クッパjrの母親
| タイトル | クッパjrの母親 |
|---|---|
| 画像 | (架空) |
| 画像サイズ | 256px |
| caption | 「母の名を呼ぶ鐘」イベントの一場面である |
| ジャンル | ロールプレイングゲーム |
| 対応機種 | Nintendo Switch |
| 開発元 | 反転燃料開発局 |
| 発売元 | 咬みつき社クリエイティブ |
| プロデューサー | 霧島ユイハ(きりしま ゆいは) |
| ディレクター | 篠塚クロト(しのづか くろと) |
| デザイナー | 砂原ムラサ(すなはら むらさ) |
| プログラマー | 高鉢ソウスケ(たかばち そうすけ) |
| 音楽 | 宵町合唱団(よいまち がっしょうだん) |
| シリーズ | クッパ家外伝 |
| 発売日 | 2021年10月14日 |
| 対象年齢 | 12歳以上 |
| 売上本数 | 全世界累計 142万本(出荷ベース) |
| その他 | 日本ゲーム大賞 審査員特別賞受賞、協力プレイ対応 |
『クッパjrの母親』(くっぱじゅにょうはは、英: Mother of Koopa Jr.、略称: KJMH)は、[[2021年]][[10月14日]]に[[日本]]の[[反転燃料開発局]]から発売された[[Nintendo Switch]]用[[コンピュータRPG]]である。[[クッパ家外伝]]シリーズの第3作目とされる[1]。
概要/概説[編集]
『クッパjrの母親』は、クッパjrの幼少期に“母”として語り継がれる人物を題材に、罪悪感と誓約を同時に扱うロールプレイングゲームとして位置づけられている。公式では「母は姿を見せず、言葉と記憶だけで世界を調律する存在」とされ、プレイヤーは終盤にかけて“母の意志”と“現実の時間”を往復するよう求められる[1]。
企画立案の端緒は、映像編集担当が誤って抽出した音声ログ「jrの母の声—周波数 1.73kHz」が原因であるとされる。ログは当初、社内の雑音として扱われたが、反転燃料開発局はその周波数帯に同期するストーリー分岐が存在すると主張した。なお、同社の内部報告書では「母の解釈が市場の“情緒疲労”を回復させる」とも記載されている[2]。
ゲーム内容/ゲームシステム[編集]
ゲームシステムの特徴として、戦闘は通常のHP/MPに加え、母の言葉を“受信”すると一時的に成立する「誓約ゲージ」を採用している。誓約ゲージは被弾のたびに減少するのではなく、プレイヤーが選んだ会話オプションに応じて再計算されるため、同じ難易度でも体感が大きく変わるとされる[3]。
プレイヤーは探索中、地面に刻まれた文字列(ルーン)へ近づくことで「母の辞書」を呼び出し、アイテムを落としものとして入手する仕組みを持つ。落としものパズルに近く、辞書の単語順が狂うと“同名異義の薬”が出現する。たとえば「涙の霜」と入力した場合、回復アイテムが手に入る一方で「涙のしもべ」が落ちることもあるとされ、プレイヤー間では“母語ミス”と呼ばれている[4]。
対戦モードとしては、協力プレイとは反対に相手の誓約ゲージを奪う「鐘楼戦(しょうろうせん)」が用意されている。オンライン対応は発売日から3か月後に追加され、初期にはオフラインモードのみだったため、初週のレビューでは“協力の幻”として言及されることが多かった[5]。
ストーリー[編集]
本作は、クッパjrが“母のいない城”へ戻ろうとするところから始まる。城の門前には「母は在るが、見つけるな」という手書きの札があり、プレイヤーは進行のたびに札の筆圧が変化するのを観測することになる[6]。
物語の核心は、終盤に登場する「名簿室」にあるとされる。名簿室では、母の正体を特定するのではなく、母が過去に取り戻そうとした“選択の回数”を数える。実際には、プレイヤーがこれまで選んだ会話選択肢が、母の側の“時間編集”へ反映される仕掛けであり、ある検証では分岐総数が2^38通りに達する可能性が示された[7]。
また、ストーリーの後半では「母の声が届く距離が1,240歩ごとに変わる」という演出が入る。開発側は歩数をあえて正確に固定せず、プレイ環境により±7歩のズレが出るよう調整したと説明している。これにより、プレイヤーは“母がこちらを見ている”感覚を得やすくなったとされる[8]。
登場キャラクター/登場人物[編集]
主人公は「jrの影を背負う者」として扱われる無名の冒険者である。作中では主人公の名前は表示されず、代わりに“呼ばれ方”のみが変化する。仲間としては、伝承を暗記する職人「缶詰詩人ファスナ(かんづめ しじん ふぁすな)」が同行する。ファスナは母の語彙に依存するため、プレイヤーが誓約ゲージを溜めると朗読速度が上がるとされる[9]。
敵対勢力には、城の記録係を名乗る「反復書記オロム(はんぷく しょき おろむ)」がいる。オロムは母の辞書の“同音異義”を悪用し、正しい回復薬を毒へ偽装する。特に有名なのが「正しい涙で凍る」イベントであり、プレイヤーが回復ルーンを3番目に置くと凍結が発生する点が攻略サイトで議論された[10]。
終盤には“母の代理”として「鐘楼の鳥ミラド(しょうろうのとり みらど)」が出る。ただしミラドは母を名指ししない。公式には“母の不在を証明するためのキャラクター”とされ、解釈が分かれる余地を残していると批評家からは指摘されている[11]。
用語・世界観/設定[編集]
世界観は、城塞都市と、その外縁にあるを中心に構成される。逆さ盆地の地形は、上り坂が“過去”を意味し、下り坂が“修正”を意味するよう設計されたとされる。プレイヤーは移動中にBGMの小節が逆再生されることを観測でき、没入感の根拠になっている[12]。
用語としては、母の辞書が扱う「母語(おやご)」が重要である。母語は単語ではなく“関係性の順序”として定義され、同じ単語でも先に置かれた感情によって別物の効果を持つとされる。また「誓約ゲージ」は、行動ではなく会話の“受信率”から計算されるため、プレイヤーの沈黙選択が戦局を左右することがあるとされる[13]。
さらに、世界の技術史として「反転燃料」という架空の物質が登場する。反転燃料は時間の層を逆に並べ替える媒質であり、結果として“母の声が過去に保存される”という仕組みが成立する、と説明される。ただし、説明文だけでは理解しづらく、実際にはゲーム内で検証クエスト「周波数 1.73kHzの墓碑」が用意される[14]。
開発/制作[編集]
制作経緯として、反転燃料開発局は当初、純粋なアクション寄りのRPG案を持っていたとされる。しかし社内試作で「母の言葉」を導入すると、ダメージよりも“後悔”が増えることが判明し、ゲーム全体をロールプレイングへ再設計したとされる。なお、この判断を下した中心人物としてプロデューサーの霧島ユイハが挙げられることが多い[15]。
スタッフは職能ごとに分かれたが、脚本チームは“説明しすぎない”方針を徹底した。その結果、イベントの一部はゲーム内で直接説明されず、攻略メモにより初めて意味が繋がる構造になっている。また、開発コードネームとして「JR母(じぇいあー はは)」が用意され、表向きには公開されなかったという[16]。
一方で、開発中に発生した不具合「名簿室の筆圧が現実の湿度と連動して表示される」問題は、当時の開発者配信で一度だけネタとして扱われた。のちに当該配信は非公開となったが、当時閲覧したプレイヤーが動画を保存していたとされ、コミュニティで“母が湿度を読んでいる”という伝説が広まった[17]。
音楽(サウンドトラック)[編集]
サウンドトラックは宵町合唱団が担当した。楽曲は通常のBGMに加え、会話イベント中にだけ流れる「母のハミング」を特徴とする。ハミングは1.73kHz付近の成分を含むとされ、プレイヤーがイヤホンで聴くと“言葉の輪郭だけが残る”と表現されることがある[18]。
また、楽曲にはゲーム進行に応じて小節数が変わる仕様があり、ある検証では第7章の鐘楼テーマが平均で64小節から73小節へ伸びる傾向が観測された。開発は「伸びるのではなく、選択が戻るために増えたと考えてほしい」とコメントしたと報じられている[19]。
特に人気の曲として「雨より軽い約束」が挙げられる。曲名に反して雨は降らないステージも多いが、作中の文章では“雨は気象ではなく記憶の密度”として説明されるため、解釈が広がったとされる[20]。
評価(売上)[編集]
売上は全世界累計142万本を突破したとされ、初週では返品率が0.8%未満だった点が話題となった。返品率が低い理由について、レビューでは「母の言葉が刺さったプレイヤーが最後までやり切る」ことが挙げられている[21]。
評価面では、日本ゲーム大賞の審査員特別賞を受賞した。批評では「RPGとして成立しているだけでなく、言葉の選択が物語の物理量のように扱われる点が新しい」とされる一方、説明不足が苦手な層には不評だったとされる[22]。
一方で売上とは別に、eスポーツ的な盛り上がりとしては限定的だった。対戦モードの鐘楼戦は人気だったものの、誓約ゲージの計算が会話ログに依存するため“読み合い”が強すぎるという指摘がある。結果として、配信向けの人気は高いが参加型ランキングは伸び悩んだと推定される[23]。
関連作品/関連商品[編集]
関連作品として、同シリーズには『クッパ家外伝:逆さ盆地の約定(2020年)』や『クッパ家外伝:静寂浜の礼拝(2019年)』が存在するとされる。また、テレビアニメ化されたという噂もあるが、公式リリースとしては確認されていない。ただしファンサイトでは「第1話で“母の声だけが聞こえる”演出があった」として原典のスクリーンショットが掲示されることがある[24]。
関連商品には攻略本として『母語辞書コンプリート:誓約ゲージ計算表』があり、付録に“ルーン順序の早見”が付くとされる。書籍側は「誓約ゲージは会話回数ではなく受信率である」と丁寧に解説するが、実際には受信率の前提が説明されていないため、逆に誤解を生むとも批評されている[25]。
そのほか、関連書籍として「反転燃料と物語編集—1.73kHzの歴史」(出版社: 潮歩出版社)が刊行された。タイトルは学術調であるが、内容はインタビュー中心であり、ゲームの理解というより“解釈の儀式”へ誘導する構成になっているとされる[26]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 篠塚クロト『誓約は会話のみに宿る』反転燃料開発局出版局, 2021.
- ^ 霧島ユイハ『母語辞書の設計思想』咬みつき社クリエイティブ, 2022.
- ^ 砂原ムラサ『ルーン順序のゲーム理論』Vol.3 第2号, 反転燃料技術論文集, 2020.
- ^ 高鉢ソウスケ『オンライン追加に伴う誓約ゲージ再計算』pp.114-129, 第18回相互作用型RPG研究会, 2021.
- ^ 宵町合唱団『1.73kHz—言葉のない音声設計』潮歩出版社, 2021.
- ^ 『ファミ通クロスレビュー』2021年11月号, KJMH評価記事, エンタメ通信社, 2021.
- ^ Dr. カルロス・ヴァルデス『Interactive Narrative and Consent Tones』pp.55-71, Journal of Imagined Game Studies, Vol.12 No.4, 2023.
- ^ Mina K. Shiroyama『The Grammar of Player Regret in RPGs』pp.201-218, International Conference on Narrative Mechanics, 2022.
- ^ 『日本ゲーム大賞 審査員特別賞の記録』第7回審査資料, 公益社団法人ゲーム文化振興機構, 2022.
- ^ (題名が微妙におかしい)小笠原トモエ『ゲームは湿度で動くのか:反転燃料の夢』pp.10-33, 反転燃料学会叢書, 2018.
外部リンク
- KJMH公式アーカイブ
- 反転燃料開発局 研究ログ
- 母語辞書ファン解析掲示板
- 鐘楼戦 参加者統計ミラー
- 潮歩出版社 付録配布ページ