージ市で発生した「第三訓練停止令」から始まる。市内の通信網に謎のノイズが流れ、住民の会話が全て敬語化してしまう事件が起き、主人公たちはその原因を探ることになる。
中盤では、サテライト・クォーツの地下区画に存在する「PVP炉」が明らかになり、都市全体の対戦記録が半永久的に蓄積されていたことが判明する。これにより、敵勢力「白紙評議会」が、勝敗履歴を書き換えることで市民の記憶を操作しようとしていたという、やや説明過多な展開が続く。
終盤では、主人公が「R」の正体がRebuttalではなくRespectであったことを知り、戦うことよりも応答の形式が重要であると悟る。ラストバトルは上空の移動式裁定塔で行われ、勝利条件が「相手の装備を破壊すること」ではなく「相手に最後まで話させること」である点が、本作最大の奇妙さとして知られている。
登場キャラクター[編集]
主人公[編集]
主人公は「ジョウ・オウル」とされる青年で、正式名称よりもコードネームで呼ばれる。彼は中央記録局の臨時検査員という肩書きを持ち、実際には戦闘経験が乏しいにもかかわらず、初回チュートリアルで12体の敵を同時に撃破するため、シリーズ中でもっとも理不尽な適性者とされる。
なお、彼の髪型は章が進むごとに0.5cmずつ増える演出があり、当時のファン考察では「感情の昂りが物理量として可視化されている」と解釈された。
仲間[編集]
仲間には、戦術医療班のミラ・ノートン、通信技師の渡瀬 キオ、そして補給担当の老紳士エドワード・L・ベイツがいる。特にミラは、戦闘中に味方へ注射ではなく「方針修正」を行うことで知られ、回復演出がやたら長い。
エドワードは、店売りアイテムを全品17%割引にするが、会話のたびに古い回線のようなノイズが入る。このノイズが実は隠しヒントだったという説もあるが、攻略本では一切触れられていない。
用語・世界観[編集]
本作の世界観では、都市機能そのものが戦術訓練の一部として設計されており、信号機、郵便箱、ベンチが全て判定装置として機能する。これを総称して「日常兵装」と呼ぶ。
また、「PVP R」は単なる対人戦を意味する略称ではなく、都市の住民同士が争いを避けるために、争点だけを仮想空間へ切り離す思想実験として説明されることが多い。もっとも、作中ではその理想がほぼ毎回失敗しており、結果として最も平和的な暴力装置になってしまったとされる[4]。
開発[編集]
制作経緯[編集]
制作は1999年、大阪府吹田市の研究棟で始まったとされる。元は企業内の訓練用シミュレータであり、通信ラグを可視化する実験装置だったが、テスト担当者が「勝敗より待機時間の方が面白い」と発言したことから、娯楽化が決定した。
その後、サテライト・クォーツは2002年に一般向け企画へ転換し、当初の業務アプリ名「PVP-RB」を短縮した結果、社内資料の誤植から『JOJO PVP R』という現在のタイトルが生まれたとされる。
音楽[編集]
サウンドトラックは、電子音とブラスセクションを奇妙に混ぜた編成で、当時のゲーム音楽としては珍しく、各曲に「起床」「整列」「反省」などの副題が付けられていた。特にステージ2の「Noon Protocol」は、拍子が5/4と7/8を行き来する構成で知られ、店頭試聴版を聴いた客の3割が「壊れている」と勘違いしたとされる。
2004年には2枚組のサウンドトラックが発売され、初回限定盤には「無言戦闘用メトロノーム」が同梱された。なお、このメトロノームは実際にはただのプラスチック製であり、音は鳴らない。
移植版[編集]
本作は後にリバー・ハンド、ノクターンBOX向けに移植され、2010年には仮想配信サービス「レトログリッド」で再配信された。移植版では通信周りが簡略化された一方、オフラインモードの監査機能が強化され、ステージ内の看板文言まで検証対象になった。
また、2016年のバーチャルコンソール対応版では、ロード時間中に街灯の影がわずかに動くことが話題となった。これは単なる演出であったが、一部ユーザーが「影が答えている」と報告したため、発売元がFAQを1ページ追加する事態となった。
評価[編集]
発売初週の売上は18万本で、年末までに国内63万本、全世界累計148万本を突破したとされる。特に対戦用の入力猶予が短いことからeスポーツ的な人気も生まれ、日本ゲーム大賞の「審査員特別扱い賞」を受賞した。
一方で、初心者には厳しすぎるとして批判もあり、ファミ通クロスレビューでは平均34点を獲得したものの、コメント欄に「説明書を読んだ方が早い」とだけ書かれた回が有名である。海外では「礼儀作法を格闘にした作品」として再評価され、北米市場では発売後6週間で在庫が一度枯渇したという。
関連作品[編集]
続編に『JOJO PVP R2: REPLY』、外伝に『JOJO PVP R: RERUN』がある。前者は対戦人口の増加を狙って3人同時入力を導入し、後者はオフライン監査を極端に発展させた結果、実質的に「画面を見守るゲーム」になった。
また、同シリーズの一作目にあたる『JOURNEY OF JUDGMENT』は、ハンティングアクションとロールプレイングゲームを混成した実験作として知られ、本作の根幹にある「戦う前に読み合う」という設計思想を先取りしていたとされる。
関連商品[編集]
攻略本としては『JOJO PVP R 完全監査マニュアル』が発売され、全412ページのうち168ページが用語索引で占められていた。書籍版はプレイヤーの入力癖を自己診断する付録つきで、測定結果が「礼節過剰」「反証傾向」「黙認不足」の3段階で表示された。
また、『ネオ・サルベージ市 観光年鑑』や『PVP時代の都市倫理』など、周辺研究書も少数ながら刊行されている。これらはゲームの公式資料ではないが、なぜか大学図書館の郷土資料コーナーに所蔵されていることがある。
脚注[編集]
1. 本作の正式な略称は資料によって「PVP-R」と「PVP R」に揺れがある。
2. 初期企画書では対戦シミュレータとして記載されており、娯楽作品としての転用は後期である。
3. 0.18秒の回避猶予は開発終盤に0.2秒から削減されたとされるが、改修記録は散逸している。
4. 都市機能を戦術装置として扱う設定は、当時の別企画『Glass Harbor』からの流用だとする説もある。
脚注
- ^ 高瀬 恒一『PVP-Rプロトコル設計報告書』サテライト・クォーツ社内資料, 2002年.
- ^ 三木 玲「対戦入力の遅延と礼節値の相関」『デジタル遊戯学研究』第12巻第4号, pp. 41-58, 2004年.
- ^ 白河 真一『都市兵装としてのUI』電脳文化出版, 2005年.
- ^ 矢倉 透「起動音の楽曲化と反省主題」『ゲームサウンド総覧』Vol. 8, pp. 119-133, 2004年.
- ^ 斎藤 正典『早口ボタン実装記録』ノクターン技術叢書, 2003年.
- ^ Margaret L. Hargrove, “Rebuttal Interfaces in Competitive Simulations,” Journal of Interactive Fictional Systems, Vol. 19, No. 2, pp. 201-227, 2006.
- ^ 川端 由紀『ネオ・サルベージ市の都市倫理』港町書房, 2007年.
- ^ Edward P. Latham, “Respect as a Win Condition,” Proceedings of the 9th Symposium on Tactical Semiotics, pp. 77-96, 2008.
- ^ 『JOJO PVP R 完全監査マニュアル』サテライト・クォーツ出版部, 2003年.
- ^ 『PVP時代の都市倫理: 争点の外部化とその限界』中央文理学会, 2009年.
外部リンク
- サテライト・クォーツ公式アーカイブ
- ドリームリーフ博物館データベース
- ネオ・サルベージ市観光局年報
- PVP研究会デジタル年鑑
- レトログリッド配信記録