アイマスぬい登山部
| 分類 | 趣味団体(登山・コレクション両立) |
|---|---|
| 対象 | ぬいぐるみ搭載の小型ザック運搬を前提とする |
| 成立時期 | 2008年ごろ(初期記録の整理では同年が中心) |
| 活動拠点 | 関東周縁の低山と、年1回の縦走会 |
| 公式性 | 同人内の自主運営とされる(公式団体ではない) |
| 特徴 | “ぬい重量”を含むルート計画と、記念写真文化 |
アイマスぬい登山部(あいますぬいとざんぶ)は、アイドルマスター関連の「ぬいぐるみ」を隊員として編成し、低山から長距離縦走までを行うとされる同人的な登山コミュニティである[1]。2000年代末に“ぬいを安全に運ぶ文化”として発生したのち、登山用品メーカーや自治体のイベントにも波及したとされる[1]。
概要[編集]
アイマスぬい登山部は、登山靴の紐よりも「ぬいの首元の蒸れ」を先に計測することで知られる、奇妙だが合理的な登山サークルとして言及されることがある[2]。
成立のきっかけは、作品鑑賞の延長として“推し”を屋外に連れ出す小さな流れにあり、次第にルート選定・荷重管理・天候判断を「ぬい仕様」で最適化する思想へ発展したとされる[3]。
運営は隊員の自己申告制で、参加者は登山経験の有無に関係なく、ぬいのサイズ(おおむね全長12〜26cmが中心)と素材(布・合成繊維・詰め物種別)を記録することが求められるとされる[4]。なお、これが過剰に細かいことから、当初は「企画倒れ」だと見られていたが、後述のように自治体の広報案件へと接続されたという[4]。
本団体の最大の特徴は、縦走の行程表に“ぬい換気指数”と呼ばれる独自指標が併記される点である[5]。この指標は、風速・湿度・立ち止まり回数を用いて推定されるとされ、数値だけはなぜか毎回きっちり更新されると語られている[5]。
歴史[編集]
黎明期:『ぬいの安全マニュアル』が先にできた時代[編集]
アイマスぬい登山部の起点として語られやすいのは、2008年春、東京の渋谷区に所在する架空施設として扱われることの多い「屋内展示ラボ」周辺で配布された“ぬい安全マニュアル”の存在である[6]。そこでは、登山の難易度よりも、ぬいが背中で受ける“摩擦熱”を先に数式化したとされる[6]。
最初のイベントは、の“ぬい同伴テスト登攀”と呼ばれ、参加者は合計で19名、ぬい搭載は47体だったと記録されることがある[7]。主催側は、登山口から頂上までの平均歩行速度を1.9km/hに固定し、立ち止まりは11分ごとと決めたという[7]。この設定が「人間のペース」ではなく「ぬいの呼吸に合わせる」発想として受け止められ、反響を得たとされる[8]。
また、当時は“ぬい用の保冷”が最大の論点となり、タオルの材質を綿・麻・ポリエステルで比較したという研究ノートが残っていると語られる[8]。このノートが、のちの指標化(ぬい換気指数)につながったと推定されている[8]。
拡張期:市民登山と企業の“ぬい対応”が噛み合った[編集]
2012年ごろから、部内では「ただ登る」から「説明できる登山」へと転換したとされる[9]。具体的には、神奈川県の自治体が主催した“家族で学ぶ登山安全講座”の補助スタッフ募集に、部員が“ぬい搬送データ”を持ち込み、教材として採用されたと語られる[9]。
この頃から登山用品メーカー側も、ぬい向けの小型ネット(通称“ぬい結界”)や、ミニタオルの縫製規格を変更したとされる[10]。ただし、業界団体のは、ぬい向け規格の導入が安全性を高めたという見方に慎重であるとも報じられている[10]。一方で、部内の試算では、ぬいの摩擦熱が平均で23.6%低下したとされ、参加者の写真が「事故ゼロ証明」のように扱われたという[11]。
2016年、部の年1縦走としてを起点にした“三社巡り”が実施されたとされる。ルートは往復で約18.3km、累積標高差は1,142mと細かく伝承されている[11]。さらに、奇妙なことに行程表には「ぬいの喉元を結び目から距離5cm以上離す」といった設計上の注意が書かれていたという[12]。この“過剰な真面目さ”が、SNS経由で拡散され、地元イベントの出展枠を獲得した要因だとされる[12]。
現在:ぬい換気指数の標準化と“競技化の一歩手前”[編集]
近年では、アイマスぬい登山部が独自に運用してきた“ぬい換気指数”を、関連する他サークルにも共有する動きがあるとされる[13]。部内資料では、指数は風速と湿度に加えて“休憩回数係数”で更新されると説明されているが、計算式の詳細は毎回少しずつ変わるとされ、研究者からは「再現性に難あり」との指摘がある[13]。
それでも、2019年の記録では参加報告が月次で平均で31件、重複投稿の割合が7.2%と推計されたとされる[14]。この統計が示された当時、編集担当がテンプレの見出しを誤って残したため、後から「ぬいの統計が生まれた日」として二次創作が発生したという[14]。
また、競技化への誘惑もあるとされる。すなわち、登山の記録だけでなく“ぬいの姿勢角度(簡易計測)”まで提出する流れが一度広がったが、部は「写真は成果ではなく慰労である」として導入を止めたと語られている[15]。ただし、完全に消えたわけではなく、縦走会だけは姿勢角度の合格ラインが引き続き運用されているという[15]。
批判と論争[編集]
アイマスぬい登山部には、当初から「登山の安全基準を主客転倒しているのではないか」という批判があったとされる[16]。特に、ぬいの素材劣化を理由に、雨天時でも“交換用ぬい”を持つことが推奨された年には、現場の適切な判断と矛盾するのではないかと議論になったとされる[16]。
また、“ぬい重量”を含めた装備設計が、通常の登山の基準と比較すると過度に細かいとして、登山指導者からは「安全教育の土台が揺れる」との懸念が示されたことがある[17]。さらに、部内の一部では、ぬい換気指数が高いほど“達成感が高い”と解釈され、数値が心理的圧力になる場合があるという指摘もあったとされる[17]。
一方で支持側は、ぬいを持ち出す行為が、結果的に軽装の再検討や休憩の計画化を促し、学びを増やしたと主張したとされる[18]。ただし、この主張を裏付けるために用いられたアンケートは、配布対象が部員の知人に偏っていたのではないかとも疑われた[18]。このため、団体は統計の透明性を改善する方針を掲げたとされるが、改善度は“前より良い気がする”という表現に留まっていたと回想されている[19]。
脚注[編集]
脚注
- ^ 佐伯理央『同人登山の現場記録—“ぬい重量”という考え方』山岳文化出版社, 2013.
- ^ Margaret A. Thornton『Carrying Culture in Urban Hiking: A Micro-Load Approach』Journal of Recreational Load Science, Vol.12 No.3, 2014, pp. 55-78.
- ^ 【一般社団法人登山文化工学会】編『小型搬送と熱リスク評価』第2巻第1号, 登山文化工学叢書, 2016, pp. 21-44.
- ^ 中村誠一『写真は安全を代弁するか—同伴対象の変化と記録形式』登山教育研究会紀要, 第9巻第2号, 2018, pp. 101-129.
- ^ 林田みお『風速・湿度・休憩回数係数の相関(架空)』山の気象学通信, 2017, pp. 7-19.
- ^ 青柳真澄『推しの外出とコミュニティ形成:2008〜2012年のネット断片』日本メディア史学会誌, Vol.26 No.4, 2020, pp. 233-261.
- ^ 藤堂夏『縦走会の行程表に見る“数値の物語化”』野外教育研究, 第15巻第3号, 2021, pp. 14-36.
- ^ Kazuya Sato『Local Government and Hobbyist Safety Narratives』Proceedings of the Civic Outdoor Seminar, Vol.4, 2019, pp. 88-109.
- ^ 山縣広介『登山安全基準と逸脱の境界—ケーススタディ集(ぬい例含む)』安全工学年報, 第1巻第1号, 2022, pp. 1-12.
- ^ 鈴木はるか『屋内展示ラボの配布資料について—誤記とテンプレの社会史』博物館運営研究, 2020, pp. 67-89.
外部リンク
- ぬい換気指数アーカイブ
- 高尾山・同伴テスト登攀メモ
- 三社巡り縦走会報告集
- 登山用品の“ぬい対応”談話録
- 市民講座(資料)リポジトリ