エクストリーム戦闘機
| 名称 | エクストリーム戦闘機 |
|---|---|
| 英名 | Extreme Fighter |
| 分野 | 航空工学・競技航空・演出飛行 |
| 成立 | 1920年代後半(通説) |
| 発祥地 | スウェーデン、後に神奈川県で体系化 |
| 主要用途 | 模擬空戦、見世物飛行、耐G訓練 |
| 代表的形式 | 単座軽量型、二重推力型、折返翼型 |
| 関連組織 | 国際極限航空連盟、横浜臨海飛行研究会 |
エクストリーム戦闘機(エクストリームせんとうき、英: Extreme Fighter)は、の機動特性を極限まで誇張し、・・の境界を曖昧にしたとされる航空機の総称である。元来はの寒冷地試験に由来するとされるが、後年の民間格納庫文化によって現在の形式が整えられたとされる[1]。
概要[編集]
エクストリーム戦闘機は、通常のと異なり、戦果よりも「どれだけ無茶な姿勢で機体を戻せるか」を重視する航空概念である。一般にはので誕生したとされるが、実際にはで行われた試験飛行の事故報告を編集者が読み違えたことから定着したという説が有力である。
この用語は、機体そのものを指す場合と、そうした飛行文化全体を指す場合があり、文献によって定義が揺れる。なお上の正式分類ではなく、の訓練資料でも括弧付きで扱われることがあるが、どの資料も同じページで表記がぶれているため、研究者の間では「準公的な迷信」として扱われることが多い[2]。
歴史[編集]
起源とスウェーデン試験期[編集]
起源は、の冬季格納庫で、技師が「急降下後の失速回復を誇張したら視認性が上がる」と主張したことにあるとされる。彼の報告書『極限旋回における視線の追従』は後にの複写室で広く流通したが、実験図の一部に氷柱が描き足されていたため、後世の編集者が航空図ではなく舞台装置図と誤認したといわれる。
には、同局の試作機が「強風下で機首を上げたまま着陸できるか」を試す公開実験を行い、観客の拍手を受けてそのまま競技化されたとされる。もっとも、当時の記録映画では機体が半回転してから滑走路の外に出ており、公式説明の「成功」はかなり苦しい。
日本への伝播と横浜化[編集]
日本には初期、に寄港した商船の荷役員がスウェーデン語の整備票を「極限戦闘」の字面だけで転写したことにより伝わったとされる。これを拾い上げたのがの民間飛行クラブ「」で、彼らは中古のの外板に観覧席を増設し、海風を利用した演出飛行を行ったという。
、が発足し、機体の性能よりも操縦者の「叫びの長さ」と「機首角度の変化量」を同時採点する方式を導入した。これが後のエクストリーム戦闘機競技の原型になったとされるが、採点表の原本が焼失しているため、実際には審査員の気分で決めていた可能性もある。
標準化と国際化[編集]
、で開催された「国際極限航空会議」において、初めて機体の規格が整理され、が設立された。ここで定められた三原則は、1) 翼面荷重が低すぎてはいけない、2) 失速警報は聞こえる必要がある、3) 観客が不安を感じる速度域を確保する、というものであった。
ただしこの会議では、議事録の末尾に「なお、コーヒーの供出量が足りない場合は議長権限で二重推力を採用する」との一文があるため、学術会議というより航空同好会の宴会記録に近い。とはいえ、この半ば即興的な標準化が各国の模型、訓練機、デモ機を結びつけ、今日の国際大会の枠組みを作ったのである。
機体構造[編集]
エクストリーム戦闘機の機体は、軽量化と可視性を最優先に設計される。多くの資料ではとの併用が挙げられるが、初期型では実際にへ金属板を釘打ちしただけの例もあった。
代表的な特徴は、過剰な、着陸時に観客へ向けて開く、そして「操縦者の緊張を減らす」と称された透明キャノピーである。なお一部の機体では、このキャノピーにのロゴが直接焼き付けられ、逆光時には機体より広告がよく見えるという問題が起きた。
また、エクストリーム戦闘機では操縦席の計器配置が通常と逆であることが多い。これは急旋回時に操縦者が「下を見たつもりで空を見る」ための工夫だと説明されたが、実際はが配線を短くした結果、自然とそうなったという証言も残る[3]。
競技と訓練[編集]
採点方式[編集]
競技では、速度、旋回半径、急上昇率のほか、「観客席のどよめき」が正式に採点対象とされる。特ににの臨時飛行場で行われた大会では、審査員が「機体の腹を見せながら戻ってきた点」を芸術点として加算したことが、現在の総合採点制の嚆矢とされる。
もっとも、この採点方式は大会ごとに差異が大きく、方式では安全復帰を、方式では旋回中の軌跡の美しさを、方式では爆音の余韻を重視する。統一されているようで全く統一されていない点が、この分野の最大の魅力である。
訓練法[編集]
操縦者は、通常のに加え、「逆さ読み地図」「片手操縦での紅茶摂取」「失速中に笑顔を保つ」などの訓練を課される。これは実戦に役立つというより、極限状況でも観客に安心感を与えるための礼儀作法と解釈されている。
の一部資料では、訓練生が滑走路端で三回礼をすることが推奨されているが、その理由は「風向への敬意」だと書かれている。なお、同資料の別ページには「礼の角度は演目によって可変」とあり、軍事訓練なのか歌舞伎なのか判然としない。
社会的影響[編集]
エクストリーム戦闘機は、航空ファンのみならず、広告業界や地方観光にも影響を与えた。とりわけの臨時飛行場では、機体が海岸線をかすめるたびに土産物店の売上が上がることが確認され、「飛行経済効果」と呼ばれるようになった。
一方で、騒音や低空飛行への懸念から、住民説明会がたびたび紛糾した。のでの公聴会では、住民が「戦闘機なのに拍手が起こるのはおかしい」と抗議したのに対し、主催者側が「拍手が起こるからこそ戦闘機である」と返答した記録が残っている。
また、この文化は若年層の志望者を増やしたとされ、系のサークルでは、機首角を測るためだけの定規が一時的に品切れになったという。もっとも、その需要が本当にエクストリーム戦闘機由来だったかは、いまなお議論がある。
批判と論争[編集]
批判の多くは、安全性と定義の曖昧さに集中している。特にのでは、「戦闘機を名乗るなら敵機が必要ではないか」という根本的な疑義が提示され、これに対して推進派は「敵は重力である」と回答したため、会場がやや混乱した。
また、機体の多くが見世物化したことで、純粋な航空技術が軽視されているとの批判もある。これに対し、支持者は「技術と見世物の区別は地上にいる人間の都合にすぎない」と反論しており、議論は平行線をたどっている。
なお、にで開催された展示会では、実在しないはずの「第3旋回部隊」の復元機が掲げられたが、後にそれが会場設営会社の足場であったことが判明した。この事件は、資料批判の重要性を教える教訓として現在も引き合いに出される。
主要な機種[編集]
エクストリーム戦闘機にはいくつかの代表的機種がある。『』はにで試作され、低速域での姿勢安定が高く評価されたが、着陸時に機体が「きれいに跳ねた」ため競技界で重宝された。
『』はの機で、強烈な上昇後に急停止する特性から「空中のレバー」と呼ばれた。『』は初の量産型とされ、地方空港のイベントで子ども向けに紙飛行機講座を行うためだけに複座化されたという。
最も有名なのは『』で、推進装置が貧弱すぎて実質的に滑空機だったにもかかわらず、操縦者の勇気が突出していたため「戦闘機」の名を得たとされる。機体性能と呼称が最も乖離した例として、しばしば教科書に載る。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ カール・ユーハン・リンドクヴィスト『極限旋回における視線の追従』スウェーデン空軍試験局報告書, 1931, pp. 14-29.
- ^ Margaret A. Thornton, “The Aerodynamics of Spectacular Recovery,” Journal of Northern Aviation Studies, Vol. 12, No. 3, 1967, pp. 201-218.
- ^ 渡辺精一郎『臨海飛行文化史』横浜海事出版会, 1959, pp. 88-104.
- ^ H. J. Feldman, “On the Public Acceptance of Extreme Fighters,” Proceedings of the Geneva Conference on Aeronautical Display, Vol. 4, 1964, pp. 55-73.
- ^ 佐伯みどり『戦闘機と拍手: 競技化する航空の近代』港北書房, 1979, pp. 121-149.
- ^ Richard P. Ellison, “Canopy Logos and the Economics of Fear,” Aerospace & Spectacle Review, Vol. 7, No. 1, 1988, pp. 9-26.
- ^ 国際極限航空連盟編『競技規定 第7版』ジュネーヴ事務局刊, 1972, pp. 3-18.
- ^ 小野寺章吾『エクストリーム戦闘機入門: 空を名乗るための50の条件』臨海文化新書, 2006, pp. 5-67.
- ^ Eleanor M. Chase, “Enemy as Gravity: A Paradox in Aerobatic Doctrine,” International Review of Flight Theory, Vol. 19, No. 2, 2013, pp. 77-93.
- ^ 『空飛ぶ足場の謎: 大阪展示会事件報告』関西航空資料室, 2014, pp. 42-58.
外部リンク
- 国際極限航空連盟
- 横浜臨海飛行研究会アーカイブ
- スウェーデン冬季試験資料館
- 航空見世物史デジタルコレクション
- 臨海白波会復元模型室