NTRから国民を守る党
| 略称 | 守国(しゅこく) |
|---|---|
| 成立 | (準備会設立) |
| 設立 | (法人格取得) |
| 本部所在地 | (仮事務所) |
| 機関誌 | 『守国通信』第1号() |
| 政策の中心 | 学習指針・視聴年齢の自主運用支援 |
| 代表 | 渡海(わたうみ)レイナ |
| 党是 | “国民の情緒的安全”を制度で担保する |
NTRから国民を守る党(NTRからこくみんをまもるとう)は、で結成された小規模な政治団体である。映像文化の「露骨化」をめぐる言説を掲げ、検閲ではなく“保護”を主張した点で独特とされる[1]。党名は過激に見えるが、実際には規約整備や教育現場向け指針の策定を中心に据えたとされる[2]。
概要[編集]
は、一般に“恋愛をめぐる不倫・裏切り表現”を指す俗称であるの流通が、国民の情緒に与える影響を軽視できないとして、保護のための制度提案を行った政治団体である[1]。
成立当初は、ネット上の炎上を契機に「自主規制の疲弊」を問題化したことで知られ、単に排除を叫ぶのではなく、学校現場や出版社、配信事業者に対する“段階的ガイドライン”の整備を目標として掲げたとされる[2]。この姿勢は一部の法学者に評価される一方で、党名の過激さゆえに誤解や揶揄も集めた。
党内資料では、NTRを「恋愛関係が成立する前提が途中で書き換わる表現」と定義し直しており、視聴者の心理だけでなく、制作側の説明責任にも焦点が当てられたと説明されている[3]。なお、この“再定義”こそが党の説得力と同時に滑稽さを生んだと指摘されている[4]。
成立と選挙戦略[編集]
準備会と“情緒安全保障”の原案[編集]
党の前身となる準備会は、夏にの複合書店を会場として開かれたとされる。参加者は19名、議事録のページ数は合計で47ページに及び、最初に書かれた用語集には「情緒安全保障」「視聴年齢の再設計」「告知義務(あってはならない誤読を防ぐ)」などが並んだという[5]。
原案は、元・地方自治体の契約監査室経験者であるが起草したと報じられている。彼女は“検閲は言論を萎縮させる”としつつ、“誤読のコスト”は誰かが負担しなければならない、として「保護」の語を前面に押し出したとされる[6]。この時点で党名が現在の形に落ち着いたのは、語呂の良さではなく、字幕放送のテロップ欄に収まる文字数で最適化した結果だ、という内部証言が残されている[7]。
資金集めは“広告の透明性”で勝負した[編集]
党の資金は、いわゆる寄付だけでなく、街頭で配布する「情緒安全保障チェックリスト」の印刷費を募る方式が採られたとされる。実際、の第1号は1万2,480部が計画されたが、印刷所の都合で1万2,471部に修正された、と党サイトの転載文で知られている[8]。
選挙戦略は奇妙で、ポスターには“NTRという言葉を知らない人でも理解できる”ように、上部に「関係性の説明責任を守る」という見出し、下部に小さく「NTRから国民を守る」と書く構成が採用されたとされる[9]。この設計は、批判層に「釣りだろ」と言わせないための対策だったとも、逆に笑いを取るための仕込みだったとも説明されており、党内でさえ評価が割れていたとされる[10]。
政策と制度提案[編集]
党が主に推したのは、強制的な規制ではなく“段階的告知”である。具体的には、配信・出版・劇場上演の各段階で、「関係の前提が変化する可能性」を事前に告知し、視聴者が視聴判断できるようにする仕組みを提案したとされる[11]。
提案書では、NTR該当表現を“心理的安全が低下しうる表現”として扱う見解が示され、向けの別紙として「学習指針(案)—第3版(全18章)」が添付されたとされる。ただし、同資料の“第3版”が実際に配布されたのは、の地方説明会(参加者63名)に限定されており、全国展開の段取りは未達だったと記録されている[12]。
一方で、党は広告・PRの領域にも手を伸ばした。番組宣伝におけるキャッチコピーの扱いを問題視し、「比喩で曖昧にするほど、誤読率は上昇する」として、社内研修用に“誤読パターン表”を配布したとされる。党公式の数字では、誤読率が平均で2.7%下がったという[13]。もっとも、この数字の算定方法は後に「担当者の自己申告に依存している」との指摘も受けており、要出典扱いに近い部分が残ったとされる[14]。
社会への影響[編集]
炎上から“言葉の再設計”へ[編集]
党の登場は、上での言葉狩りの一種として扱われがちだったが、同時に“表現の告知”をめぐる議論を引き起こしたとされる。特に、編集者団体の会合で「作品概要欄の文章量が少ないほど、トラブルは増える」といった実務論に議題が移った点は評価されている[15]。
党が配布したチェックリストは、全部で24項目あり、最初の設問は「関係の前提が初回に成立するか」だったとされる。ここで答えが“はい”だと、次の設問が飛ばされる仕様になっていたため、配布員は“ただの用紙配りではなく、会話の設計”をしていたと振り返られている[16]。皮肉にも、そのような細かい運用が「政治というよりサークルのマニュアルだ」と笑われる要因にもなった。
教育現場での“自己防衛”教材[編集]
党は自治体の担当課と連携し、教員向けに“情緒安全保障のミニ講座”を実施したとされる。会場はの区民センターが多く、月あたり開催数は平均で0.6回、講座時間は42分と統一されたという[17]。
講座のスライドには、恋愛物語の構造分析として「導入→関係の確定→前提の書き換え」という三段階が描かれた。これにより、教師が作品を“内容”ではなく“読解の手続き”として扱うことが促された、と党は主張した[18]。ただし、学内での導入に際しては、保護者から「結局、何を避ければいいのか分からない」との声が上がり、配布資料の用語がかえって混乱を招いたとも報告されている[19]。
批判と論争[編集]
最大の批判は、党名そのものが差別的・扇動的に見えやすい点であった。批評家は「“NTR”を盾にして、表現の多様性を萎縮させる危険がある」と主張し、党が提案する告知制度が“実質的な選別”になる可能性を指摘した[20]。
また、党内部の運用にも疑義が出た。党大会の議事録では、賛同を増やすために「対話ではなく誤解を誘発する見出しの方が拡散しやすい」との発言が記録されており、翌年に公開された要旨ではその部分が「誤解の低減のための工夫」と言い換えられていたとされる[21]。この言い換えは、党が“守る”と称しながら“拡散する”ことにも依存していたのではないか、という疑念を呼んだ。
さらに、党が引用する“誤読データ”には、実験設計が不明なものが混ざっているとして、研究者から批判が寄せられた。党サイトには「平均で2.7%改善」とあるが、サンプル数は「便宜上の算出」とされ、具体的なn値が伏せられていたとされる[13]。その結果、同種の提案をする他団体まで巻き込む形で、議論が“数字の真偽”に引き戻されたという[22]。
歴史[編集]
第1期:ガイドラインの試作と“笑いの副作用”[編集]
党はに法人格を取得し、同年のうちに「関係性告知ガイドライン(試作・全9章)」を公表したとされる。試作段階では“告知文の文字数”を統一する方針が採られ、告知枠は上限72文字、括弧注記は最大3つ、などと細則化されたと報じられている[23]。この文字数設計は、SNS表示の切れ端問題に対応したという説明だった。
ただし、告知文のサンプルがあまりに実務的だったため、ネットでは「政治家が“告知テンプレ”を配り始めた」としてネタ化が進んだともされる[24]。党にとっては風評被害というより、認知の拡大に役立った面があり、皮肉な相乗効果として語られている。
第2期:地方連携の拡大と資金難[編集]
第2期は、からの地方連携の拡大期である。特にの教育委員会との協議で、教員研修の講座資料の印刷費として「総額1,980,000円(うち研修補助費1,240,000円)」が計上されたとされる[25]。
しかし、資金は安定せず、には“誤読パターン表”の更新が滞り、党の広報担当が「更新は次回、ただし次回の日程は未定」と発信したことが問題視された。翌月、事務所家賃の支払いが遅れ、の小規模オフィスから“徒歩3分の別室”へ移ったとされるが、当時の移転理由は公式には「人員配置の最適化」とされていた[26]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 守国政策研究会『情緒安全保障の制度設計』守国出版, 2014.
- ^ 渡海レイナ『“保護”の言葉を制度にする—告知枠72文字の研究』港灯社, 2015.
- ^ 細倉拓巳「関係性告知が読解判断に与える影響」『日本教育情報学会誌』Vol.12 No.3, 2016, pp.41-58.
- ^ Matsuda, H. “Pre-Viewing Disclosure and Misread Risk in Japanese Media” 『Journal of Media Safety』Vol.9 No.2, 2017, pp.77-102.
- ^ 佐伯真琴『小規模政党の選挙運用と拡散設計』政策工房叢書, 2018.
- ^ Ramos, L. “Emotional Security Discourse in Digital Activism” 『International Review of Cultural Policy』Vol.5 No.1, 2019, pp.9-33.
- ^ 東京メディア告知協議会『告知の実務—サンプル文と運用手順』第3版, 2014, pp.120-145.
- ^ 青山悠「要出典になりやすい“改善率”の作法」『統計倫理フォーラム年報』第7巻第1号, 2020, pp.55-69.
- ^ (微妙におかしい)国民情緒研究所『NTRの定義史』月輪文庫, 2010, pp.1-20.
- ^ NTR告知実験班『誤読パターン表の作り方—付録の使い方』Vol.1, 2016, pp.3-40.
外部リンク
- 守国政策アーカイブ
- 情緒安全保障チェックリスト倉庫
- 守国通信バックナンバー
- 告知枠テンプレート実験室
- 地方連携報告サイト