でっかいどう
| 名称 | でっかいどう |
|---|---|
| 種類 | 巨大風洞型展示施設 |
| 所在地 | 北丘区 北丘一丁目 |
| 設立 | 63年(1988年) |
| 高さ | 71.3 m(上部ダクト含む) |
| 構造 | 複合耐寒ラーメン+二重風洞殻 |
| 設計者 | 北海工芸建設設計局 第三計画室(設計主任:渡辺 精一郎) |
でっかいどう(でっかいどう、英: Decckaidou)は、にある[1]。
概要[編集]
現在では、は来訪者が「風の体感」を学ぶための巨大な展示施設として知られている。施設内の二重風洞では、季節風を模した乱流と、積雪地域特有の乾いた冷気が段階制御で再現される。
名称の由来は、開業準備段階で行われた風量試験のログ(記録上の風速が“でっかい”桁に達したこと)に由来するという説明が有力である。なお、言葉の語感から地域の“北海道”と混同されることもあるが、公式には別物として運用されてきた[2]。
名称[編集]
施設名は、計画書の仮称「北の風大洞(だいどう)」から、広報担当が“略して覚えやすい語”として短縮提案した経緯をもつとされる。最終的な書式は、役所用の正式文書では「風大洞展示施設(略称:でっかいどう)」と記され、掲示板やパンフレットでは短い表記が採用された[3]。
この名称は、設計者が当初から掲げた「呼称が施設の呼吸を決める」という考え方に由来するとも述べられる。たとえば、オープニングセレモニーでは来賓の発声が風洞の気流制御に同期され、祝辞が途切れないことが“成功条件”として扱われた[4]。
沿革/歴史[編集]
56年(1981年)に、北丘区周辺の再開発計画「北丘冷熱循環プロジェクト」が立ち上がり、その目玉として風洞型展示施設の建設構想が提案された。計画段階では、冬季の通風研究を目的とする一方で、観光施策としての効果も同時に見積もられていたとされる[5]。
63年(1988年)に施設は竣工し、同年の試運転では二重風洞の平均風速が8.72 m/s、最大瞬間風速が22.91 m/sに達したと記録されている。運転員はこの数値を「桁がでっかい」と表現したが、のちにその言葉が施設名の候補へと波及した、とする内部回覧文書が見つかったという。もっとも、当該回覧は写しの写しであり、真偽には揺れがあると指摘されてもいる[6]。
その後、2年(1990年)には展示更新として「雪粒衝突モジュール」が追加され、衝突回数が毎秒約15回で制御されるなど、やけに具体的な仕様が一般公開された。さらに11年(1999年)には、夏季の再現プログラムとして“湿潤風の層別”が導入され、来館者が季節の境界を体感できるとされた。なお、この変更は“説明不足によるクレーム”も招いたが、施設側は「体感は言葉より正確である」として方針を維持した[7]。
施設[編集]
建物は、外殻が耐寒複合ラーメンで組まれ、風洞内部は二重構造として気密と除霜性能が両立されている。全体高さは71.3 mで、上部ダクトはゴンドラ用の点検通路も兼ねる設計とされる。
展示は大きく三系統に分かれている。第一に「乱流の彫刻」では、格子状の整流板によって風の粒立ちが可視化される。第二に「積雪衝突回廊」では、雪粒を模した微粒子を秒速0.36 mmで噴出し、壁面への当たり方を記録計で表示する。第三に「境界の季(きわ)」では、乾いた風と湿った風の境界が階段状に置かれ、来訪者が“境目の音”を聴く体験が用意されている[8]。
なお、施設の売店コーナーには「風速計つきの観光土産」が並び、購入時に風洞の実測値(当日版)が印字される仕組みが採用されている。測定値は更新頻度が高いとされ、レジ担当が“今日のでっかいどう”と言い慣れていたことが、後年の取材記事で伝えられている[9]。
交通アクセス[編集]
中心部からは、路線バスと連絡シャトルが併用される。公式には「北丘循環バス(所要27分、運行間隔12〜18分)」が推奨され、悪天候時には迂回を前提とする旨が案内される。
最寄り駅は“北丘風見端(かざみばた)駅”とされるが、鉄道会社の正式路線名とは一致しない表記がしばしば見られる。実際の利用では、乗換案内画面に現れた「臨時連絡通路」表示が鍵になるとされ、観光案内所では紙の地図が併置されている[10]。
自家用車の場合は、施設北側の観測駐車場(収容314台)が利用される。駐車場の誘導は、風向センサーの表示と連動しており、強風日は一部区画が閉鎖される。閉鎖基準は“瞬間風速19.5 m/s”とされ、運用ルールが細かい点が特徴である[11]。
文化財[編集]
は、建築分野における風洞ドームの応用事例として、の産業技術に関する展示建造物群の一部に組み込まれている。施設本体は登録制度の対象として扱われ、耐寒ラーメンの施工記録が資料として保存されているとされる。
一方で、施設内部の一部展示は「環境模擬装置」として別カテゴリで管理され、改造や部品交換が制限されているとされる。特に、雪粒衝突回廊の制御盤は開業時の仕様が維持されていると説明され、手動点検の手順書が閲覧用に公開されている[12]。
このような保存方針には、観光施設でありながら研究装置としての性格が強いことが影響している。関係者は「壊さないことが進歩になる」と述べるが、批判的な見方としては、更新が遅れることで新しい計測手法が取り込めないという指摘もある。もっとも、施設側は“体験の連続性”を理由に、更新を小刻みに行う方針を採ってきたとされる[13]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 渡辺精一郎『風を観る建築:二重風洞の設計手法』北海工芸建設出版, 1989年.
- ^ 佐藤明義「北丘冷熱循環プロジェクト報告(第1編)」『日本建築環境技術年報』Vol.34 No.2, pp.51-73, 1990年.
- ^ 山田玲子「乱流の彫刻装置と来館者行動の相関」『観光工学研究』第12巻第1号, pp.12-29, 1998年.
- ^ 北海道庁観光振興局『展示建造物の保存基準(案)』北海道庁, 2001年.
- ^ Dr. Margaret A. Thornton, “Cold-Weather Wind Experiments in Public Facilities,” Journal of Environmental Acoustics, Vol.7 No.4, pp.201-219, 1996.
- ^ K. Nakamura, R. Sato, “Layered Humid Air Simulation in Dome Wind Tunnels,” Proceedings of the International Symposium on Climate Mimicry, pp.88-94, 2000.
- ^ 田中政樹「北丘風見端駅の案内表記と混同事例」『交通案内学会誌』第9巻第3号, pp.77-85, 2004年.
- ^ 北海技術史研究会『産業技術ミュージアムの系譜:昭和の装置遺産』海雲社, 2012年.
- ^ 小林ユリ「来館者発声の同期制御:祝辞が気流に与えた影響」『建築計測ジャーナル』Vol.18 No.1, pp.33-49, 2007年.
- ^ Watanabe, S., “Registering Cold-Tolerant Frame Structures,” Review of Structural Museum Engineering, Vol.2 No.2, pp.5-19, 1992.
外部リンク
- 北丘風洞ミュージアム公式アーカイブ
- 札幌市北丘観測交通案内センター
- 北海道耐寒建築データベース
- でっかいどう展示更新記録館
- 風速ログ公開ポータル