『エンジョイの民』
| タイトル | エンジョイの民 |
|---|---|
| 画像 | 『エンジョイの民』公式ジャケット(架空) |
| 画像サイズ | 260px |
| caption | 「笑いは契約、沈黙は未払い」というスローガンが印字されている |
| ジャンル | ロールプレイングゲーム(会話主導型) |
| 対応機種 | ポケットアストロ・マルチ端末 / 据置アストロ7 / バーチャル端末V-Arcade(移植) |
| 開発元 | 円環衛星ゲーム開発局 |
| 発売元 | 祭囃子ディストリビューション |
| プロデューサー | 山下紗綾(やました さあや) |
| ディレクター | 久住タクト(くすみ たくと) |
| 音楽 | 柊ナオリ(ひいらぎ なおり) |
| シリーズ | エンジョイの民シリーズ |
| 発売日 | 1976年9月17日 |
| 対象年齢 | 12歳以上(当時表記) |
| 売上本数 | 全世界累計 143万本(当時公称) |
| その他 | 通称:EPTC。ハンティング要素は“民の歌”を採集する形で実装されている。 |
『エンジョイの民』(えんじょいのたみ、英: Enjoiy People: The Cant of Fun、略称: EPTC)は、にのから発売された用。シリーズの第1作目である[1]。
概要[編集]
『エンジョイの民』は、プレイヤーが“民”と呼ばれる小さな共同体の交渉役として行動する、会話主導型のである。戦闘は存在するが、勝敗は剣の長さよりも「相手がどれだけ笑ってしまうか」で決まる仕組みとして知られている。
本作はの試作機であるに合わせて設計され、発売当初は“遊び方が分からないゲーム”として一度炎上したとされる。だが、翌年の自治体主催の「笑い税の申告書読み合わせ大会」に採用されたことで、教育現場にも食い込んだとも言われる[2]。
なお、タイトル中の「エンジョイ」は造語であり、元々は放送局の方言資料に見られた“楽しいはずの沈黙”を指す用語だったとされる。もっとも、ゲーム史研究者の間では、これは開発スタッフが会議室の時計を止めて誤記したのが起源だという見方もある[3]。
ゲーム内容[編集]
ゲームシステムの特徴として、プレイヤーは各拠点でNPCの“民”に話しかけ、選択肢を選ぶ際に「発話のテンポ(ms)」「笑いの呼気量(cL)」「沈黙許容量(秒)」の3値が内部で計算される。このうち沈黙許容量は敵の怒りゲージに直接連動し、0.7秒を超えると会話が“拒絶”扱いになるとされる。
戦闘はハンティングアクションとして分類されることもあり、フィールド上に散らばる“笑いの種”を拾うことでテンションを補給する。拾った種はアイテムとして保持でき、同じ種を3つ揃えると「民の和音」と呼ばれる特殊スキルが解放される。1度の和音発動につきMPではなく「拍(beat)」が消費されるため、プレイヤーのリズム感が試される設計である[4]。
対戦モードとして、当時まだ珍しかった“回線を使わない同期”が実装されたとされる。端末同士を机上で12cm以内に置くと、笑いの入力履歴だけが共鳴して対戦が成立する仕組みであり、協力プレイでは共同で“民の歌詞”を完成させる必要があった。歌詞は全30パート構成で、1パートにつき誤字が最大2箇所まで許容される仕様だったという[5]。
ストーリー[編集]
物語は、架空の大陸にある“停滞都市”から始まる。停滞都市では住民が笑うと時間が進み、笑わないと時間が戻るという奇妙な契約があるとされ、主人公はその契約を解除するために「民の歌」を集める旅に出る。
序盤の山場として、港町で“笑いの未払い”を巡る裁判が描かれる。裁判官は人間ではなく、役所の掲示板に取り憑いた自動読み上げ装置であり、判決の根拠は「前回の大会で誰が何秒笑ったか」という記録だったとされる。プレイヤーは証人として名乗り、3つの冗談を同時に並べる“証言合成”を行う必要がある[6]。
中盤では、地下の倉庫で“民の歌”が乾燥唐辛子のように保管されている場面がある。これは“笑いは刺激物であり、常温放置すると香りが逃げる”という演出方針に基づくとされるが、開発の内部資料では「唐辛子はたまたま倉庫にあった」という記述も見つかったとされる。もっとも、資料そのものの信頼性には議論がある[7]。
登場人物[編集]
主人公は無名の交渉役として設定されることが多いが、公式攻略本では通称として「あなた=契約担当」と記されている。プレイヤーは民の代表に扮し、相手の“笑いの宗教”を尊重しながらも契約の穴を突く役回りを担う。
仲間には、呼気制御が異常に上手い医療系NPCがいる。彼女は笑いを薬として調剤できるとされ、ゲーム内でも“咳から笑いへ変換する”パッシブスキルを持つ。ほかに、拍の狂いを直す修理屋が同行することが多く、彼のイベントを進めると敵のテンポが0.5%だけ遅くなる。
敵としては、笑いを課税する秘密組織が登場する。彼らは“娯楽は公共財である”と主張しつつ、民の歌の歌詞をライセンス違反として押収する。なお、影像管理課の初登場イベントでは、プレイヤーが見た目のバッジを返却し忘れると、次の章でバッジが敵の武器になるという仕様だったとされる[8]。
用語・世界観[編集]
本作の世界観では、民は単なるキャラクターではなく「契約を共有する小規模自治体」として描かれる。民が笑うと世界が更新され、笑わないと更新が保留されるため、町は笑いの統計を管理し続ける。そのため“民の歌”は芸術であると同時に行政書類でもあるとされる。
民の歌は、全部でから成ると説明されることが多い。各パートには“呼気音階”“沈黙の小数点”“謝罪の語尾”といった項目が含まれ、集めた歌詞はプレイヤーのパーティ能力に変換される。なお、プレイヤーが誤字を含んだ歌詞を提出すると、補正税として「+7拍の遅延」が付く仕様だったとされるが、実際にそうだったかは不明である[9]。
世界を巡る媒体として“笑いの種”がある。種は拾うたびに乾燥度が変化し、乾燥度の低い種ほど高品質な民の和音を生成する。この乾燥度は、開発が倉庫の温度計を信用しなかった結果が反映されたとも言われ、仕様書には「温度計は飾り」との注記があったという[10]。
開発・制作[編集]
開発はの“衛星回線よりも机上同期”という思想に基づいているとされる。1970年代半ば、通信費が高騰し、実験端末の利用が制限されたため、回線を使わない対戦方式が模索された経緯がある。
制作経緯では、当初タイトルは別名で、会議で長く揉めた末に「エンジョイの民」が採用されたという。記録上では、編集担当のが“エンジョイ”を方言辞典から引き、誤って民衆向けの映像企画書に貼り付けたのが起源とされる。ただし、別資料では、ディレクターのが語感だけで決めたとされ、どちらが正しいかは要出典とされる[11]。
スタッフ面では、会話システムの設計に言語学者出身のが関わったとされる。彼は「沈黙はコンマではなく句点である」という持論を持ち込み、会話エラー判定を小数点単位で導入したと説明される。一方で、実装担当のは「句点はただの遅延だ」と反論しており、仕様が二重に残ったという証言もある。
音楽[編集]
音楽はが作曲したとされる。作風は“笑いの呼吸”に合わせて拍を微調整する作曲法が特徴とされ、テスト版のBGMはプレイヤーの反応速度に応じてテンポが変化したとされる。
サウンドトラック『Cant of Fun: ENJOI PUBLIC』には、全46曲が収録されているとされるが、発売時の帯には「全45曲」と記載されていた。後日、帯の印刷が1曲分遅れたことが明かされ、結果としてプレイヤーコミュニティが“遅延曲”を探すゲーム内イベントを作ったとされる[12]。
また、エンディング曲「民の和音・第零和」は、一定条件でしか再生されない隠しトラックである。条件は「最後の依頼文を1文字も変えずに読了し、同時に拍を13回だけ数え直すこと」と説明されるが、実際に再現した者が少なく、検証には議論がある。
他機種版/移植版[編集]
移植版として、携帯端末向けの版(1983年)と、教育用途を意識した版(1996年)が発売されたとされる。特にV-Arcade版では“机上同期”が廃止され、オンライン対応に変更されたと説明されることがあるが、同時に笑いの入力履歴の共有が制限されたとも言われている。
一部のファンは、V-Arcade版では沈黙許容量の閾値がわずかに緩和された(0.7秒→0.72秒)と主張した。これは内部パラメータの丸め誤差が残った結果とされるが、公式は沈黙していたため、噂は数年にわたり続いた[13]。
なお、バーチャルコンソールでの再販(架空)では、原作の“拍消費”表記が誤って“MP消費”として印刷された。ユーザーが難易度を急に落としてしまい、結果としてランキングが荒れたという小さな事件があったとされる。
評価[編集]
売上面では、全世界累計143万本を突破したと公称された。日本では発売当月のランキングで上位に入ったとされるが、実際の集計は“笑いの種の回収率”を加味した独自指標であったため、現代の尺度と一致しないと批判された。
一方で、本作はにあたる栄誉である「第2回民俗対話賞」を受賞したとされる。審査理由は「会話による戦闘の発明」「行政的ユーモアの成功」と説明されている。なお、同賞が実在するかは別途確認が必要とされる[14]。
ファミ通クロスレビューでは“ゴールド殿堂入り相当”と評され、特にシステムの緻密さが評価された。ただし、当時のインタビュー記事では、編集者が「笑いは数値である」と断言し、開発側が苦笑したという証言もある。
関連作品[編集]
関連作品として、続編の『エンジョイの民2 反省港の縁起』(1979年)が挙げられる。続編では“謝罪語尾”が新要素として追加され、敵の怒りが“上書き”で解除される仕組みになったとされる。
さらに、同世界観を題材にした『民の歌図鑑:潮見端子の30パート』(架空の学習ブック)が発売され、ゲームと連動して“歌詞の空欄を埋める”形式のミニクエストが配布されたとされる。テレビアニメ化されたかどうかは資料ごとに揺れがあり、ある編集者は「アニメは存在しない」と書き、別の編集者は「第1話だけはDVDに残っている」と主張したとされる[15]。
メディアミックスの中心は、ラジオドラマ『民の沈黙は課税される』(架空)が担い、登場キャラクターの“呼気音階”の設定がファン資料に転用された。
関連商品[編集]
攻略本として『完全解読!エンジョイの民・沈黙許容量表(第3版)』が発売されたとされる。内容は全ページで“沈黙許容量を秒で換算する早見表”が掲載され、終盤の検証データは「0.72秒が境界」と断定しているが、後に誤植が見つかったとも言われる。
書籍として『民の和音研究:拍の経済学』があり、著者は経済学出身のである。同書はゲーム内のスキルを統計モデルとして扱い、拍消費の合理性を示そうとしたとされる。ただし第3章の数式がゲームプログラムのコメントと一致しており、ゲーム内データから逆算したのではないかという疑いが出た。
その他の関連商品として、置き時計型の周辺機器『沈黙カウント・ベセル』がある。これは会話中に拍を数えるための補助で、12cmの距離でしか同期しない仕様だったとされる[16]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 祭囃子ディストリビューション編『『エンジョイの民』発売史:沈黙許容量0.7秒の時代』祭囃子出版, 1977年.
- ^ 久住タクト『会話主導型RPG設計論:拍と呼気の調停』円環衛星ゲーム開発局出版部, 1981年.
- ^ 椎名トウマ『民の和音研究:拍の経済学』学術図書シビル, 1984年.
- ^ Hiragi Naori『Breath-Synced Composition in Early RPGs』Journal of Play Rhythm, Vol.12 No.3, pp.41-59, 1986.
- ^ 田舎沢ユリコ『方言資料から生まれた造語“エンジョイ”』言語文化資料館紀要, 第8巻第1号, pp.10-27, 1980.
- ^ 松尾健介『机上同期対戦の技術史:12cm以内の共鳴』技術史通信, Vol.5, pp.98-112, 1991.
- ^ 渡辺精一郎『仕様書は嘘をつく:句点=遅延仮説』ソフトウェア考古学年報, 第3巻第2号, pp.201-216, 1993.
- ^ 『ファミ通クロスレビューゴールド殿堂入りソフト録:1976-1980』エンターブレイン, 2001年.
- ^ 山下紗綾『笑いは税務申告書である(上)』潮見端子町総務局, 1997年(タイトルに誤記があるとされる).
- ^ 森田レイラ『教育現場におけるRPG会話訓練の効果』日本教育メディア研究, 第21巻第4号, pp.77-92, 2004.
外部リンク
- エンジョイの民公式資料室(架空)
- 潮見端子町アーカイブ(架空)
- 沈黙許容量データベース(架空)
- Cant of Fun試聴館(架空)
- 笑門列島民俗研究会(架空)