おちりぷりぷり
| 表記 | おちりぷりぷり |
|---|---|
| 品詞 | 擬態語(合いの手・掛け声) |
| 主な用途 | ダンス・ライブ・短尺動画 |
| 言語圏 | 日本語圏 |
| 関連領域 | 音声学、民俗言語学、身体文化 |
| 初出とされる年 | 1999年(同人誌) |
| 派生 | おちぷり体操、ぷりぷり規範 |
| 関連組織 | 肛門由来表現標準化委員会(仮称) |
おちりぷりぷりは、の若年層を中心に流通したとされる擬態語であり、主にやに付随する合いの手として知られている[1]。語感から派生した「肛門由来の律動」として民俗学的に解釈されることもあるが、実際の起源は別分野の通信文化と結びつけられている[2]。
概要[編集]
は、音の反復と語頭子音の跳ね返りを利用して、身体のリズム同期を促す合いの手として機能したとされる擬態語である[1]。とくに腰部の連続的な微振動を“見える音”として表す表現として語られ、学校の体育祭、路上ライブ、深夜番組の即興コーナーなどで採用されてきたとされる[3]。
語の意味解釈は一枚岩ではなく、「臀部そのもの」を指す理解もあれば、実際には当時流行していた発の合図語の転用に由来するという説がある[2]。この語が広まった経路としては、音声メッセージの要約規則(一定時間内に“ぷりぷり”のような反復音を入れると誤聴が減る)に結びつけて説明されることも多い[4]。なお、この説明に対しては後述の通り批判もある。
日本国内では、言葉遊びから始まったにもかかわらず、やがて「身体表現の合意形成」にまで影響した例として、研究書では“即時採点可能なリズム語”と位置づけられている[5]。その一方で、語の露骨さが規約違反扱いされる場面もあり、自治体の青少年施策の資料に、出典を曖昧にしながら引用された経緯が“要注意語”として記録されている[6]。
歴史[編集]
通信規則としての誕生(1999年説)[編集]
起源としてしばしば挙げられるのは1999年、東京・に拠点を置く印刷所「虹彩インキ工房」のアルバイトが持ち込んだという同人誌『深夜回線と擬態語』である[7]。同誌では、当時の携帯音声が圧縮されると“語尾の摩擦音”が落ちやすく、誤解を生むため、反復音で埋めるべきだと主張された[8]。その推奨例として、妙に耳障りでなく、かつ短時間に十分な音節情報を含む語としてが採択されたとされる。
この主張を補強する根拠として、編集委員の一人である渡辺精一郎(当時22歳の音響見習い)が、録音データを用いて「誤聴率が平均で31.4%から12.7%へ低下した」と記録したとされる[9]。さらに彼は、音節の“ぷり”が含む周期成分が、圧縮装置の復元アルゴリズムに好相性であると、数式らしき図を添えて説明した[10]。
ただし、この時点で語が“臀部の表現”と結びついたわけではないとされる。むしろ同誌は「身体に当てはめるのは二次利用である」と書いたが、のちに体育系サークルが振り付けに転用し、言葉が意味を取り込んだと推定されている[11]。
学校体育から動画経済へ(2006〜2012年)[編集]
2006年ごろから、での即興ダンスに合わせて合いの手を入れる習慣が拡大した。そこでは、合いの手が短尺の録画にも残りやすいことが重視され、結果として「一文の中で“ぷり”を2回以上含む語」が採点しやすいとされた[12]。この採点基準は大阪市の民間企業「リズム可視化研究所」が試作した“拍点タグ”の仕様に寄っていると説明されることが多い[13]。
一方で社会側の受け皿も変化した。2009年、の若者向け施設で、壁面モニタに“合いの手文字”を表示するイベントが開催され、観客が一斉にと唱えたことで文字が自動生成され、翌月からは“視聴者参加型の演出”として定着したとされる[14]。ただし、当時の運営は「参加型=安全管理」と考えており、表現の過激さを薄めるために“音量下限”を設定した(最小音圧0.8dB、最大5.2dB)と記録される[15]。
2012年になると短尺動画の流通で、語がさらに“場面切り替えの合図”として機械的に使われ始める。ここで登場したのが、音声認識における検出語彙「OCH-PURI」だとされる。推定では、検出率が音声周波数帯の分布により変動し、早朝(AM6:00〜AM8:00)で検出が安定したという報告が残る[16]。このあたりから、擬態語が“身体”ではなく“アルゴリズムの都合”に従うようになったとも言われる。
社会的影響[編集]
は、言葉としての意味よりも、周囲の行動を同期させる機能が注目された。特にライブ会場では、客席が一斉に同じタイミングで発声することで、照明制御が安定した例が複数報告されている[17]。このとき語が選ばれる理由は、発声タイミングが“伸ばしやすい”ためではなく、子音の反復が拍点検出に寄与するからだと、照明技師が語ったとされる[18]。
また、学校現場では“身体表現の合意形成”に使われた。体育科教員の間では、表現を評価する際に言語ラベルを添えると、生徒が恥を避けながら取り組めるという実務上の利点があるとされる[19]。その結果、「ぷりぷり規範」と呼ばれる内規が作られ、授業の開始合図として「おちりぷりぷり(合図)→安全確認→緩いステップ」の順が採用された学校もあったと報告される[20]。
一方、地域イベントでは“誤解による炎上”も発生した。例として、名古屋市の商店街連動企画で、司会者が「下品表現の矯正」として語を使い分けようとしたところ、参加者が意図せず元の意味で受け取ったため、運営が急遽言い換えを行ったとされる[21]。このように、語の機能が社会の文脈に強く依存する点が、研究者の関心を集めた。
批判と論争[編集]
批判の焦点は主に二つである。一つは露骨な語感が与える印象であり、青少年向けの掲示物に不適切であるとして、いくつかの自治体が配布素材から削除したとされる[6]。もう一つは、起源の説明に関する学術的な疑義である。
特に「1999年に通信規則として誕生した」という説は、資料の所在が曖昧で、同人誌『深夜回線と擬態語』の初版が確認できないとする指摘がある[22]。一方で、虹彩インキ工房の元営業担当者が“その場で読んだ”と語る証言だけが先行し、音響データの原紙は見つかっていないとされるため、反証可能性が乏しいと批判されている[23]。
さらに、誤聴率の数値(31.4%→12.7%)が、後年の別研究で再現できなかったという報告もある[24]。もっとも、再現できなかった理由を「復元装置の世代差」とする擁護もあり、論争は単純な真偽ではなく、どの機器条件を前提に“起源”を語るべきかに移行したとされる[25]。なお、この論争は一般向け記事では“嘘じゃん”として語られることが多い。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 渡辺精一郎「反復音による圧縮誤聴の低減——OCH-PURI検出実験」『日本音声工学年報』第18巻第2号, pp. 41-58, 2001年.
- ^ 佐藤礼子「擬態語が同期をつくる—合いの手の社会言語学的機能」『言語文化研究』Vol.7 No.1, pp. 12-30, 2007年.
- ^ Kobayashi, Haruto. “Body Rhythms and Repeatable Cues in Japanese Short-Form Media.” 『International Journal of Spoken Interaction』, Vol.3 No.4, pp. 201-219, 2010.
- ^ 田中由美子「拍点タグ設計と参加型演出の安定化」『映像音響技術論文集』第9巻第3号, pp. 77-96, 2009年.
- ^ 山村俊介「青少年向け教材における“語感”リスク評価—配布物からの削除事例」『地域メディア倫理学会誌』第5巻第1号, pp. 55-71, 2013年.
- ^ 小林真理子「掲示板由来の合図語とその転用プロセス」『計量社会言語学』第2巻第2号, pp. 3-24, 2006年.
- ^ 肛門由来表現標準化委員会 編『合いの手語彙の標準試案(通称: ぷりぷり規範)』文部科学政策資料局, 2011年.
- ^ 虹彩インキ工房編集部『深夜回線と擬態語』虹彩インキ工房出版, 1999年.
- ^ Nakamura, Aya. “Detectability of Onomatopoeic Segments Under Legacy Compression.” 『Journal of Signal Folk Psychology』 Vol.12 Issue 2, pp. 88-101, 2008.
- ^ 櫻井達也「誤聴率の再現性問題と装置条件」『応用音響レビュー』第21巻第4号, pp. 109-133, 2014年.
外部リンク
- 擬態語研究アーカイブ(Ochiripedia)
- 拍点タグ設計資料センター
- 短尺動画語彙観測室
- 地域イベント言語ガイドライン(模擬版)
- 日本音声工学データベース(試作)