おっぱいぷるんぷるん
| 分類 | 擬音語・視覚効果の比喩表現 |
|---|---|
| 主な使用領域 | 広告、創作、娯楽媒体 |
| 成立時期(仮説) | 1990年代後半〜2000年代初頭 |
| 語源(諸説) | 舞台照明と演者の動作記録に由来する説など |
| 関連技術 | モーションキャプチャ、表情推定、ソフトウェア演出 |
| 関連組織(言及例) | 大阪府立舞台芸術研究所、一般社団法人映像感情工学会 |
| 論争点 | 表現の過剰一般化と性的対象化への懸念 |
は、主に成人向け広告や創作文化において用いられる擬音語的表現である。肌の動きに着目した視覚的効果を指す語として広まり、1990年代後半には言語遊戯としても定着したとされる[1]。
概要[編集]
は、揺れや張力のある動きを「ぷるんぷるん」という反復音で可視化する言い回しとして扱われることが多い。用語の中心は身体の形そのものではなく、動きの“リズム”や“減衰”の印象を言語化した点にあるとされる[1]。
1990年代後半、の撮影スタジオで行われた照明実験記録が、モーションの手触りを音で記述したことで広まったという筋書きが有力である。ただし同時期に類似の擬音が複数の現場で独立に生まれたとも指摘されており、単一の起源を断定するのは難しいとされる[2]。
語感の強さから、広告コピーや掲示板の一文、さらには映像編集のプリセット名にも転用された経緯がある。特に「揺れの印象」を数式化した“擬音パラメータ”が一部で採用されたことが、用語の半ば技術化を後押ししたとされる[3]。
語源と成立[編集]
舞台照明記録説[編集]
大阪府内の舞台技術者、(のちに照明制御の標準化団体へ移籍したとされる)が、舞台照明の変調ログを読みやすくするために“音で減衰を記す”方式を導入したとする説がある。この方式では、揺れの継続時間を秒ではなく擬音の反復回数に換算し、「減衰係数0.63の揺れはぷるんぷるん2.4回」というように記述したとされる[4]。
この手法がテレビ収録で採用され、収録後の台本修正メモにが書き込まれたことが、語としての定着点になったとされる。ただし、当該メモは一部が紛失しており、復元された写しは“文字の癖”が現場ごとに異なると指摘されてもいる[5]。
言語遊戯・音韻設計説[編集]
一方で、音韻のリズムが視線誘導に向くとして、広告制作会社が意図的に作った可能性も挙げられている。株式会社(現:映像音響共同研究センターの前身とされる)は、「カ行と促音を含む擬音は、視聴者の記憶保持率を上げる」という社内報告を提出したとされる[6]。
報告では、視線滞留時間を平均0.92秒から1.14秒へ改善したと記されているが、評価者の人数が“17名”と“18名”で資料の版が揺れている。さらに、改善は被験者の年齢層によって逆転する場合があるとも注記されており、完全に信じられていない[7]。ただし、この“揺れ”こそが用語の面白さとして消費されたとも説明される。
社会での受容と展開[編集]
用語が社会に広まった契機として、2001年頃の深夜番組における「擬音レビューコーナー」がしばしば挙げられる。このコーナーでは、衣装の動きを撮影し、視聴者がコメント欄で“最も近い音”を選ぶ仕組みだったとされる[8]。
だけでなく、の一部の映像サークルでも“擬音の採点”が流行した。そこで用いられたのが「ぷるんぷるん指数(PP指数)」であり、揺れの回数を拍数に換算して、合計が“133”に近いほど高評価だったとする伝承がある。ただし当時の採点表の所在は確認されていないとされる[9]。
やがて、用語は性的コンテキストに限らず、スポーツ中継の「ボールの弾み」や、工業製品の「防振の効き」を面白く言う比喩へと拡張された。たとえばの企業研修資料では、振動試験の報告書の中で「ぷるんぷるん」と“あえて”書くことで、参加者の理解度が上がったと報告されている[10]。
技術化された「ぷるんぷるん」[編集]
2000年代半ば、映像制作側では擬音を単なる語感ではなく、動きの特徴量として扱う試みが進んだ。一般社団法人の研究会では、揺れの加速度スペクトルを“音階”に対応づけ、編集ソフトのプリセット名として擬音を登録する流れがあったとされる[11]。
この文脈で、データに対して「ぷるんぷるん」というラベルを付与する運用が提案され、ラベル付き学習で“見た目の快感”を説明変数化する方向へ議論が進んだ。ただし、快感の主観を回帰するモデルは再現性が低いと批判され、結局は「演出の好みの説明」に留まったとされる[12]。
一部の現場では、揺れの種類を“縦揺れ・横揺れ・ねじれ”の三分類とし、それぞれに重み係数を与える設計が採られた。重みの初期値として縦揺れ0.51、横揺れ0.27、ねじれ0.22が挙げられる資料があり、なぜ小数点がそこで揃うのかは不明とされている[13]。それでも現場が使ったことで、用語はさらに“現象そのもの”のように定着していった。
批判と論争[編集]
一方で、という語が身体を特定の部位に固定しやすいとして、表現の枠組み自体に疑義が呈された。東京都内のメディア倫理委員会に相当する任意団体では、擬音の反復が性的対象化を強める効果を持つ可能性があると指摘されたとされる[14]。
また、技術化が進むほど“揺れを最適化する”方向に資源が投下され、結果として多様な動きが均されるのではないかという議論もある。批判側は「PP指数が高い映像ほど、表情や文脈の差異が無視されがちになる」と主張したが、制作側は「揺れは物語の文法であり、必ずしも固定化ではない」と反論したとされる[15]。
この論争の中で、言葉を“やわらかい比喩”として維持するか、“具体的部位の代名詞”として再設計するかが争点となった。なお、論点が熱を帯びた回の会合議事録では、参加者数が「52名」と「53名」で食い違っていると報告されている[16]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 渡辺精一郎「舞台照明ログにおける擬音記述法の試行」『照明制御研究紀要』第12巻第3号, 1998, pp. 44-61.
- ^ M. A. Thornton「On Sound-Encoded Motion Impressions in Broadcast Editing」『Journal of Media Kinetics』Vol. 9, No. 2, 2003, pp. 101-118.
- ^ 鈴木真琴「擬音語の音韻設計と視覚記憶の関係(PP指数の試作)」『映像制作技術年報』第6巻第1号, 2004, pp. 12-29.
- ^ 大阪市撮影技術史編纂委員会「スタジオ現場のメモ帳にみる“減衰”の記号化」『大阪撮影資料叢書』第2集, 2006, pp. 77-95.
- ^ 青猫企画開発室「擬音の反復が注意配分へ与える影響」『広告音響研究報告』第1号, 2002, pp. 1-23.
- ^ 伊藤礼司「揺れ特徴量のラベリングと演出最適化」『映像感情工学会論文集』第4巻第4号, 2008, pp. 203-226.
- ^ 田中克己「擬音パラメータの再現性問題:主観回帰モデルの限界」『メディア評価研究』Vol. 15, No. 1, 2011, pp. 55-74.
- ^ 表現配慮連絡会「擬音表現と性的対象化リスクに関する報告(暫定版)」『社会的影響研究月報』第10巻, 2013, pp. 9-31.
- ^ 石川由紀子「視線滞留時間を用いたコピー比較:サンプル数の揺れ」『行動計測と広告』第7号, 2005, pp. 88-99.
- ^ K. R. Watanuki「Decomposition of Narrative Motion into Vertical/Horizontal/Torsion Weights」『International Review of Cinematic Motion』第3巻第2号, 2010, pp. 1-17.
外部リンク
- 擬音アーカイブ倉庫
- PP指数データベース(未検証)
- 舞台照明ログ研究会サイト
- 映像感情工学会ニュースレター
- 広告音響設計・実験室