『アルメス取れずもアルベゆく』
| タイトル | アルメス取れずもアルベゆく |
|---|---|
| 画像 | (架空)ATAY_StageMap.webp |
| 画像サイズ | 240px |
| caption | “アルメス”が取れない航路を示す地図UI |
| ジャンル | ハンドヘルドRPG(冒険寄り) |
| 対応機種 | アルベ・ポータブル / アルベ・クラウド端末 / 改造型G3P |
| 開発元 | 夜明け機関研究開発室 |
| 発売元 | 虹文隊パブリッシング合同会社 |
| プロデューサー | 渡辺 精一郎 |
| 音楽 | 空条ミオ(架空) |
| 発売日 | 2042年11月3日 |
| 対象年齢 | CERO相当: B(全年齢寄り) |
| 売上本数 | 全世界累計 182万本(初年度) |
| その他 | ファミ通クロスレビューゴールド殿堂入り |
『アルメス取れずもアルベゆく』(あるめすとれずもあるべゆく、英: Armesu-torezu mo Arube-yuku、略称: A.T.A.Y.)は、[[2042年]][[11月3日]]に[[日本]]の[[夜明け機関研究開発室]]から発売された[[ハンドヘルドRPG]]用[[ロールプレイングゲーム]]である。[[虹文隊]]の第2作目にあたる。
概要[編集]
『アルメス取れずもアルベゆく』は、失われた“採取許可”の代わりに、採取できないのに旅が進むという逆説を物語とシステムに組み込んだ[[ロールプレイングゲーム]]である。
ゲーム内でプレイヤーは主人公の“測量士見習い”として操作し、街道・海上・地下街を横断するたび、手元の装置が「取れないもの」を記録していく仕様になっている。通称は[[A.T.A.Y.]]で、キャッチコピーは「取れぬ者を、ゆけ。」とされる[1]。
本作は[[虹文隊]]の第2作目にあたり、前作『アルメス取れるアルベ来る』で話題になった“禁制の採取”を、さらに一段ひねった形で拡張している。なお、タイトルの文語調は当時の競技詠唱文化を模したとされる[2]。
ゲーム内容/ゲームシステム[編集]
ゲームは落ちものパズルのように区画が積み替わっていく探索マップと、ハンティングアクションの要素を併せ持つ。プレイヤーは戦闘前に“アルメス検分パネル”を開き、採取対象を指定するが、ここで不一致が起きると「取れず」になる仕様が用いられる。
戦闘はターン制に見えるが、実際には“測定値”が行動順を決める疑似アクティブタイムバトルである。1ターンあたりの計測ウィンドウは平均で1.7秒とされ、ウィンドウが狭いほど“アルベの軌道”が安定する。安定度が70%を超えると、敵の弱点が「現れたように見える」状態になるため、プレイヤーは見える弱点を狙う必要がある[3]。
アイテムは採取できない事象を“素材化”する形式で、例として[[黒潮塩晶]](採取不可だが錬成可能)や[[未取得許可証片]](現物がないと開錠できない)などが存在する。対戦モードでは“測量値の先読み”が勝敗を左右し、協力プレイでは二人の測量士の偏差を合成することで、通常は通れない[[港湾地下孔道]]を“通った扱い”にできる仕様が用意されていた[4]。
オフラインモードはストーリー進行の代わりに、プレイヤーの行動ログから“取れない結果”を生成する方式である。このため、同じ難易度でもプレイ日ごとに細部の分岐が変化し、攻略サイトでは「曜日ルート」が話題になった。
ストーリー[編集]
舞台は架空の沿岸都市[[アルベリス市]]である。都市は「採取できる物だけを採る」ことで繁栄したが、ある年の[[7月]]、採取局の帳簿が破損し、“アルメス”という許可記号だけが霧のように消えたとされる。
主人公は[[測量士]]見習いとして、許可記号が失われたにもかかわらず旅が続くことを宿命づけられる。取れないはずの“採取可能資源”を、取れないままに記録し、記録から次の地点の扉を開ける「アルベ還路」の思想が中心となる。
物語の中盤では、港の灯台が自分の役割を「取る」ではなく「導く」と反転させる場面が描かれる。ここで登場する[[灯台人格AI]]は「取れぬことの証明こそが航路である」と演説し、プレイヤーの選択次第でエンディングが3系統に割れるとされる[5]。
終盤では、主人公が“採取許可そのもの”ではなく“許可が存在した痕跡の整合性”を回収することで、都市の経済循環が再起動する。だだし、再起動後の世界では採取が再び可能になるのではなく、「取れない理由が改訂される」という形で落着すると記述される。
登場キャラクター/登場人物[編集]
主人公の測量士見習いは[[雲間 ルナ]](くもま るな)である。雲間は“数字を信じるが、数字だけは信じない”という口癖を持ち、戦闘開始時に必ず装置へ短い祈りのような入力を行う。
仲間には、採取局の元職員である[[渡瀬 ヨミ]](わたせ よみ)がいる。ヨミは“アルメス”の代替規格を作ろうとして失敗し、結果的にプレイヤーの旅の鍵となる[[未取得許可証片]]を残した人物とされる。
敵側の中心は[[鑑定騎士団]](かんていきしだん)である。彼らは「取れないものを取れと言う」硬直した思想を掲げ、測量士の偏差を犯罪として扱う。とくに[[騎士長 ヘルメス・ノクタ]]は名前が紛らわしいため、当初は“取れない”という語感の呪いと結びつけられてファンアートが大量に生まれた[6]。
また、港湾地下孔道で出会う[[藻色の行商人]]は、アイテムの値段を告げる代わりに「取れない数式」を渡す。提示される数式が正しすぎる場合、逆に取引が成立しないという小ネタ仕様があり、プレイヤーの間で“誠実すぎる闇商人”と呼ばれた。
用語・世界観/設定[編集]
本作の核概念である[[アルメス]]は、採取対象そのものではなく「取れた事実を証明する記号」として扱われる。作中ではアルメスが“取れない”のではなく、“取れた証明だけが取れない”と説明されるため、概念が二重化している点が特徴とされる[7]。
一方、[[アルベ]]は“旅程が進むための補助線”である。地図上ではアルベが見えないのに移動結果だけが残るよう設計されており、プレイヤーは手元の観測装置でアルベの軌道を推定する。軌道推定には[[偏差係数]](へんさけいすう)が使われ、初期値は0.42と説明されるが、攻略コミュニティでは「本当は0.43が正解」とする声もあった。
世界設定として、都市[[アルベリス市]]は「港と帳簿が同じ速さで老いる」とされ、採取局の老朽化が霧の発生源になったと語られる。なお、霧の発生は天候ではなく帳簿の繰り越し処理に依存するという奇妙なルールが用意され、天気予報アプリがゲーム内経済に影響する一種のメタ要素にもなった。
ゲーム内UIの用語として[[検分ウィンドウ]]や[[軌道安定度]]、[[不整合錬成]]があり、これらはロード画面の短文としても表示される。短文の多くは当時の文語調詩人が監修したとされるが、出典は明示されず[要出典]、結果として詩集の同人出版が加速した。
開発/制作[編集]
開発は[[夜明け機関研究開発室]]が担当した。制作経緯として、同室のプロデューサー[[渡辺 精一郎]]は「取れる楽しさを作るより、取れない理由を遊ばせたい」と方針を掲げたとされる。
初期プロトタイプでは戦闘が完全リアルタイムであったが、社内テストの結果、測定入力が遅いプレイヤーほど不利になることが判明した。そこで“計測ウィンドウ”という概念が採用され、入力の遅れは直接ダメージにならず、安定度にだけ影響する設計へ改められた[8]。
制作スタッフは異分野から集められ、数学担当として[[榊原 テツヲ]]、UI言語担当として[[真鍋 ハルカ]]が名を連ねた。とくにUI言語の設計思想は、駅の掲示文を研究したとされるが、社内報では「掲示文より掲示“されない”文を作った」と書かれている。
音響プログラムはオフラインログを基にした“取れない音響生成”を実装しており、同じ場所でもプレイヤーの失敗パターンに応じて波形が変わる。これは後に同社が[[アルベ・クラウド端末]]向けに拡張する伏線にもなったとされる。
音楽(サウンドトラック)[編集]
サウンドトラックは[[空条ミオ]]が担当し、「潮の位相」「許可の余韻」「測量の誤差」という3系統のモチーフから構成されるとされる。全曲数は48曲とされ、うち採取不能イベントに対応する“沈黙トラック”が7曲含まれる。
沈黙トラックは無音ではなく、0.7秒ごとに微小なノイズが入る。プレイヤーが“何かが取れたはず”と錯覚したところで音が途切れるため、心理的に難易度が上がる演出になっていると評されている[9]。
また、エンディングの主題歌は歌詞が表示されない。代わりに歌詞の代替として、画面下部に偏差係数の変化グラフが流れる仕様になっており、当時の攻略勢がグラフを画像解析して歌詞候補を推測したという逸話がある。
他機種版/移植版[編集]
発売後、2044年に[[アルベ・クラウド端末]]版が配信され、クラウドセーブ機能により“曜日ルート”が安定化したと説明された。ただしユーザー側では逆に不安定になったという報告も多く、アップデートノートの文面が物議を醸した。
さらに2046年には、改造型G3P向けの低電力移植が行われた。移植では“検分ウィンドウ”の長さが平均で-0.2秒され、体感難易度は上がったとされたが、開発側は「解析のための余裕を残した」と主張した。
2020年代後半の再リリースでは、バーチャルコンソール系のサービスに対応したとされる。対応機能の一覧に「通信不要の対戦」が入っており、オフライン対戦ができるのに通信が必須として表示されるという初期UIバグが記録されている[10]。
評価(売上)[編集]
発売初年度の全世界累計は182万本を記録し、特に[[日本]]国内では初週で53万本に到達したと報じられた。レビューでは「取れないのに達成する感覚が新しい」とする声が多かった。
一方で、競技的な偏差係数設計により、長時間プレイでの最適化が進みすぎるとの指摘があった。総合点はファミ通クロスレビューでゴールド殿堂入りとなり、同誌は「誤差が物語になる」と評したとされる[11]。
売上の内訳はハンドヘルドが61%、クラウドが29%、改造型G3Pが10%と推定されるが、改造型の数字は出典が薄く[要出典]、後年には“実際は別会社の販売ログを混ぜた”という噂が流れた。
関連作品[編集]
本作は前作『アルメス取れるアルベ来る』(2039年)との対比で語られる。前作が“取れた証明”の快楽を描いたのに対し、本作は“証明だけが届かない”側に踏み込む構造になっている。
また、2043年には派生として『アルベゆく通信譜』が発売され、掲示文の作り方を学ぶミニゲーム集として流通した。さらに2047年にはアニメ『潮位図の恋文』がテレビアニメ化され、灯台人格AIが主人公に代わって“取れない物を取れる風”を演じる回が話題になった。
小説版『未取得許可証片の手引き』も刊行され、雲間ルナの独白が追加されているとされる。なお、小説版の第3章だけ文体が違うため、編集者が差し替えたのではないかという疑惑がネットで繰り返し語られた。
関連商品(攻略本/書籍/その他の書籍)[編集]
攻略本として『検分ウィンドウ完全読解』(2042年、夜明け企画刊)が刊行された。内容は偏差係数の推奨値を表形式で整理したもので、特に「軌道安定度70%到達チャート」が人気だったとされる。
また、公式の音楽本『潮の位相と沈黙トラック』では、無音の代わりに採用された波形パラメータが掲載されたとされるが、読者からは「波形が載っているのに再現できない」と不満も出た。
その他に、店頭販促用の商品として[[港湾地下孔道]]を模した立体ジオラマが発売された。ジオラマには“取れない扉”を開くギミックが入っており、実際には開かない代わりに開いた“ように見える”反射板が付属していた。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 渡辺精一郎「測定値が物語を決める設計思想」『月刊ゲーム工学レビュー』Vol.12第3号, pp.41-58, 夜明け企画, 2043年.
- ^ 榊原テツヲ「軌道安定度と行動順の非線形性」『計測系インタラクション学会誌』第7巻第2号, pp.101-124, 大気出版, 2044年.
- ^ 真鍋ハルカ「文語UIと誤差の快楽—A.T.A.Y.の言語レイヤ」『HCI対話研究』Vol.22 No.1, pp.77-95, 東京機械技術協会, 2045年.
- ^ 空条ミオ「潮の位相モチーフと沈黙トラックの心理効果」『音響表現研究会論文集』第19巻第4号, pp.210-226, 音波書房, 2046年.
- ^ 中井澄人「対戦モードにおける先読み測量とメタゲーム」『電子競技ディスカッション』Vol.5 No.9, pp.12-29, 国際電子競技学会, 2047年.
- ^ 虹文隊パブリッシング合同会社編『アルメス取れずもアルベゆく 公式設定資料集』虹文隊パブリッシング, 2042年.
- ^ Arube Navigation Society「On the Unobtainable Permit Index in Portable RPGs」『Journal of Fictional Systems』Vol.3 Issue2, pp.55-73, Kyoto Academic Press, 2048年.
- ^ Kumoma Luna「The Philosophy of Taking-Without-Taking」『Proceedings of Narrative-Measurement Workshop』第1巻第1号, pp.1-9, 海上大学出版, 2049年.
- ^ Falsely Accurate Editorial Review「Field Notes: Why Players Believe the Graph」『Quarterly of Peripheral Lies』Vol.9 No.2, pp.88-94, Northbridge Press, 2050年.
外部リンク
- 虹文隊 公式サイト
- 夜明け機関研究開発室 アーカイブ
- A.T.A.Y. 解析コミュニティWiki
- 検分ウィンドウ計算機
- 沈黙トラック試聴室