MY Kitty lover
| タイトル | 『MY Kitty lover』 |
|---|---|
| ジャンル | 学園きゅんどき×ご主人様交渉(猫派閥コメディ) |
| 作者 | 架空の作者名:渡辺 ほしなり |
| 出版社 | 凪葉(なぎは)コミックス |
| 掲載誌 | 『月刊スターキャット通信』 |
| レーベル | ラブリー・バグズ |
| 連載期間 | 2009年〜2016年 |
| 巻数 | 全13巻 |
| 話数 | 全96話(特別編含む) |
『MY Kitty lover』(よみ)は、によるの。『』()において連載された[1]。
概要[編集]
『MY Kitty lover』は、主人公が“猫の気分”を交渉術として扱う学園コメディである。物語は、猫との同居生活から始まり、やがて「ご主人様にふさわしい態度」を巡る派閥戦へと発展した。
本作は連載当初からSNS上で用語が拡散し、作中の行動指針が現実の店員対応や新入生マナー講座に転用されたとされる。特に「可愛さの量子計算」なる描写は、ファンの間で“マジな雑学”として扱われた[2]。
制作背景[編集]
作者の渡辺ほしなりは、取材のためににある「猫喫茶・こがねねこ」を訪れ、そこで“恋愛は鳴き声のリズムで決まる”という常連の説明を受けたとされる。のちに編集部はこの逸話を漫画化し、恋愛要素に「猫の判断基準」を結びつける方針を固めた。
企画段階では、主人公の呼び名を「ミー」とする案や、「Kitty」を日本語カタカナで統一する案が議論された。しかし最終的に英単語のまま固定し、各話タイトルに「猫の気分」を示す記号(♡/✕/=)を入れることで、読者が即座に“感情の状態”を理解できる作りになった。
なお、作中で猫の行動を「確率分布」として説明するコマが増えた理由は、取材班がの大学の計量心理研究室を訪れた際、元教授が“人間の甘えも分布として観測可能”と語ったことによる、と編集ノートに記されている[3]。
あらすじ(〇〇編ごとに)[編集]
第1編:子猫契約書(2009年春〜夏)[編集]
主人公・七瀬ユイは転校初日、校門前で不機嫌な子猫に遭遇する。猫は返事をせず、代わりにユイの靴ひもだけを微妙な角度で引っ張り、彼女に“交渉の入口”を示した。
ユイは猫の見ている方向に学園の旧倉庫があることを突き止め、「子猫契約書」と呼ばれる落書きのような規則を見つける。そこには“撫でる回数は3回、しかし最後の1回は心の速度で選べ”と書かれており[4]、ユイは半信半疑で試すことになる。
初めて猫が微笑む(ように見える)瞬間、ユイは恋の免許を取得したかのような感覚を覚える。以降、彼女の行動は“猫の機嫌メーター”に合わせて修正され、学園中の視線を集めていく。
第2編:クラス対抗・鳴き声プレゼン(2009年秋)[編集]
ユイの成功が噂になり、クラス対抗企画として「鳴き声プレゼン大会」が開催される。大会では、猫の鳴き声を感情カテゴリに翻訳し、聞き手が“可愛い”と判断するまでの説得手順を競うとされた。
ユイは“短母音は恐れ、長母音は期待”という独自の理屈を掲げ、学園の生徒会が発行する簡易マニュアル『校内コンプライアンス:猫編』に照らし合わせる。しかし途中から、対抗チームの策略で「鳴き声の多重録音」が混入し、審査が混乱する。
決勝の最終コマで、ユイは録音機器を捨て、猫の呼吸に合わせて自分の言葉の速度を落とす。結果として、審査員の判定が一斉に同じ方向へ揺れた、と作中記録に残る(揺れ角は正確に12度である)[5]。
第3編:ご主人様派閥会議(2010年冬〜2011年春)[編集]
猫たちは単なるペットではなく、“誰に従うか”を決める存在として描かれる。ユイは校内の三つの猫派閥(白猫連盟、黒猫統制、グレー猫予備軍)に分類され、会議への招待状を受け取る。
会議では、猫の主人を“衣服の匂い”と“視線の戻り方”で評価するという不可解な規則が提示される。ユイは自分の部屋の換気回数が少ないことを指摘され、家族からも「最近、猫のことばかり」と疑われてしまう。
ところが、会議の裏で生徒会役員が派閥を操作していたことが発覚し、ユイは猫の目線を“政治”から“生活”へ戻す決意をする。ユイが猫に差し出したのはキャンディではなく、古いしおり(紙の手触りが安定する)であり、以降の勝利の鍵になる。
登場人物[編集]
七瀬 ユイ(ななせ ゆい)は、猫の機嫌を“理解”ではなく“調整”することで恋愛を進める主人公である。彼女はノートに温度計を貼り付け、猫が近づくときの室温を0.7℃単位で記録する癖があるとされる[6]。
一方、学園の生徒会書記である三原 ハル(みはら はる)は、規則を守ることで猫の気分をコントロールできると信じる人物として描かれる。彼は会議のたびに「“正しさ”は飼い主の手首の角度で決まる」と言い、ユイを理詰めで追い詰める。
また、ユイの同居猫・ミケランジェロ(呼称はミケ)が登場する。ミケは喋らないが、尻尾の動きで“次の展開”を示し、読者にも伏線を回収させる装置として機能する。作中ではミケが“1日あたり9回だけ甘えに失敗する”と細かく計測されており[7]、その失敗が恋の進行を加速させる。
用語・世界観[編集]
本作の世界観は、学園の日常が猫の感情システムに接続される点に特徴がある。猫の機嫌は「M.K.L.(Mood Kitty Loop)」と呼ばれる循環で説明され、撫でる→反応を見る→修正する、という反復が基本単位とされる。
作中で頻出する概念としてがある。これは、可愛さを“観測”によって確定させる考え方で、編集部が「理系っぽいのに恋愛に落とせる」表現を模索した結果として知られている[8]。なお、計算式そのものは単行本第5巻でしか明かされず、ファンの間では“最後の添え字だけが嘘”だと噂された。
さらに、学園内には「猫派閥のしきい値」を掲げたポスターが存在する。掲示場所はの架空施設“港南生活指導館”とされ、現地の掲示物写真がファン制作の再現グッズとして流通したことがあるとされる(真偽は不明であり、要出典の声もあった)[9]。
書誌情報[編集]
本作は『月刊スターキャット通信』(凪葉コミックス)において連載された。連載は毎月の第2週に掲載され、各話の末尾には必ず「猫の一言(未確定)」が付けられる形式が取られた。
単行本は全13巻で、表紙は巻ごとに猫の毛色が変化する仕様である。累計発行部数は、2014年時点で約312万部に到達し、2016年の最終話掲載時には累計発行部数が約351万部を突破したと公式発表内で述べられている[10]。
編集部の回想によれば、話数が96話に収束したのは“猫の足跡スタンプがちょうど96個で終わった”ことに由来するとされる。ただしこの由来は、社内で語られた逸話に過ぎないとされる。
メディア展開[編集]
テレビアニメ化は、連載終了の翌年である2017年に発表された。制作は「スタジオ・テンビースター」とされ、全24話構成で放送されたとされる[11]。
アニメでは、原作の第2編の“鳴き声プレゼン大会”が大幅に拡張され、主人公が喋れない猫のために“言葉の代わりのリズム”を設計する回が追加された。なお、この追加回の脚本は、出版社の広報担当が現場で見た“店員の返答スピード”を参考にしたとされる。
また、メディアミックスとしてドラマCD『MY Kitty lover:手首角度の夜』、公式ファンブック『M.K.L.完全観測記』、さらにスマートフォン向けミニゲーム『ミケの9回失敗』などが展開された。社会現象となったのは、学園マナー動画が作中テンプレとして転載され、学校現場で“猫系丁寧語”が一時的に採用されたと報じられた点である[12]。
反響・評価[編集]
読者の反響は、恋愛漫画にありがちな「気持ちの言語化」ではなく、「行動の調整」で感情を通わせる構造に集中したとされる。特に“猫の視線を奪う話術”は、SNSでテンプレ化され、自己紹介文や卒業文の書き換えに用いられた。
一方で批判も存在し、作中の“量子計算”が学習教材のように扱われたことで、現実の教育現場で誤解を招いたという指摘がある。また、終盤の第7巻付近で“派閥が実は三つではなかった”という伏線回収があり、これがファンの間で分裂を生んだとされる(解釈は複数ある)[13]。
評価としては、2020年の投票企画「猫ラブ作品総選挙」で上位10作品に入ったとされるが、投票主体が誰であったかは明らかにされていない。なお、漫画賞の受賞歴を示す記述が資料によって異なることが指摘されており、編集方針の違いが反映された可能性がある。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 渡辺ほしなり「『MY Kitty lover』第1巻 参考資料:子猫契約書の注釈」凪葉コミックス, 2009年。
- ^ 編集部「連載開始号の設計思想:猫機嫌と恋愛の接続」『月刊スターキャット通信』編集雑記, 第18号, 2010年, pp.12-19。
- ^ 三原ハル(インタビュー記録)「手首角度と可愛さの相関について」『ラブ・プロトコル研究報告』Vol.3第2号, 2011年, pp.44-57。
- ^ 渡辺ほしなり「第5巻付録:可愛さの量子計算(暫定式)」凪葉コミックス, 2013年。
- ^ Katsumi Ohnishi「Mood Kitty Loopの擬似確率モデルと受容」『Journal of Narrative Behavioral Arts』Vol.9 No.1, 2014年, pp.81-96。
- ^ 編集部「鳴き声プレゼン大会の再現手順:12度の揺れを追って」『クリエイターズ・フィールドノート』第7巻第1号, 2015年, pp.5-18。
- ^ 星田 玲「猫派閥会議における合意形成の演出」『比較表象学研究』第22巻第3号, 2016年, pp.201-219。
- ^ 凪葉コミックス宣伝資料「累計発行部数の推移とメディア展開計画」凪葉コミックス, 2014年。
- ^ アニメ制作委員会「『MY Kitty lover』テレビアニメ版:脚本会議録(断片)」スタジオ・テンビースター, 2017年。
- ^ 高梨さとみ「猫系丁寧語が学校文化に及ぼした短期影響」『社会言語学年報』第15巻第4号, 2019年, pp.77-103。
外部リンク
- 凪葉コミックス 公式キャットレポート
- M.K.L.ファン観測掲示板(非公式)
- 月刊スターキャット通信 バックナンバー庫
- スタジオ・テンビースター アーカイブ
- 『可愛さの量子計算』解説サイト