ぶりぶりうんち
| 別名 | ぶりぶり式排泄強調語 |
|---|---|
| 初出 | 1928年頃(大阪市説) |
| 成立地 | 大阪府大阪市西成区周辺 |
| 使用分野 | 幼児教育、滑稽芸、玩具広告 |
| 特徴 | 擬音の反復による笑いと緊張緩和 |
| 関連機関 | 近畿児童言語研究会、浪花玩具商組合 |
| 代表的記録 | 『ぶりぶりうんち語彙小誌』 |
| 現況 | 一部地域の保育現場で儀礼的に残存 |
ぶりぶりうんちとは、の幼児語圏および一部のの口承文化にみられる、排泄の擬音を二重化して強調する表現体系である。20世紀前半ので整えられたとされ、のちに玩具、教育、演芸の各分野へ波及したとされる[1]。
概要[編集]
ぶりぶりうんちは、排泄を示す語を反復し、音感の誇張によって親密さと可笑しみを生む日本の民間表現である。一般には幼児の発話に由来するものと考えられがちであるが、言語学的には初期の都市児童文化の中で意図的に整形された、半ば人工的な語法とされる。
この表現は、の露店商や関係者のあいだで使われ始めたとされ、やがて木製玩具の銘文、紙芝居の見出し、商店街の呼び込み文句に転用された。なお、1954年にが「低年齢層における反復音声の情緒安定効果」に関する内部報告をまとめたことが普及の契機になったという説があるが、一次資料は乏しい[2]。
後年には、笑いを誘う語としてのみならず、失敗を受け流すための社会的緩衝語としても機能したとされる。特にでは、恥ずかしい事態をあえて軽妙に言い換える文化の一例として引かれることが多い。
歴史[編集]
成立期[編集]
起源については諸説あるが、最も有力なのは1928年、の行商人・が、子どもの注意を引くために「ぶり」と「うんち」を別々に唱えていたものを、最後に連結したのが始まりとする説である。森下は後年、本人が考案したのではなく、近所の銭湯で聞いた掃除掛け声を借用しただけだと述べたという。もっとも、この証言は1970年代の聞き書きにしか現れず、要出典である。
1931年にはが、音のリズムが乳幼児の手拍子を誘発することを理由に、安価な土笛の商品名として「ぶりぶりうんち」を採用した。販売記録によれば、同年の冬季だけで2,480個が出荷され、うち137個は店頭で名称の面白さだけで売れたとされる。
戦前から戦後へ[編集]
、資材統制の影響で関連玩具は一時消滅したが、終戦後の復興期に紙芝居の掛け声として復活した。この時期、の児童劇団「青ひつじ座」が上演した『ぶりぶりうんちと虹のバケツ』が、演目名に語を含んだ最初の舞台作品とされる。
一方で、にはの幼児向け放送で読み上げが検討されたが、放送倫理上の理由から直前で差し替えられたという逸話が残る。差し替え原稿の末尾には、担当者が赤鉛筆で「語感は良いが品位に難あり」と書き込んだ複写が伝わる。
普及と定着[編集]
1960年代になると、保育雑誌『別冊』の周辺で、排泄を恐れずに言語化することが情緒発達に資するという議論が行われた。これを背景に、の『ぶりぶりうんち語彙小誌』では、単なる単語ではなく、叩く・跳ぶ・転ぶの動作に付随する掛け声として定義が再整理された。
1970年代後半には、の幼稚園で、集団活動の導入語として採用された記録があり、園児の出欠確認時における離席率が18%低下したとされる。数値の信頼性には疑義があるが、現場では「一度笑わせてから座らせる」という運用が広まった。
社会的影響[編集]
ぶりぶりうんちは、幼児語としてのみではなく、失敗や失禁、会議の空気の悪化など、直接言いにくい事象を和らげるための婉曲表現としても用いられた。とりわけの一部企業では、社内掲示に「本件はぶりぶりうんち対応」と記すことで、重大さを薄めつつ緊急性を共有する独特の慣行があったとされる。
また、1980年代にはが、語の反復によって呼吸のテンポが整うとして、吃音訓練の補助語としての可能性を検討した。報告書では、被験者34名中29名に一時的な発話速度の改善が見られたとされるが、実験に用いられた被験者が主に研究員の子どもと親戚であったことから、後に方法論上の偏りが指摘された。
文化的には、以降、インターネット掲示板や携帯電話の絵文字文化と結びつき、軽い怒り、照れ、誤魔化しの三つを同時に示す記号として流通した。2020年代には、保育現場で「言葉を汚さずに汚れを扱う」教材として再評価され、地方自治体の子育て講座で題材にされることもある。
主要な派生形[編集]
ぶりぶりうんちには、多数の派生形が存在する。代表的なものに、語尾を延長した「ぶりぶりうんちんちん」、逆に短縮した「ぶりうん」、敬語化した「ぶりぶりうんちさま」などがある。これらは本来、年長児が年少児をからかわないようにするための言い換えとして整理されたが、実際には大人の方が多用したともいわれる。
の学童保育で使われた「ぶりぶりうんち、はいどうぞ」は、片付けや受け渡しを促す定型句として知られる。なお、2011年にで実施された言語観察では、語の使用後に笑顔が増える一方、教室の静粛性が平均7.2秒失われたため、導入の是非が議論された。