geysex legends
| タイトル | geysex legends |
|---|---|
| 画像 | GeysexLegends_Boxart.png |
| 画像サイズ | 300×300px |
| caption | 噴泉門と六芒星の紋章を描いたパッケージイラスト |
| ジャンル | 冒険ゲームブック風コンピュータRPG(ハンティング要素) |
| 対応機種 | エアロ・アーケード / ドラフトハンド / 雪月モバイル |
| 開発元 | 霧霧研究工房 |
| 発売元 | 氷雨流通(ひさめりゅうつう) |
| プロデューサー | 神野(かみの)テルマ |
| 音楽 | 泉鏡院アンサンブル |
『geysex legends』(よみ、英: Geysex Legends、略称: GL)は、[[2012年]][[7月13日]]に[[日本]]の[[霧霧研究工房]]から発売された[[エアロ・アーケード]]用[[コンピュータRPG]]。[[geysex legends]]の第1作目であり、通称は「噴泉(ふんせん)伝説RPG」とも呼ばれる[1]。
概要[編集]
『geysex legends』は、プレイヤーが噴泉地図を携え、仲間とともに「発泡史跡(ほうほうしせき)」を巡りながら資源を回収し、伝承のボスと交渉・討伐するロールプレイングゲームとして設計された[1]。
本作の成立経緯は、当時のゲーム業界における「収集と物語の混線」志向に合わせ、地質学を模した確率抽選システムと、会話分岐を連動させた点にあるとされる。なお、タイトルの語は「温泉(げいせん)」と「神話(レジェンズ)」を取り違えた社内略称から派生したと説明されている[2]。
発売直前、開発元は広告計画の差し替えに追われ、結果として“語り継がれるほど誤読される作品名”という、後年まで記憶される体裁が確立したとされる[3]。この「誤読の設計」こそが、プレイヤー間の二次創作を爆発させた要因だと指摘されている。
ゲーム媒体としての噴泉地図[編集]
ゲーム開始時に渡されるのは、紙のようにめくれる「噴泉地図カード」である。カードには“噴出圧(あっしゅつあつ)”の値が目盛りとして描かれており、プレイヤーはその値を参照してハンティング判定を行う[4]。
コミュニティ主導の翻訳事故[編集]
初期版では用語の表記ゆれが多く、特定の地名だけが意図的に翻訳されない仕様だったとされる。のちにファンが「意訳辞典」を作り、公式イベントで引用された[5]。
ゲーム内容[編集]
プレイヤーは「通訳官(つうやくかん)」として操作する。フィールドでは落ちものパズル形式の“噴出整列(ふんしゅつせいれつ)”が発生し、成功すると探索速度と遭遇率が変化する[6]。
戦闘はハンティングアクションとロールプレイングの折衷であり、敵は水紋・泡・蒸気の三段階で体勢を変える。プレイヤーは各段階で異なる武器属性(導管、熱針、霧膜)を使い分け、ゲージを満たすと交渉モードが開く設計になっている[7]。
アイテムは“温度帯(おんどたい)”で分類され、冷却用の氷硝(ひょうしょう)や、潤滑の粘灯(ねんとう)が存在する。とくに粘灯は、戦闘後に会話分岐の好感度へ小さな上乗せを与えるため、攻略情報が出そろうまで価値が過小評価されていたとされる[8]。
対戦モードとしては、同じ地図カードを読み合わせる「泡縛(あわばく)デュエル」が実装されている。オンライン対応は2012年12月のアップデートで、同月中に接続障害が15,432件報告されたとされるが、原因は“噴出圧の単位が英米で逆転した”という珍妙なものであった[9]。
戦闘システム(段階破壊と交渉)[編集]
敵はHPの代わりに「泡層(あわそう)」を持ち、泡層を三分割して削ると弱点が“言葉”として表示される。表示された語を選択すると、次ターンの攻撃が“会話ダメージ”へ変換されるとされる[6]。
オフラインモード(噴泉暗号)[編集]
オフラインモードでは、地図カードの裏面に印字された暗号(全31種)が手入力される仕様になっている。暗号はプレイヤー間で交換され、正解率が大会当日に約62%に上がったという記録が残っている[10]。
ストーリー[編集]
物語は、海上都市から遠く離れた内陸の噴泉帯を舞台に進む。通訳官は、消えた「第七噴泉王(だいななふんせんおう)」の口伝を回収するため、地図カードに記された発泡史跡へ向かう設定である[11]。
第1章では、町の市長が“噴出圧の上昇は祝祭の前兆だ”と語るが、実際には噴泉帯が封印解除される兆候であると判明する。ここで登場する「蒸気郵便局(じょうきゆうびんきょく)」は、手紙の重さによって感情が変換されるという仕掛けを抱えている[12]。
第3章に入ると、敵対勢力「乾涸庁(かんかれちょう)」が、伝承を“数式”へ変換して支配する。通訳官はそれに対抗するため、対話分岐で敵の誤読を誘発する戦略を取る必要があるとされる[13]。
終盤では、ボス「六芒星の泡王(ろくぼうせいのあわおう)」と交渉する展開になる。交渉が成立すると、主人公は“地名を正しく読む権利”を得るが、同時に噴泉帯の未来が改変されるという、後味の難解さが評価された[14]。
章ごとの推奨噴出圧[編集]
攻略情報では、各章の成功率が「推奨噴出圧」に比例するとされる。たとえば第2章は推奨値が「47.5kPa」だが、誤記で“47.05kPa”と掲載された攻略記事が2012年中に3本炎上したという[15]。
登場人物[編集]
主人公は通訳官の名を持つ無名キャラクターとして扱われることが多いが、公式攻略では便宜的に「若樹(わかぎ)」と呼ばれている[16]。
仲間として、元・蒸気郵便局員のがいる。彼女は手紙の重さを量る装置を改造し、戦闘中に相手の“語彙HP”を推定する技能を持つとされる[17]。
もう一人の仲間は狩人ので、ハンティング要素の火力を担当する。ブラストは「噴泉に名前を付けると逃げる」と言い張り、地図カードの破れ目を頼りに行動する癖があるとされる[18]。
敵として乾涸庁から派遣された監察官が登場する。彼は交渉モードを“文法検閲”として使い、誤読を罰することで優位を取ると描写される[13]。
“泡王”側の語り手たち[編集]
六芒星の泡王の眷属には「三輪唱(さんりんしょう)」という語り手ユニットがいる。プレイヤーの選択肢を復唱し、次の戦闘結果へわずかに影響させる仕様で、初見殺しとして知られていた[14]。
用語・世界観[編集]
本作の中心概念は「発泡史跡」であり、噴泉地帯に残る“言葉の化石”として描かれている。発泡史跡から得られるのは物理資源ではなく、会話分岐や戦闘属性へ変換される情報だとされる[11]。
また、噴出圧(kPa)を読み替える概念として「通訳係数(つうやくけいすう)」がある。係数はプレイヤーがどの方言を採用するかで変動し、結果として同じ地図でも難易度が変わるとされる[6]。
武器属性には、導管(導きのラインを作る)、熱針(相手の文法を刺す)、霧膜(視界ではなく記憶の濁りを作る)が存在する。これらはゲーム内説明では科学的に見える用語を借りており、学術監修の名目で“温泉工学の体裁”を整えたとされる[7]。
さらに、タイトルの元ネタとして「げいせっくす」という語が社内で誤って定着した背景が語られることがある。作中では“噴泉にまつわる古語の一種”として扱われるが、実は制作チームが初期に想定していた別ジャンルの呼称が流用されたものと推定されている(出典要確認)[2]。
地名体系(実在地名の連想混入)[編集]
作中の都市周辺は、現実の港湾整備文脈を連想させるような地名パターンで設計されたとされる。例としては、近隣の架空漁協と結びつける形で配置されている[12]。
開発/制作[編集]
開発は[[霧霧研究工房]]が主導し、プロデューサーは神野テルマ、ディレクターはとされる[19]。企画段階では“温泉擬態RPG”という仮題があり、のちに市場調査により“誤読されるタイトル”が採用されたと説明されている[3]。
制作経緯として注目されるのは、物理パズル(噴出整列)を担当した外注チームが、社内の噴出圧シミュレーターに合うようパズル片の重さを「全64グレード」に細分化した点である[6]。この細分化により、通常の落ちものパズルよりも“成功時の気配”が変化するよう調整された。
スタッフクレジットには、プログラマーとして、デザイナーとしてが記載されている。山崎は「言葉の化石」を視覚化するため、泡の縁を六芒星へ変換するレンダリング手法を提案したとされる[20]。
なお、2012年6月に行われたデバッグでは、特定の条件下で交渉モードが無限ループする不具合が発見され、修正に「21日間、作業時間 1,340.5時間」が費やされたと報告されている[21]。この数値は公式発表には含まれず、後年の社内回覧で共有されたとされる。
スタッフ(架空ではあるが官僚的な設計思想)[編集]
当時のゲーム仕様書は「通訳係数の運用」「噴出圧単位の互換」などを細かく定義しており、ディレクター渡辺は「ユーザーに説明するより、勝手に正しく読ませる」と方針を述べたとされる[19]。
音楽[編集]
音楽は泉鏡院アンサンブルが担当し、作曲方針として“蒸気の周期を和声へ変換する”手法が取られたとされる。サウンドトラックには全36曲が収録され、各曲に「温度帯」ラベルが付与された[22]。
特に代表曲とされるのは「第七噴泉王の口伝(時針版)」「泡縛の協奏(未決着)」「六芒星の沈黙」である。これらは戦闘のフェーズに応じて再編され、同じ曲でも演奏順が変わる仕様となった[14]。
録音は架空スタジオで行われ、反響測定に「RT60=1.92秒」という数値が用いられたとされる。もっとも、当時の音響担当が「RT60の小数点が一桁違う」とこぼしていたという証言もあり、内部資料では別値が見つかったとする指摘がある[23]。
アレンジと再収録[編集]
2013年の廉価版に合わせ、協奏部分のテンポを平均で3.1%引き上げた“再収録版”が追加された。これにより、ボス戦での聞こえ方が変わるとして議論になった[24]。
他機種版/移植版[編集]
移植版としては、2014年に携帯機へ最適化移植された「GL:Frostline」が発売された[25]。この版では噴出整列の入力方式が変更され、1秒あたりの入力回数が最大 9回まで許容される仕様になった。
また、オンライン再現を強めた「GL:Archivist Edition」では、噴出圧単位の変換テーブルが改良され、初期版で問題になった単位逆転が解消されたとされる[9]。
さらに、コミュニティ連動の「噴泉地図DLパック」が配布され、全配信数が当時の公式集計で41件に達したとされる。内訳は新地図 18、追加イベント 12、対戦用地図 11である[26]。
一方で、据え置き相当の処理能力を必要とする演出が残り、低スペック環境では泡の縁が欠けるといった不満が一部で見られたとされる。ただしパッチによる改善が行われたとも報告されている[27]。
バーチャルコンソール対応[編集]
2020年にバーチャルコンソールへ対応し、セーブデータ移行機能が追加された。対応地域はのサーバに寄せられたという噂があり、海外版ではロード時間が平均で0.4秒増えたという体験談もある[28]。
評価(売上)[編集]
発売初週での推定販売本数は 38.7万本であり、翌月には累計 102.3万本を突破したと報じられた[29]。日本ゲーム大賞に相当する「日本ゲーム大賞」では、演出の誤読誘導が評価されて特別部門を受賞したとされる[30]。
全世界累計は2021年時点で 187.5万本に達し、ミリオンセラーを記録したとされる。もっとも、出荷と実販売の差を指摘する声もあり、メディアミックス前の数字の扱いが揺れているとも報告されている[31]。
ファミ通系レビューでは「冒険ゲームブック」「ハンティングアクション」の両立が高評価で、クロスレビューゴールド殿堂入りソフトに選ばれたとされる[32]。ただし“交渉モードの勝率が運要素に偏りすぎる”という批判も同時期に噴出した[7]。
ユーザー評価の二極化[編集]
コミュニティ調査では、ストーリーを「難解だが中毒性あり」と答える割合が 57%、「操作は忙しすぎる」が 26%、「音楽だけは神」が 81%と報告されている[33]。数値の出どころは不明であるが、ファンサイトで広く引用された。
関連作品[編集]
メディアミックスとしては、テレビアニメ化された『geysex legends 〜泡の通訳〜』が2014年に放送された。原作はゲームだが、脚本では“乾涸庁の文法検閲”が中心に再解釈されている[34]。
また、冒険ゲームブック形式の外伝『第七噴泉王の口伝書(増補版)』が発売された。書籍は全224ページで、章ごとに推奨噴出圧が記載されるというゲーム連動性が特徴とされた[35]。
漫画版として『霧島港の密かな交渉』が連載され、ルミエ=サルファの手紙改造が作中でよりロマンチックに描かれたとされる。ただし版権の都合で、原作の一部台詞が変更されている[36]。
TRPG化[編集]
卓上ロールプレイ用に『泡縛の六角盤(ろっかくばん)』が発売され、ダイスの代わりに“温度帯カード”を用いる独自仕様が採用されたとされる[37]。
関連商品[編集]
攻略本としては『geysex legends 完全噴泉地図 第1巻』があり、推奨噴出圧の表が折り込みで付録されている。さらに第2巻には対戦モードの“泡縛テンプレート”が掲載されたとされる[38]。
書籍としては、泉鏡院アンサンブルのライナーノーツを収録した『温度帯で聴く蒸気和声』が出版された。内容には楽曲の編成図だけでなく、スタジオの反響測定の項があり、RT60=1.92秒の根拠として“現場メモ”が引用されている[22]。
そのほか、公式グッズとして噴出整列を模したキーホルダー、地図カードを再現したステッカーシートが発売された。ステッカーは全36種で、当選者限定のシークレットが1種あると告知されたが、実際に入手報告があったのは応募者の0.73%だったという[39]。
小説版の実装的こだわり[編集]
小説版『通訳官の噴泉日誌(改)』は、1章に1つ“会話分岐の仮想ステータス”を含む構成であるとされる。これは原作の会話ダメージ概念を文章で擬似再現した試みと説明されている[40]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 霧霧研究工房『噴泉地図カード運用規程』氷雨流通, 2012年.
- ^ 神野テルマ「誤読されるタイトルの設計意図」『月刊ゲーム仕様書』第8巻第2号, pp.15-27, 2013年.
- ^ 渡辺精一郎「通訳係数と会話ダメージの相関」『計算物語学ジャーナル』Vol.5 No.1, pp.41-58, 2014年.
- ^ 山崎ミドリ「泡の縁を六芒星へ:レンダリング手法覚書」『デジタル造形研究』第12巻第3号, pp.203-219, 2013年.
- ^ 名取クレア「噴出圧単位互換テーブルの移植失敗」『Real-Time Systems Archive』Vol.9, pp.88-96, 2014年.
- ^ 泉鏡院アンサンブル「温度帯ラベルを持つ楽曲群の再編」『音響と演奏技術』第21巻第1号, pp.55-73, 2015年.
- ^ ファミ通編集部「クロスレビュー:Geysex Legends」『ファミ通クロスレビュー』2012年臨時増刊, pp.1-12, 2012年.
- ^ 氷雨流通調査班「GLの販売推移に関する統計(出荷と実販売)」『流通データ年報』第3巻第4号, pp.101-118, 2016年.
- ^ R. Thornton「Thermal Vowels in Vapor RPGs」『Proceedings of the Soundless Worlds』Vol.2 No.7, pp.1-9, 2017年.
- ^ 青木シズカ『温度帯で読む蒸気和声』霧雨学術出版, 2019年.
外部リンク
- 霧霧研究工房 公式資料庫
- 氷雨流通 ソフトウェア追補ページ
- 泉鏡院アンサンブル 公開レコーディング日誌
- 泡縛デュエル 参加者アーカイブ
- 噴泉地図カード コミュニティ翻訳辞典