TOEICの裏技
| タイトル | TOEICの裏技 |
|---|---|
| 画像 | Touic_no_urawaza_boxart.png |
| 画像サイズ | 240px |
| caption | 北米版パッケージにおける標語は「Listen, read, survive」であった |
| ジャンル | 教育系アドベンチャーゲーム |
| 対応機種 | N-Box, ClipPocket, DreamSlate |
| 開発元 | エウロパ・ノーツ社 |
| 発売元 | エウロパ・ノーツ社 |
| プロデューサー | 北條ユリオ |
| ディレクター | 石倉カズマ |
| デザイナー | N. M. Caldwell |
| 音楽 | 小笠原レイジ |
| シリーズ | 裏技シリーズ |
| 発売日 | 2003年11月14日 |
| 対象年齢 | 12才以上推奨 |
| 売上本数 | 全世界累計84万本 |
| その他 | オンライン採点モード搭載 |
『TOEICの裏技』(英語表記: TOEIC Secret Technique)は、にが考案したである。英語試験の攻略を題材にしたの始祖・元祖であるとされる[1]。
概要・概説[編集]
『TOEICの裏技』は、の試験対策文化を背景に、英語学習と隠しコマンド探索を融合させたである。プレイヤーは受験生兼潜入調査員として操作し、制限時間内に問題文の癖を読み解きながら、四択の壁を突破していく。
本作の通称は「TOEIC」と略されるが、作中ではの略とされ、実在の英語検定とは無関係である。キャッチコピーは「答えは、選ぶものではなく、見抜くものである」。
ゲーム内容[編集]
システム[編集]
ゲームシステムの特徴として、単語帳をめくるたびにマップが変形する「語彙地形」機能が挙げられる。プレイヤーはを徒歩で移動させるほか、文法ゲートを通過する際にはの向きを調整して扉を開く必要がある。
また、各ステージには「裏技メーター」が存在し、同じ問題形式を3回連続で解くとゲージが上昇する。最大まで貯まると、選択肢が一瞬だけ正解順に並び替わる演出が発生するが、上級者ほどこの仕様を信用しない傾向がある。
戦闘[編集]
戦闘は形式のターン制で、敵は「失点の亡霊」「熟語の迷い子」などとして出現する。攻撃は単語連結、反撃はヒアリング妨害で行われ、クリティカル時には画面外からが落下する。
なお、ボス級の敵である「Part7長官」は、誤答率が72%以上になると即座に会話を終了し、プレイヤーに再試験を命じる。これにより、発売当初は「心に効く難易度」として話題になった。
アイテム[編集]
アイテムには「速読の栞」「マークシートの消しゴム」「発音補正メガネ」などがある。中でも「鉛筆型USB」は、セーブデータの一部を試験会場風のフォルダに偽装保存できるため、攻略本では重要アイテムとして扱われた。
一方で、隠しアイテムの「無音のイヤホン」は、装備するとBGMがのみになるが、集中力が3段階上昇するとされている[2]。
対戦モード・オフラインモード[編集]
対戦モードでは、2人のプレイヤーが同一の問題文に対し別々の解答を入力し、解答速度と自信の強さを競う。協力プレイでは、片方がリスニング、もう片方が文法を担当するの分担型が採用された。
オフラインモードは「自習室」と呼ばれ、通信機能を切るとAI講師が妙に丁寧になる。開発者インタビューでは、これは「孤独な学習者への配慮」であったとされるが、実際にはサーバー負荷対策であったという指摘がある。
ストーリー[編集]
物語は、試験監督官の失踪をきっかけに、主人公が巨大語学施設へ潜入する場面から始まる。施設内では、解答用紙をめぐる争奪戦と、過去問の亡霊がさまよう回廊が交互に描かれる。
中盤では、主人公が「裏技」と呼ばれる禁断の学習法を収集していた旧研究班の記録を発見し、試験そのものが受験者の記憶を採点する仕組みであったことが判明する。終盤、ラスボスである「ミセス・スコア」は、実は採点アルゴリズムの擬人化であり、倒しても翌年度版に再登場する。
エンディングは3種類存在し、最良エンドでは主人公が満点を取るが、真のエンディングでは採点の外側にある「空白欄」を埋めて試験制度そのものを停止させる。この展開は当時の教育ゲームとしては異例であった。
登場キャラクター[編集]
主人公[編集]
主人公は既定名のない受験生で、プレイヤーによって呼称が変わる。公式攻略本では便宜上「ユウ」と記載されているが、開発資料では「No. 4 Candidate」とされていた[3]。
彼/彼女は、耳に貼るとリスニング音声が聞き取りやすくなるという「集中シール」を好んで使用する。なお、これが実在の学習法として一部の塾で模倣されたという説もあるが、検証はされていない。
仲間[編集]
仲間キャラクターには、単語暗記に異常な執念を持つ、文法の比喩をすべて格闘技で説明する、そして採点ロボットを自称するがいる。
とくにQ-13は、会話のたびに正答率を3.14%だけ上げる機能を持つとされ、発売後に「家庭教師として雇いたい」との問い合わせが発売元に多数寄せられた。
敵[編集]
敵側の代表は、直属の取り締まり官「カン・オブ・テンス」と、会場内に紛れ込むノイズ生命体「ディストラクション・ビー」である。後者は選択肢表示の瞬間にだけ現れるため、プレイヤーの多くが初見で被害を受けた。
また、隠し敵として「満点主義者」が登場する。これは自身が満点を取れない場合にのみ暴走する仕様で、攻略班からは「自己否定系ボス」と呼ばれている。
用語・世界観[編集]
本作の舞台は、英語試験が国家資格とほぼ同等の権威を持つ架空都市国家である。市内では、看板の文字が時折入れ替わる「語彙転位現象」が発生し、それを制御するために市民は日常的に問題演習を行う。
作中では、選択肢を4つに分岐させる信号機を「マーク・ライト」、誤答による減点を「沈黙税」と呼ぶ。なお、この世界の郵便番号はすべてアルファベット3文字で構成されるが、理由は誰も説明できないままである。
開発・制作[編集]
制作経緯[編集]
制作は、エウロパ・ノーツ社が社内研修用に作成した模擬テストソフトを発端として始まった。プロデューサーのは、テスト画面に潜む「選択の快楽」に着目し、学習教材ではなく探索型ゲームとして再設計することを提案した。
当初の企画名は『English Trap』であったが、発売直前に「裏技」の語感が日本市場で強い訴求力を持つとして改題された。実際には、裏技は5種類しか存在しないにもかかわらず、発売前の雑誌記事では「数百の隠し手順がある」と誤って報じられた。
スタッフ[編集]
ディレクターのは、前作『数字迷宮クロニクル』でUI設計を担当した人物で、文字の揺らぎを利用した演出に定評があった。キャラクターデザインのは、ロンドンの語学学校で講師経験があり、敵キャラクターの表情を「試験直前の沈黙」に寄せたという。
音楽はが担当し、サウンドプログラムは通常の効果音に加え、問題文の読点の位置に応じて拍子が変わる「可変文節システム」を実装した。これは当時のでは負荷が高く、製品版では一部簡略化されている。
音楽[編集]
サウンドトラックは、発売翌年に『TOEICの裏技 Original Sinewaves』として単独CD化された。主題歌「Answer in Silence」は、サビで無音になる構成が話題となり、の特別部門候補に挙げられたとされる。
また、リスニングパートのBGMは、英単語の母音だけを強調するミックスが採用されており、ヘッドホンの左右を逆にすると難易度が上がるという珍仕様が知られている。ライブイベントでは、演奏者が譜面をめくるたびにMCがスペルチェックを行う演出があった。
他機種版・移植版[編集]
には版が発売され、タッチペンで選択肢を「消す」操作が追加された。続くの版では、斜め持ちによる裏技入力が可能となり、公式に「机の角度補正機能」が搭載された。
さらに、には対応版が配信され、過去のセーブデータを再現する「再受験モード」が実装された。ただし、これを起動すると年号表記が1年ずつずれる不具合があり、ファンの間ではむしろ好意的に受け止められた。
評価[編集]
発売当初の売上は5万本程度にとどまったが、学習塾の採用例が増えたことで累計84万本を突破した。特に圏では、模試の代替教材として導入されたことが販売増に直結したとされる。
レビューでは「試験に対する恐怖を、操作可能な不安に変えた」と評され、では編集部平均8.75点を記録した。なお、満点主義の一部プレイヤーからは「勉強になりすぎて遊びではない」との苦情も寄せられた。
関連作品[編集]
続編として『TOEICの裏技2 失われたリスニング』、『TOEICの裏技3 文法の回廊』が発売されたほか、外伝『TOEICの裏技 DS -単語帳は裏切らない-』が風携帯機に相当するへ移植された。
また、派生作品として『TOEICの裏技 タイピング地獄』、『TOEICの裏技: The Silent Edition』が存在する。後者は字幕をすべて削除したことで物議を醸したが、結果的に「没入感が高い」として再評価された。
関連商品[編集]
攻略本は『TOEICの裏技 完全制覇マニュアル』がより刊行され、巻末には「裏技の再現性を高めるための姿勢表」が掲載された。付録の赤シートは、問題文ではなく現実の買い物メモまで見えにくくする副作用があったという。
その他の書籍として、『問題文はなぜ斜めに見えるのか』、『採点アルゴリズム入門 10日でわかる試験の気持ち』が発売された。ゲームグッズでは、マークシート柄クッションと、消しゴム付きキーホルダーが人気を集めた。
脚注[編集]
注釈[編集]
本作の「裏技」は、ゲーム内で公式に許可された手順であるため、実際には裏技ではないとも解釈される。
一部の資料では発売日がと記されているが、初回流通分のラベル誤植であるとされる。
出典[編集]
『エウロパ・ノーツ社 2004年度事業報告書』では、教育ゲーム部門が予想外に好調であったことが記録されている。
ただし、同報告書の付録Bには「TOEIC」と「trial of encoded internal coordination」を混同した形跡があり、編集部は要出典と判断した。
参考文献[編集]
田島修一『裏技文化史――試験と遊戯のあいだ』ハイ・ノート出版, 2008年.
Margaret L. Fenwick, "Adaptive Examination Narratives in Early 2000s Software", Journal of Synthetic Pedagogy, Vol. 12, No. 3, pp. 44-68, 2011.
北條ユリオ『TOEICの裏技 公式設定資料集』エウロパ・ノーツ社, 2004年.
石倉カズマ「可変文節システムの実装とその限界」『ゲームUI研究』第7巻第2号, pp. 19-31, 2005年.
A. P. Holloway, "The Silence Tax: Anxiety Modeling in Four-Choice Games", Oxford Review of Ludic Studies, Vol. 8, No. 1, pp. 101-119, 2010.
小笠原レイジ『無音の音楽論』リズムアート社, 2006年.
Evelyn Ko, "On the Pedagogy of Incorrect Answers", International Journal of Playful Assessment, Vol. 5, No. 4, pp. 77-90, 2013年.
『TOEICの裏技 完全制覇マニュアル』ハイ・ノート出版, 2004年.
鈴木啓介「リスニング市の都市計画における語彙転位現象」『比較架空学』第3巻第1号, pp. 5-17, 2009年.
N. M. Caldwell, "Designing Villains for Test Anxiety", London Game Quarterly, Vol. 14, No. 2, pp. 12-26, 2004年.
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
エウロパ・ノーツ社 公式アーカイブ
TOEICの裏技 研究者向け保存館
裏技シリーズ総合年表
リスニング市観光局デジタル案内
ファン有志による再現入力集
脚注
- ^ 田島修一『裏技文化史――試験と遊戯のあいだ』ハイ・ノート出版, 2008年.
- ^ Margaret L. Fenwick, "Adaptive Examination Narratives in Early 2000s Software", Journal of Synthetic Pedagogy, Vol. 12, No. 3, pp. 44-68, 2011.
- ^ 北條ユリオ『TOEICの裏技 公式設定資料集』エウロパ・ノーツ社, 2004年.
- ^ 石倉カズマ「可変文節システムの実装とその限界」『ゲームUI研究』第7巻第2号, pp. 19-31, 2005年.
- ^ A. P. Holloway, "The Silence Tax: Anxiety Modeling in Four-Choice Games", Oxford Review of Ludic Studies, Vol. 8, No. 1, pp. 101-119, 2010年.
- ^ 小笠原レイジ『無音の音楽論』リズムアート社, 2006年.
- ^ Evelyn Ko, "On the Pedagogy of Incorrect Answers", International Journal of Playful Assessment, Vol. 5, No. 4, pp. 77-90, 2013年.
- ^ 『TOEICの裏技 完全制覇マニュアル』ハイ・ノート出版, 2004年.
- ^ 鈴木啓介「リスニング市の都市計画における語彙転位現象」『比較架空学』第3巻第1号, pp. 5-17, 2009年.
- ^ N. M. Caldwell, "Designing Villains for Test Anxiety", London Game Quarterly, Vol. 14, No. 2, pp. 12-26, 2004年.
外部リンク
- エウロパ・ノーツ社 公式アーカイブ
- TOEICの裏技 研究者向け保存館
- 裏技シリーズ総合年表
- リスニング市観光局デジタル案内
- ファン有志による再現入力集