わたしの世界
| 名前 | わたしの世界 |
|---|---|
| 画像 | Watashi_no_Sekai_Stage.png |
| 画像説明 | 2017年の野外ライブでのステージ写真 |
| 画像サイズ | 250px |
| 画像補正 | auto |
| 背景色 | #FFB6C1 |
| 別名 | わたせか(略称)/薄灯隊(ファンの通称) |
| 出生名 | 詩織るる(しおりるる)名義の楽曲群として扱われる |
| 出身地 | (結成地) |
| ジャンル | ポップ・ロック、シティ・ポエム、エレクトロニカ要素 |
| 職業 | 歌手、作詞作曲家、バンド |
| 担当楽器 | ボーカル/ギター/ベース/ドラム、及び詩的ナレーション |
| 活動期間 | 2011年 - 現在(断続的に活動) |
| レーベル | 薄明レコード |
| 事務所 | 星屑企画 |
| 共同作業者 | 音響デザイン:[[霧谷サウンド工房]]、編曲:[[佐伯ユキオ]] |
| メンバー | 詩織るる(ボーカル/作詞)、柚花ミツ(ギター/作曲)、雨音スイ(ベース)、千歳ハル(ドラム) |
| 旧メンバー | 元キーボード:[[白石レン]](2013年脱退) |
| 公式サイト | https://hoshikuzu-kikaku.example/wataseka |
わたしの世界(わたしのせかい)は、[[日本]]の4人組[[ポップ・ロック]]バンドである。所属事務所は[[星屑企画]]。レコード会社は[[薄明レコード]]。[[2011年]]に結成、[[2014年]]にメジャーデビュー。略称および愛称は「わたせか」。公式ファンクラブは「薄灯の友の会」。
概要[編集]
わたしの世界は、言葉の温度と音の密度を同時に設計することを主眼とするバンドである。楽曲の多くは「自分語り」を装いながら、実際には生活者の記憶を“編集可能な物語”として提示する形式をとるとされる。
メジャーデビュー後、彼女たちはSNSの投稿文を歌詞の断片として取り込み、ライブでは歌詞を紙テープに印字して客席へ“誤配”するパフォーマンスで注目を集めた。なお、この手法は後年、研究者から[[インタラクティブ・ポエム]]と呼称され、関連する書籍も複数刊行された[1]。
メンバー[編集]
詩織るるはボーカルおよび主作詞を担当しており、輪郭の柔らかい抑揚と、息継ぎの位置をあえて誤らせる歌唱法が特徴とされる。彼女は大学在学中に朗読サークルを立ち上げ、喉ではなく“文”を鳴らす練習を積んだと本人は述べている。
柚花ミツはギターと作曲を担当し、コード進行を「方角」として扱う独特のスケッチ法を採用している。雨音スイはベースで低域の“余白”を作り、千歳ハルはドラムでタイムラインをずらす役割を担う。なお、初期には[[白石レン]]がキーボードを担当していたが、2013年に脱退し、残されたデモの断片が後年のアルバムに再編されている[2]。
バンドの制作は、作詞→仮メロ→“生活音の採譜”→最終ミックスの順で進むとされる。生活音の採譜は、制作陣が[[東京都]]内の指定交差点で同じ信号待ちを「111回」行うことで成立した、という逸話が知られている[3]。
バンド名の由来[編集]
バンド名の「わたしの世界」は、結成当初に柚花ミツがノートへ書き残した一文「わたしの世界は、まだ“私の声”を理解していない。」に由来するとされる。詩織るるはこの文を“誤読”し、読み間違えたまま曲の題名に転用したことで現在の表記になったという[4]。
また別説として、バンド名は[[気象庁]]の公開データを歌詞へ流し込む企画から生まれたと指摘されている。すなわち、天気図上の小さな反転が“わたし”の領域を作るという比喩が、いつの間にかバンド名として固定された、というものである[5]。
来歴/経歴[編集]
結成(2011年)[編集]
2011年、詩織るるは[[文京区]]の小さなスタジオで、詩の朗読とギターを同時に鳴らす試みを始めた。そこで出会ったのが柚花ミツ、雨音スイ、千歳ハルである。最初の練習曲は“世界”を語るのではなく、“世界が語られる瞬間”を狙う構造を持っていたとされる。
同年の冬、星屑企画のプロデューサー[[平石オサム]]が偶然ライヴハウスを訪れ、MCの「わたしの世界へようこそ」という挨拶を録音した。これが後のデビュー曲『ようこそ、薄灯の回廊』のサビのモチーフになったとされるが、当時の録音テープは本人の手帳と一緒に行方不明になったという[6]。
インディーズ期(2012年/2013年)[編集]
2012年、彼女たちは薄明レコードの前身レーベル[[薄明工房]]と提携し、配信限定のミニアルバム『詩織るるの仮の世界』を制作した。収録曲のうち2曲は、作詞メモが紛失した結果、残った“鉛筆の削りカス”の音をサンプリングして復元されたと報じられている[7]。
2013年、元キーボードの[[白石レン]]が「鍵盤を入れると世界が増える」と発言したことが波紋を呼び、以後はキーボードレスの編成が主流となった。なお、ライブでは削りカスの音を客の足元にマイクで拾わせる演出が採用され、観客が靴を脱ぐよう促されたため、一部自治体から注意が入ったという[8]。
メジャーデビュー(2014年)[編集]
2014年、シングル『薄い朝の説明書』でメジャーデビューを果たした。初週売上は推定で約3,120枚とされ、オリコンチャートの上昇率が話題になった。曲の構造は、Aメロが“言い訳”、Bメロが“言い換え”、サビが“言い終わり”という三段階から成ると解説された[9]。
翌2015年には初の全国ツアー『わたしの世界、誤配便ツアー』を開催し、全国で合計68公演を実施した。さらに各会場では「歌詞の順番が1番だけ違う」特別版CDが配布され、ファンによる交換がSNS上で活発化したとされる。
2017年 - 詩織るるのオリジナルアルバム期[編集]
2017年、詩織るるのオリジナルアルバムとして『詩織るるのオリジナルアルバム(仮)』がリリースされた。実際には“仮”の表記が初回盤にのみ刻まれ、流通後に出版社が誤植を理由に回収したとする報道が出た[10]。
このアルバムは、全曲の歌詞が[[NHK]]の公開アーカイブ“生活語彙”をもとに再構成された、という筋書きが語られた。もっとも、その語彙選定に関しては根拠が示されない箇所もあり、のちに研究者から「選定手続きが不明」との指摘があった[11]。
音楽性[編集]
わたしの世界の音楽性は、ポップ・ロックを基盤としながらも、詩的な語りの“間”を前面に押し出す点にある。歌詞は一人称を徹底する一方、意味の連続性をあえて崩し、リスナーの記憶が補完する余地を残すとされる。
サウンド面では、低域の粒度を揃えるために雨音スイがベースアンプを「毎晩24回」同一設定に戻すという逸話が伝わっている。ミックス作業では、佐伯ユキオがリバーブを「霧の濃度」へ換算して操作したと説明しており、結果として楽曲ごとに残響の質感が異なる。
また、ライブでは音響デザインとして[[霧谷サウンド工房]]が、客席の反射音から“次のフレーズ”のタイミングを決める疑似AI方式を導入したとされる。ただし、この方式の詳細は公開されていないため、後年になって「結局は人の耳で決めていたのでは」という疑義も出ている[12]。
人物[編集]
詩織るるは取材で「世界は、名詞ではなく動詞の連続でできている」と述べることが多い。彼女は作詞時に、紙に書いた言葉を一度鏡へ映し、反転した文字から“別の意味”を拾う手順をとったと語られた。
柚花ミツは機材への執着が強く、ギターのピックを交換するタイミングを天気に合わせる癖があるとされる。一方で千歳ハルは、ドラムの練習が「カレンダーの空白を埋める作業」であると語り、練習ノートには日付のないページが多数残っていると報道された。
雨音スイは自作のベースラインを“言葉の行間”と見なしており、曲中の一音ごとに意図した沈黙があると説明している。ファンの間では、彼女が沈黙を守りすぎた結果、初期の打ち合わせが90分早く終わったという冗談が定着した。なお、スタッフが真面目に「その90分は録音されていません」と追記したことがある[13]。
評価[編集]
国民的ポップ・ロックと評されることもあり、音楽誌では「言葉を音に翻訳する技術」「誤配された歌詞が逆に記憶を強化する構造」が評価された。特に2018年のアルバム『薄い朝の説明書:詩織るるの断章集』では累計売上が約28.4万枚に達し、オリコン年間アルバムチャートでの最高順位は2位とされた[14]。
ただし、熱心なファンほど歌詞の“誤読”を楽しむ傾向があり、批評家の一部からは「誤配が芸に依存しすぎる」との見解も出た。いずれにせよ、わたしの世界は「説明書が薄い」という比喩を、聴取体験の中心に据え続けた稀少な例として言及されている[15]。
受賞歴/賞・記録[編集]
2016年、第19回[[日本レコード大賞]]で“新人の夢”部門特別賞を受賞したと報じられている。ただし公式発表の資料では、賞名の表記ゆれがあり、編集者が誤って「新人の指示書」と書き換えた文書が見つかったという回顧録も存在する[16]。
記録面では、シングル『薄灯の回廊』が配信で累計再生約1億7,300万回を突破したとされる。さらにミュージックビデオ『紙テープの天気図』は公開後24時間で再生数が3,800万を記録し、当時の国内記録としては“異常な伸び”と扱われた[17]。一方で、視聴カウントの集計方法が複数社で異なる点が問題視された。
ライブ記録としては、『誤配便ツアー』中に実施された歌詞紙テープの平均投函距離が12.6メートルと計測されたという。なお、この測定値は観測機器ではなく、スタッフの“目測の平均”とされることもあり、真偽をめぐってファンが議論した[18]。
ディスコグラフィ[編集]
シングルとしては『薄い朝の説明書』(2014年)、『ようこそ、薄灯の回廊』(2015年)、『紙テープの天気図』(2016年)、『誤配便の名前』(2017年)、『わたしの世界の余白』(2019年)がある。CDシングルは初期に多く、のちに配信限定へ比率が移ったとされる。
アルバムとしては『詩織るるの仮の世界』(2012年、インディーズ)、『薄灯の回廊(完全版)』(2016年)、『薄い朝の説明書:詩織るるの断章集』(2018年)、『わたしの世界:逆再生のアルバム』(2021年)、『詩織るるのオリジナルアルバム(回収前)』(2023年)が挙げられる。ベスト・アルバムとしては『薄明の友の会選曲集』(2020年)がリリースされた。
映像作品としては、ライブ映像『誤配便ツアー 2015-2016』(Blu-ray/2017年)があり、特典として“歌詞の誤配マップ”が封入されたとされる。なお、当該マップには[[東京都]]の一部地域名が実在の地名に似せて書かれているため、ファンの考察が進むきっかけになった[19]。
ストリーミング認定[編集]
配信プラットフォームでの認定としては、楽曲『薄灯の回廊』がストリーミングでゴールド認定を複数回更新したとされる。累計再生は前述の通り約1億7,300万回に達したという報道がある[17]。
また、各曲の“静かな区間”が長いことから、プレイリストへの追加率が高いと分析された。データ上は、平均視聴継続時間が2分31秒で、同年の国内新人バンド平均(2分9秒)を上回ったとされる[20]。この数値の出所は単一媒体に依存せず、複数集計が混在しているとされる。
タイアップ一覧[編集]
タイアップとしては、『紙テープの天気図』が[[関東地方]]の学習塾キャンペーン“放課後の余白”に起用された。『薄い朝の説明書』は通勤ラジオのテーマソングとして採用され、放送局名が番組表で一度だけ“薄明通信”と誤記されたことが話題になったという[21]。
また、映像作品では短編映画『回廊の手順書』に『ようこそ、薄灯の回廊』の一部が使用されたとされる。公式には“インストゥルメンタル版”とされているが、耳の良い観客は冒頭の息継ぎがボーカル由来であると指摘した[22]。
ライブ・イベント/ライブ・コンサートツアー[編集]
ライブ・コンサートツアーとしては、『わたしの世界、誤配便ツアー』(2015年-2016年)と、『薄灯の友の会定期集会』(2018年)、『逆再生のアルバム行脚』(2022年)が知られている。会場は主に[[東京都]]内のホールから始まり、のちに大阪府や福岡県へ拡大した。
演出面では、紙テープへの“誤配”が象徴的で、観客は自分の手に渡ったテープに書かれた歌詞行を読み上げることができる。ただし読み上げの順序が毎回変わるため、リハーサルでは「順序の乱数」を決める工程が必須になったとされる[23]。
なお、2020年の予定だった特別公演は感染症流行の影響で延期され、延期期間中にメンバーが“逆再生用の歌詞”を制作したという筋書きが後に語られた。ここで制作された歌詞断片が、後のアルバム『わたしの世界:逆再生のアルバム』の初期トラックに転用されたとされる。
出演(テレビ/ラジオ/映画/CM)[編集]
テレビ出演では、音楽番組[[うたの深夜便]]の特番にて、詩織るるが“生活音の採譜”の手順を実演した回がある。ラジオでは[[東京FM]]での『薄明の友の会』が長寿で、毎週金曜に“誤配された一行”が読み上げられたとされる。
映画では短編映画『回廊の手順書』へのタイアップに加え、エンドロールに彼女たち自身が登場する演出が採られたという。ただし、この登場シーンは実写ではなく、ステージ上の照明のデータを加工した“擬似映像”だったとされる[24]。
CMでは、飲料メーカー[[霧島水工]]のキャンペーンで『わたしの世界の余白』が使用された。商品名の読みが一部で難しいことから、放送尺に合わせて歌詞を微調整したと報じられ、歌詞の差分がファンのデータベースとして整理された。
NHK紅白歌合戦出場歴[編集]
2019年に第70回[[NHK紅白歌合戦]]へ初出場し、曲目は『薄灯の回廊』とされた。番組の公式発表では演出が“折り返しの照明”と説明されていたが、視聴者は紙テープのような光の筋が客席へ向かって流れる様子を目撃したと報告した[25]。
ただし、当日の点灯パターンが通常と異なり、制作スタッフが「点灯プログラムが1桁ズレていた」と後日語ったという証言も残る。これが結果として“誤配に近い見た目”を生み、むしろ話題になったとされる。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ [[平石オサム]]『薄灯の友の会 誤配便フィールドノート』星屑企画出版, 2019.
- ^ 佐伯ユキオ『ミックスを霧の濃度に換算する方法』霧谷サウンド工房, 2018.
- ^ 詩織るる『言葉を鳴らす息継ぎの設計』薄明レコード研究所, 2021.
- ^ 雨音スイ『低域に余白を作る—ベースラインと沈黙の比率』第3巻第2号, サウンド記録学会誌, 2020.
- ^ 柚花ミツ『方角としてのコード進行』Vol.12, 音楽工学レビュー, 2016.
- ^ 千歳ハル『カレンダーの空白を埋めるドラム練習』第19回大会報告書, 日本リズム教育学会, 2017.
- ^ “生活語彙アーカイブの二次利用に関する見解”『放送と言語の統計』第8巻第1号, 日本言語放送学会, 2022.
- ^ 『日本レコード大賞 受賞記録集(資料編)』第70回, NHK出版, 2020.
- ^ “Streaming認定データの複数集計手法”『デジタル視聴行動研究』Vol.5, pp.114-131, 2023.
- ^ [[霧島水工]]『薄い朝の説明書—CM研究ノート』霧島水工広報室, 2017.
外部リンク
- 薄明レコード 公式アーカイブ
- 星屑企画アーティストページ
- 薄灯の友の会 解析サイト
- 霧谷サウンド工房 技術公開ノート
- 誤配便ツアー 年表Wiki