おそらくもう
| コンビ名 | おそらくもう |
|---|---|
| 画像 | — |
| キャプション | “たぶん確定”を合唱する深夜番組の名場面で知られる |
| メンバー | 上条 バイアス(かみじょう ばいあす)、海老名 デカルト(えびな でかると) |
| 結成年 | 2011年 |
| 解散年 | |
| 事務所 | 有限会社クエスチョン・モード(通称:Q-MODE) |
| 活動時期 | 2011年 - 現在 |
| 芸種 | 漫才、コント、即興司会、ラジオショート企画 |
| 受賞歴 | M-1グランプリ2019年ファイナリスト(別ルートで準優勝扱い) |
おそらくもう(英: Osoraku-Mou)は、を拠点とする架空のお笑いコンビである。結成。NSCK期生として知られた二人が、〈不確実さを断言する〉芸風で人気を博したとされる[1]。
概要[編集]
は、観客の期待値を測るように見せながら、最後だけ「もう」を付けて結論をひっくり返す漫才で知られる架空のお笑いコンビである。実際の会話では曖昧語が残るはずの場面で、なぜか相手の心だけ確定させる“断定の皮をかぶった保留”が特徴とされる[2]。
成立のきっかけは、二人が在籍していたNSCK期の「推定敬語講座」だと語られている。講座の最終課題は「確率80%で謝罪しろ」というもので、提出物がなぜか満点扱いになった結果、芸として転用されたとされる[3]。
メンバー[編集]
上条 バイアスは、ツッコミ兼ボケとして運用される珍しい役割で活動している。本人は「相手が“気のせい”と言い出す前に、気のせいを否定する」と語っており、主に“数字っぽい台詞”を投げる担当で知られる[4]。
海老名 デカルトは、丁寧な語尾で場を整え、最後の一語だけ反転させる“論理皮膜”型のボケが得意とされる。舞台袖では、ネタの着地点をホワイトボードに「たぶん」「たぶんじゃない」を交互に書き、消しゴムの使用回数まで記録していると報じられた[5]。
二人は同期で、組み方は「疑問形のまま握手」だと言われる。観客がうなずいた瞬間だけ、握手が“確定”へ滑っていく設計になっていると説明された例もある[6]。
来歴/略歴/経歴[編集]
二人は内の劇場で、同じ小道具倉庫を担当していたことが出会いとされる。倉庫の鍵は同じ型番で、なぜか“開かない方の鍵”が入っていたため、修理に手間取った日が初回の共同作業になったと語られている[7]。
NSCK期での活動後、2014年に上京したとされるが、当初の活動拠点はの深夜スタジオであった。移動時間の合計が毎回「何分か分からない」運用になったため、ネタ作りが“予定表にない予定”へ寄っていったという逸話がある[8]。
2017年には、地元のイベント出演枠が余り、司会だけを任された。その際「“おそらく”で始めたら、必ず“もう”で終わらせる」と台本にない縛りが追加され、結果として現在の語感が完成したとされる[9]。
芸風[編集]
(つづき)さらに、即興司会では“言い切れないことを言い切る”指示が特徴で、進行役の采配が観客に刺さると評されている。番組収録では、タイトルコールの直前に必ず沈黙を入れ、沈黙の秒数を「おそらく3秒、もう3秒」と二重化することで統計のような安心感を生むという[15]。
漫才:保留の断定化[編集]
漫才では「推定」や「可能性」の語を積み上げ、聴衆の頭の中で答えを保管する。最後にだけ「もう」を置き、答えが“保管場所から勝手に取り出される”感覚を狙うとされる[10]。たとえば「たぶん今から謝ります(0.62)」のように確率を添え、次の瞬間「謝ったことにしてある(もう)」へ切り替える手法が代表例である[11]。
語尾の抑揚は、音響スタッフが独自に解析し、平均すると“ため息の頻度が前半で3回、後半で0回”になるよう調整されていると報告された(もっとも、本人たちは「気分だ」と否定している)[12]。
コント:時間の二重管理[編集]
コントでは、同じ時計を二つ置いて会話させる演出が頻出とされる。片方の時計は常により2分遅れ、もう片方は毎回“正しい時間を忘れる”設定で進む。観客には「どちらが正しいか」を考えさせるが、オチでは両方とも“正しい体で納品”されるため、疑いが言語化されないまま終わる構造とされる[13]。
細かい数字として、ネタ中の立ち位置移動は合計「7歩」を基本単位に設計され、7の倍数で会話が折り返す。スタッフが数え続けた結果、ある回だけ8歩になり、オチが成立しなかったため次回からルールが強化されたとされる[14](なお本人たちは偶然だと主張している)。
エピソード[編集]
2016年の深夜ライブで、会場の空調が突然止まり、二人は「たぶん暑いです」と言って観客を落ち着かせようとした。しかし実際は“暑いのは空調ではなく、人の予想”だったため、客席の体感温度が上昇したように見えたとされる。その後、上条が「申し訳ない、予想だけ冷やすべきだった(もう)」と謝り、奇妙な一体感が生まれたことで評判になった[16]。
また、賞レース対策として作ったネタ原稿は、文字数が毎回「1,271字」で統一されていたと報じられている。海老名は「1,271は“たぶん届く”の境目」と語ったが、実際には印刷機が勝手にその行数へ収束しただけだという指摘もある[17]。それでも観客側は“偶然に見える必然”として受け取ったため、結果的に芸風が強化されたとされる。
関西の劇場での中継出演では、回線が不安定になり「たぶん聞こえます」と言った瞬間に無音になった。無音のまま二人が“もう”を合図のように言い、テロップだけが先行して表示される演出が成立したため、「声がなくても断定は伝播する」という都市伝説めいた話が残っている[18]。
賞レース成績・受賞歴[編集]
M-1グランプリでは、2017年は1回戦敗退、2018年は2回戦まで進出したが、その年は「おそらくもう」の意味が誤読され、審査員席から“ただの二言目の癖”と評される場面があったとされる[19]。2019年には、ネタ終盤の語尾だけを録音解析し、合格ラインに必要な“もう”の硬さを調整して臨んだ結果、ファイナリストに選出された。
一方で、同年の準優勝扱いの噂がある。これはテレビ放送での順位テロップが一瞬だけ“おそらく準優勝”と表示され、その後修正されたことが原因とされる[20]。当事者は「勝ってない」と否定しつつも、ステージ上では“準優勝仕様の靴紐”を結び続けていたと伝えられている[21]。
出演[編集]
テレビ番組では、バラエティの冠コーナー『からの』が代表的とされる。放送では、司会者が「たぶん」を言うと、画面端にタイムスタンプが表示され、二人が“もう”の効果音だけでオチを宣言する構成が定番化した[22]。
ラジオでは『Q-MODE深夜倶楽部』にレギュラー出演し、リスナーから届く相談文を「おそらく」と「もう」で二重返信する企画が人気を博したとされる。相談件数は放送開始6か月で月平均3,480件に達したと報告され(ただし集計方法が公表されていない)[23]、特に「引っ越しの迷い」系のテーマで投稿が増えたとされる。
劇場面では、近隣の小劇場で単独公演を継続し、毎回ラストに短い即興漫才を挟む。観客参加型のため台本は“おそらく”までしか用意されず、最後の“もう”は当日の空気で決まると説明された[24]。
関連人物/作風の背景[編集]
二人が影響を受けたとされる人物として、言語学者のが挙げられる。小早川は“曖昧語は感情の予告である”という見解を示し、その影響で「おそらくもう」の間に置く沈黙を“感情の着地”として設計したとされる[25]。
また、音響制作に関わったのディレクターは、二人の声の帯域が「高音域が前半、低音域が後半」に寄るよう編集していると語ったとされる。もっとも、編集の実態は社内資料が一部しか残っておらず、後年のインタビューでは「たぶんそう」と曖昧に返答されたという[26]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 上条バイアス・海老名デカルト『“もう”の前に“おそらく”を置け』Q-MODE出版局, 2018.
- ^ 小早川リンゼイ『曖昧語と感情の予告』東京言語学院出版, 2013.
- ^ 佐伯ルーク『スタジオ編集の裏側:沈黙の帯域設計』クロスフェード叢書, 2020.
- ^ 井手本(編)『NSC【33校】K期の課題集:確率80%で謝罪』NSC研究室, 2015.
- ^ M-1グランプリ事務局『審査員メモの公開範囲について(第◯回)』M-1事務局資料, 2019.
- ^ 日本漫才協会『笑いの確定タイミング統計:“もう”語尾の硬さ』Vol.2, 第3号, 2021.
- ^ Thornton, Margaret A.『Performing Certainty in Japanese Comedy』Journal of Laughter Studies, Vol.9 No.1, pp.112-139, 2017.
- ^ Kawamoto, S. and Ellis, R.『Ambiguity as a Pre-Conclusion』The International Review of Humor, Vol.14 No.4, pp.55-72, 2019.
- ^ 堀口ミナ『テレビ演出における二重時間管理』映像芸能学研究, 第6巻第2号, pp.10-33, 2016.
- ^ 『推定からのもう』制作会議議事録(抜粋), 放送年不明(資料庫閲覧番号:Q-271)。
外部リンク
- Q-MODE公式サイト
- 推定からのもう 公式アーカイブ
- NSC33校 K期課題倉庫
- おそらくもう ラジオ投稿データベース
- 言語芸研究会(非公開)